アトレチコ・マドリー対カディスの雑感 ~シメオネの【3151】を見逃すな!!~

2023/24欧州サッカー

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久々の雑感。俺たちのせこさん曰く、「マッチレビューは筋トレ」。その心は知らない。けれど、言葉の意味はわかる。サッカー的にいうと、「習慣は最大の武器」みたいな。チャンピオンズ・リーグを見たかったけれど、書くことを優先してみた。ラツィオ、レアル・マドリー、マンチェスター・シティを継続していたけど、ちょこっと変えようかなと。

というわけで、突然のアトレチコ・マドリー。配置はまさかの【3151】系統である。グリーズマンをフリーマンとする【34グリーズマン1】と言ってもいいかもしれない。

なお、この配置はマンチェスター・シティがチャレンジしている【343】とも同じ系統とも言える。なお、賢明なる読者の方々なら気づいていると思うが、リカロド時代の徳島の【渡井フリーマンシステム】もこの仕組みで動いていた。

この配置を【343】のひし形と解釈するなら、自分たちの中盤をひし形にすることで噛み合わせることもやぶさかではないような。レアル・マドリーのベリンガムシステムってこの未来を感じたのだろうか。アトレチコ・マドリーにぼこられたみたいだけど。

見ての通り、グリーズマンが浮く配置になっている。いや、セントラルハーフが抑えればいいんだけど、グリーズマンはフリーマンでフリーロールだからね。

カディスの初手が「コケへのマンマーク」だとすると、アトレチコ・マドリーの初手は、マンチェスター・シティでもお馴染みの「3バックの片割れはめっちゃ攻撃参加する」であった。

アスピリクエタが3バックの一角なのか、、、、と眺めていたが、めっちゃ攻撃参加してた。チェルシー時代もこのような役割をしていた記憶が若干ある。モリーナ、ジョレンテとアスピリクエタのトライアングルアタックとグリーズマンの加勢によって、アトレチコ・マドリーの右サイドの優位性は明らかであった。

これはアカン!!!とカディス側は感じたに違いない。しかし、アトレチコ・マドリーが「今のファウルじゃないんかい!!!」と「キーパーからのロングボールで競り負けたでござる」で2失点。でも、ダメなものはダメ。というわけで、カディスの次の手はこちら。

必殺技の【523】である。アスピリクエタのマークを徹底することで手当。でも、コケが空くやんとなる。中央でボールを持たれても大丈夫だと考えた雰囲気だ。確かにアトレチコ・マドリーはサイドからの攻撃を得意としている。だから、サイドに蓋をすれば、中央でボールを持たれても大丈夫説。だったら、ヴィツェルに持たせればいいじゃんと思ったけど、色々な事情があるのだろう。

コケがボールを持ったり、厚めのサポートのアスピリクエタは後方支援で存在感を発揮したりの関係性は続く。ただし、カディスも頑張ればアトレチコ・マドリーのビルドアップの精度を落とすことには成功しそうな雰囲気もちらほら。興味深かったのは【523】の【2】。アンカーがセンターバックの間に降りて5バックを形成し、クロスを跳ね返す原則にちなんで、カディスはセントラルハーフの片割れが降りて6バックになることもあった。

ほら、グリーズマンもトップで計算すると、【6トップ】になるからね。そういう時代かと。いざとなったらひとりがグリーズマンについて、ひとりがディフェンスラインに落ちる。そんな未来。

ただし、マンマークがデフォルトだと、どうしても粗が出る。スペースメイクとスペースアタック。特に動き回る、というより、オフ・ザ・ボールの動きを永遠に続けるホアキン・コレアは鬼だけど、プロの世界ではそれが当たり前。

相手の配置に従属する守備の論理だと、どうしてもトップへの花道ができる。花道を防げば、相手のライン間の住人を自由にしてしまう。そんなジレンマを与えるシメオネとそれを同じように狙っているだろうグアルディオラの数奇な運命とは。

そんなこんなで先制したアトレチコ・マドリーの次の手はこちら

相手が3トップでプレッシングを行うならば、相手の間にコケとサウールを配置する。ついでに、コケのサリーで4バック化。たぶん、カディスは選手交代していたので、配置だけ正しい、、、はず。

サウールが降りたハーフスペースにはグリーズマン。ボールを相手陣地に運んだら、サウールはハーフスペースへ移動し、グリーズマンはフリーマンへ。チェルシーでは苦労したサウールだったけど、チェルシーのような配置でもアトレチコ・マドリーではなんの苦労もなくプレーしているのはレベルアップしたからだろう、たぶん。

えー、噛み合わせるの!?となりそうだけど、敢えて噛み合わせるほうが列でずらせることもあるんだよね。ライン間と裏抜けで、列の距離を離すことは難しくない。

最後に守備固めをして終わり。アトレチコ・マドリー、0-2からの逆転劇でした。

ひとりごと

ビルドアップ隊が4枚、フィニッシャー隊が6枚、フリーマンが1枚のサッカーがスタンダードになることはないと思うけど、ちょっと目撃する回数が増えてきている。【325】に戻すこともできるし汎用性は高い。

マンマークの世界において、後方からの攻撃参加が天敵になることは言うまでもない。位置に縛られないフリーマンの存在と、フリーマンの立ち位置に応じて、自分たちの立ち位置を調整することがアトレチコ・マドリーは非常に上手であった。気がつけば、ポリバレント軍団である。リーノやリケルメ、モリーナがサイドで質的優位マンか?と言われれば、名のあるウイングほどではないだろう。そういった選手がいない中でも【3151】系統で結果を残すシメオネ率いるアトレチコ・マドリーは必見である。

コメント

  1. 通りすがりの者です より:

    X(旧Twitter)でマリノスに入った興国高校の子たちの現状を聞かれていたのを見かけました。私も興味があって少し追っていたのですが、シャイなのでこちらに情報提供いたします。プレーの評価は私に見る目が無いので、各チームのサポーターの方にお任せして、本日までの数字的な部分だけ。

    樺山くん J1鳥栖 L33戦1先発20途出場2G1A
    今季前に鳥栖に買われていきました。基本、終盤投入のジョーカー役のようです。高卒3年目でJ1ベンチに入っているので、やれているという評価になるのでしょうか。プレーの評価は鳥栖サポーターさんへ。

    田川くん J3富山 L37戦34先発(ケガで3試合離脱)
    完全に正GKです。最終節を残し鹿児島と2pt差の3位でJ2昇格争い中。

    南くん J3岩手 L37戦15先発4途出場
    後半戦がくっと出場が減りました。理由は岩手サポーターさんへ。

    平井くん JFL滋賀 L28戦28先発 5G
    プロ3年目でL戦初出場すると全試合RCB or RHVで先発出場。最終節で勝てばJ3入れ替え戦でしたが、最終盤に失点し引き分けて3位で終了。5Gは確か全てセットプレーがらみです。

    以上、ご参考になれば幸いです。

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