【ハメスの生きる道】エバートン対リヴァプール【433か、451か】

2010年以来、リヴァプールに勝っていないらしいエヴァートン。勝つなら今日!と、首位でホームにリヴァプールを迎える。付け加えるならば、ハメス・ロドリゲスがとうとう居場所を見つけた!ということで話題になっているエヴァートン。

リヴァプールはチアゴ・アルカンタラがスタメンへ。アリソンの怪我、ファン・ダイクの相方問題に揺れている一方で、代表ウィークを挟んだことで、前節の大敗の影響はあるのか、ないのか。

守備で下がってくる下がってこない問題

「最初にスタメンはこちら」

「433の殴り合い。もちろん、志向するサッカーは違えど、誰が誰を見るべきかはっきりするかみ合わせとなった。」

「不安要素はこちら」

「果たしてハメス・ロドリゲスとリシャルソンはどのような守備の役割を背負っているのか。」

「裏返せば、リヴァプールのコンビも同じようなことは言えるんだけどな」

「さて、ハメスたちの役割を観察しようとすると、2分にリヴァプールが先制」

「まさに電光石火。この試合で何度も見られた右で作って左にボールを展開していく形。」

「この場面でリシャルソンは曖昧な場所にいて、ハメス・ロドリゲスは下がってこなかった。そして、時間のあるロバートソンにアシストを許す」

「リヴァプールが時間をかける場合は451になる場面もあるのだが、サイドチェンジのような速さのある攻撃にハメス・ロドリゲスがついていく場面は少なかった。どちらかといえば、リシャルソンのほうが守備意識は高かったように見える」

「二人が位置を入れ替わった場面でリシャルソンはナイスカバーリングでチームを救っていたからな。」

「ただ、ハメス・ロドリゲスは相手の右CBまでプレッシングをかける場面もよく見られた。なので、リシャルソンだけ下ろす形の442でプレッシングかなとも思ったのだが」

「だとすれば、451になる場面があるのはおかしいからよくわからんな」

「その後もリヴァプールペースで試合が進んでいくんだけど、10分にファン・ダイクが負傷交代。ジョー・ゴメスが登場する。」

「ここからカルバートが存在感を発揮していくのだけど、その前にリヴァプールの攻撃の迫力、というかペナルティエリアに簡単に迫っていく様子は継続していた。」

「原因はエヴァートンの守備にある。まあまあ下がってくるリシャルソンと、ときどき下がってくるハメス・ロドリゲス。こういうのは実に困るものだ」

「なぜに困るのだ」

「下がってこないと割り切るなら、4-3で守るという姿勢を見せることができる。もちろん、それで守りきれるかどうか?ということは話は別だ。例えば4-3で守るなら、多少はサイドを捨てる、でも中は固めるなどなど、それはそれでどのように守るか?という約束事は451と比べると変わってくる。しかし、ときどき下がってくる場合は、それをどのように計算するかが難しい」

「なるほど。だからスカスカだったわけか。リシャルソンが下がってこないなら、アンドレ・ゴメスが根性でスライドする。そうすれば、中が空く。中もスライドで消したら、逆サイドがあく。その位置にロバートソン強襲か」

「つまり、スカスカの理由は、451で守っているつもりなんだけど、実際は43で451の守備タスクを実行している感じやな。

「さらに罠があって、ヘンダーソンがサイドに流れる。アーノルドはちょっと自陣に控えると、リシャルソンは下がるべきか、より悩むからな。さらに、中にサラーとマネはやはり相手からすれば怖いやろ。」

ハメス・ロドリゲスの生きる道

「時間軸は少しずれるけれど、ファン・ダイクの負傷でリヴァプールは10人で試合をすすめる時間があった。その時間にエヴァートンはボールを保持することができた。ちょっとだけだけど、この時間は大きかったと思う。メンタル的に」

「で、ジョー・ゴメスが登場して15分すぎからハメス・ロドリゲスが仕事をするようになる。」

「ハメス・ロドリゲスの位置は右ウイング。ファンタジスタの使い方としては間違いがない。さらに、ドゥクレが広範囲を動き回る。メッシのために走り回るラキティッチを思い出してほしい。ハメス・ロドリゲスが下がれば追い越す動きを繰り返していた」

「特にトランジションでハメス・ロドリゲスを探すエバートンという動きが目立っていたな。ハメス・ロドリゲスも曖昧な立ち位置で相手からフリーになっていた。守備をサボっていたとも言えるけど、この辺りはトレード・オフだな」

「そのためのドゥクレとアランなのかもしれないしな」

「そんなハメス・ロドリゲスのファンタジーなプレーからのセットプレーで、エヴァートンが同点に追いつく」

「ハメス・ロドリゲスにボールを届ける仕組みをさらに見ていくと、地上戦、トランジション、そして、最後が空中戦のこぼれ球だった。エヴァートンはロングボールによる前進でカルバートが存在感増しましだった。そして、そのセカンドボールを拾うハメス・ロドリゲス」

「多種多彩だな」

「後半になると、エヴァートンが準備していたビルドアップをするようになる。外切りのウイングの上を通したり、3トップのギャップでインサイドハーフの選手がボールを受けてサイドバックに前向きでボールを渡したり」

「腹をくくった部分もあるだろうけど、リヴァプールのプレッシングが少し緩まったのもその影響だろうな。リヴァプールからすれば、プレッシングをかければ、カルバートに放り込まれるから非常に悩ましいところで」

「前半も時間がたつと、速さよりもボールを保持して、という部分がリヴァプールも目立っていたもんな。別に悪いことではないけれど」

「そんな正面衝突な気配だったけれど、ハメス・ロドリゲスとリシャルソンの守備の役割はそんなに変わらなかったな。ハメス・ロドリゲスが気まぐれなのかもしれないけれど。」

「アランとドゥクレは腹をくくっていたようにみえたけれどな。マネから奪えば、ハメス・ロドリゲスにすぐにボールを届けられるわけで」

「エヴァートンは自分たちでボールを運べるようにもなり、前半よりもハメス・ロドリゲスの一撃の回数が増えていったけれど、リヴァプールも別に悪くなかったからな。そして、相手のクリアーミスをサラーがダイレクトで決める。ダイレクトで打つ、という判断が素晴らしい。」

「これで試合は終わったかと思ったが、ハメス・ロドリゲスがまた仕事をする。後半からチャレンジしていたビルドアップから中央でボールを引き出すハメス・ロドリゲス。そして、ハメス・ロドリゲスのからのスペースのパスを受けたディニュのクロスをカルバートがヘディングでズドン」

「エヴァートンからすれば、後半のチャレンジが報われた瞬間だった。リヴァプールからすれば、アーノルドがあっさりとおいていかれたのはちょっと切なかったな」

「ただ、それまでもリヴァプールのチャンスは多かったのだが、ピックフォードがなかなかえぐかった。そして、最後のゴールは際どい判定で取り消されたリヴァプール」

「そして試合は終了。リシャルソンの退場ありとVARでゴール取り消しと、すったもんだがある試合だったが、2-2の引き分けで試合は終了した。」

ひとりごと

ヘンダーソンのサイド流れが本当にしぶかった。なお、2点目はヘンダーソンからだった気がする。

後半のチアゴ・アルカンタラはファビーニョと仕事を奪い合っているように見えた。ただ、ファビーニョほど中央で相手を潰せる感じはしないので、どのように役割を分担するか。ただ、この試合のチアゴ・アルカンタラは得意のあっちむいてホイパスで時間と空間を個人で作り出しまくっていた。幻のゴールの起点もチアゴ・アルカンタラ。また、トランジションでもボールを奪いに奪っていたように覚えている。

後半にボールを触れるようになったハメス・ロドリゲスのサイドチェンジが前半のリヴァプールの仕組みの裏返しみたいで面白かった。ハメス・ロドリゲスが下がらないエリアを使うなら、俺達はサラーの下がらないエリアを使うぜ、みたいな。こういう意趣返しはなかなか面白い。

さて、試合を振り返ると、やはりリヴァプールは強い。ボール保持からの攻撃で一気にボールを進められるチアゴ・アルカンタラの存在感は大きい。ただ、プレーエリアが低い。ヘンダーソンと比べると、役割も違いすぎる。その差異を他の選手でどのように埋めるかは課題になりそうだが、このチームに伸びしろがあると考えると、恐ろしいものがある。

エヴァートンはカルバートがすごかった。久々にスケールの大きな選手が出てきたと思うお。もう少しファン・ダイクとやりあってほしかった。そして、居場所を見つけたハメス・ロドリゲスはこのまま元気に頑張ってほしい。

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