【第三節】Jリーグ短観シリーズ【湘南ベルマーレ対浦和レッズ、アビスパ福岡対川崎フロンターレ、柏レイソル対セレッソ大阪】

J2025

はじめに

時空を曲げないために、このタイミングで更新だ!となるわけです。時空を曲げるとは、第三節が終わったのに第二節を観ることを意味しています。とあるチームを研究するために時空を曲げることはありですが、そうでもないのに時空を曲げることはあまり好きではありません。これも何の話だろうか。なお、今年は浦和レッズの試合はできるかぎり優先しようと思います。たぶん、自分はシーズンを通じて特定のチームのリーグ戦を全試合観たことは、多分ありません。地元のチームなので、結果は気になるんですよね。あとは新監督のチームを優先的に観て、そろそろ昇格組に手をつけようと企んでいます。

湘南ベルマーレ対浦和レッズ

今季の注目チームこと湘南が、まさかの3連勝で首位です。さすがにできすぎだぜ!感はありますが、田中聡が抜けただけで移籍マーケットでの振る舞いが終わったときにはめっちゃ驚いた記憶が。チームとして特殊といえば、特殊なことをしている感もあるので、そういう部分が選手への評価に繋がらなかったのかどうか。大事なことですが、「自分たちのサッカー」に自信があるときってチームは強いですよね。盲信になっちゃうとチームは崩壊しちゃいますけど。

神戸戦で見せたように、湘南の配置に対して対応する浦和レッズが観たかったものの、京都サンガ戦から少し全体のラインは下がった感があります。話を飛ばすと、後半の頭からグスタフソン→原口が登場するんですよ。たぶん、意図としては残り45分なら片道燃料でチームの士気を高めるためにプレッシングに原口なら奔走してくれるに違いない、みたいな。その突撃兵みたいな役回りがレジェンドになろうとする原口なんかいと驚きました。若手、何してんねん、みたいな。ちなみに、その無理矢理の解決策は嫌いではないです。

そもそもなんでラインが下がったの?となると、最近の流行りである相手のビルドアップ隊を放置したらロングボールで裏を取られて失点したでござる、みたいな状況を避けるためだと思うんですよ。このあたりはドイツワールドカップから続く日本の伝統芸なので、開幕戦でみせたアルビレックス新潟の狂気のように、できるできないは置いておいてやるべきことを完遂することを目指して欲しいものです。負け方とか死に方って大事なんですね。

浦和レッズからすれば、【433】への可変からの裏抜けがチームのキーになりそうで、それを実現してくれそうな渡邊凌磨がいなくても安居に根性でやらせるのも策ですが、グスタフソンの登場とともに霧散していました。この試合の後半では松本泰志に渡邊凌磨役をやらせることで、開幕戦のやり直しとなったわけですが、こっちのほうがしっくりくると、スコルジャ監督は評価していそうな予感です。でも、過去に安居にトップ下やらせてませんでしたっけ。グスタフソンが最初からアンカーでもいいような。そういうサッカーは終わったんでしょうね。

試合の流れが変わったのは相手が明らかに自陣にひいて、浦和のビルドアップ問題が解決してからです。正確にいえば、問題が解決したというより、相手が撤退したので、問題がなくなったという感じ。中島翔哉の登場も含めて、昨年の懐かしい景色になったけれど、ゴールには届かずみたいな。

湘南ベルマーレはいつもどおりだったので、特にありません。いつも通りでなんで勝てるんだ?と内容を引き寄せられるんだ!と言うと、湘南ベルマーレは配置が固定的ではないことが大きいです。【3142】を維持することなく、めくるめく選手が登場します。ゴールキックでは、キム・ミンテが中盤に紛れますし、両CBはワンツーでどんどん攻撃参加しますし、WBはサイドの高い位置にいたり、低い位置にいたりしますし、サイドが空っぽならインサイドの選手はサイドに流れまくりますし、空いた中盤にはツートップの選手が降りてきますし。

このあたりの味方の立ち位置を観てバランスを調整すること、移動した先でも個性を発揮できる選手が多いので、齟齬が生まれません。それは強い。で、上記のことをやる、やらないの選択肢があるなかで、湘南ベルマーレはピッチに生きていて、これに対応することは少し難しい。完全なるゾーンディフェンスでどうなる?と観たいところだったのですが、チームスコルジャは無理でしたという試合となりましたとさ。湘南ベルマーレの【3142】が【442】殺しだったことを思いだす今日このごろです。懐かしいコンテ式。

アビスパ福岡対川崎フロンターレ

ミョンヒ監督が抜けて苦労していそうな町田を尻目に、アビスパ福岡もなんだかよくわからない状況になっています。3バックに変更し、アビスパ福岡らしい絵面になりましたが、試合内容が好転したか?というとそんなこともなく。

ミョンヒ監督の印象は、やはりあのときのサガン鳥栖。怒られるかもしれないけど、へんてこな可変式と根性でボール保持を成立させ、林大地と山下のいかつい2トップは記憶に新しい。あのときは輝かしい未来が待っていると誰もが確信した中野くんはどうしてこうなった。なので、ミョンヒ監督からすると、3バックはお手の物なんだろうと。昨年の町田もボール保持では少しやってましたもんね。

ただ、アビスパ福岡の3バックはノーマルな印象が強く。確かに見木と秋野がいたらどうにかなるか感はあります。その前に名古もいるし。なお、名古は鹿島に残っていたら小池の役回りになったに違いない。その役回りに疲れたから移籍したのかもしれないけれども。

活躍していたのはベンカリファ。広島時代もいい選手だなと思ったことを思い出した瞬間。ついでに点も決めるのだから万全のでき。ただし、チームとしてはボール保持も非保持もあんまり機能せず。なんで?というと、ボール保持は再現性があまりになさすぎるというか、選手同士で同じ絵を描けていない問題。それでも、見木、秋野、名古のイメージが一致すると、突然にボールが回るのだけどあくまでイレギュラー。監督の仕事はイレギュラーをレギュラーにすることです派閥なので、まだまだ先は長いですね。

プレッシングに関しても以下同文。前線がプレッシングにいっても後ろが出てこないのか、前線が暴走しているのか、前線が後ろを確認していないからだめなのかはチームの約束事による。できないものはできないので、早々に撤退風味に切り替えたのはさすが。というわけで、川崎フロンターレのボールを保持する展開が目立っていった。

今季からボールを失うことに負い目がなくなった川崎フロンターレはボールを蹴っ飛ばすこともあれば地上戦でボールを運ぶことも。ロングボールを交えながらビルドアップ隊をオープンにして、マルシーニョや特に脇坂へのパスラインを創出するためにセントラルハーフは立ち位置を変えながら自分もあわよくばビルドアップの出口となることが基本形だろうか。ウイングが必ずしもサイドにはるわけではなく、サイドバックの攻撃参加は頻繁に行われるので、バランスは保たれている。

家長の出張も頻度は少なくなったかもしれないけれど、活発に行われている。ボール保持に関しては、特に明確な原則がないのかもしれない。今までの目に移してきた景色を再利用しているというか。ボール非保持の整備をし、ボールを失うことを恐れないロングボールもどんどん出していこうぜが、最初の段階かゴールなのかはどうなるか観てみよう案件。

記憶が正しければ、なんてことのないファウルで与えたフリーキックから川崎フロンターレが追いつく。三浦の左足の精度がえげつないことになっているのでどのように止めたらいいのか。後半に岩崎が登場するけど、紺野の登場とともにハイプレに移行する奇策にでて、川崎フロンターレのゴールに迫れるようになる。

無秩序の誘いに川崎フロンターレも乗る形となり、お互いが殴り合いへ。川崎フロンターレもエリソンと伊藤をピッチに送り、殴り合いは加速していった。オープンな殴り合いになると守備はどちらかといえば、人への意識が強くなる。組織も何もないからだ。でも、試合が突然に落ち着く形になると、突然に組織で守る羽目になる。だから、勢いが大事で目の前の選手からボールを奪いに行くと、後ろが連動しないこともしばしば。そんな失点場面であった。やはり後ろの選手を観ながら守備をすべきなのだろう。現実に則すためにも。そういう意味では前半からつながっていると言えるのか。

柏レイソル対セレッソ大阪

柏レイソルが華麗なゴールを決めたことを呟いたら、サッカーメディアに補足されたでござる。

開幕戦でダービーに勝ったけれど、その後は少し困っているセレッソ。でも、相手が絶好調の湘南ベルマーレと今回の柏レイソルでは少し相手が悪いと考えてもむべなるかな。もちろん、俺達の目標は優勝なんだぜ!と高い志があるなら話は別だけれども。

セレッソ大阪は試合を通じてハイテンション。ポステコグルーといえば、ポステグルー。柏レイソルの3バックにそのまま3トップをぶつけ、背後でボールを受けられる場面が頻出したのはまさに勢いが大事を象徴する場面たちだった。

セレッソからすれば、配置とか細かいことは速さでごまかすつもりだったのだろうけど、今季のレイソルはキーパー小島をエクストラセンターバックとしてピッチの深さを使う作戦が機能している。ゴール前でなく、まるでセンターバックの左のように振る舞う小島。

こうなると、ハイプレのコストがバカ上がる。もちろん、ボールを奪いきれば大チャンスという餌が目の前に転がっているのだけど。そういう意味ではハイリスク・ハイリターンなわけで。でも、いざとなったら蹴っ飛ばす選択肢だってあるわけで、今のところのレイソルの深さを使ったビルドアップの収支の勝ち。

セレッソはミドルに撤退すると、ボールサイドへの圧縮を強める傾向にある。それは正しいのだけど、ボール保持者への圧が弱いとサイドチェンジされた先には宝の山。また、【442】と噛み合わない【325】の良さを発揮する柏レイソル。相手がミドルに下がれば繰り返されるバックパスとリセットの連続で相手の体力と精神を削りながらボール保持で試合の主導権を握っていくリカロドはえぐい。

個人的に少し驚いたのはレイソルが左サイドの活性化に取り組んだことだろう。右サイドは原田の攻撃参加で最大火力を出すことに成功していたが、左サイドの杉岡はおとなしさが売りであった。しかし、熊坂に一定の目処がたったことで、最近の流行りであるセントラルハーフの片割れは中央で基準点、片割れが自由に動き回る形で原川が自由になった。原川の登場により、小屋松、渡井、原川の三銃士が揃ったことで左サイドからの奇襲に成功した柏レイソル。セレッソもびっくりしたに違いない。

北野のゴラッソで先制したものの、ブレない柏レイソルと、ハイなまま試合に臨んでいくセレッソ。セレッソ側の反省であったもう一点がどうしても取りたい試合であった。1点差を守り切るようなクローズはハイなチームには似合わない。

リカロドも改善した左サイド攻撃を捨てて木下をピッチに送り、まさかの2トップを披露。個人的には安定感がなくなり、どちらかといえば、セレッソが優勢になったように見えたけれど、ハイなテンションは最後まで持たないため、一瞬のすきをレイソルに利用されて同点に追いつかれる。こちらもビルドアップ隊がフリーからのサイドチェンジがきっかけであった。最近は多い形の亜種。

同点に追いついてからのレイソルは、原川を明らかに前列に出して一気に最大火力にチャレンジ。熊坂の独り立ちの尊さである。ちょっと過負荷な役割感もあるけど。原川と途中から登場したジエゴがつながることで孤立も解消され、2トップはゴール前の仕事に集中できるし、プレッシングもわかりやすくなると、不思議とボールを奪えて逆転ゴールを決めるのだからいい流れである。

内容的にはレイソルに分があるけど、スコアが同点でも勝っていても不思議ではない底力がセレッソにはあった。ただし、最後に守りきれるか?とか、決めきれるか?がこの場合の重要な要因になるので、そのあたりをどのように考えているかは謎。最後は個人の能力で、というのはあながち間違ってはいない。

ひとりごと

同じチームを観ていると、特に気になった選手がいなくなることに気がついた。湘南ベルマーレはみんながうまく見えるので、プレーモデルがはっきりしているのだろう。これがみんなが下手に見えるチームもあるからサッカーは難しい。

川崎は思ったよりもセンターバックがボールを運ばないとか、でも、脇坂が動き回ってビルドアップの出口になれているな、とか、妙に三浦が好調だなとか、いい話も不思議な面がある。

アビスパ福岡は最適解をミョンヒ監督が見つけないときつそう。配置も主力も。紺野が途中から出てきたときはなんでスタメンじゃないんだいと驚いたぜ。

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