マンチェスター・ダービーから振り返る、マンマークの差配、逆足後方支援、横断と運ぶドリブルの考察

「あけまして」

「おめでとうございます」

「ことよろだな」

「あけおめ、ことよろが通じる世代と通じない世代に分かれそうだけどな」

「ナニワトモアレ、今年もよろしくお願い致します」

「今年の目標はなるべく更新することです」

「目指せ、ほぼ週刊」

「というわけで、今回が2023年の一発目になります」

「マンチェスター・ダービー」

「結果はマンチェスター・ユナイテッドが2-1で勝利」

「同点ゴールがオフサイド疑惑で揺れていて結果だけを見ればちょっと切ない試合になってしまった」

「レベルの高い殴り合いだったので、ちょっと残念だったな」

「というわけで、ざっくりと試合を振り返っていく」

マン・ツー・マンとゾーンディフェンスの併用

「さて、マンチェスター・シティがボールを持つ形で試合は進んでいった」

「シティは3バックでビルドアップを始めるケースが目立っていたが、この試合ではノーマルな4バックでスタートした」

「3バックと言っても、実質はアカンジの1バックのような配置になっているので、マンチェスター・ユナイテッドを相手にしては分が悪いと考えたのかもしれない」

「シティの3バックは、両脇のセンターバックにサイドバックのような仕事を求めるところがあったからな」

「なので、この試合ではアカンジとアケが後方に控える形になった」

「マンチェスター・ユナイテッドは4231でマンチェスター・シティに対抗した」

「エリクセンがロドリ番、フレッジがデ・ブライネ番、カゼミーロはベルナルド・シウバ番をしながらベルナルド・シウバがどこかに出張したらスペースを埋める番だった」

「で、この試合ではシティがビルドアップの出口を見つけられなかったことも相まって、ハーランドが降りて出口になろうとする場面が見られた」

「そんなときはヴァランがついていく場面がよく見られた」

「マンチェスター・ユナイテッドの守備のルールを見ていると、人をは担当している選手とゾーンで対応している選手がはっきりと分かれている」

「これまでもボールに近い位置はマンマーク、遠い位置はゾーンのようなミックスは多々見られたけどな」

「最近は相手のインサイドハーフはマンツーで、あとはゾーンで、みたいなチームも増えてきたな」

「配置や選手の移動で時間とスペースを得たいチームからすると、結局はマンマークが一番嫌なんだろうと提案されると、嫌そうな顔をするあるあるだな」

「なので、この試合で見られたように相手を背負いながらもワンタッチでサイドにボールを送るプレーか」

「相手を背負っても問題ないポストマンをインサイドハーフに起用するか」

「機械的に前向きの選手を作るようにサポートを仕込むか」

「などなどの対応策が生まれてきている」

「ちなみに、ユナイテッドの前線はマルシャルが相手のセンターバックを睨みつけ、ウイングは外切りプレッシングという約束になっていた」

改めてカンセロの左サイドバックを考える

「というわけで、浮き球を使ったり、インサイドハーフを経由したり、ボールを繋ぎまくったりしてサイドバックにボールを届けるシティだった」

「で、カンセロがとにかくボールを運びまくる」

「ブルーノが必死に追いかけていたが、簡単には失わないカンセロは流石だったな」

「カンセロが実際に行っているプレーは、ほとんどウイングの選手のような感じである」

「その心は」

「左サイドに右利きのウイングを起用することで、中への侵入と相手から遠い足でボールを扱えいやすい傾向からボール循環の中央への侵入とボール保持の安定に繋がっている」

「ただし、前にいるのはフォーデン」

「左利きのフォーデンはフィニッシャーとしての場面が多い試合だったが、もっと色々なことをやらせても面白そうなんだけどな」

「色々なことは後方のカンセロがやってしまうという良い循環なのか悪い循環なのか」

「この試合ではないんだけど、右サイドの後方支援にベルナルド・シウバがいたときがあった」

「後方支援に逆足の選手を使うことってなかなかおもしろいので是非お試しください」

「で、この試合のカンセロはボールを運びまくっていたんだけど、そこから先に繋がらなかった」

「フォーデンとの役割分担の不明瞭さ、ボール保持を優先するのか、仕掛けを優先するのかの判断、そしてベルナルド・シウバの出張による孤立化と」

「ユナイテッドからすれば、サイドからボールを運べることは許容しているような守備なので」

「ヴァラン、カゼミーロ、ワンビサカが待ち構えるサイドで何ができんねんという話だったかもしれない」

運ぶドリブルにおける横断の重要性

「時間の経過とともにエリクセンが動き始める」

「エリクセンはロドリ番に飽き始め、マーシャルと一緒にセンターバックとロドリにプレッシングをかけようぜ作戦を実行する」

「いつまでもシティにボールをもたせたくなかったんだろうな」

「で、中盤の選手たちがマンマークで捕まっているため、ハーランドが降りてくるシティだったが」

「時間とスペースのあるセンターバックが運べばいいじゃんとなりそうなところだが」

「センターバックの運ぶドリブルは完全なフリーで行うことがある程度の前提条件であり」

「マーシャルやエリクセンの監視状態、つまり、時間制限ありで相手が出てこないことで苦戦傾向に追い込まれる状態ではセンバの運ぶドリブルはリスクが高くなる」

「なので、困ったシティはベルナルド・シウバが登場する」

「さすがだな」

「さすがだったな」

「普通のセンバの運ぶドリブルは、自由にしたい選手、例えばロドリ、を決める→自由にしたい選手をマークしている選手、この試合ではエリクセン、に向かってドリブルをする→ボールを運んできた選手がエリクセンをひきつけることで、ロドリをフリーにする」

「という流れで行われる」

「肝は引き付けたい選手と正対しながら向かっていくことにある」

「しかし、すでに自分の前にマーカーがいるときは運んでいる場合じゃない」

「では、その場合にどうするか」

「ベルナルド・シウバはターンを駆使しながら自分をマークしている選手との距離を離す。そして、レーンを横断することで、相手の守備の基準点を乱す」

「ベルナルド・シウバの横断によって、相手のギャップの入口と出口が発生するようになる」

「シティの面々もベルナルド・シウバの動きにあわせてパスラインができる瞬間を見逃さないようになっていく」

「ウォーカーが中に入ったり、デ・ブライネが外に流れたりと」

「カンセロサイドは行き止まりからのウォーカーサイドからの侵入とベルナルド・シウバの横断ドリブルが同時多発的に起こったことで」

「偶然か必然かはわからないところだな」

「ただし、ラッシュフォードを速攻でカンセロサイドに持っていったのは笑ったけどな」

「エリックが優秀であることは証明された瞬間かもしれないし、たまたまかもしれないし」

「エリックとは誰だ」

「ユナイテッドの監督だ」

変幻自在のビルドアップ

「後半のユナイテッドは撤退風味になり」

「シティのビルドアップは様々なパターンを相手に押し付けるようになる」

「ロドリがサリーして偽サイドバックを行ったり」

「サリーしないで行ったり」

「もはやノリだろうな」

「秩序の中の無秩序ってやつだな」

「いつもと逆なんだな」

「ラッシュフォードをウォーカーにぶつけることで、俺をスルーすればカウンターの脅威を与えるぜ作戦だったわけだけど」

「前半の途中から華麗にスルーしていたもんな」

「アントニーがトップになったときは意地でもシティの右サイドバックに守備に集中してほしかったんだなとエリックの思惑が透けて見えた瞬間で」

「ラッシュフォードの位置にエリクセンが移動する場面も見られたくらいだからな」

「明確なトリガーもなく、シティが様々なビルドアップを使い分けてきたらびっくりするだろうな」

「というわけで、相手を押し込んだシティは恒例になっているハーフスペース突撃の連打からのクロスで先制する」

「最初にウォーカーが走り抜けてスペースをメイクしたことが巧みだったな」

「最近はシンプルなハーフスペース突撃には相手がついてきて機能しないので二段重ねにする必要がある」

「何でも二段重ねの時代だな」

「並行サポートも二段重ねだと段違いの破壊力になるからな」

「そのためには頭数も必要で」

「サリーしている場合でなければ、逆サイドにいる場合でもない」

「オーバーロード、全員集合か」

「ちなみに、グリーリッシュも横断とポストマンとして有能すぎることは伝えておこう」

「ただし、ユナイテッドの一撃の破壊力に比べると、シティはちょっと破壊力がないな」

「ハーランドがいるのにか」

「ユナイテッドは、ブルーノ、エリクセンと一撃必殺のスルーパス職人にスピードで勝負できるタレントも多い」

「破壊力というよりシンプルなフィジカルの話か」

「ハーランドだけでなく、もうひとりくらい信じられないくらいい速い、みたいな選手がいても面白い気はする」

「シティらしさとの共存が大変そうだけどな」

「では、改めて」

「今年もよろしくお願い致します」

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