2019.11.23 プレミアリーグ 第13節 クリスタル・パレス対リヴァプール

マッチレポ1920

年末まではリヴァプールに注目をすることにした。その理由はリヴァプールの強さの秘訣がわからないからだ。自分の中でリヴァプールの強さがどうしてもすとんと消化されない。いや、超強いのはわかっている。個々の選手のクオリティもずば抜けているし、戦術と選手の相互関係も全く矛盾していない。

わかっちゃいるのだけど、よくわからないのだ。となれば、試合を見るしかない。わからないことがちょっとでもわかるようになれば、それはとってもいいいことであるし。というわけで、リヴァプール、ときどきどこかの試合という形で雑感シリーズは続いていきます。

ちなみに、ベニテス時代のリヴァプールが一番好きでした。シャビ・アロンソとマスチェラーノ、カイト、ベラミー的な。

-- さて、リヴァプールにとっては非常に苦しい試合になったと思いますが、順番に整理していこうと思います。マンチェスター・シティ戦とは試合の内容がまるで異なる試合でしたが、その要因について詳しく

クリスタル・パレスは撤退守備でリヴァプールに対抗してきました。クリスタル・パレスの配置は4-1-4-1。注目はワントップのアイェウがリヴァプールのアンカーであるファビーニョを守備の基準点としていたことです。撤退守備の特徴として、非常にわかりやすい役割になっていました。

つまり、リヴァプールはボール保持を許された展開となりました。ボールは持たせてあげるけれど、ファン・ダイクとロブレン以外はボールを持たせないよ!というクリスタル・パレスの策略に対して、リヴァプールは良い解決策を見つけられなかった印象を受けました。

-- 相手が撤退してきたときのトランジション機会の減少がリヴァプールの弱点とされてまいます。ただし、最近のリヴァプールはポジショナルな概念も導入していると聞いていますが。

リヴァプールのポジショナルプレーはそれぞれの配置を決定する基準がまだつかめません。基本的には大外だったりライン間だったり相手の間だったりと、誰がどこに立つことで相手に解決しなければいけない状況を作る!となります。その立つ位置は不変である事が多いです。

例えば、相手が2トップでプレッシングだったら、2トップの間に立つことは不変なことだと考えています。でも、その相手の位置や役割をスルーするようなことがリヴァプールには見られます。その不安定さみたいなものも相手からすれば不気味にも映るのですが、今のところはセンターバックが持たされると、ちょっと手厳しい状況になる印象です。

-- リヴァプールのポジショナルなネタについてまとめてみてください。

多く見られる形はインサイドハーフが降りて、サイドバックが横幅隊になります。売出し中のサイドバックコンビの攻撃性能を促しながら、インサイドハーフの降りる動きで相手の守備の基準点をずらしにかかっています。

ただ、最近の場合は左のワイナルドゥムが降りて、ヘンダーソンはラキティッチのように振る舞うことが多いようです。サラーをメッシだと考えてもらえれば、セルジ・ロベルトとラキティッチの役割をヘンダーソンとアーノルドがやっていると考えてください。

その他ではファビーニョのサリーもあります。センターバックが運ぶドリブルをしないので、ボールを受けて自分で運ぶためにファビーニョが降ります。または、2バックよりも3バックのほうがセンターバックが前に出ていきやすいので、センターバックのレーン移動で相手の守備の基準点を惑わす狙いもあるかもしれません。

最後にフィルミーノのゼロトップとサラーとマネの2トップ化でしょうか。降りる動きで上がる動きがセットになっているので、非常に厄介だとは思います。ポジショナルなネタというよりは、可変のネタをまとめただけですね。

-- 試合について振り返ると、リヴァプールが撤退守備に苦戦したと

そうですね。ストーミングの文脈からいえば、ロングボールを蹴って回収して!という流れになるのかなと見ていましたが、ロングボールも裏ばかりで回収には繋がっていきませんでした。また、サイドバックのサイドチェンジ大作戦もマンチェスター・シティよりもサイドハーフの守備意識がべらぼうに高かったこともあって、不発でした。

クリスタル・パレスに目を移すと、勇気を持ったボール保持でリヴァプールの泣き所であるサイドエリアからの前進でサイドバックからサイドハーフでタウンゼントとザハで勝負!というのがチームの作戦でした。リヴァプールの短所と自分たちの長所を発揮できる環境が整っていたことは偶然か狙ったものかはわかりません。

ただし、サラーがいないこともあって、チェンバレンがしっかりと守備をしていたこともあって、リヴァプールも守れてはいたのですが。この試合のサラーの代約であるチェンバレンは最初は右サイドにいた。しかし、途中でマネと交代し、左サイドに移動。ザハ番としてヘンダーソンと根性を見せていた。マネも右サイドのほうが慣れているようで攻守に問題を解決する好手だったと思います。

-- そんな試合を動かしたのはカウンター、速攻というゴールでした。

確か最初に自分たちのコーナーキックを守りきってフィニッシュまで行きました。で、その相手のゴールキックを奪っての速攻でした。ある意味でストーミング、リヴァプールらしいゴールだったと言ってもいいかもしれません。

-- 後半になると、リヴァプールがボール保持からもチャンスを量産するようになりましたが。

失点したこともあって、クリスタル・パレスがプレッシングをセンターバックまで仕掛けてきました。この変化によってリヴァプールはスペースを手に入れるようになります。考えてみると、ボールを保持できるなら無理に仕掛けない。相手が出てこないなら何となく時間を過ごし、トランジションチャンスを見逃さないという狙いだったのかもしれません。

この時間帯にとどめ!と言いたいところでしたが、シュートは決まらず。逆にタウンゼントとザハにも無秩序の誘いは大歓迎だったようです。また、攻撃的な選手をピッチに送り込むクリスタル・パレスにちょっと嫌な雰囲気が漂ってきます。すると、ミルナーが登場。守備固めにはミルナーがクロップのお気に入りの策なのかもしれません。

しかし、ザハに運ばれ、ベンテケに仕掛けられ、最後にはザハに決められます。ゴール期待値は調べていませんが、似たようなものだったのではないでしょうか。その決定機をアリソンとファンダイクたちで防ぐ!という策略なのかもしれませんが、今日も危なっかしかったです。

その直後にコーナーキックからフィルミーノが決めるあたりは、優勝するチームにふさわしいような展開ですが、最後の最後にザハがシュートを枠に飛ばしていれば、これまたどうなったかわからない試合でした。

-- 最後にまとめてみてください

リヴァプールのサッカーがどのようなサッカーかをうまく表現できればなーと思っています。ストーミングやゲーゲンプレッシング!という言葉に引っ張られると、違和感しか覚えないような気がします。例えば、カウンターや速攻をやらないチームなんて存在しませんし、それしかやらないチームもありません。

そのなかでリヴァプールは4局面をどのように定義し、どのように戦い、どの戦い方を得意とし、苦手とし、どのような相手を嫌がるのか、好むのか?を年末までにわかる気がしないので、長いシーズンになりそうです。

ではまた。

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