【グアルディオラの実験と気合のチームラッパディア】ハンブルガーSV対バイエルン

マッチレポ1516×ブンデスリーガ

ハンブルガーのスタメンは、アドラー、オストルツォク、クレーベル、ジュルー、ディークマイアー、ホルトビー、カチャル、イリチェビッチ、ハント、ニコライ・ミュラー、ラソッガ。冬休みはトルコで合宿。トルコでのトレマッチは、全敗。合宿中も怪我人が多く、何のためにトルコに行ったのか、、状態だったらしい。ラッパディアの秘蔵っ子こと酒井高徳は、ディークマイアーとのポジション争いに敗れているらしい。秘蔵っ子だったのに。

バイエルンのスタメンは、ノイアー、アラバ、バトシュトゥバー、ボアテング、ラーム、シャビ・アロンソ、ドグラス・コスタ、チアゴ・アルカンタラ、ミュラー、コマン、レヴァンドフスキ。冬休みはドーハで合宿。トレマッチはあまりやらなかったそう。二部のカールスルーエと試合をして、負けている。その結果がちょっと話題になっていた。冬休みに入る前は怪我人が続出。ベンチに4人しかいなど、大変な状況だった。さすがにそのときの状況よりは、良くなっている模様。

■本日のグアルディオラ

バイエルンのシステムは3-2-4-1。ボアテング(右)、バトシュトゥバー(中央)、アラバ(左)の3バックに、中盤はシャビ・アロンソとラームのセントラルコンビ。左にコマン、右にドグラス・コスタ。相手の隙間にミュラーとチアゴ・アルカンタラ。トップにレヴァンドフスキ。

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しかし、実際にはチアゴ・アルカンタラとミュラーのポジショニングがあやふやであった。

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このような形で、試合をすすめる場面が多かった。

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基本的な狙いは、白い三角形スペース。特にチアゴ・アルカンタラがこの位置でボールを受ける場面が多かった。

バイエルンの狙いは、3バックの運ぶドリブル、ボールを受けたときのポジショニングで相手のサイドハーフをつる。ハンブルガーのサイドハーフは、相手の3バックへのプレッシングとバイエルンのウイング(ドグラス・コスタとコマン)へのパスラインを制限することにあった。後者はちょっと微妙。アラバもボアテングもパス能力は、いわゆる異常な選手なので、わずかな隙間でのボールを通してしまう。よって、彼らへのポジショニング(素早くプレッシングに行ける場所)とパスコースの制限を同時に行うのは、なかなか厳しいタスクだった。中央をきるにしても。

ハンブルガーのボールを保持していないときのシステムは、4-4-2。高い位置からボールを奪うプレッシングを見せる。ただし、相手のボール保持者がオープンな形でボールを持っているときは、撤退しながら構える。ラソッガかハントのどちらかが、シャビ・アロンソを抑えるケースが多い。ただし、バイエルンの3列目(ディフェンスライン)がバックパスや横パスをすると、ハンブルガーは2列目(中盤)と連動しながらプレッシングのスイッチが入る。その場面では、ホルトビーがシャビ・アロンソまで出てくる役割。ノイアーまでは行ったり行かなかったり。問題としては、ラソッガとハントが自分の役割を超えたプレッシングをするとき。サイドハーフの役割である両脇のセンターバックまで彼らが出かけてしまうと、マークがずれてしまうことが多かった。

マークはずれる。それでも、1列目のプレッシングに2列目は絶対にプレッシングするという気概を感じさせるチームラッパディア。しかし、3列目が連動できない(裏へのボールが怖い)ので、2列目と3列目の間のスペースをバイエルンに使われる場面が頻出していた。つまり、グアルディオラの狙いはそこそこに機能していた。3バックによるビルドアップで相手のマークの基準をずらし、相手を4-2-4の状態にする。そして、できたスペースをチアゴ・アルカンタラやミュラーに使わせる。

バイエルンのボールを保持していないときのシステムは、4-1-4-1。ラームが右サイドバック、チアゴ・アルカンタラがインサイドに移動する。システム移行の隙をつきたいが、日常的にバイエルンがこの形を行っているわけではないのが、相手からすると辛い。

試合は、36分にバイエルンがPKで先制。セットプレーからのカウンターが炸裂。ロングボールを出したのがラームかだれかわからなかったけれど、裏を取ったミュラーをアドラーが倒してPKを得た。

後半はコマンが右、ドグラス・コスタが左に移動。

後半のハンブルガーは、ボール保持者へのプレッシングを強める。前半はオープンな形でボールを持っているボアテングやバトシュトゥバーに撤退で対応。後半はプレッシング発動。撤退しても、ボールを高い位置で奪えないし、相手にスペースを使われる場面が多かったので、理にかなった修正。ハントがシャビ・アロンソ、ラソッガがバトシュトゥバー、サイドハーフが両脇のセンターバックに数的同数でせまる。マークの役割がぼやける、例えば、サイドハーフではなく、前線のラソッガとハントが前にずれた場合は、ホルトビーが調整する。

このプレッシングに、バイエルンは気合のビルドアップで対応。ノイアーも頻繁にボールに関わるようになる。しかし、数的同数プレッシングはノイアーを使ってもなかなか回避できない。どこかでロングボールを入れる場面が増えてくるバイエルン。もちろん、プレッシングを回避できたときは相手の守備が分断されているので、擬似的トランジションを引き起こすことはできていた。リターンはあるけど、リスクもあるような後半の立ち上がり。

試合が動いたのは、52分にセットプレー。ハンブルガーの同点ゴールが決まる。誰も触らなければゴールに入るクロスを蹴りましょうという教科書どおりのクロスボールは、そのままゴールに吸い込まれたように見えた。

54分にボアテングが負傷で交代。ハビ・マルティネスが登場。またまた怪我人がでたことで、絶望しているに違いないグアルディオラ。問題は何にあるのだろうか。トレーニングメニューなのか、医療スタッフなのか。それとも、たまたまなのか。

61分にバイエルンが勝ち越しゴール。コーナーキック崩れからそのまま前線に残っていたハビ・マルティネスへの放り込みからミュラーのシュートがレヴァンドフスキにあたってゴールに吸い込まれる。

ハンブルガーは前線の選手を次から次へと投入し、前線の圧力を強める&維持をはかる。バイエルンはビダルを入れて、チアゴ・アルカンタラとの役割をはっきりさせる。ビルドアップの出口としてのプレーを期待したのだろう。しかし、ハンブルガーの運動量の前に、試合は五分五分の展開へ。ビルドアップが成功すれば、バイエルンにトランジションチャンスが生まれ、相手のミスを誘うことができれば、ハンブルガーにチャンスが生まれる。

試合はそのまま終了。終了間際にゴール近くでの直接フリーキックなど、ハンブルガーにもチャンスはあったが、ノイアー率いるバイエルンのゴールを破ることはできなかった。バイエルンはロッベンも元気な姿を見せた。チーム全体として徐々にコンディションを上げながら、チャンピオンズリーグに備えていくのだろう。

■ひとりごと

ホルトビーがシャビ・アロンソを抑えにでていったり、自分の持ち場に戻ったりとハッスルしていた。トップ下の選手だと思っていたのであまりの変貌ぶりに驚かされた。そして、酒井高徳のライバルであるディークマイアーはコマンに苦戦。でも、酒井高徳でも苦戦していたので、どうせなら酒井高徳だったらどうなったかを見たかった。

バイエルンは3バックに戻った。今季は3バック→3バック(シャビ・アロンソが落ちてくる)→4バックへと変化していたけれど、またも3バックに戻る。いざとなったら、いつでも4バック(ノーマル型)に戻るんだろうけど、相手のプレッシングの形を考えると、3バックのほうが相手の型を変化させる意味で都合が良いのかもしれない。そんなチャレンジに見えた。

コメント

  1. 見習いコーチ より:

    いつも楽しみにしてます。非常に勉強になってますが、日本代表の試合などもお願いします。テレビで見れるので、より理解がしやすいです。是非お願いします。

    • らいかーると より:

      見習いコーチ様

      Jリーグの試合はやりますので、どうかご勘弁を

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