【対応力をみせつけたアーセナル】アーセナル対マンチェスター・シティ

マッチレポ1516×プレミアリーグ

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プレミアリーグの2位と3位の対決。首位はレスター。レスターが凄いのか、他のビッククラブが情けないのかは謎。チェルシーは絶不調、マンチェスター・ユナイテッドも好調とはいえず。そして、クロップが来たリバプールもまだまだ。よって、今季はタイトルの可能性が高まっているアーセナルとマンチェスター・シティ。まだ、12月だけどこの試合は重要なのではないか、という趣旨の発言を、ベンゲルもペジェグリーニもしている模様。

アーセナルは怪我人がいつものようにいる。某オランダ人にいつもdisられたり、フィジカルコーチを一般募集したりと、その闇は深い。サンチェスは間に合わず、アーセナルの中央を固めていたコクランとカソルラも離脱。しかし、最近のアーセナルは強いぜとベンゲル。チャンピオンズ・リーグも九死に一生を得たが、次の相手がバルセロナという地獄なのが、非常にアーセナルらしい立ち回り。それでも久々のリーグタイトルのチャンスなので、今季はなんとかしたいところだろう。

マンチェスター・シティもチャンピオンズ・リーグを突破。そして、とうとうラウンド16で強敵とあたる呪いから脱出。しかし、リーグ戦ではすでに4敗。たぶん、すでに4敗をもしている優勝を狙うビッククラブは、他のリーグではいないのではないかと下調べをしないで言ってみる。スタッツを見ると、センターバックコンビの固定、アグエロがいないときのセンターフォワード、2列目に優秀なタレントがわんさかいる編成のいびつさと、いろいろな問題を抱えていそうである。この試合ではアグエロが復活。

■守れるようになったアーセナル

アーセナルは攻撃を長所とするチームと認識されている。その積極的な姿勢は、ボールを保持しているとき、ボールを保持していないとき、攻守の切り替えにおいて発揮されてきた。しかし、最近のアーセナルは、強豪を相手にすると、ボールを放棄し、自陣に撤退して守備を強める姿を見せるようになってきている。時代に求められての変化なのか、タイトルに向けてなりふりかまってられなくなってきたから手に入れた表情なのかは不明。

2位と3位の対決の自己紹介は、アーセナルに軍配が上がった。ボールを保持しているときのアーセナルは、フラミニを中央、ラムジーを右サイドにずれさせることで、相手の守備の基準点を狂わせにかかった。マンチェスター・シティのボールを保持していないときのシステムは4-4-2。よって、マンチェスター・シティの1列目(シルバとアグエロ)は中央にいるフラミニを注意しなくてはいけないので、右にずれたラムジーをオープンにする形は綺麗に炸裂していた。また、マンチェスター・シティの左サイドにはデルフが起用されている。彼を狙うという意味でも、このアーセナルのボール保持からの攻撃はかなり機能していた。

マンチェスター・シティの4-4-2は1列目が機能しない。2列目のフェルナンジーニョ以外の選手は、アーセナルの選手のポジショニングにひっぱられることが多かった。良くいえば、選手を潰す意識が強い。悪く言えば、自分の持ち場を離れすぎている。もちろん、自分の持ち場を離れる→誰かがカバーリングしてくれる仕組みがあれば、人への強さはチームの利益として還元されるだろう。しかし、右サイドはデ・ブライネである。そんなに守備をさせてどうする?という選手なわけで、マンチェスター・シティの守備はあまり機能しているとは言えない状態であった。

マンチェスター・シティがボールを保持しているときのアーセナルのシステムは、4-5-1。4-2-3-1から4-4-2への変化は良く見られる。正確に言えば、シティ陣内にボールがあるときは4-4-2。自陣に下がって守備をするときは4-5-1となった。アーセナルは相手から時間を奪うような強烈なプレッシングを行う気がないようで、どちらかといえば、下がって守備をすることのほうが多かった。エジルがフラミニとラムジーの位置に入って守備を行う形である。

マンチェスター・シティはボールを保持しながら仕掛けていく。しかし、アーセナルの中盤は5枚並んでいる。さすがにボールを通すラインがない。さらに、フェルナンジーニョとヤヤ・トゥーレがボールを持っているときは、相手の中盤からプレッシングが出てくる。本来ならば、相手がボールにくいついてくる→発生したスペースを利用する流れになる。しかし、アーセナルの中盤は5枚だったので、誰かがボールにプレッシングをする→全体がスライドしてスペースを埋めるが上手く機能していた。

よって、マンチェスター・シティの攻撃は自動的にサイドに誘導される。サイドにいるのはデ・ブライネとデルフ。デ・ブライネは強烈だが、デルフはそこまでではなかった。そもそも、デ・ブライネとデルフを比較することが間違っている。アーセナルは5枚の中盤を利用してサイドでボールを持つ相手へのスライドも早めに行うことができていた。マンチェスター・シティがボールを保持するというよりは、ボールを持たされているというネガティブな状況を作ることに、アーセナルは成功していた。

4-5-1の守備の問題は、相手のセンターバックへの守備を捨てていることだ。もちろん、ジルーはほどほどに頑張るが、1枚では対応できない。しかし、マンチェスター・シティのセンターバックは攻撃参加やビルドアップで貢献できないと、アーセナルは考えたのだろう。実際にほとんど何もできていなかった。それよりもライン間でボールを受けようとするアグエロ、シルバへのパスコースを5枚で分断することを優先した守備をする道を迷わずに選んでいる。

ラムジー横ずれへのマンチェスター・シティの対応は、デルフにまかせていた。その代わりに、ペジェリンへのパスラインができてしまう。ただし、ヤヤやフェルナンジーニョが前に出てきたり、中央にラムジー起点ができるよりはましと判断したのだろう。このように何を優先して守り、何を捨てるかという考えが大事になってくる。

ラムジー横ずれが対応されたことで、効果的ではなくなってきたアーセナルのボール保持。しかし、マンチェスター・シティの1列目の不備をつきながら攻撃を仕掛けていく。コシェルニーの運ぶドリブルやエジルのライン間でボールを受ける動きで左サイドを活性化させる。そして、フラミニもボール回しに絡むようになると、マンチェスター・シティの人への意識が過剰に働くようになり、中盤にスペースができるようになっていく。

サイドからの攻撃が余儀なくされたマンチェスター・シティがデ・ブライネがカットインからのシュートで見せ場をつくる。そして、カウンターでアグエロのフリックに抜けだしたデ・ブライネと決定機もできる。しかし、シュートは枠の外へ。左サイドと中央を主戦場としているイメージが強かったデ・ブライネだが、右サイドでも奮闘していた。それでも、中央と左で活動できるようなポジショニングにしてあげるべきだとは思うけれど。

先制点は、アーセナルに生まれる。恐らくほとんど狙い通り。フラミニのポジショニングにヤヤ・トゥーレがつられる。そしてできた中盤のスペースで、エジルがコシェルニーからボールを受ける。そして、ラストはウォルコットのシュートが炸裂してアーセナルが先制する。先制後のアーセナルはより守備を重視するようになるが、ときおり見せる脅しのような攻撃的プレッシングがマンチェスター・シティを焦らせていた。そんなカウンターや攻守の切り替えの連続から訪れる隙間でビルドアップミスをするマンチェスター・シティ。そしてカウンターは得意なアーセナル。見事にショートカウンターが炸裂し、ロスタイムにはジルーがきめて2-0で前半は終わった。

後半になると、マンチェスター・シティはデルフ→スターリングで勝負にでる。サイドが空いているならば、サイドに強い選手を配置する作戦。スターリングはブロックの外で受けるプレー(中盤のヘルプ)、ライン間で受けるプレー、サイドラインで受けるプレーを幅広く行い、マンチェスター・シティの攻撃を安定的なものに変化させていった。また、サイドにボールが展開させたあとも、シルバ、ヤヤ・トゥーレをボールサイドに近いエリアでプレーさせることで、サイドからの崩しの精度を上げることにも取り組んだ。

しかし、昔からカウンターが得意なアーセナル。前半のシュート数や相手のペナルティエリア侵入の回数をあっさりと後半に塗り替えていく攻撃を見せる。ときには圧倒的な数的有利でゴールにせまるものの、ハートを中心にぎりぎりのところで耐え忍んでいくマンチェスター・シティであった。

マンチェスター・シティは周りの選手のポジショニングやシステムを噛みあわせない云々ということではなく、個人の能力で時間とスペースを作り出していくようになる。もともとそういうチームであったことを思い出した。しかし、アクシデントでアグエロ→ボニーとなる。マンチェスター・シティは高さ要員がいないことから、引いて守られると地味にきつい状況が続いているのかもしれない。だから、相手はサイドを捨ててクロスを跳ね返し続ける作戦をとることができる。

だから、クロスを上げずにシルバたちを絡ませると解答するペジェグリーニ。シルバ→ヘスス・ナバスでデ・ブライネが中央に移動する。こうしてスペシャルな選手たちを絡ませることでなんとかしたいみたいな。もちろん、形の相似はありえるのだけど、何をしてくるかわからないという長所にも短所にもなりえるマンチェスター・シティの攻撃は、チェフを驚かす場面はなかなか作れていなかった。アーセナルは選手を交代しながら、守備の強度を維持していく。

反撃の狼煙というには遅すぎたのだけど、82分にヤヤ・トゥーレの不思議なシュートが決まる。続けていたサイドから攻撃にヤヤ・トゥーレたちが絡んでいくという形が実った瞬間でもあった。しかし、残り時間は少なく、アーセナルが守り切りに成功。こうして、2位と3位の直接対決はアーセナルの勝利で終わった。

■ひとりごと

守るよ!というプレーを、アーセナルができるようになってきたことがもたらした勝利かなと。カウンターで3点目を決めきれていれば、100点満点のゲームになったのではないかと。チェフの存在も大きいけれど、コシェルニーとメルテザッカーが揃っていることも大きい。となると、当面の問題は怪我人との戦いになるのだろうか。色々な引き出しを持てるようになったことで、アーセナルは結果に安定感が出るのではないかと。チャンピオンズ・リーグはまた別だけど。

マンチェスター・シティは相変わらずであった。センターバックが繋げないのに前線がちびっ子軍団という矛盾はどこかで見たことがある。この試合ではその問題は顕在化しなかったけれども。アーセナル時代から続くサイドバックなのに空中戦の的になるサニャもなかなかかわいそうな境遇。シルバがいなくても、スターリングとデ・ブライネがいることを証明したことは大きいけれど、そこなのか補強は!という気がしないでもない。

コメント

  1. ミッシェルガンエレファント より:

    はじめまして、気になったのでコメントさせていただきます。

    >アーセナルは怪我人がいつものようにいる。某オランダ人にいつもdisられたり、フィジカルコーチを一般募集したりと、その闇は深い。

    こちらの、「某オランダ人」とはどなたのことでしょうか(・_・;)
    無知なもので思い浮かばず、気になって気になって仕方ありません(笑)
    教えていただけたら幸いです。

  2. らいかーると より:

    ミッシェルガンエレファントさんへ

    良い名前ですね。

    レイモンド・フェルハイエンというオランダにフィジカルコーチがいまして。あとは調べてみてください。

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