【万事を尽くしたモウリーニョ】マンチェスター・ユナイテッド対リバプール【対策されても戦えるリバプール】

マッチレポ1617×プレミアリーグ

今季のプレミアリーグは6強の様相となっている。チャンピオンズリーグで争うような他のリーグと比較しても、6チームに優勝のチャンスがある!というのは、なかなか珍しいことだ。チャンピオンズリーグの出場権も基本的には4が最大なので、生き残りをかけた決闘の雰囲気がシーズンの終わりに近づくに連れて増していくのだろう。

スタートダッシュに失敗したマンチェスター・ユナイテッド。しかし、モウリーニョのチームは尻上がりに結果を残してきた。12月の中旬から公式戦負け無しでリバプール戦に臨む。結局はキャリックなのか!ということはさておき、ムヒタリアンがしっかりとポジションを確保したことに安堵している。首位のチェルシーまでのポイント差はかなりあるので、現実的にはヨーロッパ・リーグとリーグ戦でのチャンピオンズリーグ出場権確保が目標となるか。

今季のリバプールは一味違うのだ!という結果を残してきた今シーズン。新年になってから少しポイントを落とすようになってきたことは気がかり。しかし、チャンピオンズリーグ出場権は絶対の目標となり、あわよくば優勝も狙える位置にいる。最終的にドルトムントで散々になってしまったクロップとともに、俺達はまだ終わっていないぞ!ということを証明するためにも、今季は周りをあっと言わせるような結果を残したい。

マンチェスター・ユナイテッドが守備を整理するまで~15分

試合の序盤に限って言えば、様子を見るよりも、相手を驚かす。または、自分たちに気合をいれる意味でも、攻守に果敢に振る舞うチームが多い。この試合について見てみると、ボールを保持した面ではリスクを考慮したロングボールが多く見られ、ボールを保持していない局面では、果敢にプレッシングに行く場面が目立っていた。

マンチェスター・ユナイテッドは、エレーラ(もしくは、ポグバ)を前の列に出して、リバプールからボールを奪おうとした。リバプールはヘンダーソンを中心とするビルドアップを得意としている。よって、その仕組みを機能させたくなかったのだろう。しかし、数で勝るリバプールのロングボールを織り交ぜた攻撃に対して、マンチェスター・ユナイテッドは守備の狙いを機能させることができなかった。よって、序盤戦に限って言えば、リバプールがプレッシング以外の面でも、らしさを見せる、今季の強さを証明するような立ち上がりだった。

守備の整理をするマンチェスター・ユナイテッド

前から追いかけまわしても無理だなと判断したマンチェスター・ユナイテッド。途中からリバプールにボールをもたせるようになる。ボールを持たせる代わりに、リバプールのビルドアップの出口を徹底的に塞ぐ。イブラヒモビッチはボールを持っていないセンターバックの側にいることが多かった。センターバック同士のパス交換を阻止し、ボールを持っているセンターバックにボールを前進させる以外の選択肢を与えないのがマンチェスター・ユナイテッドの狙いだ。

リバプールはロングボールで状況打開を狙ったけれど、リバプールの前線は空中戦に強くはない。よって、競り合いのすえにマンチェスター・ユナイテッドにボールが渡るようになっていく。リバプールの次の策が3センターのポジションチェンジによるビルドアップの出口を作るだったのだけど、相手が前進のパスを狙っているならば、前に蹴ってプレッシングでも問題ないだろうという姿勢になっていく。ただし、クロップがドルトムント時代にレヴァンドフスキを失って苦しんだように、ロングボールの的がいないことで、リバプールのロングボール大作戦はほとんど失敗に終わった。

マーシャルで狙い撃ち&プレッシング回避のデ・ヘア

リバプールのボール保持攻撃をロングボールに導くことに成功したマンチェスター・ユナイテッド。よって、ボールを保持して仕掛ける場面が増えていく。マンチェスター・ユナイテッドのキーマンはマーシャル。対面の相手が見たことのない66番だった。だったら、狙うよねというわけで、マーシャルの積極的なドリブル突破が目立っていく。

マンチェスター・ユナイテッドの一の矢がマーシャルだとすれば、二の矢がゴールキック。もちろん、デ・ヘアのキック精度の高さがもたらしているのだが、マンチェスター・ユナイテッドの空中戦の強さは異常だ。ゴールキックから一気にゴールまで迫る文脈もへったくれもない攻撃を何度か見せる。リバプールからすれば、相手がボールを保持しているならプレッシングで相手の狙いを破壊してやるとなる。

マンチェスター・ユナイテッドは困ったときのデ・ヘアでリバプールのプレッシングを回避していった。リバプールは前からボールを奪いに行くので、どうしてもどこかの選手が空いてしまう。こんなときのために3バックで前の枚数を増やす作戦がトレンドになっているけれど、マンチェスター・ユナイテッドの前線はただでさえ空中戦に強い。そんなリスクを冒す必要もない。ポジショニングでパスコースを制限すれば問題ないではないかとなるのだが、デ・ヘアのキック精度に苦しめられることになった。

このようにゆっくりと自分たちらしさを削られていったリバプール。しかし、27分に先制点を決める。困ったときのセットプレーからポグバがまさかのハンド。PKをミルナーが決める。左サイドバックに定着しているミルナー。本来のポジションはどこだったのかよくわからなくなってきた。どこでも高水準のプレーをするのは素晴らしいのだけど。

前半の残り時間のリバプールの手は、自陣に撤退であった。プレッシング開始ラインをハーフライン付近に設定する。先制したことで守りを固められる状況にいなったことで、前からのプレッシングが機能しない問題を隠すことに成功する。

モウリーニョの采配

後半の頭からルーニー。モウリーニョの頭の中では、リバプールがプレッシングに来ることはない。撤退守備が基本線となるだろう。だったら、撤退した相手を崩せる選手を増やそう、みたいな。キャリックのプレーが悪かったなんてことはまるでなかった。ただ、ポグバとエレーラに比べると、チャンスメイクなどで存在感を示そうな選手はどちらだという計算になっている。また、相手が撤退することで、キャリックの仕事は減るだろうという計算もあったろう。

60分にコウチーニョが登場。撤退守備からのロングカウンターで前半よりもチャンスを作れていたリバプール。高速カウンターの精度を上げるためにコウチーニョが出てくる。スタメンじゃなかったのか。そんなコウチーニョのチャンスメイクからリバプールは決定機を得るが、残念そこはデ・ヘア。エレーラとポグバのセントラルハーフはふたりともにどこかへ行ってしまうことがあるので、カウンターに力を入れるのは論理的だった。

 

マンチェスター・ユナイテッドのボール保持が後半になると80%をこえる時間帯もあった。この数字は極端だが、後半はそういう試合であった。マンチェスター・ユナイテッドがボールを保持し、リバプールが速攻を仕掛ける。両チームにチャンスが生まれていくなかで、マンチェスター・ユナイテッドはマタとフェライニをピッチに送る。マタ、ルーニーが狭いエリアでも活動をし、最後はフェライニとイブラヒモビッチがクロスに突撃してくる形は、リバプールにとってなかなか厳しい形だった。策はすべて行なうモウリーニョ。策が成功しなかったとしても、万事を尽くした感は強い。

そんなマンチェスター・ユナイテッドが報われる。クロス地獄のはてにシュートを決めたのはイブラヒモビッチ。残り時間ではスコアが動かずに試合が終了する。リバプールはコウチーニョを交代したのみだった。だが、ベンチを眺めても誰をピッチに送れば良いのだ?となるメンバーなので、選手層の差が大きかったかもしれない。こうして痛み分けで試合は終了する。マンチェスター・ユナイテッドは好調の理由を示し、リバプールは自分たちの良さを消されながらも、撤退守備とカウンターで幅を見せつけた試合となった。

ひとりごと

マンチェスター・ユナイテッドの順位は6位。6強のなかでは最下位となっている。しかし、12月からの好調をやリバプール対策を見ても、モウリーニョらしさを発揮してきているのは間違いない。そういう意味では、プレミアリーグの鍵を握っていく存在になっていくかもしれない。

リバプールは戦い方の幅を見せつける意味でも、6強と正面衝突しても別に怖くないところまでチームが自信を身につけていそうだ。どうせなら、がっつり結果を残してほしいので、怪我人が出なければいいなと願っている。

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