完敗 ~浦和レッズ対北京国安~

マッチレポ2015×Jリーグ

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ACLで2連敗中の浦和レッズ。相手は2連勝中の北京国安。ここで勝てば大混戦間違いなしになるので、浦和レッズは負けられない試合。北京国安の監督はマンサーノ。かつて、マジョルカで良いチームを作ったことで有名。チームが躍進する→主力を引っこ抜かれる→前半戦は結果が出ないがチームを立て直し、後半に巻き返す→チームが躍進する→主力を引っこ抜かれるのスパイラルを延々と続けるマンサーノはリーガのビッククラブに引きぬかれ、なぜか中国に流れ着いた模様。注目はミシャ式ことペトロビッチにマンサーノがどのように対抗するか。

最初に浦和のボール保持に対するマンサーノの策から見ていく。

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ミシャ式を簡単に説明すると、数の暴力で相手に対策を強いる。自陣エリアは2センターバックとアンカー、キーパーの4人で支配する。後方の選手がオープンな状況でボールを持てるようになったら、前線の数的優位を利用して、中央からワントップツーシャドウ、サイドからウイングバックから攻撃を仕掛けていく。4-1-5の形になるのだが、守備は5-4-1で行う。移動が必要なのはウイングバックとボランチの片割れ。彼らが移動する時間をかせぐために、自陣エリアの支配が肝になる。

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マンサーノの答えはいつも通りの守備であった。定跡は4-4-1-1でツートップの片割れが相手のアンカーを観る。しかし、マンサーノの答えは4-4-2でハイラインプレッシングであった。浦和レッズからすれば大好物のプレッシングの形だが、ACLで結果が出ていないこと、グランドコンディションが悪かったことなどから、前半はロングボールを多めに試合を組み立てようとした。怪我人の状況もあるだろうが、石原がワントップで起用されたのはハイボール対策だろう。しかし、フィジカル勝負で相手を勝れなかったのは計算ミスかあまい計算式だったのかは議論の別れるところである。

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実際に試合で多かった現象がこの形。ロングボールが前提だったけれども、可変システムの弱点を狙い撃ちにした格好となった。ゴールキックからなら自分たちの型から始められそうだが、相手もゴールキックから繋がせてくれるような隙をなかなか見せてくれなかった。

次に5-4-1対策を見ていく

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浦和レッズは高い位置からのプレッシングで相手からボールを奪ってショートカウンターをする場面が見られたが、徐々にその場面は減っていった。決してキック精度の高いわけではなかったが、キーパーをビルドアップで経由することで、プレッシング回避に成功していた。キック精度の低さはフィジカル勝負でどうにかする計算だった。

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浦和は5-4-1で守備を固めているので、中央の2枚を狙い撃ちにする。撤退守備を相手にする場合、最初に支配するエリアは自陣のエリア。次に相手のFWとMFの間のエリア。そして、相手のボランチを動かす手順にうつる。浦和の守備は相手に従属することが多いので、自分たちのポジショニングによって、阿部と啓太を動かすことに成功していた。動かすことに成功すれば、縦に楔のボールを入れることができる。しかし、この楔のボールに対しては槙野が安定感のある対応で何とかなっていた。

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理屈はディフェンスラインにインサイドハーフを落とす形と同じ。さすがにこのエリアまではついていかないので、阿部と啓太はきっつい状況になる。相手を観てのポジショニングは以上。あとは教科書通りの攻撃を繰り返す。サイドチェンジからの速攻、ワントップがサイドに流れて、相手のセンターバックを動かす。防戦一方の浦和だったが、最後のところで耐え忍ぶ姿はかつての闘莉王を思い出させるものだった。

後半の浦和は早めの阿部落としからのビルドアップに果敢にチャレンジ。永田のミスから相手に決定機を与えるが、前半に比べれば相手の陣地で試合をする時間が増えていった。比例して、北京国安にカウンターを食らう場面が増えていったが、耐える耐える。しかし、セットプレーからミスで失点すると、最後にはビルドアップ隊のボールを失い、カウンターで追加点を許すデジャブのような形で試合は終わった。

■独り言

前半に比べれば、後半のほうがらしさはでていたかもしれない。しかし、ネガティブならしさ、後方でボールを失い相手に決定機を与える、も出ていたので、評価をするのが難しい内容だった。ただし、前半のままでの希望はほとんどなかったので、そもそものゲームプランがどうだったのだろう、というレベルになるのかもしれない。

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