はじめに
というわけで、帰ってきました短観シリーズ。一試合ごとに書くと決めたはずが、スケジュール的に無理だな!というわけで、短観です。
人の振り見て我が振り直せ!が最近のテーマです。無駄にポジティブなことも考えものですが、世界は無駄にネガティブに溢れているんですよね。サッカーなんて問題点を洗い出せば山ほど出てきますが、それが本当にひどいことなの?他にもっと根本的な問題はないの?みたいな感じです。なんの話やねん。
町田ゼルビア対川崎フロンターレ
気がつけば上位の町田ゼルビア対川崎フロンターレ。昨年に続き、上位にいるのが当たり前になってきている町田ゼルビア。優勝を本気で目指しているので、昨年のサッカーではダメだったという反省を活かし、今季はボール保持、非保持に関わらず【325】系統で試合を展開していくような雰囲気。
気がつけばJ2時代に町田を支えた選手たちはどこへ消えた状態で、あのときのメンバーでJ1を騒がしてやるぜ!みたいな夢物語をあっさりとスルーするところは素敵。いわゆる元日本代表の集合体のようにも見え、ヴィッセル神戸の戦略を参考にしているのかどうかを誰かに聞いてきて欲しい。
【325】でスタートするサッカーを支えるセントラルハーフコンビは仙頭と下田。下田は本当にしぶとい。最強専修の生き残りとしてまじで頑張ってほしい。仙頭は立ち位置でも勝負できるし、下田はボールプレーヤーとしての存在感はピカイチのよい組み合わせ。前、白崎と控えているメンバーもつよつよである。
ボール循環を見ていると、左サイドからの強襲がメイン。元日本代表コンビの相馬と中山の組み合わせが秀逸。内側と外側の立ち位置を交換しながらパスラインを作り、2人組のコンビネーションでシンプルなクロスに持っていく力技は健在。そこにオ・セフンや西村が飛び込んでくることが基本プランなのだろう。
そんな左サイドへのサポートも手厚く、後方支援からの昌子、セントラルハーフ片割れの突撃と芸は細かい。代わりに逆サイドの林軍団はおとなしい。絶対にビルドアップで貢献できそうなドレシェビッチもおとなしい。だからこそ、後半に林サイドからラッシュを仕掛けた奇襲は見事だった。こちらサイドでもクロスをあげたのは相馬だったのは笑ったが。
昨年も途中からボール保持に切り替えた印象の町田だったけど、今季のボール保持は昨年のそれと性格が違うというか。正誤性の問題ではないのだけど、コーチが変わるとサッカーが変わることを実感。昨年の町田の【442】のプレッシングは実はあんまり完成度が高くない派閥だったのだけど、【523】で人基準、もしくは人海戦術撤退のほうが結果には繋がりそう。西村と相馬をどこまで下げるかがキーになりそうだけども。
川崎フロンターレはいつみてもよくわからない。【442】でめっちゃ守備するようになったぜ!はわかる。ロングボールでプレッシングをひっくり返すのもわかる。サイド攻撃はサイドバックの攻撃参加をサポートにするのもわかる。どちらかというと、右サイドからの攻撃があつく、左サイドの攻撃は単騎突撃になりがちだけど、三浦とマルシーニョがすごいのもわかる。
これまでの川崎のようにサイドからのポケット突撃からの三人目や+脇坂、【442】のようで、ボール保持は【433】に変化する部分もわかる。橘田、河原、山本を抱えている中盤はずるい。あと、マルシーニョと家長のボール非保持の高さが異なる意図はなんだったのだろうか。
トラップディフェンスなら逆である。町田のストロングサイドにボールを誘導してはいけない。マルシーニョを高い位置においてカウンターに行ってもらうならわかる。でも、後半に強襲されたら切ない。【442】のゾーンディフェンスなんだぜ!というのはわかるけれど、意外と相手につられる場面が多く、ミックスなのか、アドリブなのか、そういうところはよくわからなかった。
突貫工事で仕上げている感があるので、選手の発想とチームの約束事と過去の習慣の顔を出すタイミングが少し一定しないところがわからない原因だったら嬉しい。ちなみに、一定しないことは別に悪いことではないところがサッカーの面白いところ。
湘南ベルマーレ対名古屋グランパス
湘南どうなの?よりも、名古屋どうなの?で見た試合。なかなか切ないものがあった。
今日の名古屋は【523】。3バックでビルドアップをするけれど、4バックに変化する形を相変わらず好んでいる。湘南が【532】で守備をするので、4バックに変化するほうが配置的優位性を取れることは間違いない。このかみ合わせの場合はサイドバックには時間とスペースが与えられがちだし、彼らへの注意が強くなれば、内側のエリアを使わせることもできるだろう。
そんな名古屋の計画を嘲笑うかのように、湘南は【523】で対応。福田が可変する野上とデート。奥埜が奥野とセントラルハーフコンビで守備ができるようになったのが湘南は大きい。それにしても湘南は鈴木、奥野と同じ苗字をスタメンで使いすぎである。奥埜は感じが違うけれど、なお、奥埜の存在によって、奥野の攻撃参加が解禁された流れは面白い。
配置的優位性を失った名古屋はロングボールで打開と言いたいけれど、誰が空中戦の的やねん問題。そもそもボールを繋げる運べるから佐藤がスタメンで起用されているんだけど、相手がマンマークできたらTSUM TSUMだと試合になるようでならない。となると、移動で助けられる選手大募集で森島くらいしかいない。加藤は全然足りない。で、その森島周りのミスから失点するのだからもうやってられない状態だったのではないだろうか。
で、湘南の守備をみていると、ミラーのようで別にマンマークではない。相手の3バックと4バックの変化への対応は準備してきましたぜ。あとは相手の中盤を背中で消しながらほどほどにプレッシングに行きまっせスタイル。なので、名古屋はそこそこボールを持てるし、湘南も誰かの守備が悪くてもうまく隠せる感じ。
で、名古屋の守備をみていると、アタランタのようだった。え?もしかしたらほぼマンマークみたいな。こうなると、どつきあいで勝てるかどうかの土俵になっていく。で、どつきあいで勝てる選手が起用されまくっているわけではないのが整合性と呟いたわけ。いや、どつきあいで成長してほしいねん!と言われればわかるけれどさ。
というわけで、前半で加藤はおしまい。妥当だけど、悲しい采配。妥当なんだけどね。鹿島のハイプレとセンターバックの空中戦無双のかみ合わせが良いと書いたけど、名古屋の場合はそのかみ合わせが良くない。マンマークで行けば相手がロングボールで来る可能性は高く、迎撃は根性を見せていたけれど、たぶん、そこでセンターバックたちに真価を発揮して欲しいわけではなさそう。
一方でボール保持を眺めても、センターバックの役割は少なめで、セントラルハーフが根性を見せ、前線の3枚が上下動で相手のマークをずらすところに依存しすぎている。怪我人が帰ってくればとなりそうだけど、もう少しやりようはありそうな気がする。対案はないけれど。ずっとこんな感じならまじでやばそうな気配。
ファジアーノ岡山対FC東京
FC東京に対する「おれたちもう終わっちゃったのかな」みたいなつぶやきが流れてきたので、FC東京目線で見てみた。
岡山は愚直。【3421】で根性。前線のパワーに頼りつつもしぶとく強く明るく頑張っていけそう。唯一のバグが江坂。たぶん、全部できる。ゲームメイク、チャンスメイク、フィニッシュと獅子奮迅の活躍で頑張ってほしい。特に立ち位置で勝負できるのがいい。ボールを受ければ何とかしてくれるだぜ!的な意味で。
で、問題のFC東京。いつからか下部組織の選手がスタメンに名を連ねるようになってきている。それは東京ヴェルディの仕事だったんだぜ!と言いたくなるが、今は逆転しているのではないだろうか。ざっと見て、野澤、土肥、木村、安斎、橋本、俵積田。個人的には東京育ちの佐藤も地元枠でここに入れたいくらい。いつだかのバルセロナかよ!というくらいに下部組織の選手たちが試合に出ている。
ベンチにも控えているので、気がつけば下部組織だらけになっているFC東京。そんな印象はまるでなかったので、誰かが何かを変えたのかもしれない。でも、東京ヴェルディと比べると、下部組織の人数とかではなくて、俺達はタイトルを狙いに行くが最優先目標なのだ!というイメージがFC東京には勝手にある。この起用で結果がでれば最高なんだろうけど、そんな雰囲気がないと、この起用の評価はどうなっていくんだろうか。育成型チームなんですよと言われれば、これで良い気はするけど。
というわけで、試合。まさかの名古屋と同じ右センバがサイドバックに変化する形であった。相手のミラーを避けるためか、日常なのかはわからない。ただし、左サイドに安斎を置いても別に何も起きないので、右サイドから俺達は仕掛けるしかないんだという覚悟は感じた。なお、安斎は交通整理のうまいランナーであり、大外レーンに置いてもあまり意味がない。
興味深い選手は佐藤ケイン。ワントップなんだけど、フリーマンのように動き回って試合を動かしていた。複雑な右サイドと中央も複雑な動きを見せるけれど、バランスの悪さよりも複雑さを相手に押し付けることに成功していた印象。あとは誰が点を決めるか。マルセロ・ヒアンで良いような気はするが、色々あるのだろう。
序盤に得点を決められずに、徐々に岡山がボールを持つ展開も増えて前半は終了。後半は風向きを味方につけた岡山が一気にエンジン全開でプレッシングをかける。この猛攻に耐えきれずに失点してしまうけれどVARでで命拾い。しかし、ドライブシュートを決められて万事休すとなった。
誰が点を決めるねん!問題は置いておくとして、左サイドの編成ミスも置いておくとすると、できることはやっている感じ。これしかないよね感は満載。中盤で試合を作れる選手も多く、やっているサッカーとの整合性は悪くない。でも、置いておく問題が試合の結果を引っ張っている感じ。監督のせいというよりは編成?なのか。ただ、理不尽に止めまくる野澤や速攻やカウンターで猛威を振るっていたジェットストリームアタックという選択肢があることを考えると、他の選択肢があることがかえって自分たちの足を引っ張ることもあるんだなと。
ひとりごと
最近のJリーグあるある。
・審判のファウルの基準が元に戻った。裏でなにかあった疑惑。
・片方のサイドに選手が集まってくるサッカーが多い。でも、逆サイドが弱い。だからこその密集。それをマルシーニョで解決している川崎に結果がついてきているのは必然という名の偶然。
・相手のウイングバックを誘き寄せて、裏に放り込む場面が多い。
・マンマークちっくなチームが増えたので、CFのパワーでポストマンが増えている。
・交代でパワーの補充が多い。燃料の補給みたいな。
・よしお、つかさ、あたるのように移動の達人はやっぱり目立つ。
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