ー2試合目が終わりました。劇的な展開となりましたが、最初に韓国の印象を教えてください。
ボール保持は【325】、ボール非保持は【523】と、猫も杓子もが強い配置となりました。世界中で流行している配置なので、代表レベルでも取り入れやすいのかもしれません。韓国の【325】は中盤、シャドウの選手が列を下りる形で変化をする習慣があります。中盤のペク・スンホ、ファン・インボムはボールプレイヤーであり、時間とスペースを与えたら危険な雰囲気でした。
ーオーソドックスといえば、オーソドックスなのでしょうか
オーソドックスですね。イ・ガンインがフリーマンのように振る舞い、どのエリアからも相手の急所を狙ったパスを出せるところがチームの最も長所と言えるでしょう。どこへでも移動していくので、対面のクレイチーもさすがにあの場所まではついていけないと判断する場面もありました。
その他の特徴では、どうしても後ろに重たくなります。例えば、ファン・インボムが下りてプレーしても、韓国の3バックがサイドバック化することはほとんどありませんでした。恐らく、ウイングバックが大外レーンに常駐することが決まっているからでしょう。後半になると、3バックの攻撃参加への意欲が見えるようになりますが、前半はてんででした。
ーチェコについての印象もお願いします。
はっきりいって、ヘンテコなチームでした。
ボール保持の配置はあってないようなものです。ゴールキックは途中から明確に4バックに変えていましたが、そもそも後方から繋ぐ気もなければ、相手を誘き出してロングボールを蹴るなんてこともあるようでなかったです。
基本的にロングボールによる前進で、ロングスローやコーナーキックを大量に獲得することを目指しているようで、そんな雰囲気も微妙で。ただし、ロングボールに対する工夫はたくさん見られました。例えば、序盤は撤退的に左サイドを空中戦の目的地にしていました。17番のプロヴォドが頻繁に左サイドに流れてきて、数的優位を作ることを目指しているようでした。
イメージとしては、左サイドに選手を集めてセカンドボール争いを優位にすすめる。さらに、イ・ガンインを守備に追わせることもできれば、というおまけもあったかもしれません。左サイドでクロスを上げて、ファーサイドでシックという絵が見えなくもなかったです。この試合では数えるほどしか達成できていませんでしたが。
ーチェコのロングボール大作戦は機能していなかったのでしょうか
韓国のゴールに迫るという意味では、機能しているとは言い難かったかと。でも、ボールを前進させる意味では、韓国も手を焼いていたと思います。そういう意味では決勝戦のような負けたくないサッカーの殴り合いのような前半戦となりました。ちなみに、給水タイムを挟んでから、チェコは空中戦による数的優位大作戦を右サイドで展開するようになります。この時点で、イ・ガンインチャレンジよりも、相手を突破できるかどうかを重視していることがよくわかりました。
ー前半と後半で韓国の振る舞いが変化したように感じましたが、どのように見ましたか?
前提として、チェコのプレッシング配置を整理しておきましょう。チェコのプレッシングは【5131】で行われました。あまり見たことない形です。15番のショルツが中央、24番のソイカが左、プロヴォドが右を基本の形としています。前述のように、左サイド密集アタックなんてやっていたわけで、守備のときに彼らが正しいポジションにいるわけがないので、この3名はよく入れ替わって守備をしていました。
【5131】の意図はマンマークです。といっても、韓国のビルドアップ隊は【32】が基本なので、【31】では足りません。【32】+イ・ガンインだとしても、イ・ガンインには誰かがついていけばいいので、これも安定的な好手にはなりません。チェコはなるべくソン・フンミンと同数になることを警戒していたように思えます。実際にフィニッシャーとして多くの場面を迎えたソン・フンミンと1on1をするのはあまりに危険かもしれません
ー韓国はビルドアップでの数的優位をうまくいかせなかった前半ということでしょうか
ボールから最も遠い選手が基本的にフリーになる構図になっているので、韓国からすれば、バックパスや横パスを駆使してオープンな選手を使いたいところでした。もしくは、移動でフリーになったイ・ガンイン。しかし、開幕戦といったところもあって、前半はリスクを冒さなかったとみるほうがフェアかもしれません。
後半になると、特に3番のイ・ギヒョクの攻撃参加が目立つようになります。このあたりはハーフタイムを迎えて、やるべきことが整理されたのでしょう。ビルドアップでフリーな味方がいるから、その選手に丹念にボールを届けようと。なにげにキム・スンギュがめっちゃ繋げたのも今後を考えると大きいかもしれません。
3バックの攻撃参加で中盤の選手は下りる必要がなくなっていきます。相手を押し込めるようになっていくと、イ・ガンインも極端な下りる動きは減っていきました。そんななかで、前半にほとんど見られなかった動きが中盤の飛び出しです。後半の序盤にファン・インボムが2列目からの飛び出しでフィニッシュまでいった場面が全ての伏線となりました。
ーチェコからすればマンマークで捕まえ続ければ良さそうなものですけどね。
相手陣地ではボールを奪うことを目的にマンマーク、自陣ではゴールを守ることを目的にゴール前に集結することがどうしても多くなります。また、この両者で配置を変更するチームも多いです。チェコは24番ソイカが撤退守備では本来の中盤に戻る多岐に渡るタスクを担っていました。
では、その境目はどこにあるの?という話です。これはどちらかというと、レベルが最強の話ではありません。CLのベスト8クラスでは、マンマークとゾーンディフェンスの境目はほとんどありません。両者が混ざり合って、場面によって使い分ける、もしくは濃淡を変化させる芸当が求められています。押し込まれたからこうしようねとはっきり区別しているものではありません。
なので、相手を押し込むと、ボール保持側も求められていることが変わります。このなかで良い解答を見せたのがファン・インボムです。イ・ガンインの下がる動きを利用するという向きもあれば、シンプルに飛び出せばいいんでしょう?!と2つの飛び出しで、得点とアシストに成功します。前半はほとんど見られなかったので、見事な修正と言えるでしょう。
ーネタはカンセロの6人目に似ていますね
途中から登場したファン・ヒチャンも自由に動きまわていたので、この入れ替わりを促したのか、自然発生したのかは誰かに聞いてほしいですね。マンマークにはポジションチェンジが鉄則なので、韓国は論理的な答えで結果を残したと言えます。
ーチェコは最後まで謎を残していきましたね
逆転されてからの残り時間はチェコのパワープレーが炸裂するのかと思いましたが、全然蹴らなかったのでよくわかりませんでした。もしかしたら、練習してない、なんてことはないと思うんですけどね。前線の選手を入れ替えても守備の方法は維持していたので、プレッシングに関しては上手く機能していると考えていたのでしょう。でも、最後のパワープレーまでの道のりは謎でした。
ーでは、恒例になっている気になった選手を
韓国はイ・ガンイン。ただし、フリーに移動してボールを受けて急所に通すというプレースタイルが彼の本来のプレーなのかはどうなるかは今後の試合で確認したいです。警戒されるので、こういうプレーになってしまっているのかもしれませんが。そして、ファン・インボムとペク・スンホ。もう少し守備でどうなん?が見てみたいですが、二人ともに上手です。前線に飛び出す役割はファン・インボムで、後ろに残るのがペク・スンホなのかどうか。あとは、フィニッシャーになれるソン・フンミンはやっぱり偉大だなと。
チェコは特にありません。ソウチェクが中盤を一手に担い、フリーキックからヘディングを決めたときは何でも屋だなと感じましたけど、オフサイドでしたね。
ひとりごと
最初に配置を整理してみないと駄目だなと、けいたくんに教えられた試合だった。配置は意味ないとか電話番号とかそのとおり何だけど、電話番号大事やんみたいな。でも、最初の蹴っ飛ばし合いは嫌な予感しかしなかった。途中からボールを保持してくれた韓国、サンキューだぜ。あのまま蹴りあいだったらどうしようかと思ったぜ。
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