ストークのスタメンは、シェイ・ギヴン、フィル・バーズリー、エリック・ピーテルス、ライアン・ショークロス、フィリップ・ヴォルスハイト、ジョー・アレン、グレン・ウェーラン、ボージャン・クルキッチ、ギルバート・イムブラ、マルコ・アルナウトヴィッチ、ディウフ。一度でいいから見てみたい、バルセロナ対ストーク。グアルディオラ対ロングスロー大会。ときは満ちた!!!と言いたいが、ストークはすでにあのときにストークではなくなっている。リバプールからジョー・アレンを獲得し、普通の路線を志すようになっている。
マンチェスター・シティのスタメンは、カバジェロ、サバレタ、オタメンディ、ストーンズ、コラロフ、フェルナンジーニョ、シルバ、デ・ブライネ、ヘスス・ナバス、スターリング、アグエロ。グアルディオラを招聘し、マンチェスター・ユナイテッドに続いて俺たちは本気であることを証明するマンチェスター・シティの偉い人たち。グアルディオラ対モウリーニョといえば、かつてのクラシコを思い出せる。そんなマンチェスター・ダービーまでのチームの完成度を高められるのはどっちだ競争は、すでに始まっている。
結果はマンチェスター・シティが4-1で勝利。ボージャンの得点で1点差に迫ってからのストークの猛攻は見応えがあった。
順調なグアルディオラとマンチェスター・シティ
ストーク戦のマンチェスター・シティのサイドバックは、コラロフとサバレタ。前節ではクリシーとサニャの元アーセナルコンビが組んでいた。元アーセナルコンビは、セントラルハーフの位置に移動し、軽やかにプレーしていた。初戦からのアラバロールの実践とそのスムーズさは多くの人を驚かせたに違いない。特に、クリシーのアラバロールは、可能性を感じさせるものだった。よって、当然のように両者が継続してプレーするのかと思っていたが、チャンピオンズ・リーグの流れ(予備予選ではサバレタとコラロフを起用)を意識しての変更だったのかもしれない。
サバレタとコラロフのアラバロールの動きに対して、ストークはサイドハーフをついていかせることで対応。サイドから動くのが嫌そうなボージャンに対して、献身性のかけらもなさそうなアルナウトビッチが懸命に守備をしていたのが印象に残っている。人を見た目やプレーから判断してはいけない、という事象だ。アラバロールの目的は、ビルドアップをスムーズにさせるため&ボールを失ったときの守備への以降をスムーズにするために行われる。ポジショニングに攻守両面の意味を持たせることの代表例といえるアラバロールだった。
ストークの守備は、どこかマンマークの要素が強かった。具体的な現象としては、人についていった(例えばアルナウトビッチがサバレタについていく)ことで発生するエリアを誰も埋めない。アルナウトビッチの例で言えば、サイドなので、捨てるという判断も間違いない。マンチェスター・シティは、空いたサイドのエリアにヘスス・ナバスやスターリングが登場する。フェルナンジーニョをおろして横幅を使うようになったセンターバックからヘスス・ナバスたちにボールを供給するパスラインがこのようにして誕生する。バイエルンでいえば、ロッベリーにボールを届けるためのルートの作り方と同じだ。
バルセロナではサイドプレーヤーの不在に苦しんだグアルディオラ。バイエルンではロッベリーの怪我に苦しんだグアルディオラ。マンチェスター・シティにはサイドプレーヤーがたくさんいる。ただし、ロッベリーほどの存在感にたどり着けるかは未知数な選手がたくさんだ。ノリート、ヘスス・ナバス、スターリング、そして、中央でプレーしているけど、本当はサイドプレーヤーのデ・ブライネと、とにかくたくさんいる。逆にインサイドハーフにあたる選手が少ない。シルバとデルフ、フェルナンジーニョくらいか。フェルナンジーニョはアンカーで固定されているので、ギュンドアン待ちになっているのかもしれない。
リベリや、ロッベン、ドグラス・コスタサイドの優位性を高めるために、グアルディオラが行った手は、攻撃の枚数を増やすという単純で間違いのない手だった。その手はロッベリーよりは劣るマンチェスター・シティのサイドでも当然のように行われる。ボールを受けに下がったヘスス・ナバス、スターリングによっておびき出されたサイドバックの裏に突撃するのはシルバとデ・ブライネ。いわゆるインサイドハーフ突撃だ。シルバとデ・ブライネが本来の位置にいないときは、サバレタやコラロフが現れる仕組みになっている。
サイドバックの裏を誰がカバーするか。そもそもポジションを下げるヘスス・ナバスたちを誰が抑えるのか問題を解決するために、ストークはセントラルハーフを下ろす。サイドバックとセンターバックの間にセントラルハーフを下ろすことで、サイドバックのヘスス・ナバスたちへの撃退守備を可能とする。そして、インサイドハーフ突撃には下ろしたセントラルハーフをついていかせることで、簡単に空いてに時間とスペースを与えないように準備がなされていた。
しかし、ストークの守備はマンマークの要素が強い。前述のように、人の動き(インサイドハーフ突撃やアラバロール)に、ついていくことで対応をしている。この動きで相手を抑えることもできているのだけれど、同時に相手にスペースを与えてしまうことも多かった。例えば、セントラルハーフが下りて対応するのくだりを思い出してみると、セントラルハーフがいるべき場所を誰が埋めるかというと、誰もいない。サイドを捨てるならわかるが、センターを捨てるチームはなかなか見ない。また、ボールエリアでないサイドハーフは下がってこない。この役割はチームによってカウンターに備えるために下がってくるな役割も確かにある。しかし、順々にずらされて最後はスターリング!という場面が何度もあったように、非常に危険な雰囲気を感じさせるものだった。
マンチェスター・シティからすれば、ボール保持からの攻撃は人の動きで相手を動かしながら攻撃を続けること。守備ではすばやいプレッシングで相手からボールを奪い返し、ボールを保持するか、カウンターならスターリングとデ・ブライネを中心に仕掛けると攻撃の幅を見せていた。ベルギー代表でもそうだったように、オープンな状態では最強のデ・ブライネはどこか窮屈そうというか、自分の役割をこなすので今は精一杯ですというインサイドハーフ仕事に苦労している印象を受ける。ミュラーと同じ道をたどるのか、覚醒するのかはシーズンの終わりを楽しみに待ちたい。
また、ゴール前に突撃していく選手が少ない。イニエスタのようにシルバはシュート以外は完璧。ゴール前に入っていけそうなスターリングとデ・ブライネは、狭いエリアに突撃していくことを得意としていないようだった。肝心のアグエロは、周りとの呼吸があわない。狙った位置にボールを送れているのだけど、アグエロがいない、または動きすぎる。PKやセットプレーでしっかりとゴールを決めるあたりは流石なのだけど、グアルディオラのワントップをこなすことには多くの選手が苦しんできている。その歴史は繰り返されるのかもしれない。
開幕戦で怪しさを露呈した守備だったが、相手がボールを保持しているときのプレッシング。相手がロングボールを蹴っ飛ばしてきたときの自陣への撤退の速さ、枚数ともに改善されていた。まずはどこに戻り、どの位置にいる選手がボール保持者へプレッシングに行くかがしっかりと整備されてきている。自分のポジション(おれはサイドバックだからサイドの守備だ!)みたいな感覚は、トランジション状態だと役に立たない。着々とグアルディオラらしくなっていくチームだったが、怪しさを見せたのはボージャンの反撃から始まったストークの振る舞いだった。
死なばもろとものストーク
前半にマンチェスター・シティに与えたPKは妥当だと感じたのだけれど、主審は間違っていたと後ろめたかったのかもしれない。ごめん、前半のPKは間違いだったから、ストークにもPKを与えるねという判定で、後半の頭にスコアは2-1になる。PKを決めたのはボージャン。マンチェスター・シティに移籍して、ボージャンにワントップのやりなおしをしてほしいという個人的な希望が叶う気配はまるでない。
スコアが動いたことで、希望が生まれたストーク。スコアが試合にもたらす影響は尋常ではない。後半のストークは死なばもろともプレッシングの雰囲気を出していく。マンチェスター・シティが行っていたように、ビルドアップ隊に数的同数をぶつけるように変更してきた。マンチェスター・シティの陣地から始まるプレッシングの圧力は、マンチェスター・シティを確実に苦しめていった。
相手の数的同数プレッシング、または死なばもろともプレッシングに対して、グアルディオラの手は、キーパーを使ったビルドアップ回避か、レヴァンドフスキに放り込むが常套手段だった。そのためのカバジェロ。テレビに何度もうつるハートを尻目に、カバジェロはビルドアップに何度も関わっていく。カバジェロが起用されている理由は、ビルドアップがハートよりも上手だからと認識している。後半になって、その起用の意味が問われる状況となったカバジェロ。結論から言うと、非常に微妙だった。
もちろん、長いボールで異様な上手さを見せる場面もあった。しかし、相手をひきつける、味方に時間とスペースを与えるという意味において、ストークのプレッシングの速さを解決することはできていなかった。その怪しさはチーム全体に波及し、ストークにチャンスを与えることになってしまう。このようなときのために、長いボールを蹴ってどうにかする選手が必要となる。ただし、チームの完成度を高めてプレッシングをショートパスでかわしていく解決策もある。実際にマンチェスター・シティの追加点は、ビルドアップで相手を剥がしきり、裏への放り込みから始まっている。数的同数プレッシングもしっかりと準備をしなければ、単発のプレッシングになってしまう。マンチェスター・シティの我慢の結果が、終盤の追加点に繋がったと言えるだろう。
途中出場で2ゴールのノリート、そして中央で存在感を示したイヘアナチョの出番は増えていくかもしれない。ノリートのゴールは両方共に味方のお膳立てによるものだが、イヘアナチョもスターリングも良い意味で周りを見えていることを周りに証明したプレーは、個々の選手の余裕雨を同士に示したと言えるだろう。試合は4-1で終わる。終わってみれば、大勝のマンチェスター・シティ。開幕戦も苦戦していたが、苦戦しながらもしっかりと勝ちきることで、手に入れられるもののほうが大きい時期だ。この調子でチャンピオンズ・リーグでも頑張ってもらいたい。
ひとりごと
マンチェスター・シティは、ストーンズがうまい。値段の価値はあると思う。そしてシルバの上手さが際立っている。特にポジショニングが素晴らしい。ビラノバドリルでもあったけれど、味方が動いてできるエリアを使うことに長けている。相手のセントラルハーフを動かせば、アグエロのプレーエリアを確保できる算段にもなっているので、シルバをどのように止めるかは、相手にとって難儀な問題になっていきそう。
コメント
グアルディオラのバイエルンでの3年間の戦術の変化の記事を読んでみたいと言う、わがまま極まりないお願い
無料じゃできないある。でも、お金もらってもやりたくないけど(・∀・)
アグエロはどうなるでしょうね。
アグエロを活かせる戦術が開発されるか、イヘアナチョに立場を脅かされるか。
バルサもスアレスでなくアグエロを獲得していたらどうなっていたんだという疑問がありますし。
>マンチェスター・シティに移籍して~
ボージャンはペップに遺恨があるらしいですからね。
イヘアナチョがアグエロよりも戦術面で優れているかというと、五十歩百歩ですからね。個人的にはどうにか修正してくるだろうと。
そうなんですよね。ボージャンは恨んでますよ。メッシよりもワントップこなせていたのに、ベンチに送られたわけですから。
具体的にストーンズはどの辺が上手いのですか?
答えて頂けると嬉しいです。
時間と空間を無駄使いしないストーンズがうまい。
あまりサッカーを見る目はないので的外れかもしれませんが
バイエルンみたいなロベリーやコマンコスタの1対1の強さでサイドを突破する事よりももう少しサイドでの連携で崩してクロスを送るなどしたいのかなって思います
というよりそうした方が合ってるんじゃないかと思うのですがどうでしょう
一対一で勝てるマンがいないですからね。その手が使えないという。でも、ヘスス・ナバスとノリートならほどほどに何とかしてくれそうですが。