はじめに
ファジアーノ岡山には好印象をもっている。
ネガティブでもポジティブな意味でもないのだけど、J1のサッカーというイメージが強い。【3421】で一生懸命を武器に試合に臨んでいるチームがJ1には多い印象がある。スキッベ時代の広島とか、現在進行系のくろちゃん町田とかを原案にしているのだろうかとか。
もちろん、それぞれのチームに個性はあるので、差異はあるのだけど。かみ合わせだけみると、またこのかみ合わせか!みたいな。そう考えると、鹿島、マリノス、FC東京、川崎の4バック軍団の意思は強いなあーとも感じるわけで。ま、そこにこだわることに意味がある時代でもないからこそ、こだわりを持つべきなのかもしれないけども。
みんなで考えてみよう
終盤のスコルジャ監督は、ハイプレッシングを強制されていたと記憶している。
【442】のゾーンディフェンスを武器としている監督に、現代サッカーの流行りであるマンマークのハイプレッシング(正確に言えば、マンマークだったかは覚えていない)を実行させるのだから、浦和のフロントのハイプレッシング思想は本物だ。
なお、【442】ゾーンディフェンスからのハイプレッシングへの移行はアーセナルの得意技であり、そっちの方向でいいような気もしたが、それはそれである。
で、チョウ・キジェ監督が登場した。ハイプレッシング志向、速攻、カウンターの申し子と呼ばれてそうで呼ばれていないチョウ・キジェ監督の登場で、浦和フロントのハイプレッシング思想は完成すると誰もが思った。
しかし、ガウル監督によって、ハイボールだけでなく普通のビルドアップもちゃんとやろうぜモードになっているサンフレッチェ広島にフルボッコにされてしまう。このあたりから雲行きが怪しくなっていった。
スコルジャにハイプレッシングをやらせたのだから、チョウ・キジェならほっておいてもハイプレッシングをやってくれると浦和フロントは考えたのかもしれない。しかし、ハイプレッシングをやるにしても選手が必要であり、相手の戦術も大事になってくる。もしも、相手がPSGならヴィティーニャにボールをまわされまくるだろうし、もしも相手がレアル・マドリーなら、ヴィニシウスが裏に走りまくるだろう。
というように、相手によってはハイプレッシングが効果的ではないこともあれば、自分たちの編成の問題もある。いつだってハイプレッシングをやりたければ、ハイプレッシングで尖る編成をする必要があり、前田大然が3人必要になるし、センターバックにはサリバとガブリエルが必要になる。それをなしにハイプレッシング!と叫んでも絵に書いた餅であることは賢明な読者の方々ならお気づきだろう。
さらにこの流れに拍車をかけたのが瀬古の加入だ。なぜかいなくなってしまった柴戸の離脱によって、中盤の補強をする必要にあった浦和。瀬古をパニックバイ。いや、計算されたバイかもしれない。瀬古の登場は浦和レッズのビルドアップの安定性、試合のペースダウンによるコントロールをチームにもたらすことになった。
ちょっと待てと。今でも蹴っ飛ばす機会が多いように、宮本のプレーが恐らく監督の求めていることである。しかし、機能しないロングボールを蹴り続けてもしょうがない。となれば、マイボールにして試合を落ち着かせることで得られるメリットも多い。というわけで、浦和の攻撃はだんだんとゆっくりになり、機能しないハイプレッシングも限定された状況で披露されるようになっていった。
このあたりで浦和のフロントが思ってたんと違う!と怒るのかなと思ったが、その気配はない。さらに、浦和は3バックを導入。もともと背の高いセンターバックが少なかったこと、さらに、サイドバックに機動力に優れたタイプがいなかったこともあって、3バックの導入は理にかなったものであった。金子やサビオを最終ラインまで下げることは得策とは言えないだろう。餅は餅屋にすることで、空中戦に対する備えもされるようになり明確な弱点ではなくなっていった。
3バックにはボザ、宮本、根本が選ばれた。控えになりそうなのはこの試合でも出場した工藤と他に本職の選手はだれだろうか?状態である。なお、3バックの前に控えるのは瀬古と植木。植木もボールプレイヤーとしての評価をあげていて、瀬古と組むことで、解放される植木の立ち位置は、岡山のプレッシングを混乱させる役割で機能していた。
瀬古と植木のプレッシング耐性とこのコンビがトランジションの一歩目になると、浦和はボール保持やカウンターに繋げることができた。なお、このコンビはフリーな選手を見つけることにも長けているので、中央に入っていくサビオ、今日は最初からライン間の南野がパスラインを作れれば、ボールを供給することはできていた。
さらに、ボザがベン・ホワイトのように、3バックとサイドバックを両立させることで、ビルドアップ隊の配置の柔軟性と右サイドの攻撃に+1となる仕組みになっていた。この役割は宮本でも代替可能だが、左サイドで途中から出場した工藤もこの役割を得意としている印象なので、宮本と工藤が3バックにいるのは少しもったいない。でも、アモリムのスポルディングは両側攻撃参加していたので、とがるとそうなるのかもしれない。まるで、ミシャ式。
というわけで、今の浦和の状況を説明すると、ハイプレッシングと速攻の連打は限定的にしか行わない。岡山戦のようにトレーニングができずに素の状態で試合に挑むと、ボール保持がより基本となる。3バックとダブルボランチのプレッシング耐性は強く、地味にビルドアップの形を変化する柔軟性もある。なお、この試合のパス成功率は85%なので、なかなかの数字である。
左サイドバックの攻撃参加によって、サビオを内側に送り、【325】のようになるが、ボザが攻撃参加することもある。両サイドからのアイソレーションは金子以外はあんまり期待できない。となると、右サイドにボザを添える形で、左からフィニッシュという形は理にかなっているのかもしれない。また、左サイドはときどきサビオの強襲もある。
さて、勘の鋭い方なら気がついただろう。チョウ・キジェ監督になってからだいぶ思ってたんと違う形になっている。連敗街道を受けて、解任の危機になれば、ハイプレッシングやれ!たって無理なもんは無理だとチョウ・キジェ監督が考えたのかもしれない。というか、突然の瀬古の加入で植木とのコンビで中盤を構成するようになるなんて、シーズン前では考えられない状況でもある。
恐らく、チョウ・キジェ監督は現有戦力で自分らしさを発揮しようと思ったが、どうもうまくいかない状況になってからはパッチワークになっているのだろう。このメンバーの最適解を探す旅というか。その形がだんだんと落ち着いてきているのだけど、その答えが思ってたんと違う方向になりそうで、さらにセンターバックが全然いないように、編成とチョウ・キジェ監督のたどり着きそうな答えがまるでかみあっていないのは面白い。
ボール保持からのトランジションで強度を出せる場面はあるのだけど、ミドルプレッシングやゴールを守る場面での怪しさというより、チーム全体で守る部分の秩序が改善されそうな気配はない。となると、ボールを持てないときついという矛盾した状況を見て、浦和のフロントは何を考えているかは気になるところである。ハイプレッシングを実行しないことよりも、チョウ・キジェ監督と結果を優先している可能性が高いが。
ひとりごと
チョウ・キジェ監督の予想とは異なる方向でチームが進んでいるなかで、渡邊凌磨と安居の序列が下がっていることにびっくりしている。ウイングバックにサイドバック気質の選手を起用するとなると、CF枠とサビオ枠ともうひとつの枠を何人で争うねん、みたいな状況になりつつある。この試合で見せたようにライン間に置いとけば立ち位置とフィジカルと得意の左足で存在感を見せられる南野も面白い存在であることが証明された。となると、渡邊凌磨はどうなる。
なんとなくだが、まだまだ荒れそうな浦和レッズであった。

コメント