継続してチームを追いかけることは、サッカーの流れ(シーズン)を理解する上でとても大事だ!と言われています。そういう意味では、熱狂的なサポーター(全試合観戦するぜ!)みたいな人たちこそが、そのチームについては博士みたいな。ご存知の方も多いと思いますが、贔屓チームがないとはいわないけれど、熱狂的に推しているチームは決して無い吾輩。このチームを追いかけるぜ!と決めても、動機づけの弱さに継続できないシーズンを過ごしてきました。チームを継続的に追いかけるぜ!という決断が、何度目の決断になるかは、当人も知る良しもありませんが、今季はマンチェスター・シティを追いかけます。というわけで、開幕戦からまったりと振り返っていきます。HDDに録画できるって素晴らしい。さて、いつになったら、現実の時間に追いつくことやら。
今日の相手はブライトン。ポーカーのプロが会長らしい。ポーカーのプロでプレミアリーグのチームの会長になれるとは、ポーカーのプロが恐ろしてくなってくる。どれだけ稼いでいるのだろうか。36年ぶりにトップリーグを戦うブライトン。昇格組とはいえ、腐ってもプレミアリーグである。インゴルシュタットからグロス、ズットナーを引き抜き、PSVからはプレッパーを獲得。さらに、両サイドハーフにはイングランドU21代表を揃えるスカッドで、曲者感が非常に漂っている。さらに、ゴールキーパーにはオーストラリア代表のライアンがいる。
我らがマンチェスター・シティは、サイドバックを大量補強。メンディー、ダニーロ、ウォーカーを揃えた。そして、バルセロナから強奪したものの、プレミアリーグに全くはまらなかったブラーボの代わりに、エデルソン。シュテーゲンからすると、ブラーボがいなくなったことで、バルセロナのスタメンに定着できた。さらなるステップアップを目指したブラーボは、マンチェスター・シティのベンチに行くことになった。このような巡り合わせは、いたって残酷である。そして、シルバの後釜になりそうなベウナウド・シウバが、出場機会を安定的に確保できるかが心配でもある。
マンチェスター・シティのボール保持
マンチェスター・シティがボールを保持し、ブライトンが撤退守備(4-4-2)で迎え撃つ展開が多い試合だった。マンチェスター・シティのシステムは3-1-4-2。3-3-2-2と表記しても、別に問題はない。ダニーロとウォーカーの列が、フェルナンジーニョの列か、デ・ブライネ&シルバの列かは大した問題ではないからだ。ダニーロ&ウォーカーに与えられた役割はできるかぎり相手陣地の深いポジショニング&横幅を確保することだった。
各々の役割を整理していく。3バックは言うまでもなくビルドアップ隊であり、攻撃の出発点だ。コンパニとオタメンディは、相手の2トップの脇エリア(ハーフスペースの入り口)を攻撃の起点とする。フェルナンジーニョは、相手の2トップの中間ポジション(2トップを結んだ線の中点)にポジショニングすることで、2トップを絞らせる役割を担っている。2トップを絞らせることで、オタメンディ、コンパニが時間とスペースを得られる計算になっている。
デ・ブライネとシルバは、ハーフスペースにポジショニングする。このコンビがハーフスペースにポジショニングすることで、相手のサイドハーフやサイドバックは中央に絞らなければいけない。よって、大外レーンにいるウォーカー&ダニーロに、時間とスペースを与えられる計算になっている。むろん、相手が外を警戒すれば、ハーフスペースでボールを受けて、強襲である。3バック+フェルナンジーニョで相手のファーストライン(グロスとヘメド)を突破できなかったときは、シルバ、デ・ブライネが相手のブロックから外へ脱出し、ハーフスペースの入り口にポジショニングすることで、ビルドアップの出口となることが多かった。
ジョズスとアグエロの役割に大きな差はない。どちらかといえば、ジョズスのほうが相手のセントラルハーフ(プレッパーとスティーブンス)の間でボールを受けることが多かった。ジョズス&アグエロの役割は、前線にポジショニングすることで、相手のセンターバックの守備の基準点となりながら、ときにはデ・ブライネ&シルバのラインまで下りてボールを受けることであった。センターバックをピン止めしたり、3人目のハーフスペースの住人になることで、デ・ブライネとシルバに時間とスペースを与える計算になっている。
相手陣地の深くに侵入したマンチェスター・シティ
ストーンズが蚊帳の外であることは、おいておく。
大外(マンチェスター・シティの場合はダニーロやウォーカー)にボールが入ったときに、ハーフスペースの住人の動きは、主に2択だ。ウォーカーの斜め後ろにポジショニングする(相手の守備ブロックから出る)サポートと、相手のサイドバックの裏に飛び出していく形だ。双方ともにポピュラーな形だが、猫も杓子も、チャンピオンズ・リーグでもJリーグでも、サイドバックの裏に飛び出していく形は、定番になりつつある。なお、パラとは平行という意味だ。サイドラインと平行のパスを出すので、パラと呼ばれていた気がする。図だと、サイドラインと平行ではないけど。なんにせよ、このパラという動きは、相手にリアクションを迫るものだ。デ・ブライネのマークをしていた選手は、デ・ブライネについていくか、ついていかないかを、決めないと行けない。そして、ウォーカーと対峙している選手は、縦をきるか、中をきるかを決断しなければ、または、決断を変更しなければいけない。中をきっていたけれど、デ・ブライネが縦にあらわれたでござる!さあ、どうする?みたいな。
で、ここからが本題になる。別に4-3-3でもマンチェスター・シティの形は、再現することができるだろう。4-3-3と3-1-4-2の違いは多々あれど、2トップという事実はなかなか大きい。デ・ブライネがバイタルエリアから脱出しても、ジョズスとアグエロがまだ中央にいる。この事実はでかい。よって、大外にボールが入りました。誰かがサイドに流れました。相手もリアクションをしました。でも、さらにマンチェスター・シティに中央に人がいます状態が多くなってた。だからといって、サイドに流れた選手をスルーすると、サイドを深くえぐられクロスを入れられるという流れになってしまう。
マンチェスター・シティのボール保持攻撃をまとめると、中央のボックス(デ・ブライネとシルバ、ジョズス、アグエロ)にビルドアップ隊からボールを供給し、コンビネーションを発動させる。ビルドアップ隊から大外にボールを供給し、大外から中央にボールを入れて、コンビネーションを発動させる。大外からサイドを攻略し、クロスを上げてしとめる、という形がメインであった。
備えるぜ、ボールを失ったときのために
昨日のバルセロナの守備の準備を見たので、ちょうど比較ができる。バルセロナは3センター&2センターバック。マンチェスター・シティはアンカー+3バックとなっている。得点を狙うぞというときに、バルセロナはインサイドハーフがいなくなって、2バック+アンカーになる。マンチェスター・シティの場合は、フェルナンジーニョがいなくなるので、3バックのみとなる。枚数は同じだが、段差(列の数)を考慮すると、マンチェスター・シティの攻撃的な姿勢がよくわかる一方で、そこまでやる必要はあるんかいな?という気分にもなる。相手にスピードスターがいたら、3人共に置き去りにされそうだが、その場合はエデルソンがノイアー仕事をするのだろうか。なお、この試合ではしっかりとボールを回収できていたので、ボール保持率がときには78%なんて数字を叩き出していた。
この試合の流れに話を戻すと、撤退守備が6-3-1のように変化するブライトンに四苦八苦するマンチェスター・シティ。原口元気ロール(サイドハーフなのにサイドバックのような守備をすること)をされると、さすがのマンチェスター・シティも厳しい。ボールは持ちやすくなれど、相手ゴール付近のスペースと時間はほとんどない。よって、ボール保持攻撃とトランジションカウンターの機会を見逃さないようにしていく。一方で大外でボールを持ったときに、質的優位がほしいと考えたのだろう。サネがダニーロの位置で登場する。昨シーズンも見られたが、まさかウイングバックで出場することになるとは思わなかっただろう。しかし、サネの登場とは関係なしに、相手のボールを奪ってのトランジションアタックで、マンチェスター・シティは先制する。そして、繰り返されたサイド攻撃からのクロスで相手のオウンゴールを誘発し、試合は終了した。結局はカウンターやないか?!と指摘されそうだが、ボール保持攻撃の目的は、ボールを支配することで守備をすることや攻撃のリズムを作ること&相手の疲労を蓄積させていくことだったりする。なので、自然と相手もミスが増えるなんてご褒美を受けられることもあるのだった。
ひとりごと
シャペウで相手を交わした場面のジョズスは、えぐかった。ハンドになったけれど、ジョズスにパスを通したデ・ブライネは半端なかった。ボックスの関係になっているので、縦のポジションチェンジで相手の裏に飛び出していく遠目からはサバレタにしか見えないシルバもうまかった。オタメンディ、コンパニも攻撃の出発点となる役割をしっかりと受け入れていて、オレも攻めたいんだけどみたいなストーンズの忍耐力のなさも面白かった。フェルナンジーニョはサイドにボールを供給するばかり(それが役割なんだけど)で、ちょっとおもしろくなかった。この位置に、ブスケツやヴァイグルがいたらと考えると、ちょっと恐ろしい。
最後に懐かしのブルーノが元気そうで良かった。
コメント
スポナピブログ時代からいつも楽しく拝見しております。
右サイドに配置されたブルーノの文字を見てまさかと思い調べてみたら、らいかーるとさんのブログでおなじみのブルーノ・サルトルでびっくりしました。
アルメリアで躍動していた頃を思い出し何故か嬉しくなりました笑
今後の更新も楽しみにしております。
長い間ありがとうございます。あのときの同士はほとんどいなくなってしまいました(・∀・)今日のようなコメントを頂けると、励みになります。
そうです。あのブルーノでした。まさかプレミアリーグでシルバと再会するとは夢にも思ってなかったのではないでしょうか。
今後も宜しくお願い致します。シュスターヘタフェが好きでした(・∀・)
因みにシルバのハゲは植毛のようです
生え際にそんな跡があります
アグエロとジェズスのツートップは昨シーズンの決定力不足を補うことも考えたのかなと思います
アグエロのワントップでサイドに流れてサポートしても中に人が居なかったり、デブライネやシルバが決めれなかったり、あるいはアグエロが降りて中盤のサポートをするとアグエロの位置から人が居なくなったり
という事もなくなりますし
でもネタバレするとコンパニ、メンディ、アグエロが怪我してる今は4-3-3ですし3バックの形はリバプール戦以降見てないと思います
でも守備に関してはSBがサイドで高い位置を取る4-3-3より中央に人が居て堅い印象を受けます
デブライネとシルバは高い位置でプレーして欲しいので
因みに4バックになってからは左SBのデルフが本職であるフェルナンジーニョの横に動いたりウォーカーが3CBの右の位置でビルドアップしたりと中央に人を置いてデブライネとシルバが高い位置で前線にパスを出したりとサポートしています
3CBのストーンズが中央でコンパニ、オタメンディがサイドの理由はなんでだと思いますか?
中央にフェルナンジーニョがいる分その横に守備力が高い2人を置きたいのでしょうか
コメントありがとうございます~。
4バックにしたけど、3バックでビルドアップしたいんでしょうね。3バックだと、ハーフスペースのいり口で自動的にプレーできますから。
フェルナンジーニョうんぬんというよりは、早い選手を起きたいので、コンパニとオタメンディがフェルナンジーニョの横でプレーするようになっているのかと推測されます。
更新再開、お待ちしておりました!
僕もスポナビ時代、らいかーるとさんがグアルディオラさんだった頃から欠かさず読んでいます。コメントは極少ですが…
歳のせいか最近深夜のサッカー観戦ができず(入場シーンだけしか記憶にない)、昔は週刊だったフットボリスタ誌が月刊になってしまたため、らいかーるとさんの記事が貴重な情報源となっています。これからも楽しみにしています!
スポナビ時代からと言われると、無条件で嬉しいものですね!!
今後もちょくちょく頑張ります!
シティ vs ナポリの更新を楽しみにしていたところ、なんとシティ全試合とは!!
(全試合ブログにするとはおっしゃっていないですが、そこはスルーwww)
私も今年は全部見ようと、今のところ全試合チェックしています。
こうやってブログを拝見させていただくと、自分の注目していたポイントが正しかったのか、
答え合わせをしているようで楽しいです。
ただただ強いシティですが、デブライネのエグさが増しています。
どこまで行くのでしょうか、、、
認知、判断(速さ&的確さ)、プレー精度、どれもすごい。
得点がもう少し伸びてほしいですが、それは求めすぎでしょうかね。
今シーズンもブログ楽しみにしております m(_ _)m
ええ、全試合は間違いなく不可能でしょう、これまでの行動から考えると。
答え合わせと言っていただくことは多いですが、恐縮です。むしろ、相違点を指摘していただけると助かります。でも、これだけ前の試合だと、忘却の彼方かもしれませんが。
デ・ブライネの進化はえぐいですね。全員デ・ブライネだったら、最強そうです。ドイツではトランジションマシーンだったのに、ポゼッションサッカーをヘて魔改造された印象を受けます。
みなさんと同じくスポナビから楽しく読ませて頂いてます(^^)
シティももちろん楽しみですが、バルサも時々お願いします(^人^)
ありがとうございます。
バルサもときどきやります!スアレスがどうなるか、楽しみです。