はじめに
どのように自分が試合を見ているか?を分析しようとしたときに、あれだな、メモだな!となりました。ちなみに、試合のメモを取ることはありません。でも、感じたことが見ていること、気になっていることであることは間違いないわけで。でも、終盤はほとんどメモがないんですよね。あと、お互いのプランが90分を通じて一様な場合はどうすると。
今回はセビージャ対バルセロナ。セビージャといえば、ルイス・ファビアーノで記憶が止まっている。あのときみたいに、ひとつのリーグを集中して見たほうが人生は楽しくなるのかもしれない。カヌーテとレナトのコンビは絶品だった。
ボール保持はいいけれど、ボール非保持でトガリをみせたフリック。どこかで頓挫すると予想していたが、最後まで走り抜けて今季も継続しているのだから立派。だからこそ、尖ったボール非保持の攻略よりも整っているボール保持をどげんかすれば一筋の光明が見えるかもしれないという計算は限りなく正しそう。
セビージャのプレッシング
最初のメモはセビージャのプレッシングでした。【4231】で構え、ワントップのロメロがバルセロナのセンターバックを監視。お互いにパス交換をプレッシングのスイッチとし、一気にパスコースをきりながら、バルセロナの攻撃のスイッチを強制的に入れさせようとします。
アラウホが運んだときは少しほっておき、クバルシが運んだときはきつめにプレッシングに行くような雰囲気はありました。ただし、クバルシをマンマークで抑え、絶対にアラウホから運ばせるほどの決まり事はなし。トラップディフェンスの気配がなくもないけど、たぶん、どちらのセンターバックがボールを運ぶかはそこまで重要と考えていなかったのではないかと。
その他はビエルサ式マンマーク。ペドリ、フレンキーが厄介ならマンマーク。ライン間で活躍しそうなダニ・オルモにもマンマーク。ビエルサ式マンマークの特徴は、レヴァンドフスキには二人で対応。この余っている選手がサイドへのカバーリングも行うことで、いざ!というときにみんなを助けれくれる構造になっています。
最も目立った場面は、バルセロナが自陣深くでビルドアップをするときに、さすがにセビージャはマンマークに変化します。相手のビルドアップには完全なマンツーが世界を支配しているように。そんなときは左サイドハーフのバルガスが相手のセンターバックへ飛んでいき、左サイドバックのスアソも前に飛んでいき、センターバックがスライドして守備の基準点の再設定を終えます。
4分にフレンキーがサリーでマンマークから逃れよう、正確には相手がどこまでついてくるかの調査をします。でも、ついてくるんですよね。そりゃ、フレンキーとペドリを抑えることが最大目的のような雰囲気もありますし。
アラウホやクバルシがボールを運びながらも、相手のプレッシングがそのうちには届きます。つまり、ボールをどこにパスをするか?を時間制限のなかで行う必要があります。完全にほっておかれたら、好きなタイミングでプレーできるんですけど。これに苦戦していたバルセロナのセンターバックの面々。もしかしたら、そんなに運べないと分析されていたのかどうか。
ハイラインの攻略
セビージャはとにかく左サイドのバルガス一辺倒でした。めっちゃいい選手。どこかで聞いたことある名前。たぶん、ファイナルファンタジー。
バルセロナのプレッシングはサイドバックに負荷が強い形。ウイングが相手のセンターバックを基準点としているので、相手のサイドバックやウイングバックには根性で走りまくるバルセロナのサイドバック!という形となる。
クンデが走り、クンデの裏でバルガス対アラウホが何度も行われていた。ちなみに、そういうときはフレンキーがさっと最終ラインに入る約束事になっている。だから、迷わずにサイドに移動できるアラウホ。
ビエルサ式マンマークがPSGのリスペクトだとすれば、セビージャの自陣の深い位置から始まるビルドアップもPSGリスクペクト。バルセロナのサイドバックのスプリント距離は伸ばしてやる作戦。で、裏で一対一を何度の繰り返す作戦。
この状況にバルセロナのサイドバックは迷い始める。だって、プレッシングに行っても間に合わないし、蹴っ飛ばされたら最終ラインがさらされる形となる。だったら、自陣で待っていたほうが守りやすいじゃねえかと。そうなると、セビージャのサイドバックがボールを持つ時間が増えるようになり、セビージャの時間帯もできるようになる流れとなる。
ミドルで構えたときのバルセロナは【442】のハイライン。裏への誘惑がいやらしい。セビージャのハイライン攻略は面白かった。
・サイドチェンジで逆サイドの選手がラインを見ながら飛び出さずにボールを受ける
飛び出すからオフサイドになるなら、別に飛び出さなくてもいいよ作戦。大外なら最終ラインも見られるおまけつき。もちろん、行けるときは飛び出すけど。
・ダブルアクションで二段構えの飛び出し
ワントップが飛び出してオフサイドの網にひっかけたぜ!と思いきや二列目から他の選手が飛び出して売る。シンプルなスペースメイクとスペースアタック
・助走をつけて飛び出す
スロット式。とにかく遠くから走り始める。なので、タイミングがあわせやすい。本来はボール保持者にプレッシングがかかっている前提なのだけど、バルセロナはプレッシングがかかっていなくてもラインを上げる、もしくはラインを維持するから狂気。セビージャの最後のゴールはまさにこの形であった。
12分にセビージャがPKで先制。決めたのは懐かしのアレクシス・サンチェス。セビージャは何度もカウンターや速攻でバルセロナのゴールに迫るものの、ロメロが外しまくる。
20分、ラッシュフォードは左へ。そもそも中央はがっつりマークされているので、サイドあたりに起点を作りたいバルセロナだったけど、ラッシュフォードもフェラン・トーレスもグリーリッシュ仕草、サイドでボールをキープし、攻撃の流れを変化させるが得意ではないこともあって、バルセロナはきつい時間を過ごすことになる。ついでに、37分にはクンデからボールを奪っての速攻で追加点をきめるセビージャであった。
マンマークの攻略
2得点が入り、前半の残り時間も少ないよ!となると、さすがのセビージャもゴールを守るに変化していく。こうしてボールを持てるようになると、ペドリが早速に試合に影響を及ぼし始めるから鬼。
ラッシュフォードにチャンスが連続して訪れ、最後にボールを奪ってのカウンターでペドリのクロスをラッシュフォードが華麗に決める。ラッシュフォード、見る試合で必ず活躍するので評価が無駄に高くなっていきそう。
後半にアラウホ→エリック・ガルシア、マルティンからバルデ。この交代がバルセロナの勢いに拍車をかける、餅は餅屋。アラウホもセンターバックが本職だけど、ボールを運ばせたらエリック・ガルシア。ゴール前まで平気でボールを運んでいくエリック・ガルシアにびびったセビージャ。このエリック・ガルシアのプレーの直後に守備のルールを変更する。
ビエルサ式マンマークからPSG式マンマークへ。シンプルにセンターバックのどちらかを放置はここからでは無理だと修正。修正がマジで速い。この修正は55分くらいまでに完了。ちなみに、後半のセビージャはゴールキックを蹴っ飛ばすことが多く、後半にプレッシングを強めてくるだろうバルセロナに先制パンチを浴びせていた。
次の出番はバルデ。ラッシュフォードを内側にいれて大外にいるバルデは、何度もボールを受けて、縦ではなくカットインを連発。内側にボールを持って移動していくなかで、相手のマンマークの解除を狙う。対面のアレクシス・サンチェスを守備で奔走させる狙いもあったのだろう。明らかに左サイドの攻撃が目立ち始め、リードをしているセビージャに迷いが生じ始める。
マンマークでも疲れてくると、ひとつひとつのデュエルや相手の移動に対して少し億劫になるのが人間。ゴールを守っていればいいじゃんというのはひとつの真実。バルセロナのサイドバックの判断と似た判断をセビージャも行い始める。
想像してほしい。あなたはトップ下だとする。相手のアンカーのマークをしろと言われる。しかし、相手のパスは自分を超えて、相手のトップ下にボールが入り、相手は見事にキープに成功する。となれば、あなたはアンカーのマークを続けるか、相手のトップ下をはさみこみにいくかもしれない。これがサイドバックならば、相手のウイングを捨てて、少し内側に絞るかもしれない。
というように、相手を越えるパスをしてボール保持を続けていけば、マンマークはゆっくりと解除されるもの。グリーリッシュのキープにはそんな効果がある。でも、バルセロナにはそんな選手が前線にいなかったことがきつかった。もう少しレヴァンドフスキは好き勝手に動いてよかったかもしれないけども後の祭り。
その役割をバルデにやらせ、相手がセンターバックを警戒したら裏に蹴ることも厭わないバルセロナ。仕上げはルーニー。ヤマルがいるのにどうして移籍してきたのか?となるルーニー。たぶん、めっちゃうまい。ルーニーの登場でバルデとルーニーのカットインという武器を手に入れたバルセロナが攻勢を強め、セビージャはリードを守りながらカウンターを狙う構造となる。
レヴァンドフスキがPKを決めていれば、、、となるが、残念ながら止められてしまいジ・エンド。猛攻をみせるものの、最後にカウンターをくらい終了となった。
ひとりごと
バルセロナの攻略のヒントもあれば、ビエルサ式マンマークを攻略するヒントも散りばめられた試合となった。久々のセビージャの監督がアルメイダでびっくりした。
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