はじめに
今年も、この季節がやってまいりました。その名も、「サッカーもっと知りたいシート」。浦和レッズの試合を現地で解説するというイカれた企画です。なんと三回目です。初回はACLの武漢戦だったことを思い出すと、ヘンテコな対戦カードを解説の試合に選んだことがよくわかります。ちなみに、第三回のリンクは貼りません。だって、もう売り切れたようなので。これも皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
さて、そんなこんなで三回目となったこの企画。そこでお前は誰だ?誰なんだ?の紹介文に「ブロガー」と書かれています。そこで自問自答が始まります。果たして、らいかーるとは「ブロガー」なのかどうか。だって、ブログを全然更新しないブロガーなど存在していいのだろうか。というわけで、更新します。どんな動機やねん。
ファジアーノ岡山対ガンバ大阪
今季のサプライズ候補ことファジアーノ岡山と、今季の逆サプライズ候補ことガンバ大阪の試合です。恐らく多くの人が降格候補にあげただろうファジアーノ岡山。でも、今季の降格はなさそうな雰囲気です。しかも、若手注目株の佐藤龍之介を日本代表に選ばれるおまけつき、みたいなことはフトチャンに書きました。
さっさと試合内容に話を戻しましょう、というか、始まってもなかった。
アルビレックス新潟から加入した宮本英治がいい仕事をしていました。絶対的な存在である藤田の相棒を誰にするか問題への答えが見つかった感です。誰が相方だとしても、藤田は守備の場面で存在感を発揮していました。ピッチのどこにでもいる姿はヴィッセル神戸の井手口と双璧です。
で、宮本英治です。アルビレックス新潟で最初に観たときは、大げさに言うと、デ・ブライネかと思いました。ボールを持ったときの展開力、発想力に秀でた選手でありながら、守備も献身的にこなします。そんな宮本の存在が、藤田の役割を限定的なものから二人で仲良く分け合うものになっていくかもしれません。先制点の藤田のポケ凸はそんなことを感じさせるプレーでした。
岡山のサッカーで面白かったことは、左サイドの佐藤、江坂、宮本のコンビのお互いを知っている感が相変わらずでした。右サイドは自重しているだろう立田も含めて守備的な振る舞いでアイソ気味。左サイドはオーバーロードで密集からのコンビネーションと色が分かれています。そんな右サイドに登場した藤田の一手は良い未来を連想させるような場面でした。
ファジアーノ岡山のプレッシングに苦労したガンバ大阪は、相手陣地での振る舞いや前進の一手がだんだんと再現性のない再現性のような雰囲気でした。プレッシングの外で満田がボールを受けて何でもやります!という姿勢は、満田への依存度が半端ない印象を受けます。別に満田もそこまで三列目でのプレーで飯を食っているわけではありませんし。そつなくいこなすところに彼のスペシャルなところが現れているとも言いますけど。
サイドバックが内側に入り、ウイングとの二人称アタック。サイドバックのウイング化で倉田のビルドアップサポート、宇佐美のフリーマンと、」昨年とネタは特に変わっていません。後半のようにファジアーノ岡山が撤退すれば、宇佐美がゴールに向かって足をふる場面も出てきます。ヴィッセル神戸の分析をしたときに、わかりやすい突破が少ないチームだなと感じました。ガンバ大阪はわかりやすい突破がないと、逆に良くない状況なんだなと。
ボール保持よりも気になったことは、ボール非保持の振る舞いでした。
ファジアーノ岡山は、一美がプレッシングの先頭として、行くときは行く。行かないときはいかない。自分は背中で相手の中盤を消す。味方を走らせるを懸命に行っていました。
ガンバ大阪のファーストラインのプレッシングはばらばらでした。ヒュメットが追いかけても周りがまるでついてこない。じっくりと相手を牽制するパターンかと思いきや、相手にあっさりと前進を許したりと。もともとガンバ大阪の守備は出し手よりも受け手をどげんかするイメージが強い【442】でした。でも、どげんかできてないみたいな。たぶん、この試合に最も影響を与えた両者の差がファーストラインのボール非保持の振る舞いになるのではないかと。
でも、後半のガンバの再現性のない再現性の攻撃で一点くらいは入ってもおかしくなかったと思います。しかし、今季の結果を観ていると、そういう状態でも点が入らないんでしょうね。理由はわかりません。もう少し追いかけてみようと思います。
東京ヴェルディ対横浜F・マリノス
町田ゼルビア戦から、東京ヴェルディが良くなってきたとアカザが言っていました。見木システムの復活とともに。なお、見木友哉はアビスパ福岡に移籍し、怪我をしているそうです。
見木システムについて、簡単に説明しましょう。
見木システムは、齋藤功佑、森田の二人を解放することで試合の優位性を引っ張ってくることを意味しています。東京ヴェルディのセントラルハーフコンビといえば、森田と齋藤功佑です。二人共にボールプレーヤーなだけでなく、立ち位置でフリーになれる賢さも併せ持っています。さらに、JFKの無茶ぶりによって、守備で強さも見せられるようになってきています。
でも、このコンビの本当の長所は「8番」で現れるのではないかと、試合を見れば見るほどに思うのです。そこで怪我人の続出からのツーシャドウに片割れに見木友哉が起用されるようになりました、多分。見木友哉も森田齋藤コンビと似たような仕事をこなすことができます。
よって、このトリオの役割は目まぐるしく入れ替わるようになっていきました。これが見木システムの誕生です。いざとなったら見木がセントラルハーフ仕草を補完できるため、森田齋藤コンビが攻撃参加する設計が偶然にも完成したと。
移籍していなくなった見木友哉の代わりを、FC東京の期待の星だった平川がこなすのだろうと勝手に思っていましたが、その気配はまるでなかったと聞いています。試合を観ていないので、本当のところはわかりません。結果として、またも怪我人、そして移籍にともない、齋藤功佑がシャドウに、森田平川のコンビで、今季バーションの見木システムが完成となりました。
ただし、昨年の形とは少し違います。昨年は【3142】に変化する流れになっていました。今季は3バックに変化が生まれています。【325】からの見木友哉の移動をきっかけにぐるぐる変化する形から、宮原のサイドバック化が添えられた形になります。3バックの片方のセンバがサイドバックになるなんて、いまやスタンダードになりつつある欧州の形ですね。
なので、左サイドが少しいびつになります。このスペースをどのように使うか?で、この試合では福田湧矢と新井が大外と内側で少し苦労していたような。ただし、谷口からのサイドチェンジのようなボールからの突撃はチームの設計にもなっていました。そっちは機能していたかなと。なので、中央3レーンは空きがちになるので、昨年よりもぐるぐる感は増したというか。
この試合の前半はそんな東京ヴェルディらしさが存分に発揮されていたので是非に。
で、そんな東京ヴェルディらしさを引き出した横浜F・マリノス。リヴァプール戦で見せた好印象はどこへ消えた。結果が意味を持つ試合でないから、のびのびプレーできたということなのか。それともこの試合に出ていなかった新戦力軍団の印象が良かったのか。真相は闇の中。
前半に限って言えば、天野と谷村のファーストラインのプレッシングが非常に曖昧になっていた。東京ヴェルディの【32】ビルドアップに齋藤功佑と宮原のサイドバック化を添えてに大混乱。困ったら、狂気のプレッシングを見せれば良いのだけど、そういう狂い方はできないようである。後半はやっていたけど。
狂えないこともあって、東京ヴェルディに好き勝手に暴れ回られていた。ヴェルディのコーナーキックの数はとても多かったと記憶している。どれも工夫に満ち溢れたコーナーキックだったが、前半はノーゴールだったので、セットプレー担当は怒っているかもしれない。なんで入らんねんと。
後半に狂気のプレッシングと、一か八かの選手を捕まえまくる作戦で、東京ヴェルディの出鼻をくじくことになった横浜F・マリノス。東京ヴェルディも少しびっくりした形となる。この奇襲たちが成功しないところが横浜F・マリノスの今期を象徴しているのかもしれない。優勝するチームはこういうときに得点が入る不思議な巡り合わせ。
そして試合が落ち着いた頃合いに失点をしてしまうマリノス。中断期間からのこの試合内容はなかなかにきついものがある。なんの準備をしてきたんだ!みたいな。もう余裕なんてないぜ!なんだけれども。東京ヴェルディ戦で終わりましたという報告を受けたのだけど、その絶望の意味もよくわかった。あとは新外国人たちに期待をしたい。
ひとりごと
ファジアーノ岡山は宮本英治は良かった。藤田は言わずもがな。ガンバ大阪は満田と宇佐美が守備でセントラルハーフの時間帯があった気がする。あれは幻だったのかどうか。
東京ヴェルディは松橋優安が非常に良かったし、3バックの中央の深澤大輝も良かった。二人共にこのチャンスを掴んでほしい。
横浜F・マリノスはいのけんのトップ下が面白かった。ライン間でボールを引き出す動きと、裏まで飛び出していける走り屋が両立していたので、大化けするかもしれない。
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