はじめに
旧Twitterの仕様変更により、世界中の分析くんのつぶやきが流れてくるようになった。海外の人たちと同じような感想を持つと、言語の壁を超えた気分になる。そんな爽快な気分もあれば、海外の人たちも頓珍漢なことを言うんだなと安心というか、諦めというか、いろいろな感情を味あわせられることもある。
ちなみに海外の分析くんたちは、バイエルンとPSGに首ったけ。ときどきバルセロナ対アトレチコ・マドリー。で、誰も注目をしていなそうなのが、スポルティング・リスボン対アーセナルだった。アーセナルはいつからこのような立ち位置になってしまったのか。大きなお世話であることは言うまでもないが、「スペクタクル」が代名詞だったころと比べると、確かに堅実な雰囲気に支配されていることは否めない。
でも、試合を見てみると、なかなか興味深かった。あと、キーボードをかたかたしていることが楽しかった。というわけで、まさかの更新であります。
変幻自在のビルドアップ
どちらかというと、アーセナルがボールを持つ展開で試合は進んでいきましたとさ。スポルティングとしても、ボールを持ちたいけど、そこまでリスクを冒す必要はないと考えた節がある。スポルティングで大活躍をしていたギョケレスをタイマンで見ることになってしまうだろうマンマーク×ハイプレはあっさりと封印。封印するもなにも、そういうサッカーではないような気もするけど。
ギョケレスをタイマンで見ないで、センターバックの二人で管理しようぜ!が前提になっているので、アーセナルのビルドアップ隊と自分たちの配置がかみ合わないときは、あっさりとプレッシングに行くことをやめていた割り切りが素敵だった。その代わりに、2トップの後ろで守田とシモンエスがしゃかりきに走っていたけれど。
で、アーセナルのビルドアップ。もはやフリーマンなのではないか?と疑いたくもなるほどにウーデゴールが自由奔放に動き回っていた。トップ下と表現したら違和感を覚えるほどに、多様な列を下りる動きを披露していた。
ボール保持を安定させることを考えると、アーセナルは限りなく正しい。ウーデゴールの下り方も含めて、3バックへの変化の多彩さ、中盤の選手のポジションチェンジ、意外な選手のあらわれる動きも含めると、アーセナルのボール保持をぶっ壊すには骨が折れることは間違いない。
一方で、サリーを筆頭とする列を下りる動きには、必ずクレームが入る運命となっている。後ろが重たくなって、前線の枚数が足りなくなる問題だ。後方の数的優位をまったりと前線に運んでいって、相手を押し込む形にできれば、そのようなクレームが絵に書いた餅であることを勘の鋭い読者の方々は10年前くらいから知っているだろう。
しかし、アーセナルのサッカーを見ていると、確かにそのクレームの正しさを知る、みたいな展開となっていった。なお、多人数によるビルドアップの安定の元ネタはクリスマスツリーのACミランのオマージュのようだった。あのチームにはカカとインザーギがいたけど。シェフチェンコがそのときにいたかどうかは覚えていない。
アーセナルのサッカーは、何度も言うけど、限りなく、正しい。ポジションチェンジによるバランスの維持が適切に行われている。自由奔放のカラフィオーリの面倒をみるライスが不憫に感じるほどだ。誰かの空けた席を誰かが埋めるを忠実にこなしていくので、守備側からすると、本当にめんどくさいと思う。なので、スポルティングのようにゾーンディフェンスでなるべく頑張るが正しい解答なのだろう。マンツーで対応したらどこまで連れて行かれるかわかったものじゃない。
では、アーセナルが試合を優勢に進めたか?というと決してそんなことはなかった。贔屓目に観ても、6:4くらいだろう。その理由は、相手を押し込むまでに時間がかかりすぎることと、ライン間の住人がいるようでいないことと、質的優位を提供できる選手がいなかったことにある。
相手を押し込むまでに時間がかかる!に関しては、スポルティングが根性を見せていた。ボードー/グリムドには崩されていたので、この奮闘には少し驚いたのが本音だ。ゾーンディフェンスで大事なことは自分たちの配置にこだわる部分とこだわらない部分を持つことが現実的になっている。
相手のセンターバックへの監視はほどほどでいい。むしろ、ロングボールを蹴ってくれれば儲けもののような考えが必要だ。大事なことは、相手のセンターバックがボールを運び始めたときのファーストディフェンダーが決まっていることだ。もっと細かく言えば、運ぶドリブルに対して、正面から対応できる選手を準備する必要がある。
バルサの3バックでビルドアップに対して、ルックマンを前に残して対応するシメオネを観て、2トップで管理するなんて現実的じゃないんだと示された昨日の試合でもあった。スポルティングはこのあたりもうまく、アーセナルのなかで最も自由なカラフィオーリへの管理のために、カタモが下がって5バックになることはまるでアトレチコ・マドリーを観ているようだった。
組織的に整備された守備に対して、相手を押し込むためには手数が必要になる。アーセナルはボール保持の安定はできていたけれど、安定と引き換えに少しばかりの苦労をするようになった。苦労はときに楽に逃げることもあり、そんなときにボールを奪われるのが世の常なのがよくできたストーリーだと思う。
ライン間の住人がいない問題は、ウーデゴールが自由人すぎるところが大きい。トロサールなんかはもっとできるかなと思ったが、トロサールの後ろにも自由人がいた。マドゥエケは大外でアラウホとの一対一に熱中し、ギョケレスは相手のセンターバックをピン留めする役割となると、ライン間の住人は誰やねん問題が起きる。カラフィオーリ?もなんだか違うし、ホワイトはもっと違う。ライスもなんだか違うし、メリーノはどこへ消えた?というか、ウーデゴールじゃねえのかと堂々巡りとなる。
ただし、中央からでなく、サイドから攻撃を仕掛けて、えげつないセットプレー、特にコーナーキックを獲得できればいいっしょ!みたいな割り切りはありそうなアーセナル。なお、この発言の元ネタは「せこさん」にある。それならライン間職人がいなくてもどうにかなる。余談だが、最近の流行りはファルソツートップなので、彼らがライン間職人になる。メリーノとハヴァーツを並べれば自然とそんな雰囲気になるかどうかは、試合を観ていないのでわからない。
で、最後の質的優位問題。マドゥエケが根性を見せていたけど、どうなんでしょう。五分五分?もう少しアラウホの勝ち?みたいな感想になるのだろうか。アラウホはどちらかというと、裏への飛び出しで勝ち!みたいなところはあった。サカがいれば話は違ったのだろうけど、そろそろ左ウイングにもそういう飛び道具が欲しい。でも、この試合でマルティネッリが最後に意地を見せたように、信じるものが救われることもある。
というわけで、セットプレーが炸裂しそうでしなかった!こともあって、この試合のアーセナルはなかなかに苦しんでいた。もちろん、代表離脱組がたくさんいたように、怪我人が多く、そもそも元気じゃなかった!というシンプルな理由も大きそうだけど。精神と時の部屋があるわけでもないので、ここからの茨の道がどうなるかはみてみよう案件である。たぶん、チャンピオンズ・リーグは決勝までは行かないと失敗とみなされそうなハードルの高さ。そんなことはないか。
スポルティング・リスボンの側から見ると
この試合は我慢が多くなると腹をくくっていただろうスポルティング。ボールを奪ってからのカウンターやセンターバックからの速攻でチャンスを作っていたのは好印象。アーセナルの途中から繰り出されたハイプレに苦労しながらも対応している姿の印象的だった。
ボール保持率が42%でも、パスの成功率が87%というデータが素晴らしい。ボールをむやみに捨てていないことの証明になっている。計算違いがあったとすれば、カタモがカラフィオーリに抑えられ気味だったことだろうか。自由人なのに、めっちゃ守れるカラフィオーリにびびったぜ。
逆にホワイトサイドを攻略しまくるアラウホに世界は驚いたに違いない。今日のキーマンことマドゥエケを抑えながら前に出ていくのだから獅子奮迅の活躍となる。なお、注目の守田は要所でパスミスを繰り返しながらも、らしいプレーで久々のフル出場となった。このレベルでプレーしている選手を代表から外すのはもったいないと思うのだが、どうなんでしょう。試合をゆっくりとさせるプレーは非常に守田らしいプレーだった。
気になったのはサリバとカブリエルの最強コンビ。意外とスアレスが戦えていて、攻撃面でちょいちょいミスが目立っていたので、このあたりはひょっとすると、ひょっとするかもしれない案件。スポルティングも変幻自在感はあるが、アーセナルほど羽目を外すことはない。まだ、制限のなかでの自由感が強い。わかっていても止められないを目指すべきか、わかっていないし止められないを目指すべきかは両チームの志向の差異になるのだろう。
話を戻すけど、センターバックの監視問題は、スポルティングくらいロングボールに自信があるセンターバックだと、非常にめんどくさい。ボール保持による安定を目指しているならば、ロングボールを蹴ってもいいけど、蹴ると相手ボールになってしまう可能性がーとなるが、別にそんなことを気にする必要のないスポルティングにはプレッシングを仕掛けたほうが良い。ここで守田、セカンドレグで復帰するだろうヒュルマンドに+1で加わるトリンコンとPedro Gonçalvesのあらわれてはいなくなる動きに、アーセナルがどのように対応するかはセカンドレグの楽しみにしておきたい。
ひとりごと
スポルティング・リスボンの予習をしていたこともあって楽しめた試合となった。スポルティング・リスボンはかなりいいチームなので、ぜひどこかでみてほしい。なお、ポルトも良いサッカーをしているらしいので、何とか見届けたいと考えている。
なお、ポルトガルのサッカーマニアいわく、ポルトガルの若手たちも試合に出る機会を徐々に失っているそうなので、イタリアの二の舞になるぜ!らしい。本当かどうかは知らない。メンバーをみたら、しばらくは大丈夫そうだけどね。
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