【真の対決はセカンド・レグに持ち越し】バイエルン対ベンフィカ

マッチレポ1516×チャンピオンズ・リーグ

チャンピオンズ・リーグのクォーター・ファイナル。日本語で言うと、準々決勝。ユベントスの死闘を乗り越えたバイエルンを待ち構えていたのはベンフィカであった。

バイエルンのスタメンは、ノイアー、ベルナト、アラバ、キミッヒ、ラーム、ビダル、チアゴ・アルカンタラ、ミュラー、リベリ、ドグラス・コスタ、レヴァンドフスキ。怪我人が多数いたことが日常になっていたバイエルン。ベンチには、ハビ・マルティネス、ラフィーニャ、シャビ・アロンソ、ゲッツェ、ローデ、コマンと役者が揃いつつある。ロッベンはいない。

ベンフィカのスタメンは、エデルソン、エリセウ、ジャルデウ、リンデロフ、アンドレ・アルメイダ、レナト・サンチェス、フェイサ、ピッツィ、ガイタン、ジョナス、ミトログル。国内リーグでも好調のベンフィカ。元バレンシアのジョナスが大ブレイクしているらしい。チーム選びは大事というジョナスの事例。ベスト8からはまた次元の違うレベルに突入すると考えているので、ベンフィカがどのように振る舞えるか。なお、胸スポがフライエミレーツ、サプライヤーはアディダス、色は白なので、ベンフィカのユニフォームがレアル・マドリーに見えてしょうがない。

深さが足りないバイエルン

ベンフィカのボールを保持していないときのシステムは、4-4-2。ハーフライン付近に1列目を設定。ただし、1列目のミトログルとジョナスは懸命に相手を追いかけ回すことはしないので、バイエルンは簡単にボールを保持することはできていた。効果的にボールを相手陣地に前進できるかどうかは、また別のお話。

2分にバイエルンが先制。相手のサイドバックをレヴァンドフスキでつって、リベリに時間を与える。リベリがボールを持つと走り抜けるベルナト。リベリは中に切れ込むんで、最終的にボールはベルナト。ベルナトのクロスに飛び込んだのはヴィダルだった。レヴァンドフスキを相手のサイドバックの位置において、サイドに張っているウイング(リベリ、ドグラス・コスタ)に時間を与える狙い(相手のサイドバックはレヴァンドフスキを見なければならぬ状態)を何度もこの後も行うバイエルン。このオトリの動きはミュラーでも代用していた。ベンフィカのシステムが4-4-2の中央圧縮だったこともあって、序盤からサイドチェンジを多用するバイエルン。さらに、ボールを受けるウイングに時間を与えられるような仕組みを準備してきていた。

バイエルンのビルドアップの形は、ヴィダルがセンターバックの間に降りる。ラームとチアゴ・アルカンタラがセンターバックの前に配置されていた。ただし、ベンフィカはボールを奪うよりも、ボールの前進を阻むことを優先していたので、この形だから相手のプレッシングを受けないということは特になかった。

序盤のベンフィカは、サイドバックのカバーリングをサイドハーフが行なう。サイドバックとセンターバックの間にサイドハーフを落とすことで、センターバックを中央から動かさない。カバーリングとしては問題ないがこの仕組みには弱点がある。バイエルンはサイドに3人目の選手(チアゴ・アルカンタラ)が後方のサポートに来ると、相手の仕組み(サイドハーフがカバーリングをしているから)でどうしても発生してしまうサイドバックの前のスペースを使われてしまう。そのエリアでチアゴ・アルカンタラたちにボールを受けられるよりは、センターバックを動かさないことと、バイエルンのウイングに対して数的優位で対応することを優先したベンフィカ。チアゴ・アルカンタラのループパスからミュラーのボレーの場面はこのエリアを使われていた。

バイエルンの攻撃の起点は、ベンフィカの1列目の脇エリアからチアゴ・アルカンタラ。逆の脇エリアからはラーム。1列目が追わないので、チアゴ・アルカンタラはかなり自由に振る舞うことができていた。

このままだとやばそうな雰囲気のベンフィカ。20分が過ぎると、守備の形に変化が見られる。サイドハーフが1列目の脇のエリアからの起点をポジショニングで制限するようになる。その代わりに、サイドにはボールが出てしまうのだが、高速スライドで何とか対応する。また、サイドバックの前のエリアには1列目の選手のサポート(主にジョナス)が出てくることで守備の穴を順々に塞いでいった。

 

守備がゆっくりと改善されたことと相まって、ベンフィカは徐々に自分たちがボールを保持する時間を長くしていく。センターバックでかなりの距離の横幅を確保することが特徴のビルドアップ。でも、無理はしない。レナト・サンチェスのフィジカルを活かしたキープがバイエルンにとって厄介な存在になりつつあった。また、時折見せる積極的な相手陣地からのプレッシングが、バイエルンのボール保持の精度を落としていった。

バイエルンやバルセロナは、ボールを一秒でも速く奪い返すために、キーパーまでプレッシングをかけることが多い。さらに、そのプレッシングの位置に合わせて全体も連動する。その論理を利用して、キーパーまでボールを下げる→相手の3ラインを引き寄せてからのロングボールはボディブローのようにきいてくる。特にバイエルンの3列目は背の高い選手がいないので、相手にとって優位になることが多い。この方法をベンフィカも行っていた。

相手の状況に応じて、ベンフィカはロングボールを蹴るのか、ショートパスで繋いでいくのかの判断が秀逸だった。また、ロングボールに飛び込んでくるミトログルの対応をバイエルンのアラバ、キミッヒは何とか対応していく。しかし、空中戦という優位性を活かされるとやはり苦しい場面もちらほら。バイエルンの攻撃を眺めていると、じっとしいている相手をなかなかおびき出せない。横幅はウイングが備えているけれど、相手が出てこないこともあって深さを有効に使えていなかった。

ファーストレグゆえの大人しさか

後半が始まると、ベンフィカは守備の仕組みをマイナーチェンジする。序盤に見られたサイドでの一対一を防ぐための仕組みを徹底してきたことがベンフィカの健闘の主要因と言えるだろう。

序盤のベンフィカは相手の動きにつられて、バイエルンのウイングをフリーにする場面が多かった。その後はサイドハーフとサイドバックのカバーリングで対応するように変化する。そして、サイドバックの前のスペースをジョナス頑張れで対応する。後半になると、サイドハーフとサイドバックで挟み込む場面が増えていく。サイドバックとセンターバックの間のエリアにはセントラルハーフを落とすことで対応。守備の役割を変えることで、自分たちが相手に与えてしまうスペースを相手に絞らせない狙いもあるのだと思う。

バイエルンはロングボールとコンビネーションで相手の裏を狙うプレーが増えていくが、ことごとくオフサイドに引っかかってしまっていた。また、サイドをヘルプするためのオーバーラップを控えめになり、相手が与えてくれるスペースを狙い撃ちにすることもなかった。ファーストレグということもあって、極端に攻撃に出る(ユベントス戦のように)必要もなかったし、リスクを冒す必要もないということだったのだろう。グアルディオラの采配も最初はキミッヒ→ハビ・マルティネス。相手のロングボールへの対応であった。

大人しめのバイエルンとは打って変わって、ベンフィカはときおり急に攻撃的になる。ロングボールとショートパスを織り交ぜた攻撃(だいたいはロングボール)によって、陣地を回復する。そして、バイエルン陣地で試合を展開することができれば問題なし。バイエルンが縦に急ぐ気配もなかったこともあって、カウンターの警戒をそこまでする必要がなかったこともベンフィカを助けていた。そんなジョナスのもたらした決定機はノイアーが防ぐ。そしてその後にはサイドからのクロスでハビ・マルティネスの気合の入ったブロックで事なきを得る。

このままではちょっとやばいバイエルン。コマンを入れるが、そこまで影響はなし。というよりは、ベンフィカも追加点を入れられたらセカンドレグがきつくなるので、ゆっくりとおとなしくなっていく。すると、バイエルンが2点目を目指すようになり、最後にはゲッツェが登場。リベリの個人技やビダルのスルーパスなど決定機を作っていくが、残念ながらスコアは動かず。試合は1-0のまま、終了。セカンドレグをホームで戦えるベンフィカにもチャンスが残る結果となった。でも、ジョナスは累積で出られないけれど。

ひとりごと

セカンドレグもベンフィカはしっかりと守備をしながら、どこかで一気呵成に攻撃を仕掛けてくるに違いない。そんな状況になる前に、バイエルンがベンフィカの守備を自分たちの論理で崩せるかどうかが鍵になりそうセカンドレグ。そして、ベンフィカのレナト・サンチェスがなかなか素晴らしかった。ビッククラブも注目する逸材のようなので、EUROでの活躍が楽しみだ。選ばれればだけども。ちなみに97年生まれ。

バイエルンの攻撃にいつもらしさがなかったことが疲労からくるのか、意図的なものなのかはかなり気になる。もしも、前者だったらなかなか危うい。たぶん、両方が重なりあって、スコアや試合の状況を考慮してということなんだろうけど。

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