【スーパーカップ】横浜FM対ヴァンフォーレ甲府【空白の左サイドバックエリアを巡る攻防】

J2023

「さて」

「Jリーグが開幕した」

「世界中で行われているスーパーカップは中東で開催されることが多いけれど」

「その波は日本には届いていないようで、安定の国立開催となっている」

「では、早速だが試合から振り返っていく」

「序盤の甲府の強襲を凌いだ横浜FMが徐々にボールを保持する展開であった」

「甲府の序盤の勢いはえぐかったな」

「横浜FMがボールを保持して試合をコントロールするだと?!させるか!みたいな勢いに溢れていた」

「甲府の奇襲タイムが終わり、甲府は442でミドルプレッシングがメインになっていった」

「横浜FMはボール保持で興味深い特徴を見せた」

「甲府がミドルプレッシングをみせた理由はオビをビルドアップから追い出したからだったかもしれないな」

「ハイプレスを仕掛けてもキーパーを使われてしまうときっついもんな」

「実際に後半にハイプレスを仕掛けた甲府に対して、オビの出番が増える流れは面白かったな」

4バック→3バック化の色々

「そんな甲府の策に対して、センバが本職の上島を右サイドバックで起用した横浜FM」

「上島の役割はパヴァールのような役割になっていた」

「世界の流行として、片方のサイドバックに最終ラインをポリバレントにこなせる選手を起用する傾向がある」

「最終ラインをポリバレントとは、サイドバック、3バックの左右、そして4バックのセンターバックをこなせる選手のことである」

「なかなかえぐいな。上島がそこまでポリバレントかは謎だけどな」

「バイエルンのパヴァールもそうだし、バルセロナのクンデも似たようなことをやっていた」

「特徴として逆サイドのサイドバックはかなり攻撃的に振る舞う傾向にある」

「大外レーンを担当したり、偽サイドバックを行ったりか」

「実際に永戸は偽サイドバックとして内側に立ったり、大外レーンに立ったりしていた」

「内側レーンに立っている場面のほうが多かったやろうな」

「ただし、上島を筆頭とする横浜FMのセンターバックたちは3バックのようなレーンの分担をしておらず、右サイドバック、右センターバック、左センターバックで構成されているようだった」

「ただし、深い意味はないと思う」

「ないのか」

「ひとつは上島を大外レーンに置きたかったことは横浜FMの都合によるものだと思う」

「それはなんだ」

「横浜FMはサイドバックとウイングが大外レーンに立ち並ぶことが多い。しかし、その間に『私が三人目だから』とビルドアップの出口になる場面が多い」

「喜田、渡辺皓太、西村が登場する形はおなじみになっているな」

「証拠として、左サイドは旋回が中心、三人目がサイドまで流れるはほとんどなしだけど、右サイドはその形が多かったと記憶している」

「上島はミスパスを繰り返しながらも徐々にライン間にパスを通しまくっていたから時間の問題だろうな」

「ただし、ズーレのように攻撃参加が得意なわけでないとなると、上島の前に立つ選手は左利きで中に入っていける選手のほうが噛み合わせは良くなりそうやろ」

「だから、後半にヤンマテウスが登場したんだろうな」

空白の左サイドバックエリアで何が起きたか

「話を戻すと、空白の左サイドバックエリアとその位置に配置された甲府の鳥海がどうするのかなと眺めていた」

「甲府は442チックなようで、4231チックな場面が増えていった」

「鳥海は永戸についていくよりも、ボール中心の守備を実行する雰囲気だったな」

「鳥海の動きに対して、周りの選手も特に混乱していなかったし」

「2失点目の場面も角田へのファーストディフェンダーも鳥海だったろう」

「鳥海は空白の左サイドバックエリアに移動してきた選手、もしくは角田を標的としていたってことか」

「なお、後半はその色がより濃くなっていた」

「4231でプレッシングだけど、鳥海は角田に基準点を置いているようで」

「ちなみに永戸は完全スルーだったな」

「内側にいるにはパスコースを遮断すればOK感が強かった。サイドにはったら鳥海もどうしようか悩んだかもしれない」

「で、横浜FM側から見た左サイドバックの空白エリアなんだけど」

「角田、渡辺皓太を中心に共有されているように見えた」

「特に渡辺皓太が降りてきて後方支援になる場面は強みが出ていたように見える」

「喜田と渡辺皓太はタスクをぐちゃぐちゃにできるし、時にはセンバの間に降りる王道サリーも行っていた」

「それが試合の流れに影響を与えたとも言えるし、違う理由もあったかもしれない」

「試合の流れを見ていると、基本的に横浜FMがボールを保持する。奪えたら甲府もカウンターの機会を得る」

「逆に甲府のボール保持の形はほとんど見られなかった。ハイボールをウタカに放り込んでも競り勝てることもなければ、セカンドボールを拾えるわけでもなかった」

「時間の経過とともにタコ殴り濃厚なやつか」

「吉田達磨隊長に率いられていたので、無駄にボールを保持する能力が高いのかなと先入観があったのだけど」

「3バックに慣れ親しんでいたような甲府が442になったというわけで」

「それどころではなかったのかもしれんな」

「というわけで、横浜FMのボール保持にどこまで耐えていくねんとなると、鳥海のタスク込みでボールを奪いに行く必要があるんじゃないか?となっても不思議ではないというか」

「駆け引きというか、そこで違いを作る必要があると言うか」

「で、失点場面はウタカの役割が曖昧になっていたな。そして、そのズレを見逃さない横浜FMの前進が見事というべきか」

「先制後に永戸の偽サイドバックは段々と息を潜めていったことも面白かった」

「で、その後に甲府が殴り返して同点に追いついたことで後半も似たような試合になっていった」

「甲府は選手交代をしながら攻撃的な選手を増やしていったけれど」

「ロスタイムのゴールが認められれば采配が当たったとなるかもしれないし」

「トップ下に配置された長谷川のサイドは微妙だったけどな」

「その心は」

「甲府は良い選手が多い」

「多いのか」

「セントラルハーフコンビは超献身的。サイドハーフコンビは攻撃で迫力を出せるし、サイドバックも攻撃参加で厚みを加えられる」

「トップ下の長谷川はどうなんだ」

「たぶん、本職はセントラルハーフなのか?インサイドハーフかもしれんけど」

「プレッシングでも前に行けるし、後ろに下がることもできるし、ボール保持でもあらゆる局面に顔を出せる選手だろう」

「確かにそんな選手をサイドに置いてもな」

「三平が登場したんだからしょうがないんだけど」

「で、後半も横浜FMの良さが目立った」

「横浜FMの良さはどこにあるんだろうな、と眺めていた」

「例えば、喜田や渡辺皓太はそもそもの立ち位置と三人目と繋がることがべらぼうにうまい」

「ポジショニングの原則は相手のギャップ。そして、自分がボールを受けるか、味方にために相手をひきつけるか?が秀逸すぎた」

「藤田譲瑠チマがベンチにいるわけだな」

「で、西村もべらぼうにうまかった」

「特に左サイドにオーバーロード作戦は良かったな」

「例えば、永戸が内側に立つことが間に合わなくてもさっと西村がいる」

「永戸が間に合っていても、西村が寄り添うことで数的優位も作れていたし」

「この試合では右サイドが若干の機能性のなさがあったけれど、枚数が揃うとそちらも機能していたからな」

「平行サポートからの三人目やろ」

「このあたりのプレー原則は試合を重ねて見ることで明らかにしていきたい」

「というわけで、Jリーグが開幕しました」

「今年はたくさん試合を見られれば良いと思います」

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