【相手の良さを消すトゥヘル】ドルトムント対ライプツィヒ【香川とゲッツェの未来は?】

マッチレポ1617×ブンデスリーガ

システムや選手を入れかえる機会が多いトゥヘルに率いられたドルトムント。試合ごとの変化が必ずしも正解を引き当てているわけではないようで、結果も良いとはいえない状態だ。ブンデスリーガの順位表を観ると、いつものようにバイエルンが独走し、ライプツィヒが追随する。そして、3位グループはたくさんいるよという状況になっている。ドルトムントの目標は、バイエルンと優勝争いをする!だと個人的には考えている。よって、チャンピオンズ・リーグで結果を残さなければ、トゥヘル周りは騒がしくなりそうだ。もちろん、リーグ戦での逆襲もまだまだ可能だと思うけれど。ベンチにゲッツェ、シュールレ、香川、ベンチ外にカストロと豪華な控えの面々となっている。

ライプツィヒは今季のレスター枠として、世界中を驚かせている。しかし、この試合前にチームでインフルエンザが大流行してしまった。サビツァー、デメ、ヴェルナーが欠場。フォルスベリは未だに累積で出場停止。特にチーム得点王のヴェルナーの欠場は非常に痛い。チームの登録人数も22名と少数で運営しているため、今回の欠場多数にベンチには未だにブンデスリーガで試合に出ていないよというセカンドチームの選手がズラリのようだ。来季に欧州の大会に参加することを考えると、ライプツィヒがどのような手を打ってくるかは非常に興味深い。

ドルトムントの3バックの狙い

相手陣地からの果敢なプレッシングを武器にするライプツィヒ。プレッシングを正面から受け止めるのは得策とは言えない。よって、ドルトムントはビルドアップ隊の枚数を増やすことで、ライプツィヒのプレッシングの勢いを牽制しようと試みた。ヴァイグルのポジショニングは、2トップの中間ポジションをとる定跡もしっかりとこなしていた。また、パスコースを制限(主にセンターバック同士のリターンパス)しながらプレッシングをかけるライプツィヒの2トップに対して、パスコースが無くなる前にリターンパスをしてしまえ!という割り切ったドルトムントの姿勢は見事だった。いざとなれば、ビュルキに蹴っ飛ばさせることも含めて、良い準備をしていたと感じさせられた。

ドルトムントからすれば、両脇のセンターバックから相手をずらしていきたい。しかし、ホッフェンハイム戦でも同じシステムと戦ったばかりのライプツィヒにとって、予行演習はばっちりだった。ケイタとハルステンベルグのマークの受け渡しによって、地上戦でのボールの前進はあまり効果的でなかったドルトムント。よって、次の策にうつる。その策が相手の裏にあるスペースを利用した攻撃だった。このときにウイングバックのドゥルム、シュメルツァーもウイングのようなポジショニングをとって、相手の4バックと数的同数を作ることが肝になっている。また、ロイスが空中戦で強さを見せつけたこともあって、ライプツィヒはドルトムントのロングボール合戦に苦戦することとなった。もちろん、このロングボール合戦には、ライプツィヒにカウンターをさせないという狙いもある。

ゲレイロとヴァイグルと3バックゆえの積極性

ライプツィヒの攻撃は前線の選手にボールを入れる。こぼれ球を2列目の選手が拾う。または、ボールキープに成功したら前向きの選手を使う。また、前にボールを入れるを延々と繰り返すことを特徴としている。4-2-2-2になるので、攻撃の横幅隊はサイドバックに一任される。もちろん、前線の4枚がサイドに流れることもあるが、基本は中央にいることが多い。また、レバークーゼンの得意技である密集を意図的に作る攻撃も行なう。ボールサイドに人を集める→ボールを失っても人数がたくさんいるからすぐにボールを奪い返せるという理屈だ。

ライプツィヒ対策を行なうトゥヘルの策は明快だった。最初に3バックで空中戦を積極的に行いやすくした。ドルトムントの3バックは迎撃型として、最初の空中戦で強さをみせつけた。ライプツィヒ側からみると、ヴェルナーの欠場は本当に痛かったと思う。よって、最初の空中戦で優位性をみせつけたのは果敢な空中戦を許されたドルトムントの3バックだった。なお、ウイングバックのコンビも果敢なアタックを見せていたことも忘れてはいけない。この位置に攻撃に長所のある選手を起用していたら、なかなか厳しい試合になったと思う。

次にセカンドボール争いが待っている。この位置にドルトムントはヴァイグルとゲレイロを配置した。このコンビがセンターバックの前に位置し、ライン間でプレーしたいライプツィヒの2列目の選手をセンターバックと何度も挟み撃ちにすることで、試合から消すことに成功していた。こうして、相手の良さを自分たちの献身的な選手たちが力を発揮しやすい状況をつくることで、ライプツィヒの良さを消していくトゥヘル監督であった。

ロイスとオーバメヤンと不穏なデンベレ

中央が駄目ならサイドから攻撃を仕掛けたいライプツィヒ。しかし、サイドバックを攻撃参加させると、2センターバックがドルトムントの2トップと同数になってしまう。これは非常に危険きわまりない。よって、このコンビを前に残すトゥヘルの策によって、サイドバックの攻撃参加は自重するしかないライプツィヒとなった。この選択がドルトムントの中央守備を更に強化することに繋がるのは言うまでもない。

そして、デンベレ。インサイドハーフのデンベレは下手したら諸刃の剣になるところだった。5-3-2で守る予定のドルトムントだが、デンベレは下ったり下がらなかったり。ただし、デンベレの位置にあわせて、ゲレイロとヴァイグルが2センターで、3センターで守るのかをしっかりと判断していることが印象的だった。恐らくチームとしても、デンベレも前に残したいという狙いがあったのだろう。そんなデンベレを起点としたカウンターからドルトムントが先制するのだから、トゥヘルからすれば、願ったり叶ったりの前半戦となった。

変化するライプツィヒだったけれど。

自分たちのサッカーをしているけど、ゴールまで届きそうにないライプツィヒ。サイドバックを上げて自分たちらしさを全面に押し出そうと画策するが、ロイスとオーバメヤンにカウンターをくらう機会が増えていった。ドルトムントの狙いとして、前線の選手が同数なら迷わずにボールを届けるというものがあった。前から奪いに行くライプツィヒのスタイルを考慮すると、どうしても後方は同数になってしまう。勝てるところで勝負しましょうという定跡を考えると、ドルトムントのサッカーは非常にかたいが、効率は良い。

また、後半のドルトムントは2セントラルハーフでも守れるねという理屈になり、デンベレを前に残す5-2-3となった。ドルトムントがボールを保持しているときは、ウイングバックが横幅を取るので、5トップのようになる。まるでミシャ式。ライプツィヒからすれば、前からプレッシングにいっても蹴っ飛ばされるし、撤退しようものなら、相手の前線が5トップだしとかなりめんどくさい状況となった。

66分に3バックに変更する。4-4-2が代名詞のライプツィヒだったが、とうとうドルトムントに合わせる格好となった。ただし、この形にすることで、前線の形は4-2-2-2に酷似するようになる。つまり、自分たちの形で殴りながらも、守備も何とかしようという采配だった。

ライプツィヒは良い選手が多いけれど、個で優位性をチームにもたらす選手はそこまで多くない。そういった選手はやはりドルトムントに多い。プリシッチは右サイドで存在感をしめし、カウンター局面ではオーバメヤンとロイスが何度も決定機を迎えた。ライプツィヒの守備が良かったというよりは、ロイスのシュートがとにかく入らなかった日だったと思う。ドルトムントに来る前のロイスはワントップをこなす多彩さも見せていて、前線の的もやろうと思えばやれることが他の選手よりも優遇されている理由になるのだろう。

奇跡的に失点しなかったライプツィヒはロスタイムにパワープレーから同点ゴールを決めるけれど、オフサイドの判定で取り消される。びびるトゥヘル。試合は1-0のまま終わり、ドルトムントが上位のチームを倒した形となった。

ひとりごと

今日のドルトムントがライプツィヒ専用マシーンなのかは不明だ。今日の形から考えると、ゲッツェと香川に居場所はなさそうだった。デンベレの起用はインサイドハーフとウイングを両方こなせるから。インサイドハーフはあやしかったけれど。ゲレイロの起用はセントラルハーフとインサイドハーフをこなせるから。ついでに、サイドバックもいける。香川とゲッツェを考えると、サイドから相手を蹂躙する選手ではないし、ロイスのように前線でボールをキープできるかというと、そんなこともない。ボール保持にチームのベクトルを向けるなら2人の出番は増えるだろうけど、トゥヘルの頭の中はなかなか想像するのも難しい。今日のように、ボールを捨てることもいとわない。香川とゲッツェはどうなっていくのだろうか。リバプールでコウチーニョたちのポジションをやったら、ふたりともにはまりそうだけど。

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