ザルツブルグ対チェルシーから読み解くポッターの動的構造

2022/23欧州サッカー

「さて」

「今日はザルツブルグ対チェルシーを分析していきたい」

「なお、試合結果は2-1でチェルシーの勝利であった」

「前半にチェルシーが先制、後半早々にザルツブルグがスーパーカウンターアタックを炸裂させたけど、65分すぎにチェルシーが勝ち越しゴールを決める展開となった」

「最初にスタメンはこちら」

 

「唐突に図だな」

「唐突が好きだからな」

「配置のかみ合わせを見ていると、意地でも配置的優位性を得たそうなチェルシー[3142]に対して、ザルツブルグがどのように対応するかが気になるところで」

「ザルツブルグは強度マシマシのためにサッカーをしているからな」

「ザルツブルグは[4231]のように可変することでチェルシーに配置的優位を許さなかった」

「なお、ザルツブルグがボールを保持しているときは[4312]にさっと戻るようになっている」

「序盤戦に至ってはトランジションが連発する展開ではなかったこともあって、ザルツブルグの可変式の隙きをつくような場面はほとんどなかった」

「ビルドアップの局面では[8対6]という時代はとうの昔に終わり、[8対7]が繰り広げられる時代になっている」

「ザルツブルグなら驚異的な速さと二度追いでボール中心のプレッシングでもどうにかしてくれるのではないか??と淡い期待をしていたが無理なものは無理なんだろうな」

「ちなみにライプツィヒに対して、レアル・マドリーはカマヴィンガ、ロドリゴとハイプレッシングを行える人材でレッツゴーしたが、頭数が足りない問題を速さで解決できなかった」

「それはまた別のお話で」

「チェルシーもこのマンマークプレッシングに苦しんでいたんだけど」

「序盤はプレッシングに向き合う形が男前だった」

「チェルシーのビルドアップの特徴を記していく」

「最初にどうしても気になる選手はスターリングとプリシッチだ」

「昨年のバイエルンでウイングバックを担っていたニャブリが反乱を起こしたようにこのコンビをウイングバックは色々と無理がある」

「ボールを保持する時間を増やすことで、スターリングたちが最終ラインに吸収されて守備の時間は短くなるように設計はされているんだけど」

「ゼロにすることは困難だからな」

「ポッターも無理なもんは無理と考えているようで、2-1になってからアスピリクエタを入れて4バックで逃げ切りを図ったこともこの5バックで90分を過ごすことは無理と考えている証拠にはなるのだろう」

「さらにこのコンビが低い位置にいてもあんまり怖くはない」

「では前に送るためにはどうしたらいいか」

「他の選手が横幅を取ってくれれば良い」

「左サイドはククレジャ、右サイドはギャラガーが担っていた」

「チャロパーと比較すると、ククレジャのヒートマップがサイドバックのようになっていそうな理由はこんなところにあるのだろう」

「代わりに横幅を確保してくれる選手の登場でスターリングたちはさらにウイングのような高い位置を取るか、内側への移動が許されるようになる」

「しかし、ククレジャは3バックの一員なので、常に横幅を取れるわけではない」

「なので、ハヴァーツがスターリングとユニットを組むことでその問題は解決されるようになっている」

「ちなみにオーバメヤンもユニットへの参加が認められているようだった」

「ときどきスターリングがポジションどこやねん!となるときは他の選手が左サイドにいることがほとんどであった」

「ビルドアップの+1としてはコバチッチが秀逸だった」

「トゥヘル時代にジョルジーニョとデュオを組んでいたこともあって降りる動き、タイミング、ボールに対する入り方も流石だったな」

「最近のサッカーは相手陣地はマンマーク、自陣ではボール中心の守備だけど人への意識ましましな流行になっている」

「[3142]で配置的な優位性や!作戦も機能しないからな。」

「なので、選手を動かす。マンマークといっても逆サイドまでついていくマンマークはあんまり存在しない」

「選手を動かすときに注意点は相手がついてこれないように列とレーンの移動を行うこと」

「そして空いたエリアに誰かが登場することにある」

「チェルシーはその役割がいい意味ではっきりしているし、遊びの部分も多い」

「サイドユニットの枚数も2から4枚と自由自在だしな」

「この仕組みによってプリシッチもスターリングもウイングバックの役割に終止することがない計画になっている」

「20分が過ぎると、ザルツブルグの強度も弱まっていき、チェルシーがボールを保持してザルツブルグを押し込むようになっていく」

「相手を押し込んだときのチェルシーの3バックの配置が興味深かかった」

「チアゴ・シウバを深め、ククレジャとチャロパーはかなり前目にいた」

「イメージとしては彼らを後方支援として使いたい」

「さらに相手の3トップを横に広げたい。横に広げればジョルジーニョたちを経由したい。広がってくれなかったら、大外から前進したい」

「ついでにチアゴ・シウバを深い位置に置くことで相手を引き出したい」

「困ったらケパを使う」

「大外が封じられたらギャラガーを落として相手の守備の基準点を混乱させたい」

「よくできておる気がする」

「チェルシーが先制して意気消沈したザルツブルグだが、ケパまでプレッシングに行く破れかぶれの姿勢を見せることで強度は復活する」

「しかし、チェルシーはチェルシーでビルドアップを失敗する場面もあれば成功して決定機を作っていく」

「ザルツブルグからすれば破れかぶれだが、動かなかきゃ何も始まらない」

「というわけで、ハーフタイムを挟んでザルツブルグは初心を取り戻してアタックを再開する」

「そして自陣からのカウンターで見事に同点ゴールを決める」

「トランジションでボールを奪い切る予定がボールを運ばれてしまったところがチェルシーからすると反省点か」

「勢いに乗りたいザルツブルグだが、チェルシーは冷静に時間を過ごしていく」

「また前半よりはハヴァーツへの放り込みを増やすことでザルツブルグのプレッシングを空転させる狙いを増やしてきたチェルシーだった」

「多彩なチェルシーのボール保持の前にザルツブルグは勢いをそがれ」

「崩されて勝ち越しゴールを許してしまう」

「しかし、こうなればホームの声援を背に強度を増すだけのザルツブルグ」

「コーナーキックの連打やお得意の速攻でケパの出番が段々と増えていく」

「なので、チェルシーは4バックに変更し、守備の穴を減らしながら守りきりに成功する」

「そんな試合だったな」

「ザルツブルグの強度を正面から受け止めていなしていくチェルシーが立派であった」

「最後にチェルシーに動的構造についてまとめていく」

「3バックが4バックのようになり、空いたレーンにはジョルジーニョやケパが入る形は面白かった」

「それぞれの選手のレーンがずれることで、相手の立ち位置もずれることが大きい」

「ベルナルド・シウバの得意技であるインサイドハーフがサイドバックの位置に移動してボールを引き出す動きを繰り返すギャラガーも良かった」

「ギャラガーの空けた位置にハヴァーツやプリシッチが簡単に移動できる配置の妙も素晴らしかった」

「スターリングを前や内側に移動させるためのククレジャ、コバチッチ、ハヴァーツのサポートも良かった」

「マンマークには移動で対抗するというお手本のような試合だったな」

「どんなときも同じ配置でプレーできたら楽だが、相手によっては許してくれないことが多いからな」

「特に最近は[8対7]がデフォルトになっているので、ボールを動かすだけではなかなか前にすすむことができない」

「だったらハヴァーツに放り込めば?というアイディアも後半に多めに実行していることも良かった」

「弱点があるとすれば」

「ボールを保持できなかったらどうするの?となりそうだが、意地でボールを保持しそうだからな」

「その意思が前半の20分に集約されていたように思える」

「また、チアゴ・シウバ、ジョルジーニョ以外は他の選手でもどうにかなりそうなところが大きい」

「マウントやハヴァーツがいなくても他の選手でどうにかなりそうだもんな」

「ウイングバックがいなくて苦労した昨シーズンの印象があるが、だったらポジションをなくしまえばいいじゃないか?というポッターは策士」

「今後も期待ということで」

「ではまた」

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