「さて」
「流石に久々すぎる更新やろ」
「恒例の言い訳タイムは省略するとして、さっそくだが試合内容に話を移していく」
「スタメンはこちら」
デ・ゼルビ感あふれる[4231]
「突然ですが、くいずです。」
「なんだ」
「ビルドアップにおける最大派閥とは何と何でしょう」
「ショートパスとロングパス派閥か?」
「間違ってはいないが、趣旨が異なる」
「問題文が短すぎるから趣旨も何も読み取れないだろう」
「答えをいうと、[フリーマンを作る、見つける派閥]と[第三の選手を使いながらボールを運ぶ派閥]にわけることができる」
「そういうことか。[自分たちのボール循環で時間とスペースを作る派閥]と[相手のプレッシングをおびき出してスペースを見つける派閥]かと思ったぜ」
「まあ、表現方法は多種多彩だな」
「で、そのくいずを出した趣旨は何になるのだ」
「グアルディオラは基本的にフリーマンを作る、見つける派閥だったのだが、この試合では第三の選手を使いながら、というプレーが非常に多かった」
「25分くらいのデ・ブライネが裏に抜け出した場面はネットの世界で教科書のように使い続けられそうな場面だったもんな」
「で、問題はなぜにそっちにこだわったのか?ということになる」
「この試合のシティのビルドアップが第三の選手を使うことで定評のあるデ・ゼルビと似ていると誰もが思ったに違いない」
「こういうことを言うと、ブライトンとはぜんぜん違うと突っ込んでくる人がいるが、そういうことではない」
「ま、わかる人がわかればいいやろ」
「試合内容とあわせて何が起きたかを見ていく」
32ビルドでなく22ビルドのわけ
「ビックマッチで何かを仕掛けたい症候群のグアルディオラさんはプレミアリーグの優勝をかけた決戦で息を吸うように何かを仕掛けてきた」
「32ビルドをやめて、22ビルドを仕掛けてきた」
「そっちでくんのかい!!とアーセナルの選手たちは感じたに違いない」
「序盤のアーセナルの振る舞いは、ジェズスがストーンズにボールを持たせないを貫いてたな」
「アカンジとディアスと、左利きでない選手が左サイドで起用されているのだから、シティのボールを左サイドに誘導したいアーセナルの意図はジェズスの動きから読み取ることができる」
「しかし、問題は左サイドにボールを誘導したいけれど、ウーデゴールの周りにギュンドアンとロドリがいる」
「シティが32ビルドならば、サカとマルティネッリを絞らせてどうにかする!策もあったけれど、彼らはシティのサイドバックに首ったけとなった」
「でも迷いのないジェズスを見ると、シティの22ビルドをある程度は予想していた可能性はあるけどな」
「というわけで、ウーデゴールが一人でロドリ、ギュンドアンたちに対応するのは無理だとなり、ジャカが前に出てくる」
「現場の状況に合わせた柔軟な対応だな」
「シティは22+エデルソンでボールを動かしながら第三の選手を見つけよう、使おう作戦を敢行する。相手はジェズス、ウーデゴール、ジャカと枚数の優位性もあることで安定はしていた」
「そして、22ビルドにアーセナルが完全に立ち位置を従属させようもの、つまり、トーマスを前に出そうものなら、デ・ブライネが現れるようになる」
「アーセナルの計算違いがあったとすればそういうことやろうな」
「開始早々の失点でシティにボールを延々ともたせるわけにはいかない→ならば22ビルドに選手をぶつけてしまえからのデ・ブライネの自由化は見事だったな」
「22ビルドへの+1を実行するデ・ブライネは、トーマスとアーセナルのセンターバックたちを大混乱に陥れた」
「スコアを考えずに撤退しちゃえばいいのに、と思ったが、今季のアーセナルはそれを好まないだろうし」
「良い意味での自己否定には少し早いな」
「地味にデ・ブライネの自由化に拍車をかけていた選手がベルナウド・シルバとハーランドで」
「途中からは割り切っていたが、ハーランドに一対一で対応することを怖がるとデ・ブライネがフリーになる」
「ついでにベルナウド・シルバが内側に移動してくるとさらに混沌としてくる」
「キャラの差もあったろうけど、ウォーカーは高い位置、アカンジは低い位置から突然に突撃する関係性がなかなかおもしろかった」
「というわけで、興味深い点はこの攻防がほとんど中央で行われていた点にある」
「サカ、マルティネッリ、グリーリッシュ、ベルナウド・シルバがサイドから仕掛けるぜ!なんて場面は数えるほどしかなかった」
「一緒に試合から消えていた、とも言えなくもない」
「おそらくだが、グアルディオラは最初から中央の段差、ズレ、第三の選手を使う狙いだったのだろうと思う」
「そのためのオトリ作戦か」
「ベルナウド・シルバは添えられていたけどな」
「32ビルドで相手を中央に集結させるよりは、サイドバックとウイングをサイドに配置することで中央にスペースを見出したかったというか」
「アーセナルがそれでも中央に集結すればサイドから攻めればいいしな」
「で、22ビルドをするなら、デ・ゼルビを参考にすれば良い。全員が捕まればデ・ブライネ登場もよくある形である。で、ウイングに裏とりさせるのでなく、深さはハーランドのポストプレーで代用する」
「ねえ、本当にハーランドに一対一で対応するの?しかも、前からプレッシングに行くの?まじ?という疑問を持ちながらのホールディング、ガブリエル、トーマスは色々な想いが駆け巡る前半だったろうな」
怒られたエデルソン
「試合序盤のシティの得点は、自陣の深い位置で追い込まれたストーンズのロングパスをハーランドがキープしたことから始まっている」
「デ・ブライネのシュートが見事すぎたな」
「アーセナルからすれば追い込んだのに!となるが、シティからすれば作戦の一つがいきなり炸裂した形だったのではないかと」
「しかし、グアルディオラにエデルソンが注意をされていた」
「こういうときはその後のエデルソンのプレーを見れば、何を指示されたかだいたいわかるところである」
「エデルソンのその後のプレーを見ていると、横に位置するストーンズやディアスへのパスは基本的に禁止。ロドリ、ギュンドアンに当てて、フリーなほうのセンターバックにボールを届けるか、自分で蹴っ飛ばす場面が目立った」
「細部に拘っているようだな」
「こだわっているやろ」
「結果として得点になっても怒られるわけやからな」
「本来ならストーンズがボールを持つ、ウォーカーとベルナウド・シルバがサポートに来るでOKな感じもあるけど、インサイドハーフが間に合わないんだろうな」
「あの位置からのロングボールの定跡はひし形+1となる」
「その形が作りにくいもんな」
「だから今日はあの位置にボールを入れずに第三の選手を使おうぜ作戦か、ロングボールでOKという作戦だったのだろうと推測しておく」
ボールを持たされたホールディング
「今季のシティのプレッシングは、かつてのリヴァプールなみの勢いを感じる」
「ただし、勢いが肝心なところがあるので、バイエルンはプレッシング回避に成功していた」
「なお、シティのプレッシングは右肩上がりになる傾向がある。」
「後方に左サイドバックの選手を残したいからだろうな」
「またはボールを相手の右サイドに誘導することで左サイドバックで迎撃したいんだろうな」
「その役割を担っていたのがアケで今日は怪我のため欠場」
「代わりにアカンジが左サイドバックとなった」
「デ・ブライネはガブリエルに普通に寄せていたけど、ハーランドはトーマスを重視しているように見えた」
「アーセナル対策とシティの習慣が噛み合ったと考えるべきかどうかはなんともいえないところだな」
「トーマスを経由させないことで、ウーデゴール、ジャカ、ジェズスがビルドアップの出口となるべく移動を開始する」
「トーマスへのパスに比べると、パスの距離は長くなるわけで迎撃がやりやすくなる構図になっている」
「高い位置からの攻撃的な守備は自陣にオープンスペースを生むデメリットがある」
「それを解消してきたサリバとガブリエルは偉大」
「シティの場合はセンターバックたちで迎撃とカバーリングとさらされたデュエルに対応する」
「昔だったらサカにカンセロで対応していたことを思い出すと差がえぐいな」
「今日はアカンジ対サカだからな」
「だけでなく、グリーリッシュももどってくるやろ」
「ゴール前に空中戦に強いロドリもいることで、相手のサイドバックからのクロスよりもウイングへの守備を重視するようになっているからな」
「ついでにミドルシュートもなんとかなるやろ精神なところも、結城くんが言っていたリバプールのミドルシュート対策に少し似ているのかもしれんな」
「本来だったらジンチェンコの立ち位置で優位性を見出したいアーセナルだったけど」
「ロドリ、ギュンドアンが平気で捕まえに来る。そして、そのぶんのエリアを他の選手が埋めるが秀逸であった」
「マフレズではなく、このためにベルナウド・シルバは起用されているのではないか疑惑がある」
「後半のアーセナルはマルティネッリの自由化でボールを引き出しに成功する。だが、次の場面ではベルナウド・シルバがもう対応していたもんな」
アーセナルのプレッシング修正
「後半になると、アルテタも修正に修正を重ねる」
「サカをセンターバックへ、ベンホワイトをアカンジへ。そしてグリーリッシュにホールディング、ハーランドへはガブリエルをぶつける」
「実際にはアカンジはフリーでいることが多かったな」
「ボール保持ではマルティネッリがライン間を自由に移動し、ジンチェンコは外に移動していた」
「52分にはシンプルなガブリエルのミスで試合が終わりそうになるが、ラムズデールがとにかく止める」
「しかし、この流れをぶった切るようなパスミスをウーデゴールがしてしまい、シティのカウンターが発動すると、最後はデ・ブライネが仙人のようなシュートを決める」
「試合は実質終了を迎える」
「修正はしたけれどか」
「俺のマークあまいやんけ!からのアカンジの突撃は面白かったけれど」
「アーセナルにはきつい試合になってしまったとさ」
ひとりごと
優勝するには超えなければならない壁がある、というのは絶望ではなく、希望である、と偉い人が言っていました。グアルディオラが本来の思想とは異なり、相手にボールをもたせたり、ロングカウンターを仕掛けたりと勝つためには色々な策を装備していくことのように、弟子のアルテタも絶望と希望を交互に見つめながらレベルアップしていくのでしょう、たぶん。
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