さて、誰もが更新途中で終わったと確信しつつあった、または、とうの昔にその存在すら忘れてしまっていただろうマンチェスター・シティの日々を再開します。ちなみに、この試合は第16節。プレミア・リーグが全部で何節あるかというと、38節。まだまだ先は長い。第16節のときの状況を簡単に振り返ってみると、マンチェスター・シティがリーグを独走。2位に位置するのはマンチェスター・ユナイテッド。プレミア・リーグを終わらせないためにも、頑張れマンチェスター・ユナイテッド!という雰囲気だったとか何とか。なお、この状況でグアルディオラの前に立ちはだかるのがモウリーニョ!という組み合わせもドラマ的というか。まだ、15節なので、そんな雰囲気はなかったと信じたいけれど。なお、アーセナル戦で相手を踏みつけたらしく、ポグバは出場停止中なので、この試合に出場できなかった。
4-4-2のマンチェスター・ユナイテッド
マンチェスター・シティを止めるためには3バックの迎撃!という命題に向き合ってきたプレミア・リーグのチームたち。Jリーグでも猛威を奮っていた5-4-1でマンチェスター・シティに挑むけれど、結果は負け!という試合が続いていた。だからといって、4-4-2で守りきれるのか?多くのチームが何度もチャレンジしては挫折してきたのが4-4-2でマンチェスター・シティを止めるだ。モウリーニョの頭の中は本人に聞いてみないとわからない。オールド・トラッフォードで5-4-1の撤退守備を行う勇気がない監督ではないだろう、多分。最初にマンチェスター・ユナイテッドの4-4-2から読み解いていく。
・1列目
1列目の選手はリンガードとルカクだ。プレッシング開始ラインはハーフライン付近。マンチェスター・シティのコンパニ、オタメンディ、フェルナンジーニョを2人で担当する役割となっていた。センターバック同士のパス交換をプレッシングのスイッチとしていて、コンパニにボールが渡ると、リンガードがプレッシングを開始する場面が目立った。ボール保持者にプレッシングをかけない選手は、フェルナンジーニョのマークを担当する定跡を愚直に行っていた。ただし、物量的に厳しいと言えば厳しい。同数プレッシングという新たな定跡が生まれてきた背景は、相手のビルドアップの枚数が数的優位だと、ぶっちゃけどうしようもないという事情があったからだ。よって、特にオタメンディの運ぶドリブルが目立つ序盤戦となった。モウリーニョからすれば、捨てている部分だったのだろう。
・2列目
基本的にはゾーン・ディフェンスでスタートするのだけど、周りの選手のマークがはっきりすると、突如としてマンマークに変貌する論理で守備を行っていた。わかりやすく言うと、マティッチ、エレーラは対面のデ・ブライネとシルバをマンマークのように対応する。アラバロールを行うデルフに対しても、ラシュフォードがどこまでもついていく場面も見られた。自分以外の選手のマークがはっきりしたときという限定した状況だが、たいした限定条件でもない。よって、オタメンディがドリブルで運んでいっても、誰もフリーにならないじゃないか!という状況が何度も見られた。だから、捨てることができたのだと思う。怒りのオタメンディのミドルシュートはちょっとおもしろかった。
・3列目
サイドバックは対面のサネとスターリングを抑えるとして、センターバックの役割はチームを論理を象徴としているようだった。マンチェスター・ユナイテッドはセンターバックをあまり動かさない。このように書くと、他のチームは動かすのか?となるが、普通はなるべく動かさない。普通のことじゃねえか!となるが、この動かないのは主に縦の動きに限定される。逆に言うと、2.3列目は横の動き(アラバロールとか)にはついていくけど、縦の動き(ゼロトップやフェルナンジーニョをおろしての3バックとか)にはついていかない。どうせ相手はゴール前に来るんだから待っていればいいじゃないか作戦。元祖撤退守備の最高峰だったマンチェスター・ユナイテッドの伝統芸なのかもしれない。リオ・ファーディナンド時代がちょっと懐かしい。なお、縦移動をするのはリンガードくらいであった。
これらの情報をマンチェスター・シティは自分たちのプレーによって、手に入れていく。マンマーク気味なのね?とか、横の移動にはめっちゃついてくるのね?とか、この場合はマークを受け渡すのね、または受け渡さないのねという感じで。それらの情報の整理、または分析が終わったことにマンチェスター・シティは選手たちのポジショニングをこの試合にとって最適な形に変化させていく。
ゼロトップ
サイドハーフに守備の重要な判断を強いる策がポピュラーになっているが、懐かしのセンターバックに判断を強いるパターンとなっている。なお、マンチェスター・ユナイテッドのセンターバックはなかなか動かないという約束事を逆手にとった形にもなっているのがにくい。このマンチェスター・シティの形に対して、リンガードが2列目のヘルプに来る形が多かったけれど、そうなると、怒りにオタメンディが登場して数を補充するのは見事だった。また、サイドハーフの選手がセンターのヘルプにくれば、サネの強襲がある。マンチェスター・ユナイテッドの左サイドが空っぽになり、ジェズスが中央でプレーしてゴール前の枚数を増やす場面も見られた。
マンチェスター・ユナイテッドは防戦一方となるが、どうせ防戦一方の試合内容になることはわかっていたよと淡々と守備を行っていった。ほとんどカウンターチャンスもなかったので、非常にきつい試合内容となっていたが、チームモウリーニョなので、問題ないと言ってもいいのかもしれない。マンチェスター・シティの攻撃は中央の選手が数の優位性からオープンになり、運ぶドリブルで仕掛けてくるのがデ・ブライネ、シルバ、スターリングとかなり狙い通りの形となっていた。デ・ヘアまで届かないとしても、エリア内に侵入する場面は多かったので、マンチェスター・ユナイテッドは決して上手く守れていたわけではなかった。というわけで、続けていれば得点が決まるだろうなと思っていると、マンチェスター・シティがコーナーキックから先制する。オタメンディとルカクの競り合いのこぼれ球がゴール前のシルバに溢れる形でゴールが決まった。
このゴールによってマンチェスター・シティの勢いがさらに増すだろうと思っていると、ロホの超アーリークロスをオタメンディがかぶり、デルフがカバーリングを失敗するというミスが重なり、ラシュフォードに決められて、あっさりと同点になってしまう。ゴールの場面だけ不運だったり単純なエラーだったりと、不思議な前半が終わった。後半のマンチェスター・シティのゴールも不思議な形で訪れる。フリーキックのクリアーを味方にぶつけるルカク。それがオタメンディにもとに渡ってゴールが決まる。それにしても、今季のオタメンディはゴールをよく決める。
その後は耐え忍ぶマンチェスター・シティを攻め立てるマンチェスター・ユナイテッド。前半にみせたような形を封印して、自分たちのポジションを守ってプレッシングを行い続けるマンチェスター・シティに対して、マンチェスター・ユナイテッドは攻撃の機会を減らされていった。マタ、イブラヒモビッチをいれての力技でビックチャンスを掴んだけれど、残念そこはエデルソン。40分が過ぎると、コーナーフラッグの近くで必死に時間稼ぎをするマンチェスター・シティの面々を見て、この試合は手段を選ばない試合だったんだなと改めて感じさせられた。勝ち越しゴール直後にマンガラをピッチに送り、フェルナンジーニョのセンターバックを速攻でやめた采配、そして、守備モードにさっさと移行したことからも、この試合でプレミア・リーグの優勝を決めるつもりだったのかもしれない。そして、その狙い通りに試合を終わらせ、マンチェスター・シティがさらにプレミア・リーグを独走することとなった。
ひとりごと
久々の更新であった。ワールドカップまでに量産体制に入れるように、マンチェスター・シティを終わらせながら、Jリーグをつまんでいく形を取れればと考えている。どうなることやら(・∀・)
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