クラブ・ブルッヘ対バルセロナ ~マンマークとヤマルの意地と~

2025/26欧州サッカー

はじめに

今週はバルセロナウィークにすることにした。国際Aマッチデーを有意義に過ごす会。

継続して試合を見ることで得られるものもあれば、ときどき試合を見ることで得られるものもある。継続して試合みるときは、ある程度は、その試合を見ている人たちの意見と、どうしても一致して多数派になりがちだ。もともと意見が異なっていても、お互いの意見をぶつけているうちにお互いの意見が収斂していくものでもある。

もちろん、わかりあえない場合も多々だけど。

ネット界隈あるあるが、あの人も同じことを言っているから、この考えは正しいのかもしれない→あの人もこっちの意見を参考にして呟いている説。

国際Aマッチデーにまとめて消化の場合は、他の人の意見がまるで入ってきにくい環境になる。良さも悪さもあれど、明らかにまとまっている意見と真逆のメタというか、カウンターに無意識になりがちなところも気をつけないといけない。

最近のバルセロナ周りで気になっていることは「ハイラインが機能しているか、いないか」と「妙に結果を出しているラッシュフォードとは何なのか」である。

ブルッヘのマンマーク合戦

バイエルンにフルボッコにされたことで、その反省をバルセロナにぶつける予定のクラブ・ブルッヘ。バルセロナからすれば巡り合わせの悪さを呪いたくなることだろう。

クラブ・ブルッヘはハイプレッシングというよりは、ハイブロックを形成。マンマークの様式はビエルサ式マンマークであった。ビエルサ式マンマークとは、オールコートマンマークではなく、最終ラインは一人余らせる形を採用する代わりに、相手のセンターバックから始まるビルドアップに対しては数的不利を受け入れる構造となる。

つまり、エリック・ガルシアとアラウホは相手のワントップと向き合うことになった。ワントップのトレソルディもそこまで熱心に追いかけ回すタイプではなかったことから、バルセロナがボールを保持する展開が自然と多くなっていった。

バルセロナの配置を眺めてみると、カサドがフレンキー・デ・ヨングと中盤を組んでいて、フェルミンはラミン・ヤマルと仲良しのようだった。自分の知っているバルセロナの形に似ているのだけど、フェラン・トーレスがゼロトップというよりは、普通のCFのような振る舞いが多かった。もしかしたら、個々の選手の動かす範囲を狭めているのかもしれない。

ボールを保持したときのクラブ・ブルッヘは、バルセロナのハイラインの裏を優先的に狙っているようだった。ボールを保持しながらバルセロナのプレッシングを剥がすというよりは、ボールを奪ってのカウンターや相手の配置が整っていないときの状況を狙い撃ちにするような計画となる。

5分にクラブ・ブルッヘが先制。トランジションで相手の守備が整っていないときにボールを運び、サイドバックの選手を誘き出してからの裏へのボールが成功した。この場面ではたぶんクンデが残ってしまっている。ちなみにクラブ・ブルッヘの右ウイングのボルジェスはめっちゃ速い。

ただし、意気消沈のすることのないバルセロナは、ヤマルのスルーパスにフェルミンが抜け出して、クロスをフェラン・トーレスが決める。あっさりと同点に追いつくのだから素敵だ。

12分がすぎる頃には試合が本来の表情を見せるようになる。

クラブ・ブルッヘはマンマークの色がとても強かった。バルセロナはクンデをディフェンスラインに残して【325】の雰囲気が強い。その配置に合わせるというよりは、人に合わせる形で対抗した。

目立っていたのはフェルミンのマンマーク担当のオニェディカと、クンデを担当したツォリスだろう。バルセロナのセンターバックは余らせるビエルサ式だったこともあって、ツォリスは前、ボルジェスは攻撃参加するバルデについていく流れとなった。左右非対称型の完成である。

マンマークを嫌がって、カサド、フレンキー・デ・ヨングがサリーを繰り返すなかで、フリーになりがちだったエリック・ガルシアをビルドアップの起点として、バルセロナは攻撃を構築していく。ヤマルサイドにはボールが届きにくい構図となったことが、クラブ・ブルッヘの計画通りなのかどうかは非常に怪しく偶然の可能性が高い。

バルセロナの左サイドはバルデが大外、ラッシュフォードが内側と言いたいが、臨機応変になっている。ラフィーニャと比べると、ラッシュフォードは大外仕事が得意という側面もあるのだろう。それでも、ウイングのボルジェスからすれば、どこまで俺はバルデについてくんだ?このままついていくと、6バックみたいになるじゃないか?みたいな流れとなる。

高い位置にバルデに対して、ボルジェスの役割は曖昧。ボルジェスが背中で消すこともなければ、ウイングバックのような守備をしたりしなかったりで、困るサイドバックのサブ。序盤のバルサの左サイドの優位性の秘密はこんなところにある。ラッシュフォードとバルデは仲良く二人称アタックとレーンの共有でフィニッシュとクロスまでたどり着けるから素晴らしい。

だがしかし、16分にコーナーキックのカウンターからブルッヘが勝ち越し。9番の足が速い。最後にキーパーと正対するところもにくい。ラミン・ヤマルのコーナーキックが珍しくニアで引っかかったことがきっかけであった。セルタ戦と比べると、元気がないラミン・ヤマルだったが、後半に爆発することになるとは、まだ僕は知らない。

クラブ・ブルッヘからすると、願ったり叶ったりの展開。フェルミンにどこまでもついていくオニェディカと、フレンキー・デ・ヨングとカサドを抑えるために、トップ下のブキャナンもほとんどセントラルハーフ仕事に追われていた。マンマークだと、相手の配置に依存する。なお、相手の配置が整理されていると、マンマークでも自然とゾーンディフェンスのように見える不思議。

30分すぎからボルジェスがエリガルまでプレッシングにいく。このまま耐えられないと思ったのかもしれない。プレッシングの役割を変えて、相手に解決しなければならない問題を突然に突きつけるのは良い。ただし、繋げるエリガルからすれば、まるで問題にならなかった。

ときどき出番が来るヤマルの凄みが半端なかったことと、ボールを保持する展開とハイラインにあんまりこだわっていないように見えるバルセロナだった。前半はチャンスを作りながらスコアを動かせずに終わる。

下がってみたけれど

キーパーの絡むセットプレーの再開では根性を見せるクラブ・ブルッヘだけど、後半は541でミドルブロックに撤退。エリガルに誘導するトラップもなし。ツォリスも下がる。なので、逆にヤマルにボールが渡る展開になる。解放されたクンデ。別にクンデ経由ってわけでもないけど。

ヤマルとフェランとクンデの三人称トリオは強い。特にヤマルがボールを持ったときのフェルミンのサポートは良い、並行サポート、裏抜けでスペースメイクと活発に動き回る。そんなフェルミンの動きを利用してクンデが飛び込んでくる時間差アタックも良い。

57分にカサドとフェランが交代し、ダニ・オルモとレヴァンドフスキが登場。フレンキー・デ・ヨングがアンカーのようになる。セルタ戦の景色と似てきた。ダニ・オルモは中央を主戦場としながらも、ラッシュフォードたちを助けに行くことで最大火力を出す計算なのだろう。

60分にヤマルとフェルミンで中央突破に成功し同点へ。相手を押し込み続けると強いバルセロナ。ネイマールがワールドカップで決めた中央突破ゴールを彷彿とさせた。

だがしかし、得点をすると、すぐに決められてしまうバルサ。63分にハイライトの間にクラブ・ブルッヘが逆転ゴール。いつものハイラインの裏。ディフェンスラインはハーフラインに設置。大外からディフェンスラインを観察しながらの裏とり成功であった。

さすがにこのまま試合が終わるか?と思いきや、最後に働いたのもラミン・ヤマル。77分にゴール前のプレーで相手のオウンゴールを誘発。またも同点に追いつくバルセロナ。クラブ・ブルッヘも交代カードをきり、再現性を狙ったけれど、バルセロナのゴールに届かず。67番の選手は面白かったので、またみたい。試合はそのまま終了する。

ひとりごと

ハイラインからの失点のきっかけはどこにある?と考えると、トランジションだったりする。つまり、ボールを失って、ボールを運ばれて、ファーストディフェンダーが間に合わないときにハイラインを敢行して失敗する!みたいな。

切り替えを早くするとか、ボールの失い方を気をつけるで解決する問題なのか、ハイラインを下げればいいのかは悩ましいところ。ハイラインとハイプレッシングで仮想フィールドを狭くし、相手からボールを奪いきって自分たちのターンにしたいと考えると、プレッシングになるのかどうか。

この試合で目立っていたことは、相手のカウンターで相手を理不尽に止められる選手がいそうでいない。特に中盤。もしかして、ペドリの回収能力がチームを支えていたのか?とか。プジョルがいれば、最終的にどうにかしてくれそうだけど、ここで止められたら良いよねで迎撃にいって、普通に剥がされる場面が多かった。この試合に限って言えば、その部分が辛い試合であった。

なお、この試合では得点に絡んだ記憶のないラッシュフォードだったが、チャンスメイクとフィニッシュは相変わらず実行できていた。

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