~最低限の教養~ドイツ代表対セルビア代表(U21欧州選手権)

U21欧州選手権

myboard

U21欧州選手権本大会が開幕しました。なお、予選でフランス、スペイン、オランダは敗退。なお、U21とありますが、予選が開幕したときに、U21なら大会の出場機会が得られます。よって、月日の流れとともに、本大会ではU23の大会に変貌しているのが特徴です。なお、リオ五輪のへの予選も兼ねています。アジアではオリンピックにあわせた年齢のレギュレーションになっていますが、ご覧のように欧州はどこ吹く風。よって、手倉森監督引きいる代表との単純比較は難しいことも、あわせてご報告いたします。

ドイツ代表は4-2-3-1。有名人はシュテーゲンとエムレ・ジャンくらい。勉強不足で申し訳ない。解説者曰く、ブンデスリーガーでスタメンの猛者ぞろいらしいが、知らないものは知らない。注目はどのようなサッカーをするか。フル代表とアンダー世代のサッカーを統一することで、それぞれの融合をスムーズにする、まさにバルセロナスタイル。また、年齢的に育成年代と言い難いが、集大成としてどれほどのサッカーをしてくれるのかどうか。

セルビア代表は4-2-3-1。有名人はいない。こちらも勉強不足で申し訳ない。解説者曰く、EUROの予選とワールドユースも並行して行っているので、いわゆるベストメンバーが揃わなかったらしい。ワールドユースも勝ち残っているなんて、旧ユーゴスラビア勢の復活も近いのだろうか。なお、予選でスペインを破り、本大会の出場を決めている。そんな永遠のダークホースことセルビア代表と本命っぽいドイツ代表の激突。

■外外からのレーヴ

myboard1

レーヴのドイツ代表の特徴的なポジショニングは、サイドハーフとサイドバックに見られる。両者がサイドにはり、縦関係を作るのが特徴だ。外外のボール循環でボールを前進させること。サイドを起点に相手のエリアに侵入していくこと。さらに、相手の守備の距離が離れていったら、中央を使う攻撃を繰り出す。外ばかりにならないように。中ばかりにならないように。

myboard2

試合に目を移すと、ドイツ代表は左サイドからの攻撃が目立つ。サイドハーフにつける形。サイドバック経由でサイドハーフにつける形。サイドハーフにボールが入ると、サイドバックが2種類のサポートの動きを見せる。オーバーラップとインナーラップ。二種類の動きに対して、相手がどのように対応するかが頭に入っているのだろう。味方を使ったり味方をおとりにしながら、ユネスは論理的な仕掛けを行っていた。

アトレチコ・マドリードを彷彿とさせるような4-4-2でドイツ代表を迎え撃ったセルビア代表。ドイツ代表の攻撃がサイドに偏ったのはセルビア代表の守備が中央密集型であったこと、ドイツ代表のボール前進の型がサイドであったことがあげられる。では、サイドに運ばれたあとの守備の準備はどうだったのかが次の鍵となる。

myboard3

セルビア代表の1列目の守備はかなり献身的に行われた。サポートの選手を封じられると、攻撃をやり直すことはできないし、ボールを奪われたさいの、ファーストディフェンダーの決定も機能しなくなることが多い。ドイツの立場から見ると、サイドにボールを入れる→サイドからボールを脱出させる出口が見つけられない状況となり、仕掛ける!という選択肢になる。しかし、サイドチェンジからのサイドにボールを届けないと、相手の横のスライドが間に合ってしまう現実もある。よって、ぐぬぬなドイツ代表となった。

■セルビアの攻撃のポジショニング

myboard4

こうして、攻撃のターンはセルビアに移っていく。こだわりをみせなかったセルビアは、どっちの戦い方もできるからどっちでもいいよみたいな。両者に共通するのは、ビルドアップでキーパーへのバックパスをためらわないこと。ポジショニングをセットできれば、ボールを運ぶことができるという自信。自信は経験と訓練からくるもの。

セルビア代表とドイツ代表の守備を比べると、ドイツ代表のほうが前から奪う意志が強かった。その意志をセルビア代表はキーパーへのバックパスで砕く。次にドイツの1列目の守備がどのエリアから守備を行うかを再決定するのだが、依然として高いポジショニングをとっていた。そのため、セルビア代表のボランチコンビにボールを引き出され放題となった。積極的なプレッシングが機能しませんでした→だったら自陣に撤退→どこまで撤退するの意思統一が曖昧だったため、ドイツ代表の1列目と2列目の距離が開きすぎたのは致命傷であった。

セルビア代表とドイツ代表のサイドハーフのポジショニングを比べると、両者の志向の違いが見られる。ドイツ代表はサイドにはる。セルビア代表はサイドハーフが相手の列の間でボールを受けようとする。そして、列の間でボールを受けようとする選手の近くにジュリチッチとベシッチがサポートによってきて、狭いエリアで息をしようとしていた。また、相手のサイドバックが列の間でボールを受けようとした選手に近づいてきた場合は、サイドバックの開けたスペースを狙い撃ちにする仕組みを見ることができた。

最初に得点をあげたのはセルビア。トランジションからジュリチッチが見事な個人技を炸裂させ、先制点を決める。試合はよりドイツがボールを保持するようになる。ドイツ代表に問題があったとすれば、エムレ・ジャンとライトナー。相手の形をみて、最適なポジショニングがなかなかできなかった。しかし、執拗に繰り返す左サイドからの攻撃からきっかけを掴む。インナーラップからの中央への侵入→サイドチェンジで相手の視野をリセットし、最後はジャンが決めて同点に追いついた。

その後はカウンターからセルビアがチャンスを作り続ける形が続き、前半はスコアが動かずに終わる。ドイツは一度のチャンスを見事にものにしたが、その後は沈黙が続いたので、後半に修正が必要。

■ドイツの修正とギュンターの退場

myboard5

後半の頭からライトナー→キミッヒ。守備面では高い位置からプレッシングをやりきろうという意思統一がされているようだった。相手がキーパーまでボールを下げれば追いかけていく。もちろん、プレス回避されてしまう場面もあったが、前半に見られたような1列目と2列目の間が分断されているようなケースはかなり減ったドイツ代表だった。

攻撃面ではキミッヒが相手の2トップの真ん中に位置するようになり、役割が整理された。もちろん、エムレ・ジャンと横並びになる場面もあるのだけど、気持ち4-1-2-3になるような場面がみられた。最大の変更点が下の図になる。

myboard6

俗にいうインサイドハーフの突撃。またの名を私が3人目だから。セルビアは列の間でボールを受けようとしたサイドハーフが相手のサイドバックの裏に突撃する仕組みがある。2人でやるパターンもあれば、ドイツのように、3人でやるパターンもある。いわゆる定石。初戦をものにしたいドイツ代表の攻守に積極的な変化によって、セルビア代表が押し込まれる展開になっていった。

だが、ギュンターが二枚目のイエローで退場。ドイツは4-4-1に変更し、一気に守りをかためてカウンター路線へ。カウンターからもチャンスを作れるからドイツはすごい。特に途中出場のビタンクールは凄まじい能力をみせつけていた。ボールを保持したセルビアはカウンターを受けながらもサイドから強襲。セルビア代表もゴールまであと一歩と迫りながらも、ゴールを奪えずに試合は1-1のまま終了した。

■独り言

両チームのサッカーが非常に似通っていて、サッカーのグローバル化うんぬんということが言いたくなる試合であった。ただし、似ているというのはネガティブな意味ではない。単純に知ってないといけないことを両チーム共に知っている、というだけの話なのではないかと。他のチームにも期待。

コメント

タイトルとURLをコピーしました