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まさかの2連敗で嫌な雰囲気になっていそうなラツィオ。今年はチャンピオンズリーグもあるので、この調子でどうなるねん!!!と誰もが心配しているに違いない。レッチェとの開幕戦を思い出してみると、結果でも内容でも殴られていた印象だが、ジェノア戦ではボールを保持し、ジェノアのゴールに迫りまくるものの、ゴールだけが決まらずという試合であった。
レッチェ戦とジェノア戦の敗因はまるで異なる様相なので、連敗の原因は??と問われても答えにくいのが本音なのだろう。ま、攻撃力不足とは言えそうだけど。
ナポリ時代を思い出してみると、左サイドでの優位性がキーとなっていた。ハムシクを中心とする選手たちが距離を近くしてプレーすること、インシーニェの質的優位からのカジェホンのフィニッシュが記憶に新しい。点取り屋のイグアインの存在も大きかった。
ラツィオのメンバーを眺めると、ルイス・アルベルトや鎌田大地に文句はないし、アンデルソン、インモービレ、ザッカーニにそこまでの問題は感じない。ただし、ナポリのほどの質があるか?というと微妙なのではないかと。特にチャンピオンズリーグを戦うとなると。開幕してからも補強の噂は続き、ゲンドゥージが来たら鎌田大地はどうなるのか?と悩ましい問題もあるなかで。
開幕戦と比較すると、今日の鎌田大地は下がってレイオフは馴染んできたけれど、開幕戦でできていたゴール前に自分を持っていくことは少し遅れていた。この試合ももう少しでゴール!の場面があったけれど、ちょっと遅れていた。ゴール前に行く場面と下がってレイオフ隊になる場面の使い分けとか、インモービレが左のハーフスペースを主戦場としたがる修正を考えると、鎌田大地、というか、右インサイドハーフの仕事はゴールに迫れるかどうかが求められそう。アンデルソンと連携してもいいけれど、未だそこには至らず。
で、今日の本題はゾーンディフェンスとフィニッシュの設計とレイオフ隊
ゾーンディフェンスとレイオフ隊
チームサッリはゾーンディフェンスの教科書と言われている。過去はベニテス、現代はサッリ。サッリのゾーンディフェンスも時代の流れで多少は人への意識増しまし感は否定しないが、限りなく教科書どおりのゾーンディフェンスを学びたければ、チームサッリが気軽に目撃できる教材となるのではないだろうか。
ゾーンディフェンスとはなにか?をここで語るつもりはない(・∀・)
ゾーンディフェンスの大前提であるボール保持者へのファーストディフェンダーの設定という言葉がある。プレッシング開始ラインによるが、基本的にゾーンディフェンスは人ではなくボール中心の守備と言われている。ボール、味方、スペース、相手の順番に優先順位が設定され、ボールから離れたサイドにはボールが届くことはない、ボール保持者にプレッシングがかかっていればな!!という前提はあれど。ゆえに、サイドは捨て気味になることが多い。
ボール中心の守備といえば、守備の基準点と呼ばれる約束もある。平たく言うと、この選手にボールが入ったら僕がボールを奪いに行けばいいんだよね!である。例えば、相手のサイドバックにはウイングの選手が行くんだよねみたいな共通認識というべきか。
自分が守備の基準点としている選手にボールが入る→厳密にはボールが入る前にプレッシングスタート→相手がパスをしたら自分の持ち場に戻ることを恒例行事としている。
シメオネ監督のトレーニング
4人並んだ状態から1つの色を言われて前に出る。それ以外の3人が絞って4つのゴールを守る。
アトレティコの守備の強さがよくわかる pic.twitter.com/x5K18bVakl— らぐびーくえすとオンラインコミュニティ (@rugbyquest_com) March 8, 2021
戻るのが肝。戻るというか絞るというか。この動きは相手の選択肢を削る一方で、いつになったらボールを奪えるんだい?という気持ちに拍車をかけることもしばしば。
ただし、いつも感じるのだが、もしも守備の基準点を複数抱えたらどうすればいいのだろうか。前に出ていく→戻るの作業をしていると間違いなく間に合わない。サイドも絞らせて対応すれば、サイドを使われる。サイドは使われてもOKと言いたいところだが、その位置にグリーリッシュクラスの選手がいる場合はサイドを捨てている場合ではない。
賢明な読者ならば、背中で消しながらのジャンプと言いたくなる。ジャンプとは守備の基準点を変更することである、さらに連続してプレッシングをかけることを意味している。自分の守備の基準点を背中で消すことができる、かつ、自分のベクトルをそのまま次の守備の基準点に向けることができるときに発動する策がジャンプだ。週刊ではない。
で、相手はレイオフ祭りとなる。
サッリのレイオフは主に二種類の形がビルドアップで使われる。相手の崩しの局面ではさらに増えるが、横と入れ替わりのワンツーくらいなので割愛する。
・そのまま戻す形
センターバックがフリーで運ぶドリブルをしているときに、ラツィオの選手がボール保持者に近寄ることは稀。鎌田たちは基本的に相手のライン間に潜る。で、ボールを受けに下がってくる。ボール保持者にそのまま戻す場合は相手のジャンプを狙っている気配。ジャンプの条件をすべて満たしているところがにくい。そして自分はフリーになる。
・もう片方のセンターバックに戻す形
カザーレから受けたボールを鎌田がロカテッリに渡す形。キーパーからボールを受けたアンカーはどちらのセンターバックにボールを渡すべきか?と似ている。答えは相手のベクトルを折る方向。ジャンプをさせない。列を降りる動きからの2つのパスは目的が正反対。なお、フリーでボールを受けたセンターバックは運ぶか、サイドに展開することが多い。
なお、このように相手が背中で消している選手にどのようにボールを届けるか?もレイオフ連打の特徴である。相手のゾーンディフェンスの捨てているエリア、守っているエリアにどのようにボールを運ぶかを共通認知しているチームは強い。
フィニッシュ設計というか最後の質
フィニッシュ設計とはなにか。ゴール前での再現性というべきだろうか。大げさなことではなく、俺たちはロナウジーニョにボールを届けたい。だから届けやすい仕組みを作ろう、ついでに、ロナウジーニョがボールを持ったときのサポート体制を整えよう。後はロナウジーニョにお任せだ!も立派な設計である。マンチェスター・シティで言えば、ファーサイドにいるハーランドにどのようにボールを届けるか、そしてファーサイドにいてマークが集中しないようにしようぜでも立派な設計である。
持たざるものは大外アタックとレヴァークーゼンが見事に大外アタックの完コピに成功したように、ゴール前は個人の才覚でどうにかしようぜ!時代はほぼ終わっている。個人の才覚でどうにかしようぜ!ならば、前述のロナウジーニョのくだりのように、個人の才能を発揮しやすい状況を作ることが必要だ。
この2試合のチームサッリはフィニッシュ設計がまるで見えてこない。中央を固める相手にサイドからの攻撃になるのだが、二人称がいいところである。3人目が絡んでくることはない。両ウイングよりもサイドバックが大外でボールを持つことが多く、チャンスメイクには届かないのが現状である。
というわけで、ボールを持てど特に何も起きず状態が続いている。たぶん、新戦力のイサクセンあたりはもっとできるはずだったのかもしれない。堪えられなくなったのか、最後は2トップでゴリ押したが、そっちのほうがいいかもしれない。というわけで、入るシュートが入っていれば引き分けが妥当だった試合だったけれど、ラツィオの前途多難そうなシーズンが始まった。
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