【バランスか、狂気か】ビジャレアル対セビージャ【危うし清武】

ビジャレアルのスタメンは、アセンホ、マリオ・ガスパール、ムサッキオ、ビクトル・ルイス、ハウメ・コスタ、カスティリェホ、ロベルト・ソリアーノ 、ブルーノ、トリゲロス、アレシャンドレ・パト、ニコラ・サンソーネ。チャンピオンズリーグ予備予選でモナコに惜敗し、ヨーロッパリーグ周りになったビジャレアル。主力の離脱によって怒っただろうマルセリーノ監督もいなくなっている。泣きっ面に蜂状態だが、バレンシアがその上をいっているらしい。

セビージャのスタメンは、セルヒオ・リコ、コロジェイチャク、ラミ、パレハ、マリアーノ、エンゾンジ、パブロ・サラビア、ヴィトロ、清武弘嗣、フランコ・バスケス、ビエット。前節で6-4という馬鹿試合をしたセビージャ。さすがに反省をしたのか、この試合ではマイナーチェンジを施してきた。解説者曰く、昨年のセビージャはアウェーで一度も勝利をしていないらしい。まさに、鬼門だらけ。

結果はスコアレスドロー。前節の馬鹿試合はどこへ消えた。どちらかと言えば、ビジャレアルのほうが決定機の多い試合だった。勝敗をわけたものは、、わかれていないけど、、ゴールにシュートが入ったかどうかであった。

セビージャの変化

前回のシステムはこちら。

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ボールを保持したときのシステムが上記の形になる。ボールを保持していないときは、すばやくボールを奪い返そうという狙いなので、特に目立つことはなかった。清武とサラビアは相手のサイドバックの裏に突撃する役割があったので、エンゾンジとセンターバックだけが後方に残っている形となる。前節のセビーージャの失点はビルドアップミスやセットプレー、カウンターだらけだったこともあって、カウンターとビルドアップをどうにかしたいとサンパオリは考えたのだろう。

ビジャレアル戦のシステムはこちら

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エスパニョール戦と比べると、全く違うシステムを採用している。FWを削って、サイドハーフを配置。清武にビルドアップの出口となることを要求し、後ろに重たくなるシステムとなった。あくまで清武はプラスアルファで、基本は、キーパー、センターバック、アンカーでビルドアップを行なう。ビルドアップの出口が見つからないときは清武がサポートに入る。サイドバックが横幅を取れれば、サイドハーフは中央にしぼる役割となっている。

また、相手がボールを保持しているときは、4-4-2に変化する。ビジャレアルのシステムが4-4-2であったことを考えると、システムを揃える狙いがあったのだろう。また、ビジャレアルのホームでの試合ということもあって、エスパニョール戦のように自分たちが延々とボールを保持する展開にはならないと考えたのかもしれない。

ビジャレアルのセビージャ対策

前節でビルドアップミスを連発したセビージャ。とくにキーパーのリコの怪しさは際立っていた。また、セビージャの前線にはエアーバトラーがいない。よって、キーパーやセンターバックにロングボールを蹴らせれば、高い確率でマイボールになる、という計算がなりたつ。

そんな計算をもとにビジャレアルのたてた作戦が、数的同数プレス。2トップはセンターバックへ。エンゾンジへはトリゲロスかブルーノがスライドして対応する役割になっていた。場面によっては、4-3-3のようにも見えるビジャレアルのボールを保持していないときのシステム。前線にパスを通されたらやばいのだが、そういう姿勢に、つまり、相手をオープンにするまえにプレッシングをかけようという狙いは、かなり成功する。よって、セビージャはビルドアップで苦悶する展開となっていく。

ビルドアップが狙われることは、計算済みだったサンパオリ。そのために、システムをかえて清武をビルドアップの出口にしようとしたのだった。ミスが目立ってしまったが、前節で清武がアドリブでビルドアップを助けようとした姿勢をサンパオリが評価していたということだろう。

予定通りに清武が列を下りてプレーすると、ビジャレアルはこの動きも読みきっていた。ブルーノ、トリゲロスが同時に出動する荒業でセビージャのビルドアップに対抗した。セビージャが変幻自在のポジショニングで攻めてくるならば、人への意識を強くすればいい。相手の前線と味方の守備が同数で対決すれば、ビジャレアルに分がある(空中戦も含めて)と計算していたことも大きい。ライン間ポジショニングを3バックによる迎撃で対抗した作戦を彷彿とさせるビジャレアルの姿勢だった。

その積極果敢な姿勢によって、セビージャの攻撃機会はかなり削られてしまう。そして、浴びせられるショートカウンター。いつのまにビジャレアルにいたんだというパトが前半に退かなければ、セビージャが失点していた可能性は高い。ただし、このピンチを凌いだ中心人物がリコ。ビルドアップでは迷惑をかけるが、シュートストップというキーパーの本質で、チームにしっかりと貢献していた。

危うし清武

セビージャのビルドアップがスムーズにすすむときは、ビジャレアルのセントラルハーフの前のスライドが間に合わないときだった。よって、前半の終わりが近づけば近づくほどにセビージャはらしさをゆっくりと出していく。しかし、この場面で活躍したのはヴィトロだった。前節では左サイドバックで躍進を遂げたヴィトロ。今日は右サイドハーフだったが、途中からビルドアップの出口として機能していた。簡単に言うと、清武の仕事を奪っていた。奪っていたというと、どうしてもネガティブなニュアンスが出てきてしまう。奪っていたというよりは、清武ができないから、代わりに行っていたというべきだろう。

そして、60分には清武→ベン・イェデルが登場する。この交代によって、セビージャはシステムをエスパニョール戦に戻す。清武の位置にはヴィトロ。この事実はちょっと重い。

システムを戻すことによって、ビジャレアルから試合のペースを五分五分には持ってくることに成功したセビージャ。

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ドルトムントの開幕戦に現象は似ている。相手の守備に新しい役割(バスケス、サラビア、ヴィトロを抑える)を与えることで、相手の準備してきた守備(数的同数プレス)を行わせない。

相手に解決しなければいけない状況を作ると、セビージャのビルドアップは円滑になる。よって、サイドバックが高い位置にポジショニングするようになる。そして、前節に見られたサイドチェンジとサイドバックの裏にヴィトロたちが突撃する形が繰り返されるようになっていく。こうして、後半はセビージャがゴールに迫る回数が増えていくが、ビジャレアルもトリゲロスを中心に迫っていくが、リコのファインセーブが止まらなかった。

そんな試合はスコアレスドローで終わる。サンパオリからすれば、6-4上等じゃないかサッカーになっていくのか、意地でもバランスを見つけていくのかの選択は興味深い。

ひとりごと

ビジャレアル

マルセリーノを経由したことで、堅さは持続している。そしてかつての伝統であったパスワークもときどき顕在。世界屈指のブルーノがいることがやっぱりずるい。ただし、このメンバーでチャンピオンズリーグを戦うというのは、監督が怒っても仕方ないと思う。ヨーロッパリーグではしぶとくつよくあかるく行くのでないかと。

コメント

  1. ash より:

    清武がビルドアップの出口として機能せず、ヴィトロだと機能したのはどういう違いからなんでしょうか?
    また清武はどう改善していくとよさそうでしょうか?

    • らいかーると より:

      ポジショニング。清武は指示かどうかはわからないですけれど、途中でやめてしまいましたからね。やめて状況がよくなるわけでもない切なさでした。

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