ロティーナ式鳥栖対策 2021.3.14 J1 第4節 清水エスパルス対サガン鳥栖

「さて、今日は清水エスパルス対サガン鳥栖の試合をみていきたい」

「ちなみに今日もJリーグがある」

「関係者の皆様、本当にお疲れさまです」

「次節のあとに今節の試合の感想文を書くのはちょっとあれなので、大急ぎで振り返っていきたい」

「清水は欧州のルールをチームに馴染ませようと必死に取り組んでいる。それゆえにマリノスのコーチを引っ張ってきたり、今度は裏ボスのロティーナを連れてきた」

「大熊さんの手腕は最高だな」

「鹿島戦でも見せたようにロティーナのサッカーは試合をコントロールすることを目指しているんだ!と考えてみると、非常にわかりやすい」

「この試合では権田を中心に自陣でボールを何となく繋ぐ場面が見られた」

「ボールを保持するチームは常にゴールを目指しているわけでもないし、常に前進しなければいけないわけでもない。この試合の清水は自陣の深い位置でボールを繋ぐことで鳥栖のプレッシングを待っていた」

「鳥栖はマンマーク志向が強いプレッシングのため、3バックでボールを回していると、インサイドハーフの仙頭が出てくる」

「その時を待ち続け、鳥栖が前がかりになったら蹴っ飛ばす清水だったな」

「もちろん、繋げるときは繋ぐのだけど、この方法論のいやらしいところは鳥栖からするとまじでめんどくさいことだろうな」

「鳥栖からすれば、ボールを受ける中盤の選手のエリアでデュエル勝負をしたい。しかし、清水はなかなかボールを前進させない。そして前に出たら蹴っ飛ばされる」

「清水の前線の質は高いから、ロングボール作戦も機能する、というか、自分たちの強いところを相手にぶつける作戦としては優秀だな」

「このようにゴールを常に狙う!というよりは、相手の嫌がることをする、という意味において、ロティーナの作戦、試合の進め方は非常に興味深い」

「ちなみに、後半の原はほとんど同じような形でボールを蹴っ飛ばしていて面白かった」

「再現性のあるロングボールというか、追い込まれたときはこの形で蹴る!と設計されていたんだろうな。追い込まれ方にも再現性があるというか」

「そんなロティーナらしさに触れたあとで試合内容に話を戻していく」

「戻していくも始まってもないけどな」

「鳥栖のボール保持の仕組みについては割愛する。散々説明してきたからな」

「今日の注目は鳥栖のボール保持の仕組みを清水がどのように止めるかであった」

「清水のプレッシングの配置は[5-3-2]だった」

「特に興味深かったのがブラジル人コンビの役割だった」

「エドゥアルドやファン・ソッコに襲いかかるかと思ったら、松岡と仙頭に熱心だった」

「清水からすると、どうせ可変するんでしょう?だったら可変したときのことを考えて役割分担しておくからね!って感じだったな」

「ちなみに可変したあとを前提とするなんて当たり前やろ!となるけど、某ナポリは某シティのシンプルな偽サイドバックに[4-4-2]で挑んでフルボッコにされたから何とも言えない。ちょっと前の話だけどな」

「恐らくだが、松岡はマンマークのように対応されると、サリーをするようになっている。そして、仙頭が降りてくる。しかし、仙頭と松岡にブラジル人コンビが寄り添っている」

「そして鳥栖の配置の妙なんだけど、仙頭は左インサイドレーンから降りてくることもあって、左サイドに配置が偏る傾向がある」

「よって、仙頭周辺を担当していた鈴木がブラジル人コンビに加わってプレッシングをするように変化していく」

「清水は3人で鳥栖の4人を見るイメージだな。なので、ブラジル人コンビがマンマークをしていたわけでは決してない」

「片側のセンターバックを逃げ場とする場面が多かった鳥栖だけど、清水はこのセンターバックを捨てていた。フリーのセンターバックにボールが出ると、ゆっくりと撤退しながらスライドを完了させる清水だった」

「そして振り出しに戻るわけか」

「鳥栖からするとサイドチェンジからボールを前進させたかったんのだけど、逆サイドの位置する樋口、飯野にはマークがすぐにつく清水の配置になっている」

「[5-3-2]の利点だな。ただし、樋口のボールの受け方はなかなか秀逸だった」

「というわけで、センターバックはオープンでボールを持てるけど、選択肢を削られている鳥栖はちょっと強引な手法にでる」

「強引な手法とカッコつけているけど、相手がそばにいてもボールを前進させようとしただけだな」

「相手が側にいるので、デュエル勝負となる」

「そして、清水がボールを奪ってカウンターを仕掛ける」

「今までの鳥栖の試合と逆転現象になっている。ボール保持で配置的優位性を活かし、ボール非保持ではデュエル勝負を挑んでいた鳥栖だったが、この試合ではこの噛み合わせが逆転している。これdがロティーナがマジめんどくさいと相手から評される所以だろう。裏返してくるわけだからな」

「これはまずいと動き始めたのが小屋松と仙頭、林だった」

「左に偏っている鳥栖は密集による数的優位を上手く活かしたかった。仙頭の位置に鈴木がつられるならば、空いたエリアに入ってくる小屋松。そして、小屋松の位置を使う林と面白い場面を何度か作れていた」

「たぶん、樋口も同じような仕事ができそうな気配はあるけれど、こちらは側に人がいないので苦しそうだったな」

「というわけで、鳥栖はわずかな突破口を見つけるものの、5バックゆえに余っている人がいる清水はいざっとなったらそこに人を投入してくる余裕がある」

「なので、早い段階で林にトップ下のような仕事をさせていた鳥栖だったけど、相手に致命傷を与えることはできなかった」

「ここで鳥栖のサッカーについて少し」

「コンテ式の雰囲気があると呟いたが、この試合を見てちょっと印象が変わった」

「コンテ式の肝はインサイドハーフ(小屋松や樋口)の動き出しによってできたスペースにCFが出てくることが特徴となっている」

「亜流になるが、左サイドは小屋松の空けたエリアに林という関係性ができていたが、右サイドは樋口の動き出しに周りが連動する場面はわずかだった」

「恐らくパターンとして仕込まれていない可能性が高い。なお、後半に登場した本田は少しできていた」

「この試合はボールを失うとめんどくさい展開になることがわかったらか、前節ほどにロングボールを使わなかった可能性は高いけどな」

「ゲームプランの差異か」

「後半になると、清水のプレッシングが死なばもろともな雰囲気が出てくる」

「鳥栖のセンターバックにもプレッシングに出てきていた。そんな奇襲によって清水は決定機を得ていくのだからちゃんとしている」

「コーナーキックからのボレーが最も決定機だったかもしれんな」

「およそ15分間の奇襲を凌いだ鳥栖はボールを保持するチームの鉄則である、勝負は後半を実践していく」

「清水は選手を入れ替えながら守備の強度の維持に努めるが、鳥栖のボール保持に撤退していく形となっていった」

「鳥栖は攻めまくるが5バックによる大外レーンを封鎖する形に苦しんでいた」

「サイドが駄目なら中央となるわけで」

「ここで本田の登場で右サイドの樋口も試合に存在感を発揮していくようになるのだけど」

「エリア外からのシュートは権田が止めるという計算に阻まれ、エリア内からのシュートも残念そこは権田、という形だった」

「鳥栖からすれば一点位入ってもおかしくないだろ!という試合だったが、それを言うなら清水も同じことが言えるわけで」

「平和的に終わらせるなら、両チームのゴールキーパーが試合の質を高めたということだろうな」

「というわけで、スコアレスで試合は終了。鳥栖は宿題をもらったような試合となった」

「5バックに対する大外レーンのサポート、仙頭と小屋松の関係性を右でも作れるかどうか、スペースの創出と利用だな」

「清水は後半開始からの奇襲が奇襲なのか修正なのかは気になるところだけど」

「修正だとしても、前半に対応も見事だったと思うけどな」

「両チームの未来が楽しみということで」

「ではさらばじゃ」

「ただ、ちょっと残念なことがあって」

「何だ、終わらないのか」

「鳥栖の特徴的な配置を止めるために5バックを使ったわけだろう。ソルバッケンみたいに相手が何であろうと[4-4-2]で対応してくれないかなと期待していたんだけどな」

「外野の勝手な願いだな」

「相手の配置に合わせて自分たちの位置を調整することは必須科目というのも間違いない事実なわけで」

「サガン鳥栖を4バックで止めるとすれば、速さを軸としたプレッシングになるだろうけど、そうなると朴一圭がキーだな」

「というわけで、川崎戦とマリノス戦を楽しみに」

「今度こそ、さらばじゃ」

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