【歴史は繰り返される】バルセロナ対リーベル・プレート

マッチレポ2015×Jリーグ

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バルセロナは、メッシとネイマールがスタメンに復活。いわゆる今季のベストイレブンが揃い踏みとなった。CWC制覇に向けて、盤石の体制。監督はルイス・エンリケ。かっこいいまだ誰もきてないコートで、話題をさらっている。気がつけば、多国籍化しているバルセロナ。ブラボ、マスチェラーノ、アウベス、メッシ、ネイマール、スアレスと南米出身の選手が多い。多国籍化といっても、他の欧州の選手(かつてはオランダとか)が多い印象のあったバルセロナだが、スペイン代表との同化以降は、なぜか南米化が進んでいる。

サンフレッチェ広島をくだしたリーベル・プレート。負ける訳にはいかないというプレッシャーを、ガジャルドは準決勝に感じていたらしい。実は最近に二部に落ちた過去をもつリーベル・プレート。そのリーベル・プレートをたてなおして、リベルタドーレス・カップでも結果を残したガジャルドは、優秀に違いない。バルセロナ対南米といえば、サントスの悲劇が思い出される。歴史は繰り返されるか、それともジャイアント・キリングを起こすことができるか。

■普段通りのバルセロナ

リーベル・プレートは4-4-2でバルセロナに臨んだ。10分までは相手陣地からの攻撃的な守備を見せた。10分を過ぎると、高い位置からの攻撃的な守備と、ハーフラインからのゾーン・ディフェンスを使い分けた。使い分けるというと、状況に応じて適切な引き出しをあけたというニュアンスを含みそうだが、実際には気まぐれに引き出しはあけられていた。

バルセロナのボール保持に対して、4-4-2で挑む場合に注意点は、1列目(2トップ)の中間ポジションに位置するブスケツになる。ブスケツとセンターバック(ピケとマスチェラーノ)で形成される三角形は、横幅と縦幅を作ることができる。さらに、ブラボもビルドアップに参加できるので、三角形がひし形になるという二段構えとなっている。ただし、キーパーが運ぶドリブルをする必要はないので、すべての選手を同じ条件で抑えなければならない、ということはない。

バルセロナのビルドアップ隊に対して、リーベル・プレートはサイドハーフをあげて4トップのような姿勢を序盤に見せた。バルセロナはブラボを頻繁にビルドアップに組み込むことで、ビルドアップの起点を深いエリアで行う意志を見せる。相手が自陣に入ってくれば入ってくるほど、自分たちの使いたい中盤や前線にスペースができやすくなる。さらに、どこまで深追いしてくるかが明確に設定されていなければ、リーベル・プレートの1列目の深追いに対して、2列目との距離が離れてビルドアップが容易になるという狙いがある。

序盤にメッシがボールをもらいに下がってくる場面があった。リーベル・プレートはサイドバックをマンマークのようについていかせていたが、サイドバックの選手は相手陣地までついていく意志はなく、バルセロナはボールを前進させることができていた。このように1列目の深追いのラインに対して、2列目、3列目がしっかりと連動することは難しい。特に3列目(ディフェンスライン)は恐らくどのチームもどこまでラインをあげるべきかという上限が設定されている。自陣の低い位置から行われるビルドアップはボールを奪われたらリスクは高い。しかし、キーパーも含めて繋ぐことに自信があれば、相手にとって有効な手となる。

ブスケツを含む三角形を意識せずにひたすらに相手から時間を奪うようなプレッシングを仕掛ければ、攻撃的な4-4-2の守備は可能となる。しかし、リーベル・プレートはもうひとつの解決策である自陣に下がってから対応する道を選んだ。

ブラボを頻繁に経由したこと、1列目の守備がブスケツを担当したこともあって、バルセロナのセンターバックは時間を与えられた。時間を与えられたマスチェラーノとピケは、相手の陣形を観て状況を認知することができる。その余裕がバルセロナに攻撃の糸口を与える。特にオープンになりがちだったマスチェラーノは、運ぶドリブルで相手陣地に侵入していく場面を序盤に2度作ることに成功している。

ボールサイドに近いインサイドハーフ(イニエスタかラキティッチ)には相手がついてくることが多かった。彼らを自由にするためには、バルセロナのビルドアップ隊がイニエスタたちに時間をスペースを与える必要がある。しかし、リーベル・プレートの1列目と2列目の距離が狭く、中央からのビルドアップは困難な状況であった。よって、バルセロナはサイドチェンジを増やして、外からの前進を試みる。ジョルディ・アルバやアウベスが受け手となり、バルセロナは徐々にボールを前進させられるようになっていく。

バルセロナはゆっくりと相手に迫っていくなかで、今日はメッシがいる。ラキティッチはメッシとのポジションチェンジをすることで、メッシのインサイドハーフが実現する。ロナウジーニョ時代にも観られたが、時間とスペースを前線に繋げられない状況のバルセロナは、スペシャルな選手が落ちてきて力技で時間とスペースを創りだしてしまうことがある。というわけで、中盤に下がってきたメッシがファウルをもらいながら、バルセロナの攻撃をつなげていくようになる。

また、メッシが中央に居座るようになったことで、リーベル・プレートの中盤は数的不利になる。よって、サイドハーフを中央に絞らせて対応する。そうすれば、また外があくので、ジョルディ・アルバたちのポジショニングはどんどん高くなっていく。イニエスタも相手のゾーンの外から仕掛ける場面が少し出てくる。メッシのサイドチェンジ、アウベスの外からの飛び出しと、徐々にバルセロナらしさが出てくるなかで、リーベル・プレートはカウンターでチャンスを狙う。

リーベル・プレートの狙いは、恐らくマスチェラーノ。空中戦と裏への飛び出しでマスチェラーノを狙い撃ち。空中戦では強さを見せていたが、その後のマッチアップでは、マスチェラーノが強さを見せていた。また、カウンターの場面でもミドルシュートなら打たせても良いというわりきりが、リーベル・プレートを苦しめていた。残念そこはブラボという場面が何度も見られる。バルセロナは基本的にボールを上手く循環させていたが、ときおり相手にパスをしてしまう場面がちらほら。そういった隙を見逃してくれない相手が登場したときにどうなるかは楽しみだが、そんな相手のときは、ミスをそもそもしないかもしれない。

バルセロナの先制点はブスケツの3バック変化→外外の展開。ボールをサイドで奪われるが奪い返してネイマールのドリブル突破、メッシの突破で相手をひきつけて、最後はアウベスクロスからのネイマール折り返しでメッシのシュートが炸裂した。

直前にフリーのアウベスがボレーを放つ場面があった。リーベル・プレートの左サイドハーフの選手は守備で戻るよりも恐らくカウンターの役割が与えられていたのだろう。その伏線を回収したといいたくなる場面だが、実際は文脈違いであった。この場面で左サイドハーフに位置していたのはサンチェス。彼は戻りに戻っていた。ネイマールとメッシの個人技ではがされてできたスペースに登場。しかし、悲しくかわされている。そのおかげでアウベスがフリーになっている。

後半になると、リーベル・プレートは2枚替え。こうなったら前からボールを奪いに行くんだと死なばもろともスタイルとなる。ボールを奪えれば天国。プレッシングを突破されたら地獄の状況にバルセロナは非常に慣れている。ブスケツを中心に、バルセロナはビルドアップで相手の守備を整っていないものにし、速攻を仕掛けていった。リーベル・プレートもその展開は無秩序につながりやすくなる。しかし、とどめはブスケツ。ブスケツのスルーパスに抜けだしたスアレスが追加点を決めて、実質的に試合はほぼ終了となった。

その後のバルセロナはやりたい放題。メッシは色々なアイディアが浮かびすぎたのがフィニッシュを中途半端に終わらせる。他の選手は個人技を披露すると。ネイマールのドリブル突破は、ゲームのようだった。そんなネイマールだが、スアレスのアシストでお役御免。その後はリーベル・プレートが必死の反撃をみせ、ゴールへの雰囲気を感じさせる場面もあったが、得点はゼロ。バルセロナが試合を終わらせ、大方の予想通りにバルセロナの優勝で試合は終わりを告げた。

■ひとりごと

リーベル・プレートはファウルを辞さずで勝ちにいったが玉砕。ネイマールとスアレスは南米育ちなので、南米の技に慣れていたかもしれない。イニエスタは少し嫌そうだった。それでも理解できない技術で相手を翻弄していたけれど。

チャンピオンシップとCWCとゴールデンタイムにサッカーが流れている季節となった。1年にたまにはこのような季節があってもいいかもしれない。チャンピオンシップ→CWCという順番も良い。ただし、これを繰り返していかなければいけない。ガキ使が年末の風物詩になっていったように、天皇杯の決勝が元旦に定着したように、継続していくことが大切だと思う。しかし、CWCは他の国に移動するという話がある。また、チャンピオンシップはレギュレーション込みで色々と変化が起きていきそうな予感。それでも、1年に1度でいいから、このような季節があることが、サッカーというスポーツにとって、とっても大事なことになっていくんじゃないかなと感じさせれた。

コメント

  1. 匿名 より:

    まだ天皇杯のマッチレポートがあるんですかね??
    でもこのブログのおかげで今年一年楽しくサッカーを観戦出来ました!!
    ありがとうございます!

  2. らいかーると より:

    匿名さんへ

    匿名さん多すぎ!!

    こちらこそありがとうございます。

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