【グアルディオラの5-4-1対策】バイエルン対ヘルタ・ベルリン

マッチレポ1516×ブンデスリーガ

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チャンピオンズ・リーグでグループリーグを突破したけれど、怪我人が増え始めたバイエルン。ドグラス・コスタ、ロッベン、アラバが欠場。ドグラス・コスタが試合にいないのが、久しぶりらしい。リーグ戦ではぶっちぎりの首位。この位置をキープしながら冬休みに突入し、怪我人が帰ってくるというストーリーになれば、文句なしか。怪我人が多すぎたためか、インサイドハーフにボアテングが起用されている。

ヘルタ・ベルリンは4位。選手を眺めると、意外に多国籍軍団。ノルウェー、チリ、ボスニア、コートジボワール、日本などなど。細貝はいなくなったけれど、原口元気は奮闘しているようだ。4位にいる現状をバイエルン戦で証明できるかどうか。なお、バイエルン対策として5-4-1で試合に臨んだ。4バックを命題としているブンデスリーガだが、バイエル対策として禁断の5-4-1に手をつけるチームが増えてきている。なお、今のところは結果はまったく出ていない。

ボールを保持していないときのヘルタ・ベルリンのシステムは、5-4-1。1列目のイビセビッチは、あまり守備をしない。ポジショニングはシャビ・アロンソ付近をうろうろ。基本的には、2列目と3列目の守備で相手の攻撃を跳ね返す狙い。高い位置からの守備というリスクのある守備はかなぐり捨てて、3列目の位置をペナルティエリアに配置する形だ。つまり、徹底して自陣に撤退する守り方となる。相手の攻撃をサイドに誘導するとか、罠をはるような素振りは見えなかった。枚数を揃えているのだから、どこからでも攻撃してきなさいという姿勢は男前というか、なんと言うか。もちろん、5-4-1で守っているわけなので、そういうように守るべきなのもまた現実だが。

怪我人が多いバイエルンは、ボアテングをインサイドハーフで起用。ハビ・マルティネスをインサイドハーフ、ボアテングをセンターバックで良いような気がするが、グアルディオラに何らかの考えがあるのだろう。

では、バイエルンの5-4-1対策を見て行く。

■サイドに3人を集める

ドグラス・コスタがフィーバーしたように、今季のバイエルンはサイドアタッカーからのアイソレーションを好んで使っている。しかし、今日はコマンのみ。さらに、相手は5バックである。つまり、シャビ・アロンソからのサイドチェンジで創出できる時間が4バックの時と比べると、どうしても少なくなってしまう。よって、サイドからのアイソレーションを行うのはなかなか難しい状況といえる。

海外サッカーにおいて、5バックは撃退とセットで使われる事が多かった。撃退守備とは、ライン間でボールを受けようとする相手を3バックの人余りを利用して、積極的に捕まえに行く守備を示す。よって、5バックに対してライン間でボールを受ける、中央の数的有利を利用する方法をとることは得策とはいえない。よって、バイエルンはサイドからの攻撃を志向した。

最初のネタは、私が3人目だから作戦である。ザッケローニが3-4-3にこだわりを見せたことも、サイドに3人が集まりやすいからだ。なお、5-4-1でも、サイドの守備はウイングバックとサイドハーフで基本的に行われる。よって、3人目が出てくると、サイドエリアで数的有利ができる。バイエルンはミュラー、ラーム、ボアテング(逆サイドならコマン、ビダル、ラフィーニャ)を配置することで、サイドでの数的有利を実現した。ヘルタ・ベルリンはサイドバックの裏は取られないように守備をする代わりに、後方から攻撃をサポートする選手への守備を捨てた。よって、バイエルンはフリーの選手からクロスを上げる状況お作ることに成功した。そのクロスにはレヴァンドフスキ、ミュラー、インサイドハーフが飛び込んでくることで、得点を狙った。

■サイドバックの侵入でアイソレーションをつくる

イビセビッチが熱心でなかったこともあって、シャビ・アロンソはボールを持つことができていた。相手の1列目と2列目と間を支配することに成功したバイエルンは、シャビ・アロンソとビダルが試合を組み立てる場面が多く見られた。なお、ボアテングは相手の隙間にいることが多かった。バイエルンはサイドチェンジをしながら、相手のセントラルハーフとサイドハーフ(例えば、原口とダリダの間)にスペースができないかと画策する。できる場面もあればできない場面もあり。

組み立ての中で、アイソレーションが何度か出るようになっていく。例えば、コマンとラフィーニャがサイドにはる。ラフィーニャが中央(相手の四角形)に侵入していくことで、原口を連れて行く。原口がいなくなったことで、コマンへのパスコースができる。そして、ヘルタ・ベルリンのサイドハーフとサイドバックの位置を離すことに成功していた。アラバロールで中と外のパスコースを作る動きに発想は似ている。この形は逆のサイドでも繰り返された。もちろん、動き出す選手はサイドバックだったり、インサイドハーフだったりと役割が複雑化する。

■ボアテング→ハビ・マルティネスとアラバロール

サイドからゆっくりと相手を蹂躙していくバイエルン。ヘルタ・ベルリンもカウンターを仕掛けるものの、ノイアーまで届くことはまれであった。しかし、人海戦術で守るヘルタ・ベルリンも何とかしのいでいく。バイエルンはサイドからのクロスに関しては、自分たちの形を上手く再現することができていた。ときどき2人の関係で相手の裏を攻略できる場面もあったが、それはあくまでときどきであった。

よって、グアルディオラが動く。最初にハビ・マルティネスとボアテングの位置を入れ替える。この動きに呼応して、中盤の選手の形もかわる。これまでは、サイドバックとウイング(ラームとミュラー)が2人ともにサイドにはる場面が見られた。その形をラームをシャビ・アロンソの横、インサイドハーフを相手のライン間、ウイングのみをサイドに貼りださせる形となった。むろん、逆サイドも同じように変化する。よって、シャビ・アロンソの脇にはラフィーニャとラームが並ぶ形となった。

この形の狙いは2つあった。

1つは、ハビ・マルティネスを空中戦の的とすること。クロスが上手くいっていたので、クロスに対してレヴァンドフスキとハビ・マルティネスが突撃していく。得点の気配はもちろん増していく。

2つは、後方にボアテングを配置することで、パスの出発点をさらに増やすことにあった。サイドチェンジや裏への飛び出しに対して、質の高いボールを供給できるボアテングはその実力を発揮していく。こうして、選手の入れ替えや配置を変更することで、さらに攻撃力を増す形となったバイエルンであった。まさに、選手交代と同じような効果がある。

先制点はセットプレーの連続から生まれた。ヘルタ・ベルリンの守備に困っていたかと言われれば困っていたんだろう。ただし、後半もあるわけで、焦る必要はない。セットプレーの機会も増えていく。そんななかでミュラーがヘディングで先制点を決める。

そして、追加点は後方のボアテングのフィードから始まる。レヴァンドフスキが絶妙なポストプレーでゴールをアシスト。コマンが決めて、前半で2-0となった。これで勝負あり。後半のヘルタ・ベルリンは4バックにかえるが、そうなると、中央の数的有利がなくなる。よって、中央をバイエルンに使われるようになるが、追加点はなし。レヴァンドフスキは悔しかったろう場面がたくさんであった。原口は守備に奔走。90分使われたことを考えると、チームからの信頼感はあると考えて良いだろう。

■独り言

13勝1分けと独走状態のバイエルン。国内がこのような状況となると、やはりターゲットはチャンピオンズ・リーグになるのだろう。ロッベリーが疲労をためていないというのは朗報だが、相変わらず怪我人が多いことが気になる。ドクターともめたなんて話もあったように、大事な試合のときに誰がいないかという不確定要素との戦いは今季も続きそうな予感。

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