はじめに
リバプールがやばい。
ウェストハム戦とサンダーランド戦で「２連勝をmust」という報道がなされた。結果は１勝１分。惜しくも目標に届かず。この結果を受けて、リバプール周りは騒がしくなっているようだ。
監督としての「後釜」はいるのか？「代打として使われるだろうレジェンド」はいるのか？と心配をよそに話し合いは進んでいるようである。どうやらアルネ・スロットとの別れの日も近いようだ。
全てはレアル・マドリー方面が鍵をにぎっていそうだけども。レアル・マドリーが勝てば勝つほどにアルネ・スロットは生きながらえるかもしれない。
そう考えると、大崩れしそうで、チャンピオンズリーグ圏内は死守しているグアルディオラのえげつなさよ。
というわけで、アルネ・スロットにとって「ターニング・ポイント」になったであろうサンダーランド戦について振り返っていく。
不安感のようなもの
リバプールのボール保持の形は、ウェストハム戦の形に非常に似ていた。３バックの形成は中盤を交えて行うこと、ジョー・ゴメスはウイング仕事を行うこと、ガクポは早々に内側への移動を行うことが中心であった。
パターンとして、ロバートソンが残る形での３バックも披露していたが、中心はブラーフェンベルフが降りる形である。ブラーフェンベルフが降りれば、ブラーフェンベルフの空けた席にヴィルツが移動し、ヴィルツが空けた席にガクポやソボスライが移動してくる仕組みになっている。
つまるところ、サンダーランド戦もウェストハム戦と同じような戦術で挑んだ。中央の流動性による崩しが中心となる。しかし、この試合ではウェストハム戦と同じように機能はしなかった。その理由はサンダーランドの守備の特徴にある。
サンダーランドの配置は【3421】と予告されていた。日常的に3バックを使っているらしい。しかし、この試合では【4141】と【442】を使い分ける形であった。
リバプール陣地からプレッシングに行くときはマンマークの雰囲気が強くなるのだが、配置がかみ合っているので、そのように見えるだけの雰囲気であった。サイドハーフが下がって５バックになる場面もあったが、先日のブログに書いたバルセロナ戦のバルデに対応した仕組みと同じように内側に移動していくガクポを抑えるためにカバーリングを行うだけのように見えた。
人への強い意識と中央圧縮の雰囲気をみせるサンダーランド。中央の流動化アタックでどうにかしたいリバプールにとってサンダーランドの策略との相性は最悪であった。相手の中央にはたくさんの人が状態である。それでも変幻自在の立ち位置の変化で迫っていくリバプール。でも、相性の悪さはハーフタイムの修正を待つことになる。
試合の流れを持ってくるうえで、最も厄介だったポイントがリバプールのプレッシングにある。リバプールといえば、プレッシングだが、失点が続いたことで、速さと早さですべてを解決するようなプレッシングは鳴りを潜めている。
今日のリバプールは【442】のミドルプレッシングからのハイプレッシングへの移行がメインであった。サンダーランドにいったんはボール保持を許す形となる。先入観でいえば、ボールを蹴っ飛ばしそうなサンダーランドだが、ボールを大事にするサッカーでゴールキックから丁寧に繋いでみせた。
このサンダーランドのボール保持がリバプールの試合への計算を狂わせていく。いかんせん、ボールを奪えない。もちろん、ゴール前で相手の攻撃を跳ね返すことはできるのだけど、サンダーランドに試合への勇気を持たせるには十分な試合展開となってしまった。たぶん、この現象の根っこにあるものが結果が出てないことからくる不安感のようなものなのだろう。
というわけで、リバプールが解決しなければならない問題は、対サンダーランドのボール保持と対中央攻撃以外の策。
サンダーランドのビルドアップで面白いことは、イタリアで穴？と名付けられた戦術だろうか。フットサルのアイソレーションでもいいのだけど。ビルドアップ隊を３枚くらい残して、あとはみんなが上がってしまうみたいな。なので、ヴィルツとイサクが追いかけ回しても幅広いエリアを守るにはどうもきつい。ついでに、ジャカがいい仕事をしている。
ならば、ジャカまでプレッシングをかけようぜ！みたいな。でも、誰がいくの？の答えを段々とだしていくリバプール。最低限の数合わせ。３２分のサンダーランドのゴールキックでようやく蹴っ飛ばさせることに成功する。
中央攻撃に関してはガクポを左サイドから仕掛けさせる形が見えるようになる。ただし、ジョー・ゴメスからのシンプルなクロスをガクポが空中戦の的として振る舞う、みたいな設計が少し崩れてしまう。背が大きいは正義。
サイド攻撃にシフトするアルネ・スロット
ウェストハム戦で出番のなかったサラーがガクポと交代して登場する。左ウイングにヴィルツ、トップ下にソボスライ、右ウイングにサラーとなった。
内側にサラーを送る問題もあるけど、いまはサイド攻撃の改善タイムとなる。サラーがボールを持てば、相手が３人寄ってくる。まさにドリブラーの価値。周りの選手に時間とスペースが勝手に生まれるドリブラーの存在価値。両サイドバックはウイングのサポートに注力。
結果として、ヴィルツとサラーのサイドにおける存在感が相手をサイドに集結させることになった。その代わりに周りの選手には余裕が生まれ、ボール保持の安定へと繋がっていく。こうしてサンダーランドは押し込まれる展開へとなった。
サンダーランドのビルドアップには、イサク、サラー、ヴィルツを相手のビルドアップ隊にぶつける的な解決策を見せる。イサクをジャカ、サラーたちをセンターバックにぶつけることで、後半はボールを保持できないサンダーランドという展開へ。
64分のジョー・ゴメス→カーティス・ジョーンズを入れて、攻撃力の精度を高めよう作戦。しかし、66分にサンダーランドが先制。繋げなくなったので、ゴールキックを蹴っ飛ばすサンダーランド。空中戦に負けるものの、ファン・ダイクの中途半端なプレーでボールを受け取ると、7番がミドル。ファン・ダイクにぶつかってシュートコースが変わる幸運もあった。
73分にエキティケが登場。エキティケとイサクの２トップのような雰囲気だったが、エキティケは左サイドに流れたり、ライン間の住人になったりできるので、ヴィルツが左サイドから解放されるようになる。
そして残り10分で狭いエリアでボールを受けたヴィルツが抜群のテクニックでゴールを決める。正式にはオウンゴールだけれども。その後はお互いに決定機を迎えながらキエーザの根性でどうにか失点は免れるリバプール。しかし、勝たねばならない状況だっただろうなので、この先が一気に不透明になることとなった。
ひとりごと
リバプールにとってアンラッキーだったことは、シンプルなクロスに飛び込むときにガクポがいなかったことだろうか。背の高い選手は迫力が違う。
後半の修正も含めて、アルネ・スロットはやるべきことはやったように見える。相手に蹴らせることに成功したのに、それが原因で失点するところがやるせない。
ここから8連勝くらいでもしないと、監督継続は難しいのだろうか。どうなるか、みてみたい。
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