Liga Española 1a División (Liga BBVA) Jornada 34 Santiago Bernabéu – Madrid 2008/09 ~メッシゼロトップの軌跡~

 レアルのスタメンは、カシージャス、エインセ、メッツェルダー、カンナバーロ、セルヒオ・ラモス、ガゴ、ラサナ、マルセロ、ロッベン、イグアイン、ラウール。ロッベンが復活するという奇跡が起きたレアル・マドリー。この試合に負ければ、今季は終了なので、気合十分なはず。

 バルサのスタメンは、バルデス、アビダル、ピケ、プジョル、アウベス、ヤヤ、イニエスタ、シャビ、アンリ、エトー、メッシ。やっぱりガチできたペップ。チェルシー戦よりもクラシコだって姿勢は、やはりまじめそのもの。

メッシのゼロトップ

 序盤こそはレアルの狙い通りの試合だったといっても良いだろう。たとえ先制点が入らなかったとしても。イグアインとラウールをバルサのCBに当てることで、バルサはボール運びをいつものように行うことが出来なかった。また、レアルはDFラインを高めに設定。中盤のスペースを消すことで、正面衝突をたくらんだ。パス回しでくるならば、中盤のスペースを与えないことで勝負してやろうではないかと。

 そんなレアルの気合の前に、バルサはロングボールで応戦。高すぎるレアルのDFラインの裏をつこうという考え&レアルとの中盤勝負を避けた、表現を変えれば、無用なリスクを避けた考えがあったのだろう。レアルにとって、この勝負は絶対に負けられない戦いだったいうことは明らかで。それはバルサの選手にとっても同じだ、、、、ってことが垣間見えた瞬間であった。

 バルサはシャビがDFラインまで降りてビルドアップを優位にしようとしていた。イグアインとラウールのプレスに苦しむDFライン付近のボール運びの枚数を増やすことで、状況を打開しようとする考えだ。結果として後ろに枚数を増やす作戦はあんまり効果的でなかった。その理由はチーム全体として、リスクを背負ってボールを運ぶなら、裏を狙えば良いじゃんみたいな考えがあったのも事実。

 しかし、オフサイドの網に引っかかったり、カシージャスの好判断だったりでどうにも点が入りそうにないバルサ。逆にレアルに先制点を叩き込まれてしまったのでさあ大変。レアルが守備を固めてきたら、チェルシー戦のデジャブデジャブ。

 しかし、チェルシー戦と違う光景がそこには繰り広げられたわけで。そのネタがメッシが中央に移動したこと。ベンチの判断か、勝手にピッチの選手が判断したのか。この判断をしたのが誰なのかは、非常に気になる。

 最近のメッシのコンディションの低下はずっと叫ばれていた。しかし、クラシコでのメッシはかなりドリブルにキレが戻っていた。というよりも、中央でボールを触りまくることで、自分のリズムに乗れたのかなとか予想。ま、クラシコ補正もあったと思う。

 メッシが中央に移動することで、バルサのシステムは4-4-2のひし形のようになった。サイド攻撃はあまり見られず。特に右サイドは完全に空になる状態が見られた。よって、エインセが守備の場面でまったく画面に映らなかったのが印象的だった。

 そんな4-4-2のバルサ相手にラサナとガゴは大混乱。FWの位置にいたり、MFの位置にいたりとうろちょろするメッシのマークをバイタルを消すことでひとまずは対応する。つまり、DFとMFの距離を近くしてメッシの居場所を消そうとするレアルの守備軍団。しかし、ラサナたちはシャビイニを抑えなきゃいけない。でも、抑えに行ったらメッシが空いてしまう悪循環。

 マルセロやロッベン、ラウールやイグアインがもっと守備に参加してくれれば、何とかなった気配はある。しかし、もともとSHが守備をしない現象は、レアルの伝統であるし、負けている状況で守備をしている場合じゃないってな攻撃側の選手の気持ちもわかる。

 よって、チェルシーが10人で守備を固めたのに対して、レアルは7人で守備をしていた。なので、サイドを使わなくても突破できてしまったバルサ。中央のメッシがめちゃくちゃ機能したのが勝利の最大の原因だと思う。

 エトーに比べると、中央で起点となれるメッシ。メッシが中盤に降りることで、ツートップのように振舞えるエトーとアンリ。メッシが相手の中盤をひきつけることで、シャビやイニエスタが空く。4-1-2-1-2ともいえるシステムで相手のポジションの間に選手を送り込んだなと。

 ロナウジーニョを中央に配置するゼロトップも非常に面白かったが、メッシを中央にするこの形も非常に面白いと、チェルシー戦に向けて面白い武器を改めて認識した試合となった。メッシ、シャビ、イニの中央の三角形はちょっと恐ろしい。

独り言

 レアルについていうと、ベルナベウでぼこぼこにされたことで自浄作用がちゃんと働くのを期待しています。ガゴがお前らも下がってこいよって叫んでいるのがチーム事情をうまく表現しているのかなって。でも、後半戦の追い上げは本当にお見事だった。ここからはモチベーションの意地が非常に難しいだろうけど、どうするのだろうか。やはりファンデ・ラモスも解任されちゃうのかなと。どうなることやら。

つけたし

 前回のクラシコでも存在価値を証明したプジョル。今回もセットプレーでその存在を証明。泣ける場面であった。ピケとマルケスにスタメンを奪われそうなプジョルだが、セットプレーでの強さ&ここぞの場面での勝負強さは捨てがたいってか、バルサの象徴でもあるんだんと実感。

 またエトー。メッシの代わりにサイドを任されたが、DFラインまで下がって守備を行っていた。メッシの運動量軽減に大きく貢献したエトー。実はサイドでもプレーができるわけで。来年も残るかはわからないが、最後まで全力を尽くしてくれるに違いない。

 カシージャス。キックは怪しいがボールを止める能力は随一だと証明。6点も取られたのにって感じだけど、カシージャスのファインセーブがなければ二桁も現実的な数字であった。普通のゴールキーパーはファインセーブをした後に機嫌が良くなったりするのだけど、カシージャスの場合は俺にかかる負担が、、、、って感じの表情をするのが印象に残っている。サッカーを楽しめているのか心配。

 ラウール。こんな試合でこそ彼の幅の広いプレーを見せてほしかったので、ちょっと残念。銀河系時代に比べれば、攻撃に集中できていると思うので、得点数も増えてきている。だとすれば、ラウールの得点能力を活かすのか、彼にバイタリティあふれるプレーを期待するのか、論理な判断が求められている。困ったときのラウールは残しておいても。

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