清水エスパルス対柏レイソルから思い出す田中碧のオリンピック後の発言

J2025

はじめに

第23節のJ1の対戦カードが妙に豪華で驚いている。23節が終わると、E-1が始まるので、J1は少し休憩となる。チャンピオンズリーグのあとの週末にビッククラブ同士の試合が組まれるようなノリで、Jリーグも色々と考えているのかもしれない。だとすれば、開幕の金曜日に大阪ダービーを持ってきたのはなんでやねん!ともなるんだけど。中国ダービー、大阪ダービー、横浜ダービー、鬼木ダービーと、ダービーだけで4試合もあるなんて。

試合の雑感

なんだか興味深い試合となりましたとさ。

リカロドに率いられた柏レイソルからはスペインの香りがして、秋葉忠宏に率いられた清水エスパルスからは日本の香りがするような試合であった。

たぶん、清水エスパルスもボールを保持したかったんだろうけど、【325】系統の清水に【523】をぶつける柏レイソルがかみ合わせ論とハイプレッシングで試合の主導権を握る。

清水も【523】でおんどりゃーとやりたいところなんだけど、配置マニアのリカルド・ロドリゲスに守備の基準点を狂わされて、ハマらないプレッシングの時間がどうしても長くなってしまった。

今日のリカルド・ロドリゲスのネタは、ミシャ式のような形。ただし、常にミシャ式をやるのではなく、相手と味方の状況に応じて行う。

ミシャ式なので、3バックでスタート。原田は恒例のサイドバックロールに終始。戸嶋と中川のどちらかが古賀の横まで降りて、三丸は状況に応じて左サイドバックロールに移行していた。原田のほうが果敢で、三丸のほうが慎重な左右差が素敵だった。

大事なことはセントラルハーフが降りることで発生する中央エリアの空白。このエリアに渡井とよしおが降りてくるのだからたちが悪い。マンマーク対策にはゼロトップが欧州では流行りつつある。守備の基準点をなくすためには、とにかく列を降りるのだ。サリーではなく、みたいな。

清水の守備はゾーンのようでマンマークの香りが。正確に言えば、ゾーンなんだけど、守備の基準点が明確に決まっているというか。なので、北川の周りに相手のセントラルハーフが登場しても誰もプレッシングにいかない。相手のセントラルハーフに行くのは、清水のセントラルハーフと決まっているから、みたいな。でも、セントラルハーフのそばにはよしおたちがいるジレンマが解決できない前半戦だったかなと。自分のエリアを守るのか、自分の決められた選手を追いかけ回していいかって難しいところ。

なので、垣田の周りに清水の3バックが人あまりの状態であった。後半はもっといけや!!で解決していたけれど。ヒディングが言っていたけど、相手が3バックなら1トップで相手に守備の基準点を与えない作戦は90年代後半に流行っていた作戦である。それをなんとなく思い出した前半戦だった。

3バックだけど、サイドバックのように振る舞うセンターバックによって、大外レーンで優位性を発揮する久保と小屋松が大外から開放されることでさらに厄介になっていることも面白かった。後方支援も含めて人数が増えれば、ポケ凸も捗るといったところだろう。内側と外側とポケ凸とポケとからの大外レーン登場のローテーションって今や定跡になりつつある。

で、後半。死なば諸共の清水の姿勢が試合の流れを変えたことは間違いないんだろうけど、最も大きな要因は後半序盤の北川の二発ではないだろうか。ゴールこそ決まらなかったものの、柏レイソルからすれば2点差で守備の整っていない状況で相手の攻撃を受け止めることはできれば避けたいと考えたのではないだろうか。やばい、失点しそうって危機感を抱かせるには北川の二発は効果的だった。

また、前半にみせたハイプレを柏は封印。スコアと残り時間を考慮すれば当たり前なのだけど。なので、構える柏に清水がボールを持つ展開となった。この状況でも孤立しても垣田ならボールをキープしてくれる計算が柏にはあった。しかし、その計算を狂わせたのは住吉ジェラ。中目黒にいそうな名前である。彼の根性と意志が垣田とのマッチアップで勝利に繋がり、清水はボールを持って勝負を挑むことができた。

柏のサッカーは立ち位置で相手から自由になる仕組みがあり、そこに個性が上乗せされるので、全員がうまく見える計算になっている。清水のサッカーは立ち位置で相手から自由になる仕組みは相手の論理次第であり、基本的には個性勝負なところがある。ただし、乾、松崎のスキルの高さは言うまでもなく、マテウス・ブエノも化け物で、左サイドのカピシャーバは強引なドリブルと空中戦の的として活躍していた。

興味深いのは交代でどんどんボールプレーヤーが清水側に登場してきたことだろう。柏がそれぞれの立ち位置で選手同士の繋がりを保つことが前提ならば、清水は個々のスキルによって、選手同士の繋がりが発生する感じである。なので、再現性のない再現性が清水にはあるところが面白い。なので、柏のゴールに様々な形で迫っていき、ゴールまであと少しであった。

柏からすれば、3点目を決めたかったのだろうけど、オープンな殴り合いでもゴールが決まらず。今日は問題にならなかったけれど、決めるべきときに決めないと痛い目にあうのがサッカーの相場である。ま、今日はその日にならなかったけどね、という試合であった。

ひとりごと

柏レイソルは11人で試合をして、清水エスパルスは個の勝負で負けない!をやっているようだった。まさに田中碧のあの発言である。でも、スキルのある選手たちの共演で一対一ではなくなる瞬間が多数あるところが面白い。そのような文化の違いが如実に現れる試合となった。面白いところは、日本っぽくない柏のサッカーの中心が日本人だってことなんだけどね。

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