~ポルトガル代表の仕組みについて~ポルトガル対イングランド代表(U21欧州選手権)

U21欧州選手権

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大人の事情でイギリス代表が結成されたのは今は昔。今回はイギリス代表は組みません!よって、イングランドはオリンピックへの出場権を得ることができませんでした。よって、今大会に勝ち抜いても出場権は得られません。なんてこった!?となりそうですが、それが日常だったイングランド。さらに、U21の本大会に出場できたのは久々というわけで、そんなのかんけーねーとばかりに気合十分。しかし、フル代表にメンバーをとられ、ケインと愉快な仲間たちという状況になってます。

ポルトガル代表はフル代表の経験者が多数いるようです。さらに、どこかでみたことある選手が多数。恐らく、欧州サッカー全般をフォローしている人からすればお馴染みのメンバーがそろっているのではないでしょうか。でも、吾輩はフォローしていないので、知っているのはウィリアム・カウバーリョとベルナルドくらい。残念。

で、今回は趣向を変えてお送りいたします。

■ポルトガル代表のゲームデザイン

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普通に考えると、このようなマッチアップになります。数的不均衡エリアが中央に生まれるので、どのように対応するかをイングランドは考える必要があります。話をポルトガルに移すと、イングランドのサイドハーフとセントラルハーフのエリアを狙い撃ちにするのが定石になりつつあります。もう定石といっていいかもしれません。

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定石の形がこちら。誰がボールを供給するかは考慮していません。アンカーの選手だったり、アラバロールのサイドバックだったり、アンカー落としの3バック変化からのセンターバックだったりします。サイドチェンジをしながら、楔のボールを入れる機会を伺います。もしも、相手が中央密集ならサイドからボールを運びます。サイドからボールを運べば、相手はサイドによってくるので、スライドのずれを狙います。しかし、ポルトガル代表はあるチームを参考にしているかのような仕組みを持っていました。

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最初から選手を配置しています。しかし、この形では横幅をとる選手がいません。よって、イングランドはとにかく中央密集すれば守りきれるはずです。よって、問題は横幅を確保することで、相手のサイドハーフやサイドバックの選手をけん制する役割は誰が担うか?になります。

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インサイドハーフがサイドに流れます。相手のサイドハーフの背中を取ることで、攻撃の横幅隊になります。この動きによって、局地的な数的優位が発生します。相手のサイドハーフの対応によって、ボール保持者はどのパスラインからボールを運ぶのかを決定します。サイドに流れたインサイドハーフに預けるのか、それとも、相手の隙間で待っているウイングに預けるのか。

悩ましいのがウォードのポジショニングです。インサイドハーフについていくと、前線へのパスコースが空いてしまいます。しかし、サイドに移動しなければ、サイドハーフが数的不利のなかで疲弊してきます。

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サイドに移動すれば、ベルナルドたちの出番です。もともとベルナルドはトップ下の選手のようで、かなり自由に動きまわっていました。エウゼビオ以降、センターフォワードが生まれてこないポルトガルの解答が上記のような形になったのかもしれません。インサイドハーフがサイドに流れる→相手のセントラルハーフが必要以上にサイドにひっぱられることで生まれたスペースを狙っています。チャロパが中央に絞ってくれば、焦らずにサイドチェンジで仕掛けていきます。その動きもすでにイレギュラーなのがポイントです。

インサイドハーフに相手のセントラルハーフがべたつきになったときに、2人のインサイドハーフが離れていく→相手がついてくる→空いたスペースにセンターフォワードを落としてくる形も徐々に定石になりつつありますが、その亜種がポルトガル代表と言えるかもしれません。なお、ベルナルドがサイドに流れることもあり、そのときは周りの選手がポジションを調整します。横幅を取る人、相手の隙間でプレーする人の役割が固定されずに流動的に変化することもあるので、守備の基準点をぼやけさせる利点があります。

ちなみに、イングランドはオーソドックススタイルでした。ポルトガルの守備がドルトムントの4-3-3を彷彿とさせ、イングランドのサイドバックの攻撃参加にまったく対応できていなかったので、イングランドもかなりチャンスを掴んでいました。しかし、シュートは正面へ。ポルトガルはボールを前進させることは容易に行えたのですが、4-4で自陣に撤退するイングランドに四苦八苦。しかし、先制に成功すると、あとは逃げ切りに成功します。

オリンピック出場権の存在はやっぱりそんなのかんけーねーみたいで、イングランドが勝利してもおかしくない試合でした。しっかり守ってスピードあふれるカウンター。サイドバックの攻撃参加で相手の泣き所をつく。ポルトガルはセットオフェンスにこだわりがあるようで、自分たちの型から相手を苦しめ続けました。スコアレスなら疲れのたまる試合になったのでしょうが、無事に先制できて、一安心でしょうか。

このグループリーグの相手がイタリアとスウェーデンなので、残りの試合もなかなか楽しめそうです。

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