【201920シーズン】アトレチコ・マドリーの現在地を振り返ろう【第1節から第3節まで】

独り言

ぼくたちのアトレチコ・マドリーは3試合を終えて、リーガ・エスパニョーラで首位を独走している。3試合でポイントは9。完璧な結果だ。なお、レアル・マドリーのポイントは5で、バルセロナは4だ。

さて、アトレチコ・マドリーといえば、442を基調とするプレッシングサッカーだ。ボール非保持でその強さを発揮し、チャンピオンズリーグでもその破壊力をまざまざとみせつけていた過去を持っている。近年のアトレチコ・マドリーは、ボール保持もどげんかせんといかん!という命題に向き合っているが、そのバランスに苦戦している印象を受けている。

そんなおれたちのアトレチコ・マドリーは、今季が始まる前に選手をかなり入れ替えている。ゴディンの離脱から始まり、すったもんだの末にグリーズマンのバルセロナ移籍、そして躍進の象徴でもあった両サイドバックの離脱だ。ついでに、リュカ・エルナンデスもいなくなり、ロドリはグアルディオラのもとへ旅立っていった。

というわけで、チームの改造が必要になるアトレチコ・マドリー。そんなシメオネ監督の選んだ策は【4312】によるボール保持を中心とするサッカーであった。つまり、長年抱えていたボールを保持する時間帯の課題に対して、自分たちのいつか帰るところである【442】を捨てたということになる。というわけで、事件だ。そんな試合たちを振り返っていく。

VS ヘタフェ

ヘタフェ戦のスタメンは、オブラク、ヒメネス、サビッチ、トリッピアー、ロディ、トーマス、コケ、サウール、レマル、ジョアン・フェリックス、モラタ。トーマスをアンカー、コケとサウールがインサイドハーフで、レマルがトップ下に配置されていた。

ロディとトリッピアーのサイドバックコンビは前任者に比べると、高い位置で自分たちの長所を発揮できるようであった。前任者たちは攻守にコンプリートされた選手たちであったが、新しいコンビはより攻撃で力を発揮しそうな雰囲気である。よって、サイドバックがウイングのように振る舞うことが求められているようだった。

アトレチコ・マドリーのビルドアップの特徴はインサイドハーフの降りる動きをキーとしていた。サイドバックが高い位置に進出することも相まって、インサイドハーフがハーフスペースの入り口に配置されることが多かった。

ボール保持者をハーフスペースの入り口として、アンカー、サイドバックでトライアングルを作る。そして、+1として、レマル、モラタ、ジョアン・フェリックスが登場することで、ひし形を形成する場面が多かった。トライアングルの位置は定められているのに対して、+1の選手は状況に応じて、というニュアンスのポジショニングが観られた。さらに、+2への変化も可能なくらい非明瞭になっていることが、アトレチコ・マドリーの【4312】の特徴と言えるだろう。ライン間でボールを受ける選手、相手をピン止めする選手、相手の裏を狙う選手と、前線のトリオが役割を変更することができるのは強みである。空中戦の的は基本的にモラタ一択だけれど。

さて、この試合は見事なアトレチコ・マドリーの【4312】のボール保持にヘタフェの【442】は苦戦し、珍しいモラタのゴールで先制。その後は試合をコントロールできなくなった審判によって、前半のうちに両チームが10人になる珍しい試合であった。

VS レガネス

ロディが出場停止だったこともあって、代役はエルモーソ。エルモーソが左サイドバックかなと観ていると、アトレチコ・マドリーがまさかの3バックを行っていた。この試合のアトレチコ・マドリーは【3142】。まさか、アトレチコ・マドリーが3バックをやるとは夢にも思わなかった。なお、左ウイングバックはポリバレントなサウールが行っている。

エルモーソは左利きのセンターバックのようだった。なお、パスの精度も高いので、嫌でもマンチェスター・シティのラポルテを彷彿とさせる。攻守にまだまだな雰囲気だが、アトレチコ・マドリーで修行を積めば大化けするかもしれない。

さて、【3142】のアトレチコ・マドリーのビルドアップの注目は、インサイドハーフの動きであった。この試合ではコケとレマルが担っていたのだけど、この試合ではまったく降りなかった。この試合でのハーフスペースの入り口に立つ選手は3バックの面々。そのための左利きのセンターバックだったのかと勝手に納得していた。

話を逸らすと、ハーフスペースの入り口に立つ選手をどのポジションの選手にするかは重要なお題である。インサイドハーフが降りてくる形もポピュラーだが、その場合は、センターバックがボールを前進させる面での仕事があまりなくなってしまう。嘘だ、殆どない。つまり、ある意味でずっと数的不利状態を受け入れないといけない状況になりがちだ。それでも崩せちゃうチームはいいいのだけど、そんなチームはあまりない。目的がゴールでないならば、優先順位が高くないならば、それでもいいんだけどね。

というわけで、【3142】でレガネスに迫りたいアトレチコ・マドリーだが、不運なことに【532】でプレッシングのレガネスと噛み合う形となった。高い位置にいる横幅隊は相手のウイングバックに繋がり、生命線の中央に配置された面々もがっつり噛み合っている。よって、配置的優位性は得られない【3142】に価値などない!というわけで、後半途中から【4312】に戻すアトレチコ・マドリーであった。

この変更はなかなか興味深い。アトレチコ・マドリーといえば、【442】と【451】のプレッシングを使いわけて、相手の慣れを破壊することを得意としていた。そのアトレチコ・マドリーがボール保持で相手の慣れを破壊する道を選んだことは興味深い。そして、交代で入ったヴィトロがゴールを決めるのだから、できすぎたストーリーでもあった。

VS エイバル

これまでのアトレチコ・マドリーは【3142】と【4312】を使い分けてきた。その2つの配置に共通することが3センターと2トップである。この配置でのプレッシングは相手のサイドバックに時間を与えがちというものだ。アトレチコ・マドリーのプレッシングルールを観ていくと、相手のサイドバックにはインサイドハーフがスライドという定跡通りであった。

その結果、以前の2試合で起きていたことは、試合がオープンになりがち、ということだった。今までのアトレチコ・マドリーは相手をペナルティエリアには入れさせない、ガッツリ守るぜ!みたいな雰囲気だったが、今季のアトレチコ・マドリーは相手に攻めこませる隙きを許容しているように見えた。その代わりに、足の速いジョアン・フェリックスでカウンターという新たな武器を相手に示せればトレード・オフになるだろうという計算があったのではないかと。

しかし、エイバル戦では早々に相手に2ゴールを許すらしくない展開となった。そして、とうとういつか帰るところである【442】が復活する。そして持ち前のプレッシングでこれ以上の追加点を許すような機会を削ると、この試合から復活したジエゴ・コスタへの放り込みをメインにボール保持を構築していった。

そして、ジエゴ・コスタの個人技か反撃の狼煙を上げることに成功すると、またしてもヴィトロが仕事をし、ロスタイムには途中出場のトーマスが決めて大逆転となった。なお、この試合でもスクランブルアタックの様相が強かったが、最後は【4-3-1-2】に変化して、相手に隙きを作ろうとを最後まであがき続けたアトレチコ・マドリーであった。

まとめ

アンヘル・コレアやヴィトロをどこで起用するか?という答えが出ているようで出ていない。チームのフォーメーションとそれにともない相互作用を考慮した選手起用の最適解はまだまだ出ないようである。ただし、レマルもモチベーションが高そうなので、かんたんには答えがでなそうだ。

3センターだと、選手同士の配置がスムーズなのだが、【442】だと、微妙になる。【442】でできれば一番良いのだろうけど、それができるなら最初からやっているわけで、シメオネの落とし所は非常に気になる。

最後にジョアン・フェリックスは怪物。ジエゴ・コスタもやっぱり怪物。このコンビはチャンピオンズリーグでも活躍してくれそうだ。

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