レアル・マドリーのプレーモデルへの考察 ~チャンピオンズ・リーグ VS セルティック戦より~

2022/23欧州サッカー

「さて」

「業務が落ち着いたところで、一日一試合計画を再発動する」

「一日一試合計画とはなにか」

「文字通りに一日一試合を観る計画だな」

「で、試合を見たらできるだけ書くわけか」

「会話形式だったり文章形式だったりと拘らずに書いていく」

「復帰して最初のお題がレアル・マドリーか」

「昨年の欧州覇者のレアル・マドリーは様々な方面で物議を醸し出した」

「結果を見れば、パリ・サンジェルマン、チェルシー、マンチェスター・シティ、リヴァプールとこれ以上ない相手を倒しての優勝だったので」

「文句のつけようがない結果となった」

「しかし、レアル・マドリーのプレースタイルが現代サッカーとは逸脱しているのではないか?と考える人が多かったこともあって、マドリーに対する論評は多岐にわたった」

「そんなお前もアンチテーゼって書いていたもんな。ただし、アンチという言葉が強烈だけど、個人的にマドリーのスタイルは好意的に受け止めているので、そこんところヨロシク、記事はこちらから」

「で、そんなマドリーについて再考してみようというのが今回の主旨となる」

「会場はセルティックのホームスタジアム。旗手がスタメン、前田と古橋はベンチにいた」

「監督もポステコグルーと浪漫が詰まったメンバーとなっている」

「セルティックの攻撃を見ていると、人生は勢いが大事と主張しているように見えた」

「マリノスもHighなサッカーをしてるが、セルティックもHighなサッカーをしていた」

「Highなサッカーとはなにか」

「ハイテンポ、ハイプレスを軸とするサッカーで、判断の早さと物理的な速さで試合をコントロールしようとする」

「というわけで、序盤のセルティックのガンガンいこうぜでセルティックは決定機を掴んでいくが、相変わらずシュートだけが入らない」

「ポスト直撃の場面は流石に入ったかも思ったけどな」

「Highなセルティックに対して、マドリーはLowな展開を得意としている」

「クルトワまでがんがんプレッシングにくるセルティックに対して、基本的にはボールを蹴っ飛ばしませんスタイルを貫いていたからな」

「で、気がついたらまったりとボールを保持するいつものマドリーが目撃されるようになる」

「10分くらいからはマドリーだったな」

「セルティックも速攻やカウンターで殴り返す場面はあったけれど」

「では、レアル・マドリーのプレースタイルについて考えていく」

「最初に気になったプレーはセンターバックの振る舞いにある」

「スタメンはアラバ、ミリトン。後半からミリトン→リュディガーとなった。たぶん、ローテーションだろうな」

「で、センターバックの面々はフリーでもドリブルでボールを運ばない」

「運べないのではなく、明確に運ばない」

「アラバはときどき何かを待っているかのようにボールを持って動かないからな」

「気がつけばクロースがボールを引き取ってボールを動かしていく」

「クロースが下がる必要性があるかも曖昧なところだな」

「現代サッカーにおいて運ぶドリブルはセンターバックの必修と言われているが、マドリーはあまりやらない」

「マドリーの論評が多岐に渡るところは、このように現代サッカーの常識と殴り合っているからだろう」

「マドリーがボールを運ぶパターンは、繰り返されるクルトワへのバックパスによって相手を引き出す形と、クロース起点とするサイドチェンジからの前進がメインとなっている」

「前者は相手のプレッシングスタイルに依存する形となるが、後者はあまり関係ない」

「相手がプレッシングに来てくれないとボールを運べない特殊戦術もあるが、マドリーの場合はそれだけでない!というところがポイントとなる」

「サイドチェンジは前進のために行うは古来から伝わるサッカーの基礎である」

「次にマドリーの特徴として、中央の3レーンや相手のライン間に人が常駐していない点にある」

「今季もその傾向は続いている」

「よって、マドリーのボール保持は大外レーンを起点とするコンビネーションによる崩しと、延々と繰り返される相手のブロックの外を経由するボール循環によるボール保持がメインとなる」

「前者は説明不要として、後者は説明が必要だろうな」

「突然だがマドリーはハイプレッシングを苦手としている」

「実行しないわけではないが、ベンゼマ、モドリッチ、クロースたちに相手陣地ではマンマークでがんがんプレッシングに行こうぜは物理的に厳しいのだろう」

「よって、相手がボールを保持する時間も撤退守備によって受け入れている」

「ヴィニシウスが攻め残りするように計画されていることもあって、マドリーの撤退守備は相手のシュートを許してしまう傾向がある」

「現代サッカーにおいて、肉を切らせて骨を断つようなカウンタースタイルを見かけることはあまりない」

「サラーですら自陣に下がって守備をする時代になっているからな」

「そもそも自分たちがボールを保持して奪われたら奪い返してカウンターすればいいやん時代だからな」

「しかし、物量的な問題があるマドリーは無理をしない」

「残念そこはクルトワだったり、センターバックの理不尽な能力で耐えることはマドリーの伝統芸になっている」

「カシージャスもセルヒオ・ラモスもヴァランもえぐかったもんな」

「相手にボールを渡すことを厭わないとしても、メンツ的には自分たちもボールを保持したいマドリーが選んだ道はボールを保持したときに急がないことなのではないかと」

「本来は相手のセンターバックを撃破する、もしくはライン間に選手を配置することが常識になっているが」

「相手のブロックの外にマドリーは選手をがたくさん配置しているので、相手のゴールに迫るような脅威には即ならないが、引き換えとして安定してボールを保持することができる」

「ハイプレッシングをやらないためボールを持つ時間はどうしたって減る分を取り返しているようにも見える」

「ついでにフィニッシュは大外から始まり、大外から侵入していくほうが効率がいいと考えている節はある」

「先制点もバルベルデの大外クロスを大外からヴィニシウスが合わせている。3点目はお手本のような大外アタックからの折り返しであった」

「で、大外を起点にできないときは延々とボールを保持してやり直しまくる」

「そして相手が隙きをみせたらがつっと仕掛けると」

「このタイミングが各々の判断に任されている雰囲気が強いので、そのタイミングで失うんかいという場面も実に多い」

「なので、カウンタープレッシングをかける選手がマドリーはいないときもしばしばある」

「ボールを保持するときにポジションチェンジは頻繁に行うからな」

「このあたりも現代っぽくないが、センターバックとキーパーでどうにかなるという計算になっているのだろう」

「実際にどうにかなっているのも事実だ」

「ビルドアップをもう少し細かくみていくと」

「大外から中への侵入、サポートが抜群にうまい」

「ボールを中心とする配置と選手それぞれの独断による立ち位置、その立ち位置に対する周りの調整がべらぼうにうまい」

「ポジションチェンジをしても壊れないバランスか」

「あと無茶振りが多い」

「先制点もバルベルデとアザールによる突破はちょっと無茶ぶりだったな」

「かっこよく言えばクルトワから始まる攻撃だったのだけど、誰かがどこかで無理をしてくれている」

「というか、プレッシングがハマっても個々の能力が高いので脱出してしまうところが本当ににくい」

「モドリッチは特ににくい」

「なお、無茶振りなパスになれいないリュディガーは少し困っていたことも印象に残っている」

「また、選手の距離が近すぎる場面もマドリーには見られるんだけど」

「セルティックは守備の基準点の設定に困っていたな」

「二度追いをしても回避されるしな」

「特にクロースは意図的にやっている気がする」

「味方に近づくことで、相手の守備の基準点を増やし、瞬間的に誰かに時間とスペースを与える」

「自分がフリーならボールを供給し、センターバックがフリーなら何度もやりなおさせる」

「かりに相手がマンマークだとしてもマドリーの選手はポジションを入れ替えまくるのでやってられないだろうな」

「さらにヴィニシウスの裏という奥の手もある」

「この試合のヴィニシウスはえげつなかった」

「独力でボールを運ぶ能力や突破面でもえぐかったが、最もえぐかったプレーはボールを相手からキープして攻撃をやり直す場面だった」

「セルティックが根性でボールをヴィニシウスのほうに追い込んでもヴィニシウスがボールを逃がす場面が多々見られた」

「相手を突破と、ボールを運ぶと守るができるようになるとちょっと手がつけられなくなりそうだな」

「そろそろまとめようか」

「マドリーのビルドアップはクルトワを利用して相手をおびき出すことでスペースを利用するタイプとクロースのサリーからのサイドチェンジによる前進がある」

「相手がプレッシングに来るときは大外から中へサポートと中にボールが来るとわかっているのでそこへのサポートも速い。ボール循環を繰り返しながらもバックパスを連続することで相手の心をへし折ろうとする」

「ライン間や中央に人がいない理由は、ボール保持を安定させるためであろう」

「その理由はハイプレッシングによるボール保持の時間創出の代替案なのではないだろか」

「ついでにどうせゴール前に仕掛けるときも大外からの侵入と強襲を得意としていることもあって矛盾していない」

「相手に球際を作られても、個々の能力が高いのであまり問題とならない、ゆえにボールを取れそうで取れない」

「ボールを保持するマドリーはいつまでも攻めてこないから相手はハイプレッシングをしたくなる。実際にセルティックは後半の頭からプレッシングをスタートした」

「でもクルトワを利用して延々と剥がそうとするスタイルでマドリーは先制点を取る」

「相手が撤退すればボールを延々と持つ、相手がハイプレッシングに来ればクルトワを利用してプレッシングを剥がす」

「ときにはカウンターも仕掛ける」

「厄介だな」

「厄介だろ。ビルドアップについてはもう少し研究したい」

「マドリーに勝つためにはどうしたらいいか」

「ボールを取り上げてマドリー以上にゆっくり仕掛けたい」

「ただし、それはそれでマドリーのカウンターが怖いのだが」

「チュアメニはカゼミーロよりは繋げそうだが、守れそうな気配は今のところはない」

「だからこそのリュディガーのような気もするが」

「そのあたりがどうなるかも含めて、今季のマドリーも注目です。ちなみにこの試合の3点目は鬼です。必見です。」

「ではまた」

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