リヴァプールの課題について本気出して考えてみた ~チャンピオンズ・リーグ 第一節 ナポリ対リヴァプール~

2022/23欧州サッカー

「さて」

「今回も会話形式か」

「試合を見た直後に書くパターンなら文章形式で、試合を見て起きてから書くパターンは会話形式で」

「なるほど、そういう方程式があったのか」

「ま、方程式を破るときもあるけどな」

「今回のお題はナポリ対リヴァプール」

「世界三強こと、マンチェスター・シティ、リヴァプール、チェルシーと勝手に考えていたが」

「マンチェスター・シティは好調、リヴァプールは結果が出ていない、チェルシーは監督解任と」

「三者三様やな」

「で、今日はリヴァプールがテーマというわけか」

「最初に断っておきたいことがあるんだけど」

「なんだ」

「結果は水物なので、毎試合において結果が出なかった、もしくは自分たちの思い通りに試合を運べなかった原因は異なる。この原因が共通の場合は不調の原因はこれ!となるが、そんなことはあまりない」

「真面目か」

「つまり、ナポリ戦どうだったの?としか語れないと言うかな」

「では、早速試合内容に話を移していく」

「前提としてリヴァプールとマンチェスター・シティについて語っていきたい」

「どうせあれやろ、リヴァプールとマンチェスター・シティが似通ってきているというくだりだろ」

「マンチェスター・シティは相手のプレッシングの内在的論理を分解して全員の配置を設定し、個性を肉付けしているように見える」

「リヴァプールは選手の個性を発揮しやすい立ち位置を設定し、味方や相手ボールの状況によって個々が立ち位置を調整しているように見える」

「似通っているのではなくて、成り立ちがちょっと違うというか」

「マンチェスター・シティも自分たちの配置を相手に押し付けることがあるけれど、優先順位が少し違うというか」

「マンチェスター・シティの場合は自分たちの配置を相手に合わせてリメイクするというか」

「ボールを繋ぐサッカーの理想は相手に球際を作らせないまま、ゴールに辿り着くことだと思うんだけど」

「現実には誰かが一枚剥がしたり、相手を背負ってボールを受けたり、球際勝負に打ち勝ったりする場面が必要になる」

「リヴァプールにおいてその役割を主に実行していたのはマネとフィルミーノだった」

「特にマネは相手がそばにいても気にしないプレーが鬼だった」

「フィルミーノは降りる立ち位置によって相手の守備の基準点を混乱させ、さらに時間とスペースを味方に配ることができた」

「サラーはどこへ消えた」

「サラーはロングボールや速攻の的になり、相手の撤退した守備を破壊する役割として貴重極まりない」

「なるほど、マネが移籍したからリヴァプールは結果が出ていないと」

「違う」

「違うのか」

「速攻やカウンターを長所とするリヴァプールに対して撤退守備による対抗が増えた。ゆえにボールを持たされたリヴァプールはマンチェスター・シティのように振る舞う必要性がでてきた。しかし、選手の個性が優先のリヴァプールはチーム全体の配置で時間とスペースを共有することは好んで行っていない」

「それゆえに選手の個性やアイディアが全面に押し出される形になるわけやろ」

「3トップの選手が時間とスペースを配りながらゴール前に侵入してくのは少し過負荷となる」

「ゆえにインサイドハーフにその役割が課されることとなった」

「これまでのインサイドハーフは強度ましましだったのに、突然に時間とスペースを配給することが求められるようになった。ゆえに代替可能なポジションでゆっくりとなくなっていった」

「外切りプレッシングを中央で待ち構えていたり、サイドバックまでスライドしたりとリヴァプールのインサイドハーフはプレッシングでもともとは猛威を振るっていた」

「ハードワークを好む選手を集めることはできるからな。しかし、強度とゲームメイクを実現できる人材は世界を探してもそうはいない」

「白羽の矢がった選手はチアゴ・アルカンタラだった」

「全体の配置が定まっているようで自由度が高いリヴァプールにおいて、ひとりポジショナルプレーができる選手は貴重となっている」

「例えば、チアゴ・アルカンタラは相手を外してボールを受けて、相手をひきつけて味方に時間とスペースを配ることができる」

「例えば、ヘンダーソンはサラーとアーノルドを解き放つために大外レーンに立ち位置をとることができる」

「というわけで、徐々にインサイドハーフに起用される選手はテクニカルな選手が増えてきている」

「この試合だとエリオットがまさにそれだな」

「というわけで、時間とスペースを配る役割はインサイドハーフに徐々に託されるようになっているので、マネがいるいないはちょっと関係ない」

「マネがいればもっと楽だったかもしれんけどな」

「話を試合内容に移していくと、ナポリ戦の問題はプレッシングの強度とボール保持の振る舞いにある」

「序盤からフィルミーノがセンターバックに果敢にプレッシングをかけていたが」

「開始早々から連動していなかったもんな。ナポリの中盤の選手がフリーでボールを受けて驚いてしまった」

「ゴールキックも含めてキーパーからビルドアップを行うことで、リヴァプールのプレッシングをおびきだし、ずれをつくり、さっさと裏を狙うナポリの作戦もばっちり機能していた」

「リヴァプールは球際を作れる場面もあったけれど、競り負けていた。また、球際を作れない場面も多々見られた」

「プレッシングの設計の見直しか」

「一概にそうといはいえない」

「なんでや」

「リヴァプールのプレッシングは設計や緻密さよりも尋常でないスピードによる圧が最も長所として輝いてきた」

「理屈ではサイドバックが空いているけれど、サイドバックにボールを出す時間などないってことか」

「実際に後半はナポリも困っていたからな」

「ただし、外切りプレッシングで中に誘導してもボール保持で目立つインサイドハーフたちが今までのような強度をだせるかどうかは怪しいけどな」

「そのあたりはクロップがどうするかってところか」

「で、この試合で最大の問題と感じさせられた点がボール保持の振る舞いにある」

「このパスが通ったらチャンスになる!なんて場面は勝負パスでいいけれど、そうでない場面でも味方にパスをする場面が目立った」

「フリーな選手からフリーでない選手へパスがいくということか」

「そんな場面が目立っていた、ボールを受ける選手がめっちゃ困っていた」

「ちなみに時間の経過とともに、リヴァプールもゆっくりプレーするようになって状況は改善していったけどな」

「ただし、ゆっくりプレーするけれど、立ち位置や配置によるメリットをもたらせそうな選手がフィルミーノくらいしかいなかった」

「そうなると、アーノルドの飛び道具に期待ということになってしまう。アーノルドがいなかったらまじで何も起きなかっただろうな」

「ルイス・ディアスとロバートソンの立ち位置の調整や、サラーたちとエリオットの関係性も微妙だったな」

「なので、最終的にインサイドハーフでこの試合に出ていた選手がチアゴ・アルカンタラとアルトゥールだったことは興味深い」

「バルセロナ成分の強いメンバーだな」

「人で解決するってところがクロップらしいというか」

「そのらしさを捨てることはないのではないかと思う」

「となると、ボール保持の試合とトランジションの試合を分けるのか、どのように両立させるのかが鍵となるか」

「この試合に限って言えば、ジョー・ゴメスに何があったのだろうか?というプレーだったことも敗因なわけで」

「プレッシングの強度復活とボール保持の精度の改善か」

「それをある程度は選手が代替可能で行いたい」

「代替可能で行いたいが、ボール保持においてはなんだか苦しい雰囲気になっている」

「その場合に不安要素になるのがインサイドハーフか」

「チアゴ・アルカンタラとヘンダーソンが365日健康なら問題ないが」

「あとは選手の相互作用というか」

「周りに合わせるのが得意そうなジョタはスタメンで使ったほうが良さそうだけどな」

「フィルミーノみたいに下がってこないほうがインサイドハーフは活躍できるかもしれんし」

「いろいろな組み合わせを試すことになりそうだが」

「個人的にはファンダイクからの突然のロングボールにリヴァプールの選手が殺到するサッカーがみたい」

「チャンピオンズ・リーグで言えば、アヤックスがボールを保持してどうこうしてくるだろうからリハビリにはちょうどいいかもしれんな」

「アヤックスのボール保持をプレッシングで破壊できるかどうか」

「アヤックスのボール非保持も決して世界屈指ではないので、アヤックスのプレッシングをボール保持で凌駕できるかどうか」

「乞うご期待だな」

「ではまた」

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