【第二節】マンチェスター・シティ対ハダースフィールド【三角形や菱形の破壊と再構築again】

マッチレポ×プレミアリーグ1819

いけいけ!僕らのマンチェスター・シティ。懐かしき枕詞だ。さて、今季のマンチェスター・シティは、泣く子も黙るデ・ブライネが負傷離脱。デ・ブライネの代役は誰になるか、どうなるか見てみよう!と欧州風にかまえていると、まさかのジェズスとアグエロの2トップを再開していた。昨年に大活躍をしていたオタメンディ、ウォーカーもスタメンではない。これは余裕なのか、序列が変更になったかは定かではないが、選手層のえぐさを見せつける格好となっているマンチェスター・シティだ。

ハダースフィールドについては情報がまるで入ってこない。開幕戦がチェルシー、そしてマンチェスター・シティという連戦になっている。日程くんもシビアな日程を組むものだ。確かに両チームともにボールを保持するチームかもしれない。だからといって、チェルシーとの試合がマンチェスター・シティとの試合の予行演習になる!なんてことはないだろう。というわけで、日程くんを恨むしかない。

マンチェスター・シティのポジショニング第一段階

[4-4-2]対策として、[3-1-4-2]はポピュラーな策だ。1列目の2トップで、[3-1]で行われるビルドアップを阻害することはなかなか難しい。ハダースフィールドは[2→1-1]で対応する約束になっているようだった。アンカー対策として、2トップを縦関係にすることもポピュラーな策と言えるだろう。大切なことは何を重視して何を捨てるかだ。ハダースフィールドはフェルナンジーニョを試合から消すことを優先するかわりに、マンチェスター・シティのセンターバックに時間とスペースを与えてしまうことを許すことを自ら選んだ。

マンチェスター・シティのポジショニング第二段階

ハダースフィールドにオープンな状態を許されたストーンズはボール前進の起点となっていた。ストーンズを起点とするマンチェスター・シティのポジショニングは図のようになることが多かった。シルバがアグエロとベルナルド・シウバの列を追い越していけば、菱形の形に変化する。この4つの頂点に対して、どのような配置でボール保持に対抗するか?という無理難題を突きつけられたハダースフィールドだった。

ハダースフィールドの守備のルールの中で、マンチェスター・シティの形に対抗すると、図のようになる。平たく言うと、圧縮だ。マンチェスター・シティは圧縮に対しては攻撃のやり直し(バックパス)、サイドチェンジで対応していた。特にラポルタからのサイドチェンジは頻繁に繰り返された。また、左サイドの攻撃の仕組みはメンディによる突撃→クロスの形が非常に多かった。緻密な右サイドに比べると、豪快な左サイドの攻撃と、その差異も相手からすれば非常に対応しにくいだろう。

右サイドで形成される形からの派生パターンは、選手の上下動がトリガーとなる。多く見られた動きはシルバの降りる動きだ。ストーンズからのパスラインを作るため、もしくは、相手から離れるためにシルバが列を下げていくと、その位置にアグエロが登場することが多い。まれに起こる現象としては、フェルナンジーニョやジェズスが頂点としての役割を果たすこともあれば、プラス1で五角形になることもある。特に出番の減ったようにみえるフェルナンジーニョだが、試合のテンポ、リズムを変化させるという点で、黒子の役割を果たしていた。

昨年までの形に近い、というか、どのチームもやっている形だ。ハーフスペースを起点に、外と中の2択で迫っていく。ただ、先程までの形と比べると、対応しやすいことがわかる。マンチェスター・シティの場合は、菱形、砂時計型三角形(頂点は4つ)、逆三角形をつくることを原則としている可能性が高い。その形に対して、相手がどのように対応してくるかで、自分たちのプレーの優先順位が決まってくるのではないだろうか。頂点が4つの形に対して、本気で止めに行くと、守備のバランスが壊れることが多い。つまり、極端な圧縮やマンマークはサイドチェンジや攻撃のやり直しを許してしまうことに繋がりやすいからだ。後半のハダースフィールドが1列目にストーンズたちへの対応をさせようと試みたが、その場合はもう片方のセンターバックがどうしても空いてしまう。よって、攻撃の方向を変えられてしまうと、かなり厳しい状況になっていた。ハーフスペース同士のパス交換は相手にとって不都合なプレーになることは実際に試してみてください。

菱形とか砂時計型三角形とか逆三角形とか

逆三角形は枚数さえ揃えれば、普通のゾーン・ディフェンスの約束事でも対応ができる。そのため、攻撃の起点をどのようにフリーにするかがもっとも重要となる。この位置の選手がフリーでなければ、そもそも攻撃が始まらない。そのために、マンチェスター・シティは三角形の頂点をくるくる入れ替えることが多かった。また、攻撃の起点となる選手を変更する(インサイドハーフやサイドバック、ときにはセンターバック)などで、相手の守備の基準点を乱すことも得意技としていた。インサイドハーフが攻撃の起点となる場合は三角形になることが多い。

で、頂点が4つになった場合だ。この形も3枚のゾーン・ディフェンスでなんとかできそうな気はする。しかし、トリガーの選手が狭いエリアでプレーができると、バランス型と大外隊の間のエリアでライン間ポジショニングを披露することもある。さらに、形の破壊と再構築が非常に厄介になっている。つまり、相手の守備がはまったときに大外隊とバランス型が攻撃の起点まで下りたり、トリガーの降りる動きにあわせて、大外隊が裏抜けしたり、ポジションチェンジしたりと多種多彩な変化を見せる。めんどくさいながらも一生懸命に対応していると、急に攻撃をやりなおしたり、サイドチェンジして、逆サイドから攻撃を仕掛けてくる。

ボール保持者を起点に頂点を4つが基本、ときどき三角形、もしくは五角形になる。時間がたつにつれて、選手の入れ替わり、オフ・ザ・ボールの動きが減ってくると、マンチェスター・シティの攻撃もかなり停滞していった。それでも6点をとった試合になったのだけど。なんとなくだけれど形を作って、相手を見てプレーするという感じ。相手の位置に合わせて形を作ることはビルドアップの準備だけれど、相手の陣地からは、自分たちの形を優先しているように見える。ミシャ式の5トップで、さあ、どうするの?みたいな問い。ただ、この形のままでもボールを前進させられる場合は、破壊と再構築は行われない。

ひとりごと

この試合の最初のゴールは、エデルソンのゴールキックに抜け出したアグエロであった。そして、その後のゴールは左サイドのメンディがほとんど絡んでいた。メンディのクロスは諸刃になりそうなんだけれど、現状はマンチェスター・シティの攻撃に迫力を加えている。なお、右サイドからのクロスはペナ角から必ず上げるようになっていた。ベルナルド・シウバが左足でクロスをあげるか、上がってきたストーンズがクロスをあげるか。おそらくはデザインされた形だと思うので、今後も注視していきたい。

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