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【アヤックスの仕組みと日本代表の中央集合】ユベントス対アヤックス

   

アヤックスのスタメンは、オナナ、フェルトマン、デ・リフト、ブリント、タリアフィコ、フレンキー・デ・ヨング、シェーネ、ファン・デ・ベーグ、ジエク、ネレス、タディッチ。昨シーズンくらいからにわかに注目を集めていたアヤックス。今季で完全にメジャー・デビューといったところか。

ユベントスのスタメンは、シュチェスニー、サンドロ、ボヌッチ、ルガーニ、カンセロ、ピアニッチ、マテュイディ、ベンタンクール、ベルナルデスキ、マンジュキッチ、クリスチャーノ・ロナウド。ユベントスにチャンピオンズ・リーグをもたらすために来ただろうクリスチャーノ・ロナウド。レアル・マドリーを倒したアヤックスを退治できるか?というめぐり合わせになっている。

試合の主導権を手放した、もしくは持ってこれなかった原因

キック・オフからマンジュキッチ大作戦を決行するユベントス。

空中戦に強いセンターフォワードの選手をディフェンスラインで空中戦の強くない選手(基本的にはサイドバック)にぶつける作戦をマンジュキッチ大作戦と呼んでいる。つまりは、チャンピオンズ・リーグだろうが、相手がアヤックスだろうが、いつもどおりにやります、というユベントスの意思表明なのだろう。そんなキック・オフで試合は始まった。

序盤のユベントスがボールを保持するときの配置は4-3-1-2。ベルナルデスキがトップ下でクリスチャーノ・ロナウドとマンジュキッチが前線に。ジダン時代のレアル・マドリーと同じ配置になっているのはクリスチャーノ・ロナウドの得点能力を最大限に活かすためなのだろうか。ベルナルデスキのその才能をみせつけるかのようなプレーでユベントスが強さをみせつけるようかの立ち上がりだった。

いつもどおりのユベントスに対して、こちらもいつもどおりな雰囲気なアヤックス。レアル・マドリーを倒したことで、自信も満々でモチベーションも半端ないことになっているのだろう。アヤックスの基本配置は4-2-1-3。非保持の配置は、相手の中盤の形に合わせて、微調整する。この試合で言えば、ユベントスの中盤の配置に合わせて、4-2-3-1で守っていた。

ベルナルデスキが才能を示したあとは、空中戦でユベントスが試合の主導権を握った。アヤックスのゴールキックを蹴らせるように前から配置していくユベントス。空中戦なら負けない、ということで、アヤックスのゴールキックを競り勝ちまくるユベントス。さらに、ユベントスはビルドアップで無理して繋ごうとせずに、2トップに放り込むなど、空中戦優位を存分に押し出した試合展開で序盤戦を乗り切ろうとした。

しかし、ハイボールの連続では試合がちっともと落ち着かない。ゆえに、試合のペースをコントロールすることはできない。よって、ユベントスはゴールキックやキーパーに下げたバックパスをいつもどおりに繋ごうとする。しかし、いつもどおりに前からガンガンいこうぜ!のアヤックスのプレッシングと正面衝突となった。ここで、ユベントスは謎のパスミスを連発し、不安な要素をさらけ出してしまう。逆に言えば、アヤックスからすれば、プレッシングの勢いを加速させたらいいことあるんじゃない?という展開と言えるだろう。

ユベントスの謎のパスミスはサイドチェンジや、キーパーからサイドバックにつけるような中距離のパスがメインだった。試合を落ち着けるためのビルドアップのため、2トップへの放り込みも少し中断。となれば、アヤックスのガンガンいこうぜプレッシングとの正面衝突はさらに色濃くなる。よって、アヤックスがボールを奪い返して、ボールを保持する展開に移ろっていった。

アヤックスのボール保持に対して、ユベントスは4-3-1-2で最初は対抗。ベルナルデスキはフレンキー・デヨングとデートのようにも見えたが、そうでもないようで。序盤は4-5-1で守ったり、4-4-2で守ったりしているように見えたユベントスだが、最終的な結論はベルナルデスキがサイドハーフに降りる4-4-2で凌ぐという結論になったようだった。しっくりくる形を試合中に探すという荒業を披露したユベントス。

次に設定すべきはプレッシング開始ラインだ。これがなかなか定まらない。クリロナとマンジュキッチがエトーばりに相手を追いかけ回すわけもない。さらに、アヤックスの面々はビルドアップ能力がすば抜けて高い。特に個々の選手のボールスキルが尋常でなく高い。相手が来てなければ、さっとターンして対面の相手と正対するスキルを標準装備しているので、えぐい。つまり、簡単にはボールを奪い返せそうにないユベントスであった。前から中途半端に奪い行けば、剥がされて相手にスペースを与えてしまう。だったら、撤退か!となるユベントス。

自陣に撤退してアヤックスの攻撃に耐えていると、シュートまでたどり着かれてしまう悪循環に陥っていった。シュチェスニーの出番が増え始め、ファインセーブまで出てきてしまうと、撤退して凌ぐことは難しいねという判断になる。となると、クリロナがチームメイトに指示をし始め、お前ら前から奪いにいかないと終わるぞ!と動き始めたのが20分くらいの出来事だった。

クリロナの指示に呼応する形で、同数プレッシングに移行していくユベントス。よって、流れのなかからオナナからのロングボールが増える形になる。この空中戦で勝てれば、ユベントスの計算どおりとなる。しかし、タディッチが意外と空中戦で強く、周りにセカンドボールを拾う隊をしっかりと準備するアヤックス。逆にユベントスは同数プレッシングで誰が前に行くかが実は曖昧だったこともあって、ロングボールに対する競る人はいれど、セカンドボールを拾う隊までの準備は曖昧だった。というわけで、アヤックスはロングボールからの攻撃を優位に進める形となった。整理された相手の配置への攻撃よりも、実は楽になってしまったアヤックスである。

配置のかみ合わせによって、センターバックにしか時間とスペースが与えられていないユベントスは、誰かが時間とスペースを根性で生み出さない限りは何かが起きそうな気配がない。一方でアヤックスは変幻自在の前線のポジショニングでユベントスのゴールに迫っていく。つまり、どちらかと言えば、アヤックスのほうが優勢に試合を進めていた。

しかし、その流れをぶった切ったのがクリロナ。スローインからのプレーで、ベンタンクールとクリロナで時間とスペースを生み出すと、最後はカンセロのクロスをクリロナが頭で決めてユベントスが先制する。クリロナのゴールまでのスペースを見つける能力は異常。さらにニアでベンタンクールがいたから、スペースが生まれる好循環であった。

アヤックスの仕組みについて

後半が始まると、前半のリピートのような雰囲気があったが、蹴らされたアヤックスのロングボールの処理をカンセロがミス。ボールを奪ったネレスの個人技が爆発し、あっさりと同点においついたアヤックスだった。

後半はドグラス・コスタの一撃まではアヤックスタイムが続いたので、アヤックスについてつらつらと書いてみる。

ビルドアップはセンターバックとフレンキー・デヨング。困ったらシェーネが助けに来る。基本はセンターバック+アンカーで、困ったらボックスビルドアップに変更。オナナはめっちゃ繋げるタイプでもないが、周りの選手がボールを持てる選手なので、あんまり問題にはなっていない。

キーマンはファン・デ・ベーク。トップ下に配置されている選手だが、ゼロトップのトッティ時代のローマのペロッティのような仕事をしている。つまり、トップを追い越す動きだ。トップ下やセントラルハーフとしてもプレーできるんだろうけど、中央にスペースがをあけるために最前線に駆け上がっていく事が多い。レアル・マドリー戦でも似たような仕事をしていたので、間違いないだろう。

横幅隊は基本はサイドバックに任せっきりだ。忘れたころにオーバーラップしてくるので、サイドを使われると、あれれ?みたいな雰囲気がピッチを支配する。

そして、もっともわけがわからないのがタディッチと両ウイングだ。空中戦の的としても機能するタディッチだが、相手を押し込んだときはフリーダムな動きを見せる。両ウイングも横幅を確保するのではなく、ボールサイドに集まってくる。イメージとしては、3人のトップ下がいるような感じだ。なので、ファン・デ・ベークはその位置から消えてピンどめや深さ要員として仕事をする。

攻撃の起点はそれぞれ。ただし、中心のフレンキー・デヨングが攻撃参加できる理由はアンカーではなく、隣にシェーネがいることが大きいのだろう。

形だけを見ていると、日本代表の中央集合に似ている。しかし、アヤックスの場合は、中央集合しているんだけど、それぞれのポジショニングが邪魔しあっていない。この秘密はまだまだ探っていきたいんだけど、日本代表の中央集合の答えがアヤックスのサッカーにつまっている気がする。なので、みんなアヤックスのサッカーを見てみましょう。なお、今季で多くの選手が引き抜かれると思うので、チャンスは今季のみです。

というわけで、前線の変幻自在の移動に対して、ユベントスは4-4-2で対抗。ドグラス・コスタが登場してからのユベントスは4-4-2ではっきりと守るようになったけれど、焼け石に水だった。同数プレッシングにいけば、セカンドボールを拾う隊が減る悪循環は後半も同じ。エリア内からシュートを打たれる場面も一回や二回じゃなかったので、失点しなくて良かったねという内容だった。

試合が終わりに近づくと、とうとう反撃のユベントス。ドグラス・コスタ個人技爆発からのポスト直撃によって、アヤックスがおとなしくなったのは少し面白かった。というわけで85分過ぎから少しユベントスの時間が来るけれど、ユベントスからしても早く終わってくれよ、アウェイで1-1ならOKだよというのも本音だったと思うので、試合はそのまま終了。アウェイゴールを手に入れたけれど、試合内容としてはセカンドレグが心配になるユベントスであった。

ひとりごと

日本代表の中央集合とアヤックスの中央集合の仕組みの差について研究したくなった。誰かやってみても構いません。ユベントスは完全に割り切ればもう少し試合内容をもってこれそうなのだけど、相手がアヤックスだと、いろいろなプライドが邪魔をするのかもしれない。この試合で有効な解決策は見つけられず、時間を作れそうな選手もベンタンクールとクリスチャーノ・ロナウドくらいなので、困った様子である。ただ、不気味に動かなかったようにも見えるので、セカンドレグで何を仕掛けてくるかは楽しみだ。

 - マッチレポ1819×チャンピオンズリーグ