【ユベントス対策】インテル対ユベントス【ナショナルダービー】

マッチレポ1617×セリエA

インテルのスタメンは、ハンダノビッチ、サントン、ムリージョ、ミランダ、ダンブロージオ、メデル、ジョアン・マリオ、バネガ、カントレーヴァ、エデル、イカルディ。急にマンチーニがいなくなって、フランク・デ・ブールはやってきたインテル。ヨーロッパリーグでも敗戦と、おいおい大丈夫なのか?という雰囲気が漂っているらしい。だが、大丈夫な雰囲気とは縁遠いのがインテルの雰囲気のような気がする。そんなタイミングでナショナルダービーを迎えるインテル。すべてを得るのか、すべてを失うのかみたいな位置づけの試合だ。

ユベントスのスタメンは、ブッフォン、キエッリーニ、ボヌッチ、ベナティア、ピヤニッチ、アサモア、ケディラ、リヒトシュタイナー、アレックス・サンドロ、ディバラ、マンジュキッチ。6連覇中らしいユベントス。フランスにおけるパリ・サンジェルマンと変わらない立ち位置に見えてくる現状だ。チャンピオンズ・リーグではセビージャに引き分けたこともあって、チャンピオンズ・リーグでの苦戦は今季も続くのかもしれない。イグアインなどの大量補強を行い、意地でもチャンピオンズ・リーグを獲得するのが今季も目標だろうか。

ボールが外に出てからの再開

相手の守備が整理されているとき、相手の守備が整理されていないときという概念が、ドイツによって一般化されてきた。ボールが外に出る、またはファウルなどで試合が止まったとき、いわゆるセットプレーのときは守備が整理されているときになることが多い。もちろん、クイックリスタートをすれば、カウンター状態になるだろう。しかし、スローインやゴールキックでクイックリスタートが可能かどうかは、ボールパーソンとの連携&外に出たボールの位置という要因によって、左右されてしまう。この要因をコントロールすることは限りなく不可能に近い。よって、相手からすればプレーの再開の前に守備を整理することは決して難しいことではないだろう。

ユベントスという王者と戦う上で、インテルが最初に考えたことは、相手のリスタート(特にゴールキック)からのポゼッションを許さないというものだった。コンテ以降のブッフォンはロングボールを禁止されているかのような振る舞いを見せてきた。そして、その技術の確かさに多くの人が驚かされたに違いない。また、これからのゴールキーパーはボールを繋ぐことを当たり前のようにできなければいけないことを、ブッフォンのプレーは示している。

ボールを保持しているときのユベントスのシステムは、3-1-4-2。3バックによって、相手の4-4-2とシステムを噛み合わせないことが特徴だ。だとすれば、システムを強引に噛み合わせればいい。ユベントスの3バックに対して、インテルはサイドハーフを上げて対応した。それでも、繋ごうとするユベントスだったが、ビルドアップの出口を見つけることができずに、インテルの数的同数プレッシングの前に、ボールを前進させることができなかった。

ユベントスはサイドや前線に長いボールを蹴ることがどうしても多くなっていった。長いボールは、出し手から受け手までの時間がどうしてもかかってしまう。この時間を利用して、インテルは受け手へのプレッシングを可能とした。マンジュキッチやディバラがかつての鈴木隆行のようにファウルを受けることができれば、ボールを前進させることはできた。しかし、ムリージョとミランダのコンビの前に封じこめられてしまう。マンジュキッチを相手にしても、フィジカルバトルでまったく引けを取らないムリージョとミランダは、なかなかやるかもしれない。

ゴールキック、自陣からのビルドアップに対して、積極的なプレッシングを見せたインテル。この姿勢がユベントスのビルドアップを破壊し、自分たちがボールを保持する時間を増やす展開へと繋がっていった。ユベントスはトランジションでしかボールを前進させれそうもなかった。

5-3-2を攻略せよ

ユベントスのボールを保持していないときのシステムは、5-3-2。4バックも3バックもいけるユベントスだが、この試合では5バックを採用していた。なお、ベナティアが前半のうちに負傷し、バルザーリに交代している。よって、3列目はイタリア代表トリオで構成されることとなった。

ボールを保持することのできたインテルは、5-3-2の泣き所である、2トップの脇、ウイングバック(アレックス・サンドロやリヒトシュタイナー)の前のエリアからボールを前進させる場面が目立った。もちろん、このエリアには2列目のインサイドハーフ(ケディラやアサモア)がプレッシングにくる。しかし、インサイドハーフのポジショニングは中央スタートなので、どうしても、2トップへの脇のエリアへのプレッシングは、遅くなってしまう。

サイドバックがこのエリアを使うインテルは、前線へのロングボールが目立った。特にキエッリーニとアレックス・サンドロの間に放り込み、カントレーヴァ、イカルディが愚直に走り競り合い場面は多かった。インテルの前線の選手は、競り合いにもただでは負けない姿勢を示した。よって、競り合いに勝てればマイボールになるし、綺麗にクリアーさせなければ、セカンドボール争いになる。セカンドボール争いになれば、バネガ、ジョアン・マリオが殺到してくるので、計算としては悪くない。リスク回避を考慮しても、序盤の空いているエリアから速攻を繰り返すインテルの姿勢は、決して悪いものではなかった。

しかし、ロングボールだけでは何も起きまい。というわけで、インテルはこのエリアに中盤の選手を送り込む方法も試してくる。サイドバックを上げて、相手のウイングバックをピン止めする。メデル、ジョアン・マリオ、バネガがこのエリアに流れてくることで、プレーの精度をあげようと試みた。相手とのシステムの関係で時間と空間を最も得られる場所に上手な選手を配置することは、非常に理にかなった作戦と言えるだろう。

また、インテルはユベントスの1.2列目(2トップと中盤)の間のエリアを支配することにも成功する。恐らく、ピアニッチがなかなか前に出てこれない。そして、ディバラとマンジュキッチもしっかりと撤退しない場面が目立った。よって、インテルはワイドからセンターからと攻撃の起点を複数持ちながら攻撃を仕掛けていく。それでも、ブッフォンを焦らせるような場面までは行かない。しかし、やりたいことはできているインテルなので、ユベントスはこのままで良いのだろうかという前半戦となった。

アッレグリの修正

後半のユベントスは5-3-2の守備を4-4-1-1に変更しようと試みる。空いてしまったエリアにリヒトシュタイナー、アレックス・サンドロをプレッシングにいけるように、ボールサイドのウイングバックは積極的なプレッシングをさせる。1.2列目のエリアにはディバラを守備に奔走させることで解決を図った。しかし、攻撃の形は前半と変わらずだったので、3バックから4バックへの変換で時間がかかってしまう場面がちらほら。時間がかかってしまうなら、5バックのままで良いよねみたいな場面もあり、修正がはまった場面もあれば、選手によってばらばらの場面もあった。

インテルは、ジョアン・マリオとバネガが奮闘する。トップ下にバネガが基本プランだったが、ポジションチェンジを頻繁に行っていた。このコンビは空いているエリアを見つけるのがうまく、ビルドアップの出口や攻撃の起点としてオープンな状態でボールを受けることが上手だった。特にジョアン・マリオのサイドに流れてボールを受ける動きは、ユベントスを苦しめていた。ポルトガル代表でも影のキーマンとして活躍していたジョアン・マリオだが、インテルでも影のキーマンとして、活躍していきそうな予感。

ゴールキックでのビルドアップの出口増やしと、いろいろ画策したアッレグリ。しかし、どちらかといえば、インテルのほうが前半の流れを継続していた後半戦。しかし、先制点を取ったのはユベントス。中盤でのアサモアの驚異的なキープ力からアレックス・サンドロにサイドを突破され、クロスをリヒトシュタイナーが決める。ウイングバックからウイングバックへのクロスというありそうで最近は良く見る形でユベントスが先制した。頑張ったダンブロージオも力がつき、カバーリングするはずのカントレーヴァはなぜか棒立ちだった。

この流れでユベントスが先制するのかと感心していると、同点ゴールがすぐに決まる。困ったときのコーナーキックに競り勝ったのはイカルディ。単純な意味での強さを見せ続けていた選手へのご褒美のようなゴールだった。イカルディのメジャーデビューの日も近い。

そして、その直後に逆転ゴールが決まる。アサモアのバックパスミスをかっさらって、ゴールに突撃するイカルディ。最後はアウトサイドのクロスを中に上げて、交代して左サイドハーフに配置されたペリシッチのヘディングが炸裂する。

残り時間は守備だーーというインテルと、死なばもろともで攻撃だのユベントス。インテルは相手陣地からの守備と自陣からの守備を使い分けていた。バネガ、ジョアン・マリオの相性の良さはこの場面でもいきていた。4-3-3に変更し、イグアインも出てきたインテル。バネガが退場するおまけつきとなったが、何とかしのぎきったインテルが、色々なものを取り返す試合となった。

ひとりごと

インテル

プレッシング開始位置を柔軟にかえて、ユベントスの攻撃に対抗していた。相手のポジショニングのバランスがとれているときは撤退。バランスが悪いときは突撃と、その基準もしっかりとしていたと思う。その安定感が良い意味でインテルらしくなく、初めて見たフランク・デ・ブールの印象はなかなかやるではないかになった。

ユベントス

3バックではめ殺しに失敗したときに、どうする?がなかなか観えてこなかった。トランジション勝負になるとすると、5-3-2の撤退では相性が悪い。ベナティアの負傷交代で打てる手が減ったのかもしれない。

長友佑都

BSで観戦。現地のテレビ局が作成したのかどうかはわからないが、テレビに映る場面が多かった。期待の現れなのかどうか。ヨーロッパリーグで出場したらしいので、この試合はベンチのまま。懐かしのサントンとのスタメン争いに負けないでほしい。

コメント

  1. えびわらー より:

    らいかーるとさん
    この間、「結果を後に書いて」とお願いしたえびわらーです。
    ホントに後ろに書いていただきありがとうございます。

    まさかインテルが勝つと思っていなかったので、倍楽しめました。(笑)
    また楽しみにしています。

  2. NNS より:

    らいかーるとさんは分析する時、ペンとノート以外に何か使いますか?
    戦術ボードみたいな。

    • らいかーると より:

      久しぶり!!!頑張ってますか??ツイッターなら頻繁にからめますよ(・∀・)

      分析するときは、以前は何も使っていませんでした。全部脳内処理。最近は、ペンとノートです。
      ちなみに、自チームのトレーニング&試合のときもペンとノートを持ち歩いて色々書いています。

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