【大勝の裏で抱える不安要素】ドルトムント対シュツットガルト

マッチレポ1516×ブンデスリーガ

myboard

目を離していたうちに、リーグ戦&ヨーロッパリーグで敗戦していたドルトムント。つまり、公式戦で2連敗している。それゆえか、フンメルス、バイグル、ギンターがスタメンから外れている。スタメンから外れた理由が、個人の調子によるものなのか、疲労を考慮してなのかは不明。恐らく、各々によって異なるのだろう。フンメルスに関しては、失点に絡み続けているため、スタメンから外れていると考えるのが妥当なようだ。

シュツットガルトは、ツォルニガー監督を解任。∪23の監督を暫定監督として迎えた。ツォルニガー監督の解任が、宇佐美獲得に影響が出るかどうかは不明。シュツットガルトの現状は、降格圏に位置している。よって、そのような状態のチームに冬から移籍すべきかどうかと考えると、答えはなかなか出てこないだろう。日本人が在籍しているイメージがなんとなくあったが、今は誰もいなかった。

■マイナーチェンジのドルトムント

シュツットガルトの暫定監督は、守備から試合に入るタイプの監督らしい。シュツットガルトはオーソドックスな4-4-2で試合に臨んだ。ドルトムントと対戦する相手にとって、インサイドハーフをどのように抑えるかがキーとなる。シュツットガルトは、中央のゲントナーたちが出て行くことで対応していた。または、1列目の位置を落として、2度追いをさせる場面もときどき見られた。

この試合の注目は、ドルトムントが微妙に、実は大胆に、自分たちの型を変えたことにあった。

これまでのドルトムントは、ボールを保持しているときに2-3-5に変化していた。2-3の5人で、ビルドアップを行う。前の5枚で、ライン間でボールを受ける動きと攻撃の横幅を担当する。圧倒的なボール保持能力、そしてクロップ時代に培ったネガティブトランジッションのスピードによって、このようなシステムを機能させることに成功していた。

この試合のドルトムントは、いわゆる普通の4-3-3の配置で試合を進めていった。サイドバックは必要以上に高い位置にいかない。そして、ウイングは中央に入ることを我慢し、サイドにはる。ボールの循環もサイドバック→ウイング(外外循環)が多く見られるようになった。

ボール循環の方法論が変われば、各々の役割も変化する。インサイドハーフ(香川とカストロ)は、インサイドハーフ突撃(ウイングのポジショニングに相手のサイドバックが従属した場合に、サイドバックの裏に走ること)を行う場面が見られた。今までのドルトムントのインサイドハーフの役割は、ビルドアップを安定して行うこと。そして、相手のライン間でプレーすることであった。しかし、サイドバックとウイングがサイドにはる仕組みに変化したことで、相手のサイドバックの裏にスプリントする役割が新たに出てくることとなった。

ドルトムントらしいというよりは、いわゆる教科書どおりの攻撃に変化したドルトムント。シュツットガルトは4-4-2で対応していく。ドルトムントは変化した役割と今までの役割が、インサイドハーフで特に交差する場面が見られた。今までよりもサイドバックが低い位置にいるので、インサイドハーフはビルドアップを行う必要があまりなくなる。それでも身についた習慣はなかなか抜けない。過去と今が混雑していたことが、大勝したのにもかかわらず、あんまりポジティブになれなかった要因のひとつだろう。

ドルトムントは、ソクラティス、ギュンドアン、ベンダーのトリオで相手の1列目の守備を突破していった。狙いとしては、ベンダーをオープンな形にすること。そして、外外(シュメルツァー、ロリス)、ライン間(香川)を運ぶドリブルをしながら選択する形が繰り返された。しかし、シュツットガルトもサボらないので、簡単にはあかない。すると、ウイングが中央に入ってくる。渋滞するかと思いきや、オーバメヤンが気を利かせてサイドに流れていた。また、オーバメヤンがサイドに流れて中央が空になっても、カストロがしっかりと前に出てくるなど、補完関係は上手く機能していた。

シュツットガルトはしぶとく守りながら、カウンターを狙っていく。ドルトムントの最後の手がダイナゴルのパスであった。ビルアップで誰かをオープンにする。オープンになった選手は、運ぶドリブルで相手の陣地に進入する。同サイドではなく、逆サイドエリアにボールを展開することで、シュツットガルトの息の根を止めにかかった。例えば、ベンダーが運ぶドリブルをする→相手が対応してスライドしてくる→このときに逆サイドのインサイドハーフ(カストロ)などが空く場面が見られた。サイドハーフが中央に絞らない問題を狙い撃ちである。この形は逆の形でも繰り返された。

運ぶドリブルからの3択をドルトムントは行い、試合を有利に進めていく。先制点は外外循環から、最後はカストロが押し込んで決まる。2点目は、ベンダーの運ぶドリブルから決まった。3点目は、コンビネーションからサイドバックの裏への侵入に成功して決まる。4点目は、オーバメヤンがブラジル代表のロナウドを彷彿とさせる凄みを見せつけた。

■水を運ぶ人はいるけれど

過去と現在が交差したことで、ドルトムントは機能しているのかしていないのかよくわからないと書いた。それは後半にも繰り返される。後半になると、今までのような2-3-5を行うようにサイドバックのポジショニングから感じ取れた。しかし、すぐにやめた。これが監督の指示なのか、選手の判断なのか、それとも選手が間違ったのかはわからない。ますます混乱するインサイドハーフの香川であった。

入り交ざったことによる機能性の不安定がドルトムントの不安要素だったとする。それはこの試合から起きたことだ。この試合で新たな取組みを発生したから起きた現象になる。一方で、ドルトムントが抱え続けてきた不安要素もこの試合でしっかりと露呈していた。それは、守れないという言葉に尽きる。

ドルトムントはボール保持とネガティブトランジッションの高速化を行っている。ただし、攻守の切り替えがなるべく起きないようにボールを保持することを目標としている。それはネガティブトランジッションが失敗したとき、つまり、相手のカウンターが発動したときに耐え切れる選手が後方にいないからだ。フンメルスは攻撃面では世界最高峰だが、守備面を見ると、軽率なミスをすることがデフォルトになっている。よって、この試合ではベンダーがスタメンとなった。

しかし、そのベンダーも本職ではない。攻撃面では貢献したが、守備面ではヴェルナーのスピードに苦しむこととなった。また、ギュンドアンも同じように守れない。ヴァイグルでもそんなに変わらないかもしれないが、普通だったらボールを奪えるだろうという局面で奪えない。だから、危機的な状況になるし、どうしてもファウルが増えてしまう。そして、ポゼッションチームの宿命でもあるビルドアップミスもときどき発生する。一気に相手にチャンスを与えることになってしまうミスがなかなか減らないのが現状だ。

香川が60分で交代したが、恐らくギュンドアンのアンカーをやめるための交代だったと思う。この試合の絶好調だったカストロと比べれば、交代は仕方ない。そして、トゥヘルは最終的に4-2-3-1にする。ボールを循環させることを考えれば、ヴァイグルもギュンドアンも問題はない。しかし、守備面を考えると不安で一杯となる。それを隠すためのポゼッションになるのだが、相手が強ければ強いほど、この問題は顕在化してしまう。シュツットガルトが相手でも顕在したのだから言うまでもない。

この守備の問題とどのように付き合うかで、ヨーロッパリーグ、そして復調してきたヴォルフスブルク、ボルシア・メンヒェングラッドバッハ、レバークーゼンとの直接対決の結果が決まるだろう。

■宇佐美はどうなる??

中央で使われている選手がユース出身というだけで、出場機会は微妙。サイドの選手も献身的で攻撃性能も高そうだったので、試合に出られるかは怪しい。さらに、守備の時間がどうしても長くなる。だからこそ、中央で起用されたいのだが、ライバルはディダヴィ。何とかなりそうだが、ユース出身のテクニシャンと地味にキャラが重なっていることがどうなるかはまったくもってわからない。ただs,岡崎や酒井高徳がいたこともあるので、日本人への理解はありそうな予感。ただチーム状況が悪いことを考えると、失敗の香りのほうが強いかどうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました