はじめに
「さて」
「今回は新書であるアナリシス・ブレインの没原稿をここに載せるシリーズとなる」
「最近はnoteに書いたり、Xに書いたりといろいろな場所で書いているようだな」
「本来は一箇所に書くほうがいいのだろうけど、様々な人に届けたい!となると、いろいろな場所に書いていろいろな人に見てもらうほうがいいのではないかと考えるようになった」
「そういう気持ちでいるとは夢にも思わなかったぜ」
「多くの人が関わって本ができることを知ってしまったからな」
「本を出す以前、以後か」
「そんな大袈裟なことではないんだけどな」
「で、こっちで書いていないじゃん、週刊じゃんってことで、没原稿を載せる荒業で週刊であることを維持したい」
「ちなみになぜ没になったかというと、ページ数の都合である」
「今までにブログで説明してきたことのようなものだけれど、こんな感じで本も書かれているんだなと参考になればと」
「では、こちらです」
局面のかみ合わせ
コラム2 局面のかみ合わせ
サッカーには4つの局面があると言われています、ボールを保持しているとき、ボールを失ったとき、ボールを保持していないとき、ボールを奪ったときです。
ボールを保持しているときと、ボールを保持していないときの展開が長い試合はコントロールされた試合と呼ばれることが多いです。どちらかのチームがボールを長い時間持つか、交互にボールを持つかと違いはありますが、お互いにコントロールされた状態にどのように抗うかというチャレンジになります。
ボールを失ったときと、ボールを奪ったときが連続するような試合はコントロールされていない試合と言えます。コントロールされてないという言葉は決してネガティブな意味ではありません。
ボールを失う、奪うが連続した状況では、自分たちの配置や意思を統一することは難しくなります。そんなカオスのなかでも、状況を認知し、正確な判断を実行し続けることで、カオスをコントロールしようという発想も生まれてきています。
例えば、ボールを持っていてもにっちもさっちもいかない状況になったとします。自陣から脱出できないときもあれば、相手にボールを持たされてカウンターを浴びせられる展開が続いているとしましょう。
そんなときに相手にボールを持たせてハイプレッシング、もしくは撤退して自陣で構えたり、ロングボールを連発してボールを失ったり、奪い返したりすることを局面の操作と呼びます。ボール保持対ボール非保持という局面のかみ合わせをプレースタイルの変化に寄って変更することで、試合の流れに変化を望む作戦になります。
局面のかみ合わせは大事な考え方になります。
どの局面で勝負するか!という自分たちのサッカー的な設計と、対戦相手を考慮してどのようなかみあわせで試合を進めていこうかというゲームプランがあります。もちろん、試合のストーリーによって、ボールを相手に渡し、局面のかみ合わせを変更することもスタンダードな時代になりつつあります。
個人的に印象に残っている試合はチャンピオンズ・リーグ決勝のマドリード・ダービーでした。アトレチコ・マドリーはボール非保持で試合の主導権を握るチームでした。
しかし、決勝戦でリードしたレアル・マドリーはボール保持対アトレチコ・マドリーのボール非保持という局面をボールを手放すことで、局面のかみ合わせをひっくり返すことに成功します。ボールを持たされたアトレチコ・マドリーが苦戦する展開になり、全ての局面に対応できないと、チャンピオンズ・リーグでの優勝は夢のまた夢と世界中に印象付ける試合となりました。
あの試合以降、特定の局面を長所としすぎるのではなく、どの局面でも戦えますというチームを多くのチームが目指していくようになります。
ただし、万能型にも少しだけ落とし穴があります。
万能型のチームには、どのような局面でも受け入れる度量があります。ボールを持たせてくれるなら、ボールを持つし、ボールを持たせてくれないなら、それはそれで構いませんという仙人的思考です。
この思考の落とし穴は、本当にこのかみ合わせがチームに優位性を運んでくる局面なのか?となります。もちろん、展開によっては我慢が必要なこともあります。しかし、相手が整理された状態でボールを持っていたとしても、ときには力付くで局面を変更するリスクをとりにいく必要も出ていきます。その決断力がどの局面で勝負するか?のチームに比べると、少しだけ怪しさを見せてしまうのが万能型の玉に瑕なところになります。
このようにどの局面で勝負するかという自分たちのサッカー的な視点と、どの局面のかみ合わせで試合をすすめていくかというゲームプランが現代サッカーでは大事になってきます。
ほとんどのチームが万能型になっていくなかで、どの局面で優位性を引っ張ってくるか、その工夫はどうするかの駆け引きは答えのない禅問答のように日々繰り返されています。整理された状況を好むのか、ボールを奪ったり奪われたりカオスを好むのか、カオスをコントロールするための策はあるのか、という視点からサッカーを見ることもおすすめします。

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