EURO2016の簡単なプレビュー

EURO2016

さて、とうとうEURO2016が始まる。場所はフランス。参加チーム数を24に増やしたこともあって、見慣れない国々が参加している。その一方で、参加するハードルは下がったのに、なぜ予選を突破できなかったのか?という面々もちらほら。もしかしたら、出場権のハードルが下がったことで、今まではお客さんのように参加していた国々が、ちょっと頑張ればEUROの本大会に出られるかもしれないという希望を胸にいだいたことによって、今までにない力を発揮したのかもしれない。お客さんのように参加していた国々現象は、本大会でもよく見られてきた歴史がある。しかし、今回のレギュレーションでは、グループリーグが3位でも、ファイナルラウンドにすすめる可能性がある。4チーム中、3位でも、上に進むことができる現実は、多くのチームに希望を与え、その希望は力となってピッチの上に姿を表わすかもしれない。

スカウティングと選手交代などの采配に注目

クラブチームに比べると、代表チームの強度は下がる傾向にある。世界選抜のようなクラブチームが、日常を一緒に過ごせば、代表チームより質が高くなることは当然の理と言えるだろう。ただし、代表チームの活動が点であること、その誇りを胸に誓って試合に臨むことから、運動量という面では、クラブチームを凌駕することは、多々見られる。よって、90分間のハイプレッシングは不可能だと叫ばれている一方で、代表チームだとそれが可能になることもある。レアル・マドリーの前線がときどき守備をするように、そのときどきが代表戦に値する。つまり、すべての試合がクラシコなみの気迫によって支えられているということは間違いないだろう。

しかし、気迫だけで相手に勝つことは難しい。自分たちの型を相手に適応させて殴り続けても、強度不足から得点に辿りつけないこともしばしば起きるだろう。よって、代表チームのクラブチーム化は進む。ユニットを同じクラブで組んだり、クラブチームのプレーモデルを代表にそのまま活用したり、代表チームをクラブチームと同化させるような選手選考するチームが増えてきている。クラブチームの力、発想をかりることによって、クラブチームの強度に見劣りしない質を手に入れるようとする。それでも餅は餅屋。メッシ、ネイマール、スアレスが得点を決められなかったらしょうがないよね?とはならない。これらの試合はチャンピオンズ・リーグのファイナルに匹敵する重要度がある。

そんな強度不足を補うのが、試合中の采配にあたる。言い方を悪くすれば、監督の小細工で試合の行く末が決まることが多い。強度不足ゆえに、試合中の変更が、ピッチの上で繰り広げられている現象に大きな影響を与える。どのようなシステムで戦うか。相手の流れを破壊するためにスーパーサブはいるか。選手交代なしで自分たちの攻守の型を変更できるか。正しさの前に、見たことのないシステムに手をだすことができるか。

そして、同じくらい大切になってくることがスカウティングだ。相手の強度が高くないとすれば、その長所を封じ込めることは決して困難ではない。ようするに、どれだけ相手のことを意識した準備をするかが重要になってくる。もちろん、相手に準備させないために手の内を隠すことも大事だろう。しかし、本大会が始まれば四の五の言わずに手の内を明かしながら戦うしか無い。つまり、スタッフの面々は、眠れない日々を過ごすことになるだろう。3位までグループリーグ突破の可能性が残るレギュレーションは、最終節まで何かがかかった試合を、間違いなく提供してくれることになるだろう。

注目の国について

プレミアリーグ最強説は今は昔。イングランド代表の低空飛行は、プレミアリーグ最強説の間も続いてきた。プレミアリーグのいわゆる強豪にイングランド人が少ないので、しょうがない。リーグと代表チームの強さが決して比例関係にないことの代表例として、イングランド代表は挙げられてきた。しかし、スパーズの躍進によって、歴史は変わりつつある。デレ・アリ、ダイアー、ケインたちが何をもたらすかは注目が集まっているだろう。本当の勝負は二年後のワールドカップになりそうだが。また、ホジソンの元で、どのようなシステムをどのように機能させるかについては、不安で一杯だ。

二連覇中のスペイン代表。注目はセスク、イニエスタ、ブスケツが中盤でコンビを組むかどうか。セスクのバルセロナでのやり直しがまさか代表で見られるとは思わなかった。マドリードのクラブチームがいくら結果を残そうが、スペイン代表の基本モデルはバルセロナ。メッシがいなければ、バルセロナのサッカーは成り立たないという言説をひっくり返し続けてきたスペイン代表。ブラジルでの出来事をあれは不幸な事故だったことを証明するために、まさかの三連覇に臨む。ちなみに、吾輩の中で大本命です。

マリオ・ゴメス、ポドルスキー、シュールレ。前者の二名はトルコリーグで活躍したらしい。申し訳ないが、今季のシュールレに良い記憶はない。トルコリーグでの活躍が代表チーム選出に値するかは判断できないが、他に誰かいないのか?という気持ちにさせるドイツ代表の選出だ。また、スペイン代表にフルボッコにされ続けた過去を持つ。グアルディオラのバイエルン就任によって、そのメソッドを吸収したかのように見えたが、レーヴさんはそれを否定。でも、予選ではゲッツェのゼロトップを行なうなど、なんだかよくわからない雰囲気。絶対的に強いのはよくわかっているんだけど、最近のドイツ礼賛ほどの内容、結果を残せているのかなあと疑問なのであります。今回でぐうの音も出ないほどの結果と内容を出したら、ドイツ礼賛になっても間違いないんだろうけど。

注目の選手について

クロアチア代表、モドリッチ。スペインとの再戦。監督がなんとなく頼りなさそうなので、選手たちでどうにかしないといけない環境は地獄。ただし、それでも、モドリッチなら1人で何とかしてくれそうな雰囲気がある。それにしても、優秀な中盤の選手が多いクロアチア。旧ユーゴの意地を見せてほしいけれど、采配などが本当に不安で一杯。

スイス代表、グラニト・シャカ。なお、弟がアルバニア代表にいる。アーセナルへの移籍を決めたシャカ。試合を作れてミドルシュートも打てる万能型。アーセナルでは、カソルラ仕事に専念するのではないかと思う。ダークホースになりそうなスイス代表の心臓として、どこまでブレイクできるか期待。

ウェールズ代表、ジョー・アレン。懐かしのスウォンジー代表。シャビにも例えられたジョー・アレンは、ワイルドな風貌に変身。リバプールで何があったのか。ラムジー、ベイルにボールを繋いでいく仕事を黙々とこなすジョー・アレンがウェールズの生命線になりそう。なお、今季のベイルはクリスチャーノ・ロナウドよりも凄まじいパフォーマンスを見せていたので、EUROでも超ブレイクを期待している。

ドイツ代表、ユリアン・ドラクスラー。ポドルスキーのキャップ数が127。歴代3位。まじかと。そんなポドルスキーからスタメンを奪ってほしいドラクスラー。チャンピオンズ・リーグでプチブレイクしたけれど、レアル・マドリーに撃沈。怪我などで世界的なブレイクから遠ざかっているが、エジル、ロイスなどど比べても劣らない逸材。なぜヴォルフスブルクに移籍したのかは謎だが、代表で確固たる地位を築いてほしい。でも、ポドルスキーの活躍もちょっと見たい。

チェコ代表、ロシツキー。アーセナルで試合に出ていなかったような気がするが、EUROは問題ないらしい。。下手したらラストダンスになる。グループDは、スペイン、クロアチア、トルコと強豪が揃っている。わけのわからない相手と対峙して最期を迎えるよりは、よっぽどましだろう。モドリッチがスペイン相手に見せたように、たったひとりで相手を倒すつもりか、、え?まじで?!本気だったのか!みたいなプレーを見せてほしい。

トルコ代表、ハカン・チャルハノール。名手、中村俊輔、ミハイロビッチの後を継ぎそうなフリーキックの名手。湘南界隈で注目を集めているレバークーゼンの中心選手。監督がテリム、というところに歴史を感じるが、選手がドイツに帰化しまくっていた過去は今は昔。マリもチームに合流し、かつてのミラクルターキーを再現する準備は整っている。ただし、ブラク・ユルマズが中国に移籍していて、なおかつ調子を落としているらしい。

ベルギー代表、ウィルモッツ。ベルギー代表の不安要素が監督。たぶん、今までどおりにいつのまにか敗退してしまうのだろう。

アイルランド代表、ウォルターズとシェーン・ロング。2002年の生き残りがいることもにくい。マーティン・オニールも不気味で、愚直に壁を殴り続け、いつか壁を崩せることを信じ続けるその姿勢は一見の価値がある。ウォルターズという名前が、何よりもずるい。

きりがないので、このあたりで。

ひとりごと

本日の深夜からとうとうEUROが始まります。51試合を見ることは物理的に不可能だけれど、できるかぎりはみたいなーと考えております。ハリルホジッチが言っていたように、海外では何が起きているか。クラブチームでなく、代表チームで何が起きているかを知るにはうってつけのEURO。チーム数が増えたことで、今までよりも多くのチームについて知ることができるのは、かえって幸運だったのかなと。最後に予想を乗っけておきます。

優勝:スペイン

ベスト4:スペイン、ドイツ、オーストリア、イタリア

得点王:トーマス・ミュラー

期待を裏切りそうなチーム:ベルギー、ポルトガル

ダークホース:オーストリア、ウェールズ、アイルランド、アルバニア

ではまた。

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