トップ下とアンカーを巡る攻防【ボルシア・メンヘングラッドバッハ対ブレーメン】

マッチレポ×ブンデスリーガ1819

久々の更新が、なぜかブンデスリーガとなりました。他意はありません。新年度になりまして、今までのように試合を見て書いてという日常に戻れたらいいなと思っています。今までのように、っていつの今やねんって感じですが。というわけで、今回はリハビリ更新となります。

ボルシア・メンヘングラッドバッハのスタメンは、ゾマー、ギンター、エルヴェディ、シュトローブル、クラマー、プリー、トルガン・アザール、ヘアマン、ノイハウス、ラファエル、ザカリア。ボール保持の配置は3-5-2。非保持の配置は5-3-2。なので、可変式ではないと。

ブレーメンのスタメンは、パブレンカ、アウグスティンソン、ラングカンプ、モイサンデル、セラシュ、ヌリ・シャヒン、クラーセン、エッゲシュタイン、クルーズ、ラシカ、エッゲンシュタイン。ボールの保持の配置は4-4-2のひし形。非保持の配置は5-3-2。ブレーメンの配置はかなり不思議。

非保持の5-3-2でセンターバックの中央に配置されたのはヌリ・サヒン。しかし、ボール保持では、2センターバックの前でアンカーとして振る舞う。最近の流行りか。いわゆる通常のサリーの逆移動。そして、エッゲンシュタインはボール保持では2トップの一角で、非保持では3センターの一角。ちょっと過負荷な役割になっている。そして、自由人がクルーゼ。ボール保持ではトップ下、もしくはゼロトップのように動き回り、非保持では2トップの一角としてプレーしていた。

3-5-2の理由(トップ下+2トップ)

序盤戦はボルシア・メンヘングラッドバッハがボールを保持する展開で始まった。序盤こそは相手陣地深くからのプレッシングを志向するブレーメンだったが、繰り返されるゾマーへのバックパスと3バックによる多人数ビルドアップに対して、「 ボールを奪い切ることは難しいね 」と解釈し、プレッシング開始ラインを下げていくブレーメンだった。

5-3-2で配置された守備に対して、ボルシア・メンヘングラッドバッハは、サイドバックがいない。ウイングバックに配置されたのはヘアマンとトルガン・アザールとアイソレーション要員(特に後者)だったこともあって、3バックがピッチの横幅を使うことで、相手の2トップのプレッシングを無効化することを狙う。ブレーメンの2トップも走りに走るが、時間を限定するくらいで、効果的だったかというと、なんとも言えなかった。3バックで横幅を使われると、2トップで前進を防ぐことはなかなか難しい。

相手陣地に効果的に侵入できたボルシア・メンヘングラッドバッハだったが、中央を固める3バック-3センターに苦戦。そして、サイドチェンジからのアイソレーションには、ウイングバックですばやく対応。トルガン・アザールにボールが入ってもスピードアップされる前に距離を詰めることができれば、相手の攻撃のスピードを加速させることはない。つまり、カバーリングも間に合うためのウイングバックであった。

というわけで、策を探していくことになるだろうボルシア・メンヘングラッドバッハを尻目に、ブレーメンがボールを保持する場面がゆっくりと増えていく試合展開となった。

両チームに言えることなのだが、キーパーへバックパスをする機会が多い。スコアレスでのキーパーのバックパスは、攻撃を遅らせることになる。その代わりに、ポジショニングを自分たちの定めた場所に移動させることで、定位置攻撃の準備をする。むやみにキーパーにプレッシングをかけることで、相手の攻撃のスイッチをいれさせるような振る舞いをするチームはほとんどない昨今なので、ポジショニングを調整してもボールを運べる自信が両チームにはある、ということなのだろう、多分。

では、どんな定位置になるのか。コンテ時代のユベントスは3-1ビルドアップで多くのチームを悩ませてきたことは記憶に新しい、、、のかもう過去の記憶なのか。記憶のくだりはおいておくとして、3バック+アンカーのひし形が猛威を奮っていた。最近はキーパー+2バック+アンカーでひし形を作るチームが増えてきている。

相手の2バックに対して2トップをぶつけることはあるあるとしても、2バック+アンカーに対して、同数をぶつけることは自分たちの配置をかなりいじることになる。マンチェスター・シティはインサイドハーフを前に出すことで、同数をぶつける道を選んでいた。だったら、最初から2トップ+トップ下で、同数にしてしまえばいいんでない?ということがボルシア・メンヘングラッドバッハの提案である。

ブレーメンのビルドアップは3-2ビルドアップと、ヌリ・サヒンが逆サリーをやることで、3バックとキーパーでひし形を作る形を、おそらく持っていた。しかし、2トップ+トップ下の形は容易に3トップへの変化は可能だ。つまり、相手が3バックだったら、3トップで同数にする。相手の3バックが2バック+アンカーに変化したら、2トップ+トップ下のままで対応する。

というわけで、自陣での優位性を消されたブレーメンはちょっと落ち着かないボール保持を見せる。ポジティブに言えば、縦に早い。ネガティブに言えば、前線の選手の準備ができていないのにボールを放り込む。なので、試合の主導権はボールを安定的に保持できていただけボルシア・メンヘングラッドバッハよりであった。

トップ下の復興なるか

さて、そんな試合模様になってくると、手をうつ必要があるのはブレーメンだ。ブレーメンの手はどのポジションなのかよくわからないクルーゼの働きで自分たちのボール保持攻撃の修正に乗り出す。

ボルシア・メンヘングラッドバッハのプレッシングを同数プレッシング(サイドはちょっと空いている)とすると、キーになってくるのは前線の選手だ。前線の選手が同数状態を利用してロングボールの的になれるかどうかは相手の質との関係性になってくる。ブレーメンの策は列を降りる動きをクルーゼに行わせることだった。

中盤を2枚のセントラルハーフとトップ下で構成しているボルシア・メンヘングラッドバッハ。ブレーメンは基本は2セントラルハーフ。ヌリ・サヒンが上がってくるか、クルーゼが下がってくれば、枚数が増えることになる。前述のようにヌリ・サヒン担当の選手はいるが、クルーゼ担当の選手はいなかった。というわけで、まるで詰将棋のようにフリーロールを与えられたクルーゼが躍動していた。トップ下とゼロトップのような役割は同数プレッシングに対する新しいアンサーになるかもしれないし、やっぱりロングボール一択になるかもしれない。

そんなクルーゼがボールを奪われて、ボルシア・メンヘングラッドバッハが後半早々に先制する。そして大迫が登場する。過負荷のエッゲンシュタインと交代したのは偶然か必然か。なお、クルーゼがトップ下とインサイドハーフでの守備をする場面が増えていった。最初からそうすればいいのに。ただし、最終的に大迫がインサイドハーフになった場面は笑った。

攻めなければいけないブレーメンと、先制したことでどっちでも良くなったボルシア・メンヘングラッドバッハ。おそらく、ボルシア・メンヘングラッドバッハのほうが迷いが出てくるようになる。また、5-2-1-2で守っているボルシア・メンヘングラッドバッハの過負荷は2セントラルハーフだろう。徐々にライン間を相手に使われるようになり、前半には見られなかったゾマーが大活躍するようになっていく。

両チームに共通して言えることが、相手の守備が整っていないと強い。当たり前だけど。だからこそ、相手にカウンターをさせないようにしないといけない。そのためにどうする?の解答が効果的な配置を活かしたボール保持になっているのかなと。で、さらに、効果的な配置を消すための効果的な配置によるプレッシングも増えてきていると。でも、上手くいけばボール保持によって、トランジション機会は減るだろうから。となると、トランジションを増やしたいようなチームが逆説的に登場することもわからないでもない状況であった。

なお、大迫は自分に適した役割をしているようだった。相手のセンターバックとのど付き合いだけでなく、降りてプレーすることもチームとしてありなようだったので、そこまで不満を感じることなくプレーできているのではないのだろうか。ただ、久々の出場だったこともあって、周りとの呼吸は微妙であった。それでも、なぜか大迫がセカンドボールを拾い、クロスを上げると、クラーセンが決めて同点となる。

残り時間は10分。ボルシア・メンヘングラッドバッハの猛攻をくらうが、最後のパスがずれたり、パブレンカのスーパーセーブだったりで、何とか凌ぎきったブレーメン。同点ゴールが決められる前にとどめをさされそうな場面は何度もあったので、引き分けで御の字だろう。ボルシア・メンヘングラッドバッハからすれば、勝ち点を失った試合となってしまった。

ひとりごと

トップ下とアンカーを巡る攻防は面白くなっていきそうな予感。そして、繋いでくるゴールキックの対策として、ペナ角に2人、アークの中央に1人の配置で答えはでた模様。そのギャップを通せるか通せないか大会。

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