「さて」
「今回は嬉しいお知らせか」
「新刊のお知らせでなくて、重版のお知らせだからな」
「今は昔、アナリシス・アイという本を小学館から出させてもらった」
「まさかの新書だったこともあって、書店でサッカー本カテゴリーに認識されていなかったことが懐かしい日々だな」
「いや、本当に皆様の御祝儀買いのおかげや、事あるごとの皆様の推薦によって売れ続けてしまった本なんだけど」
「ワールドカップでまた売れたらしいな」
「そして新書を出すことになりまして」
「新書を出すことが追い風になってアナリシス・アイの重版が決まったらしい」
「この不景気の時代にか」
「この材料高騰の時代にだ」
「ありがたい話だな」
「これもあれも本当に皆様のおかげです」
「本当にありがとうございます」
「たぶん、本屋にも並んでいるはずです」
「さて、本来は新書の宣伝をするところですが」
「それはまた別の機会に譲るとして」
「今回は質問に答えていきたい」
「またか」
「実はアナリシス・アイっぽい質問が来ている」
「なるほど、御礼もこめてか」
「質問の窓口がどこにあるかもわからないけどな」
「でも、本当に来ているから仕方がない」
「では、力の許す限り質問に答えていこう」
Q、マッチレポを書くときに試合を見返しますか。また、どれくらい時間がかかりますか?
「リアルな質問だな」
「リアルに来ているのだから仕方ない」
「基本的には一回しか見ない。ただし、リアルタイムで観戦する場合は集中して見ないケースが多いので、もう一回見返すことが多い」
「リアルタイムだと集中しない理由はあるのか」
「一時停止ができないだろう。追っかけ再生とかあるかもしれんけど、リアルタイムのときは流しで見たい」
「一時停止は必須というわけですか?」
「必須ではないが、がちでやろうとすると必要だと思う」
「では、一回だけ見る時は一時停止を駆使するというわけですね」
「ぶっちゃけると、一時停止と巻き戻しがなくてもいくらでも語れる。ただし、文章に残す場合は間違ったことはかけない。その慎重さが一時停止と巻き戻しになっている気がする」
「まとめると、リアルタイムで観戦した場合は見返す。リアルタイムで観戦していない場合は見返さないでOKですか」
「OKですな」
「ちなみにいわゆるお仕事でもこの姿勢は変わりませんか?」
「変わらないよ」
「では、書く時間について教えてください」
「うーん、試合の中身にもよるんだけど、長くて45分くらいだと思う。ちなみに、試合はファスト主義よろしくで1.25倍速で見ることが多い」
Q、サッカーの観る目を養うためにはどうするのがよいでしょうか
「本を読むことも手だが、試合を見て書くを繰り返した方が良いと思うよ」
「インプットとアウトプットですか」
「できれば標的を決めたほうが良い」
「標的ですか」
「例えばせこさん」
「せこさん」
「せこさんのように同じ試合をアウトプットしている人は標的にしやすい。だって、自分の見た試合のアウトプットを確実にしてくれるだろう」
「かつてのセレッソのボスみたいな人ですね」
「で、理想は試合を見る前にマッチレポを読んでしまう」
「逆に読むんですか。読むとその内容に引っ張られる傾向にありませんか。」
「読むことで、せこさんの気づいていないポイントを根性で探すことがイチ。そして、せこさんの書いたことで誤ったことがないかを探すことがニ。」
「せこさんにとってはいい迷惑ですね」
「自分の書いたものを人と比較することは大事で、様々な角度からの考えが手に入るけれど、どっちが正しいの?でわからなくなると、また試合を見返す必要が出てくるのはめんどいだろう」
「なるほど。最初に問題文を読んでしまう国語の試験対策みたいなもんですね」
「本当にその通りだなー、ということもあれば、これは何だ!!みたいなこともあるからね」
「なので、人様の書いたマッチレポは答え合わせよりも間違い探しくらいの感じで利用したほうが良い」
「しかし、ここが間違っているで!とSNSで呟くと、炎上必須だからやめるように」
「懐かしいな」
「わかる人にはわかるやろ」
Q、最近は分析の方法が行き詰まっている感があるのですが、どうしたらいいでしょうか
「分析の方法はなんやねん!ということはスルーして、どうしたらいいでしょうか」
「ボール周りをみない!ってことが大事なのではないかと」
「それも基礎といえば基礎でよね」
「ボール周りを見ないというのはボール非保持に注目という話であります」
「そっちですか」
「例えば、このチームはポケットをどのように守りますか?に注目してみる」
「チームによってルールは異なるし、相手の能力によってルールを変えるかもしれないというわけですか」
「ボールサイドでないサイドハーフがどの位置にいるか?とか注目すると面白いと思いますよ」
「他にはありますか?」
「トランジションをどのように制しているか?も面白いと思います」
「もう少し詳しく」
「いわゆる最初の守備者はボール保持のサポートと両立しています。で、本当にボールを失ったときの最初の守備者がいるか。そしてそのプレッシングが機能しているか。相手はどのようにしてそのプレッシングを剥がそうとしているか」
「ボールを失ったときに一時停止案件ですな」
「一時停止は本当に便利です」
Q、一つの試合を何度も見たほうがいいですか?それとも多くの試合を見たほうがいいですか
「さて、どっちでしょうか」
「結論から言うと、試合による」
「なるほど」
「最近は一様な試合が多く、何度見ても変化がないことを知るだけの試合が多い」
「一様とはなんでしょうか」
「最初のゲームプランが延々と続くみたいな。例えばシティがボールを保持する→相手が撤退する→試合終了までほとんどこの状況が続くみたいな」
「変化がある試合だったら何度見ても良いということでしょうか」
「個人的にはそう思います。変化のきっかけを予想することは大事です」
「一つのチームを追いかけ続けることはどう思いますか?」
「その場合はプレビューを書くつもりで次の対戦相手の研究もすると、より深く楽しめるではないかと」
「相手がどうしてくるだろう?まで考えるということでしょうか」
「ただし、最近は相手の対策よりも自分たちがどうするよ!ってチームが増えてきたので」
「ワールドカップではいい意味での小細工が多かったですが、普段のリーグ戦はそこまで明確に相手への対策はするようでしないということでしょうか」
「そのように思います」
「ちなみにどんなチームをおいかけたらいいと思いますか?」
「好きなチームを追いかけることがベストですが、サッカーを学ぶという意味では、真逆の志向のチームを追いかけたほうが良いと思います。」
「ちなみに最近のオススメはどこのチームでしょうか」
「ボール保持なら、マンチェスター・シティ、ブライトン、ラツィオ。中庸ならアーセナル、ナポリ。速攻型ならライプツィヒ、ベンフィカ。特質系ならレアル・マドリー。バルセロナ型ならバルセロナ」
Q、らいかーるとさんは特に試合のどこに注目していますか?
「最後の質問となります」
「改めて考えると深い質問だな」
「では、答えてもらいましょう」
「最初に両チームの配置について観察します。配置は電話番号と言われても今でも大事です」
「で、配置のズレをどのように無くすか、受け入れるかをチェックします」
「次にどちらに優勢かを見ていきます」
「優勢かどうかを判断するポイントはありますか」
「ボール保持なら相手のファーストラインを安全に越えられているか」
「ボール非保持ならボールを奪いかえす地点からの反撃プランがあるかどうか」
「力の差によっては、反撃プランがない場合もあるでしょうが、それはそれですね」
「で、優勢ならその状態を続ければいいし、優勢でないなら変化が必要となる」
「ただし、最近はそのまま耐えるチームも多いのでちょっとおもしろくないという話は先程にしたとして」
「変化のきっかけは選手交代か選手の移動がメインです」
「なので、選手の移動を見逃さない」
「で、今度は相手の変化にどのように対応するか」
「いたちごっこを観察していくわけですな」
「ボール保持によるゲーム支配が広まったことによって、ボールを保持できれば一旦はOKというチームもあるっちゃりますからね」
「ボールを保持していれば相手が攻撃することはできませんし」
「だから、マンマークプレッシングが流行ったなどなどと近年の流行を追いかけることも面白いと思います」
「では、質問に答えたところで」
「アナリシス・アイを買ったり薦めてくれたりした皆様」
「本当にありがとうございました」
「これからもよろしく」
「お願いします」
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