こんにちは。らいかーるとです。まさかの連日の更新です。そのため明日の関東地方は雷雨になるでしょう。
今回もマッチレポでなく、書評という名の読書感想文になります。今回は東大大学ア式蹴球部監督の山口遼!の作品に迫っていこうと思います。面識はまるでないのですが、山口くんには一方的な思い出があるんです。
知り合いに鹿島ユースの選手がいました。その選手曰く、うちのユースからFリーガーと東大生が出たですよ、なんかウケませんか?って。何が面白いかはわかりかねますが、異色な経歴だね!という話をしたことをよく覚えています。
そして時は経ち、鹿島ユース出身の選手が東大でぶいぶい言わせているらしいぞ!Twitterで暴れているらしいぞ!と聞き、あのときに聞いた選手じゃないか!!!と伏線が回収されたわけです。世界は狭いですね。そんな山口くんの本を読む日が来るとは、なかなか感慨深いものがありました。
戦術脳?最先端だと、、、
実は本の題名を知らずに読み始めました。戦術的ピリオダイゼーションの本!という情報は手に入れていたので、違和感なく読み終えたわけです。そして題名を見てびっくりしたわけです。題名が「戦術脳」を鍛える最先端トレーニングの教科書ですよ。まず、戦術脳って何?最先端トレーニングってあるけど、戦術的ピリオダイゼーションに基づいたトレーニングって最先端なの?と天の邪鬼な吾輩は感じてしまったわけです。
本の題名って決めるの難しいのですよ。自分も実は本を書いていたんですけど、題名を決めた瞬間のことは未だに覚えています。これでいいのか!?というネガティブな意味で。それでも自由に決めさせてくれた小学館の懐の広さがやばい!という話なんですが。話を戻しますと、この本は戦術的ピリオダイゼーションの実践編です。ま、この題名では確かに弱いのかもしれませんが、そういう本です。というわけで、以下の方はこの本を買ってみましょう。良いことがあるかもしれません。
・戦術的ピリオダイゼーションを実践しよう、ちょっと取り入れてみようという指導者。
サッカーとは何か、と比べるとどうなの?
フットボリスタに聞いてみたいのは、なぜこの本たちを同時に出したのか。もしかしたら、どちらかが締め切りを守らなかったのだろうか。戦術的ピリオダイゼーションの説明に関してはぶっちゃけ重なっています。日本の大学生と海外の大学等で学んできた両者の視点から戦術的ピリオダイゼーションを知られるという意味においては、両者を比較しながら読むことに価値はあります。ただ、両方を買うのか?という人もいると思うので、両者を変な観点から比較してみます。
マイキーくんの本は非常に優しい言葉で書かれています。なので、理解がしやすい。なので、全くわからなかったぜ!みたいなことはほぼ起きません。戦術的ピリオダイゼーションについて深堀りしようと思えばいくらでも深堀りできるんでしょうが、敢えてしていません。また、良い意味で本音を隠し客観的に書かれています。
山口くんの本は非常に丁寧に戦術的ピリオダイゼーションについて説明しています。特に複雑系の言葉の説明に真摯に取り組んでいます。ちなみに、自分はシステム、サブシステムのくだりがさっぱりわかりませんでした。つまり、なかなか理解できないだろうことも根性で説明しようとしています。
また、初期衝動がえぐいです。人は文章を書くときに着飾ったり、本音を隠すためにおちゃらけたり、木を隠すなら森に隠せばいいなどなどやると思うのですが、山口くんは突き抜けています、多分。
具体例が必要だとしても、これやる?!みたいな。果たして本人のアイディアなのか編集にやらされたのかは超気になるところです。指導者の人ならわかると思いますが、架空の2チームのゲームモデルを使って具体的なトレーニングメニューを考えるってやりますか??絶対にめんどいし、やる意味あるのか?ってなると思うんですよね。でも、やりきっちゃうんですよ、そんな初期衝動、勢いはす凄いなあと感心しました。
戦ピリ的トレーニングとは
さて、実践編なんでしょうと。どのあたりが実践編なのか?個人的に一番興味深かったのは、従来のトレーニング対戦術的ピリオダイゼーション的トレーニングという項目周辺でした。従来のトレーニングをどのようにリメイクすれば、というか、ちょっといじれば、戦術的ピリオダイゼーション的なトレーニングになるかは、素直に勉強になりました。
戦術的ピリオダイゼーションのいいとこどりをすると、恐らくゲームモデルを引っこ抜くことになるのですが、トレーニングの作り方、という面でも戦術的ピリオダイゼーションは非常に参考になります。本書ではトレーニングには公式がある!と謳っていますが、そのあたりの説明は秀逸ですし、具体例も山ほど載っています。特にトレーニングメニューを決める9つの構成要素はなかなかおもしろいです。トレーニングにおいて、状況再現か、構造再現かは永遠のテーマであります。以下の方はこの本を買ってみましょう。
・戦術的ピリオダイゼーションを下敷きにしたトレーニングの作り方を知りたい人
ゲームモデルと観戦術
最後のほうにゲームモデルを通じた観戦術!という章があります。
日本代表、レアル・マドリー、大分トリニータ、横浜Fマリノスについて触れています。で、ここの章のチームを分析していく過程を見られることは面白いです。是非、自分のチームを分析する過程と比較してみてください。試合を分析するときにどのような角度から考えていくか?で新しい視点が手に入るかもしれません。
また、ちらっとですが、エコロジカル・アプローチについても触れています。個人的に気になっているトレーニングの考え方なので、、ちらっとだけでも載っていて助かりました。いや、でも、本当にレアル・マドリーがどのようなトレーニングをしてあのようなチームになったのかは誰かに侵入して調べてみてほしいです。ジダンとデシャンがまじでエコロジカルなのかどうか。偶然にもフランス人なんすね、両方とも。
リヴァプールとマンチェスター・シティの分析も載っているので、再開後に本当に本に載っていることが正しいのかを検証するのは楽しいかもしれません。以下の方はこの本を買ってみましょう。
・ゲームモデルを通じた分析という視点を手に入れたい人
ひとりごと
ピッチで起きていることが全て派閥の人間なので、本当にチームが設定しているゲームモデルやプレー原則をピッチから断定できるか?というとそれは不可能です。間違いなくそこに差異はあるでしょう。でも、ピッチで起きていることが全てなんですよ。なので、自分たちが目指しているものをピッチで実現するために、あらゆる角度から物事を見られるような視点を手に入れるために、学ぶことをやめないようにしましょう!という戒めでした。なんでこれがひとりごとになるねん、というのは本を読めばわかるかも。
山口くん、お疲れさまでした。。おわりにはもっとふざけましょう。
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