はじめに
この方法論で書くことは楽しいのだけど、何試合かをまとめて書く作業にはまとまった時間が必要になります。だったら、試合を観た直後に書いたほうがいいよね、まとまった時間でもう一試合観たほうが良くない?とゴーストがささやきます。日々また強く生きて行こうと何度思えば気が済むのだろう、みたいなことです。となると、せこさんスタイルがひとつの答えなんだなと気が付かされるわけです。数をこなしている人は偉大というお話。いや、鹿島アントラーズ対FC東京の試合はいつ観たかすら覚えてないぜ(・∀・)
一試合1000文字くらいでやりたいんですけどね。
鹿島アントラーズ対FC東京
前半を観た自分の感想が、ヘンテコな前半戦だったです。前半はお互いに決め手をかくような試合でした。お互いに相手の良さを出さないようにしようぜ!とリスクをかけないようにしようぜの合せ技によって、試合の絵面が垣間見える瞬間はわずかでした。盤面はカオスな展開が多く、中盤でのボールの奪い合いの迫力は異常みたいな。ハイレベルの選手権地区予選決勝みたいな展開というか。
短観では書いていないんですが、第三節の鹿島アントラーズ対アルビレックス新潟のほうが記憶に新しいです。FC東京戦とアルビレックス新潟戦の鹿島アントラーズのプレッシングを混同していそうで恐縮なんですけど、鹿島アントラーズはレオ・セアラと鈴木優磨が【442】プレッシングの鉄砲玉として、めちゃくちゃ走ります。走らないときもありますけど、お互いに走る意志は間違いなくある。ただ、前から追いかけすぎて後ろがついてこない場面が多く、計画通りなのか、鉄砲玉の暴走なのかはわかりません。チームの約束事をときには破る必要もあるわけで、チームの計画からはみ出しても決して悪いことではないんですけど。
鹿島のビルドアップは【22+安西-5】みたいな漢字です。安西がフリーマンは言いすぎですが、3バックの一角だったり、サイドバックだったり、内側にいたりします。右サイドの濃野は大外からの強襲者として振る舞い、周りの選手の位置を観て立ち位置を決められる小池が調整します。新潟戦から右サイドからも攻撃を仕掛けようぜと意思統一をしただろうことで、攻撃のサイドバランスは徐々に改善され気味なところも面白いところです。
FC東京に目を向けると、松橋力蔵監督っぽさというより、昨年までのアルビレックス新潟らしさはあまりなく。というよりは、鹿島のハイプレッシングに対してひっくりかえしてジェットストリームアタック狙いだったのかなと。ときどき見せる橋本拳人の攻守における存在感は異常でしたが、それよりも前線3人の破壊力のほうが目につきました。マルセロ・ヒアンの憂鬱といえば、昨年のサガン鳥栖です。論理でサッカーをデザインしたい川井監督にとって、マルセロ・ヒアンに放り込んだほうが勝てるじゃん!という憂鬱は、松橋監督にどのようにのしかかるのだろうか。
ちなみに鹿島アントラーズのロングボール作戦はFC東京の右サイドを狙い撃ちにしていましたが、これは鹿島アントラーズの長所と重なっているので、狙っているのか、偶然かは定かではありません。プレッシング面で長友サイドを捨て気味だったことはわざとでしょう。
あまりにわけのわからない前半に比べると、後半はお互いに決定機を迎えていくようになります。たぶん、走りあいを多く含んだ内容になると、FC東京の強さは際立ちます。こうなると、やはり繋いでいる場合ではないとなるのかどうか。ただし、早川からボールを奪って無人のゴールに外した場面はさすがに得点が入ったらファウルになっていたのではないかと。
どちらが先にゴールを決めるか大会は運の要素もどうしても強くなりますが、最終的に押し込まれる展開でも我慢できるブロック守備が備わっているかとか、理不尽な状況にも耐えきれる守備者がいるか?とか、その逆の決めきれる選手がいるかとか。ポポビッチ時代から困ったときのセットプレーを装備していることも鹿島アントラーズにとっては大きいこと。FC東京のチャンスを耐えきった鹿島アントラーズがセットプレーからの押し込みでPKを奪い、とどめはセットプレーという王道で逃げ切りましたとさ。あと、関川郁万が守備に関してすごくなってきましたね。
個人的に小池龍太が面白い。マンチェスター・シティがセンターバックを並べまくり、ボールを失ったときは誰がどの位置に戻ってもいいよルールがある。センターバックだらけなら、理屈では誰がどの位置に戻っても良い。鹿島アントラーズの場合は濃野が高い位置に出ていくことが肝なので、濃野が間に合わないときに小池龍太が戻られるのは大きい。ついでに小池龍太はボールを持ったときのゲームメイクが絶品なのだけど、右サイドハーフだと黒子すぎて少しもったいない。
あと、ポポビッチの鹿島アントラーズは鈴木優磨と愉快な仲間たちだったけれど、鬼木監督の鹿島アントラーズは、鈴木優磨とレオ・セアラと愉快な仲間たちになりつつある。でも、チームの中心が誰でがはっきりすることは間違っていないわけで、2トップのために周りの選手の献身性やバランス感覚が必須になることは昨年と似た因果になっていることは、まさに数奇な運命というべきか。
浦和レッズ対柏レイソル
懐かしいカードですね。個人的には思い入れのあるカードですよ、昨年の埼スタで二回観た記憶があるので。。
井原レイソルといえば、順位のわりに攻守におけるデータの順位が首位に近かったことを思い出します。順位が下だったので、そのデータは意味あるの?と界隈で言われていたことを思い出します。多分、本当は意味のあるデータだったんですよ。そんなデータマン泣かせの井原監督からリカルド・ロドリゲスの登場で一気に変貌する柏レイソルでした。
ヴィッセル神戸戦では1列目の守備が論理的でしたが、試合を重ねるごとに浦和レッズの1列目の守備は気まぐれになっていきました。この試合ではサビオを前に出して柏レイソルの3バックに同数だぜの雰囲気を出します。しかし、サビオの裏に移動する小泉佳穂とサイドバックをピン留めする久保藤次郎の暗躍によって、小泉佳穂をビルドアップの出口とするリカロドの策略が発動。でも、そんなの今までの試合でも柏レイソルはやってきたやん!というわけで、カバーリングに奔走する安居。となると、今度は3バックの前に鎮座する熊坂光希を誰がみるの?となります。
理屈では2トップ+サビオが背中で熊坂光希を消すが正解です。でも、FWの選手は自分の担当する相手にプレッシングをかけたあとに次の移動を少しサボる習慣があります。俺の仕事は自分のマークする相手がボールを持った相手にプレッシングをかけて終わりだ!みたいな。なので、熊坂光希にボールが入ります。それでも簡単には入れられないはずなんですが、そのあたりはさすがですね。特に古賀。
その後の浦和レッズは現場判断で原口元気を熊坂光希にぶつけ、金子拓郎を前に出してなどなど様々な工夫を行いますが、試合前に準備したことと現場判断がごちゃごちゃになります。さらに、現場判断も間違ってはいませんが、現場判断によって、当初の予定よりも過負荷になる選手も出てきます。その覚悟をしていたのは当初の予定のサビオと原口元気くらいで。ってか、そもそも過負荷に設定する選手が間違っているような。
お互いに同じ条件、例えば、同点の状況が長いとなると、データには意味がたくさんでていきます。でも、スコアが動くとお互いの条件が変わるじゃないですが。グアルディオラみたいにいつだってボールを持つよ!みたいなチームは別ですけど。後半の柏レイソルはロングボールを少なめにしてボール保持を重視する采配を行いましたが、困ったときのロングボールがないと精神的に来るとかなんとか。しなもろの浦和レッズの状況と相まって、というか、浦和レッズはボールを持たされると火力を出せる傾向にある気がします。相手が撤退したり、ブロックで構えると、前の選手の個性を発揮しやすいというか。
サッカーはロースコアのゲームなので、内容がめためたでも勝っちゃったり、相手のほうが準備をしてきたことをできていたとしても、引き分けで終わったりします。最近の鹿島アントラーズはそれかもしれません。でも、根拠がなければ結果が続くことは基本的にありません。では、その根拠は何なのかを探す旅なのかもしれませんね。何の話だ。今のところ、浦和レッズは自分たちの尖りであるはずのボール非保持がよくないので、そこが良くならないと良いも悪いもないのではないかと。
アルビレックス新潟対セレッソ大阪
自分たちのやるべきことを愚直にこなしているのに結果がついてこないアルビレックス新潟と、ダービーでの勝利はなんだったのか?今季は大丈夫なのか?のセレッソ大阪の対決です。アルビレックス新潟のホーム試合の画角の狭さは健在でした。画角の狭さが売りのサッカーではないやん!というわけで、制作している新潟方面の人へ誰かメッセージをお願いします。
セレッソ大阪は香川真司がベンチでした。香川真司を楽しみにしていたのに。ドラクエに出てきそうなアーサー・パパス監督に率いられたセレッソ大阪はテンションが高そうなサッカーを志向しています。この試合では【4123】でした。田中駿汰のアンカーは機能しそうで機能しないイメージでしたが、両サイドバックが定まらない偽サイドバックを行うので、補完傾向にあります。
舩木翔がセントラルハーフとインサイドハーフ、奥田はインサイドハーフ専任の変化をしながらも、ポジションが一定でないところが何だかテンションの高さを感じさせられる。でも、一定ではないことが世界では流行ってきているけれど、一長一短でもある。ついでに、北野颯太のサイド流れは日本国内でも標準の移動になってきた感。サイドアタッカーの能力も高く押し込めると強いのは間違いなく火力の強さを感じさせる一面。そんな一面を全面に押し出して序盤に決定機を作り出していったとさ。
開幕戦で見せた狂気方面から徐々にバランス方面に落ち着いていったアルビレックス新潟。どこまでもプレッシングを仕掛けるのではなく、ミドルプレッシングからのハイプレッシングへの移行が理想だろうけど、どちらかというと、ミドルブロックと表現すべきか。セレッソ大阪の配置が変幻自在なこともあって、ビルドアップ隊にむやみにプレッシングをかけてビルドアップの解答をださせるきっかけになるよりは、相手の中盤を消し続けることでビルドアップの解答を探させる感じ。なので、プレッシングをかけたあとのFWはまじでサボりません。
谷口海斗と太田修介の高さ問題というよりは、谷口海斗が少し前目で相手を管理しようとしたのは現場判断なのだろう。セレッソ大阪が3枚で回そうとすれば、3枚に変化したくなるのが当然の理。でも、アルビレックス新潟の場合は持たせて選択肢を削ってが優先なのだろう。後半には前に出てこなくなる谷口海斗であった。北野颯太が左大外に流れることが多かったので、太田修介が前に出たらだめじゃん!が前提になっていた左右差は考慮したい。事前の準備を実際に相手と対峙してどうですか?の慣れの時間が過ぎていくにつれて、ボールを奪い切れるようになり、カウンターからアルビレックス新潟が先制。
ビルドアップの出口があるようでないセレッソ大阪は、中島元彦が面白かった。北野颯太はサイドへ、ブエノもどこかへいなくなるなかでのゼロトップは論理的。インサイドハーフが両方ともに消される展開なら、1列目のためにプレーエリアを確保してあげようねは湘南ベルマーレの得意技。彼らの場合はインサイドハーフが勝手にいなくなるので順序が違うけれども。そんな中島元彦のポストワークから最後は中島元彦が決めるのだから素敵すぎる案件。
最初から全開のセレッソ大阪に対して、アルビレックス新潟は徐々にボール保持で試合の主導権を握り始める。ときを止められる稲村隼翔を筆頭に精度の高いロングボールで裏とりを見せながら徐々に地上戦でもセレッソ大阪に迫っていくようになった。その主役は中央のトリオである。
星雄次はサリーを交えながらボールに関わり続けることで、存在感を発揮していた。アルビレックス新潟らしい仕草である。地味ながら仕事をこなしていたのが新井泰貴であった。星雄次が動き回るので、基準点としての役回りであった新井泰貴は周りの選手にスペースを与えるための立ち位置をじっと実行していた。自分のマーカーを引き連れて移動することで、長谷川元希へのパスラインを作り続ける地味な仕事を全うしていた。
ボール保持のオフ・ザ・ボールの動きは大別すると、自分がボールを受けるためか、味方がボールをうけるためかがある。後者を愚直に行い、自分の立ち位置の意味をボール保持者に身振り手振りで伝え続け、ボール保持者がつまったら、動き出すタイミングでボールを受けてはたくを繰り返す新井泰貴の存在が長谷川元希を解き放ったといってんも過言ではないだろう。アルビレックス新潟はこういう選手を見つけるのがうまい印象がある。
そんな新井泰貴のゲームメイクから堀米悠斗のクロスを長谷川元希が決めるのだからよくできたストーリーである。しかし、セレッソ大阪も交代選手の連続でハイな攻撃を仕掛けていく。特にサイドアタッカーは次から次へとフレッシュになっていくのは大きい。また、北野颯太をゴール前に集中できるように【4231】に戻すのもえぐい。それでも【442】で跳ね返し続けるアルビレックス新潟。相手の裏に蹴る選択肢があると、リードしている状況ではそれに甘えがちだが気持ちはわかる。
最終的にセントラルハーフの控えがいなかったことに気がつかされ、【541】の撤退で逃げ切りをはかるものの、力尽きて同点にされてしまい試合は終了した。最後のボールの弾き方は要反省になるのだろう。高橋仁胡があの位置まで侵入してきたことが巧み。逆輸入組の成功例になるべき頑張ってほしい。
ひとりごと
というわけで、できれば短観シリーズも単品で行いたい。さて、どうなるか。
FC東京のジェットストリームアタックは面白かった。俵積田晃太が内側でのプレーも獲得しつつあるので、将来が楽しみ。
アルビレックス新潟は新井泰貴が面白かった。身振り手振りがジョルジーニョみたい。自分が基準点で出口となる噛み合わせのときにどれだけできるかも観てみたい。
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