【来日前のバルセロナの状況について】バルセロナ対デポルティーボ・ラ・コルーニャ

マッチレポ1516×リーガエスパニョーラ

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CWCのために、来日中のバルセロナ。来日する前に残した試合がカンプ・ノウでのデポルティーボ・ラ・コルーニャ戦だ。前節のバレンシア、チャンピオンズ・リーグのレバークーゼンと、引き分けが続いているバルセロナ。メッシは復活したけれど、ネイマールは離脱。決して嫌な雰囲気があるわけではないが、勝ちきれていないことはネガティブだろう。来日する前に、その雰囲気を払拭したい。

相手はデポルティーボ・ラ・コルーニャ。堅守速攻を武器に、残留争いとは縁遠い順位。下手したら、ヨーロッパリーグくらいには出場できるのではないかという健闘を見せている。90分間の落ちないプレー強度と、フィニッシャーとしてルカス・ペレスが活躍している事が大きい。監督は、スーペルデポルのビクトル。ちなみに、スーペルデポル時代のの相方であったマヌエル・パブロは、未だにデポルティーボ・ラ・コルーニャで奮闘している。

■4-3でバルセロナに対抗するデポルティーボ・ラ・コルーニャ

デポルティーボ・ラ・コルーニャのボールを保持していないときのシステムは、4-3-1-2。ボルシア・メンヒェングラッドバッハリスペクト(先日のバイエルン戦)かと予想されたが、3バックではなかった。

デポルティーボ・ラ・コルーニャの守備の狙いを整理していく。

1列目のルカス・ペレスたちは、バルセロナのセンターバック(ピケとマスチェラーノ)を守備の基準点とする。ボールが自分たちのライン(1列目)を越えていっても、ボールラインより下がることはない。カウンターに備えて、またはバルセロナの攻撃をセンターバック経由でやり直させないために、前線に残っていた。

2列目のファジルは、ブスケツ番である。かつてのバルセロナ対策の流行りだ。ブスケツについていくことで、バルセロナの試合からブスケツを消す役割。ブスケツ経由のビルドアップ、攻撃のやり直しを防ぎ、さらにボールを奪われたときの守備者としてのブスケツの働きも機能させまいという狙いがある。ブスケツがトランジションで機能しなければ、スムーズにカウンターに移行できるという計算がある。デポルティーボ・ラ・コルーニャは前線に2枚も選手を残しているので、ボールをスムーズに繋ぐことができれば、カウンターができるとなる。

3.4列目は、4-3でゾーン・ディフェンスで対応する。中央のアレックス・ベルガンティーニョスはアンカーではない。インサイドハーフのカバーリングを常にするのではなく、必要なら前に出ていく。そして、両脇のファンフランとルイジーニョがカバーリングをする。

まとめると、ブスケツ、マスチェラーノ、ピケに相手を準備することで、バルセロナの攻撃をやり直させないように意識している。そして、仕掛けてきた攻撃に対しては、4-3のゾーン・ディフェンスで対応するという狙いがある。

次に、バルセロナの攻撃を噛みあわせて見て行く。

ボールを前進させるときに、バルセロナはサイドバックが空くことをすぐに理解した。このすぐに、という時間がバルセロナの強さの秘密。よって、バルセロナは中央(センターバックとブスケツ)を経由せずに、サイドバックから攻撃を組み立てる道を選んだ。この判断によって、デポルティーボ・ラ・コルーニャの1.2列目の守備をかちあうことはなくなる。

デポルティーボ・ラ・コルーニャの3.4列目は自陣に撤退しながら、バルセロナの攻撃に対抗する。最初のテーマは、サイドバックに誰がよせるかであった。ジョルディ・アルバの運ぶドリブル→ファンフランが対応する→イニエスタが空いてしまう状況が感嘆に作られてしまった。構造上の問題であるサイドバックへのプレッシングが問題となったデポルティーボ・ラ・コルーニャ。怖いけれど、中盤が連動するしか解決策はない。3センターで横幅を埋めることはできないので、今度が逆サイドにスペースが空いてしまう。

攻撃をやりなおさせたくないデポルティーボ・ラ・コルーニャ。しかし、バルセロナはサイドチェンジを多発するようになっていく。本来であるならば、ブスケツやセンターバックを経由してサイドチェンジを行う。前述のように、彼らにはマークがついている。よって、バルセロナはロングサイドチェンジを多用するようになる。相手をひきつける→サイドチェンジのコンボで4-3のゾーン・ディフェンスをゆさぶりにかける。

バルセロナの攻撃で面白かったのがジョルディ・アルバの動き。サイドを疾走するイメージしかなかったが、今回は組み立ての起点になることも求められた。起点となるためにジョルディ・アルバが行ったのがアラバロール。ブスケツのマークが厳しいので、その横から攻撃の起点となり、そしてトランジションでも活躍していた。逆サイドのアウベスもときおりはそういったプレーを見せたが、ラキティッチとメッシがいる関係で、どちらかと言えば、サイドでのプレーが多かった。

バルセロナは猛攻を見せるものの、得点はなかなか生まれず。4-3でバルセロに対抗したのはアッレグリのミランだったような記憶が蘇ってくる。バルセロナの攻撃は自分たちの型がいくつも用意されているんだけど、ときどき相手を見ない事が多い。またはそれでも突っ込んでいく中央みたいな。それでも能力が高いので、大抵の場合はどうにかなってしまうのだろうけど。例えば、デポルティーボ・ラ・コルーニャの守備はサイドバックとセンターバックの間にスペースができてしまうこと(構造上、仕方ない)が多かったが、そのスペースを狙い続けるようなプレーは少なかった。

最後のテーマは、やはりメッシであった。デポルティーボ・ラ・コルーニャの理屈では、ブスケツがいなければ、バルセロナの中盤はイニエスタとラキティッチになる。よって、数的有利になるので、カバーリングをしても問題ないと。バルセロナはサイドバックの位置を上げる。そしてこの動きで、3センターを引っ張る。そして、サンドロとスアレスを2トップ気味にすることで、相手の4バックを中央に絞らせる。この時点で、3センターの両脇と4バックのサイドバックの守備の基準点にサイドバックが生まれることになる。

そして、メッシがインサイドハーフのような位置でプレーするようになる。こうして、デポルティーボ・ラ・コルーニャの守備の基準点は錯綜するようになる。ゾーン・ディフェンスで守ろうにも、3枚では横幅を埋めきれない。人がそばにいれば、人への意識も強くしなければならない。バルセロナの選手は狭いスペースでもプレーできてしまうからだ。このような状況になると、スライドやボール保持者へのプレッシングが遅れる。それでも必死に耐えていたが、前半の終了間際に直接FKをメッシに叩き込まれる。そして、後半にはズレから生まれた時間を利用したラキティッチに豪快なミドルが炸裂した。

■試合の様相を変化させるシステム変更

2失点目が決まる前に、デポルティーボ・ラ・コルーニャは交代枠を2枚使っていた。イエローカードをもらった選手、そして前線で攻撃のチャンスを潰していた選手を交代する意図の采配だった。

デポルティーボ・ラ・コルーニャのカウンターは、前線に残っている3枚に早めにボールを供給するものであった。バルセロナはサイドバックもあげている。よって、サイドに流れて、相手のセンターバックの距離を離して勝負に挑む形が多かった。可能性がなかったわけではないが、なかなかクラウディオ・ブラボを脅かす場面は作れていなかった。

2得点をしたことで、バルセロナも徐々に選手を交代してくる。デポルティーボ・ラ・コルーニャはカルドソを投入。このカルドソがなかなかのクセモノであった。デポルティーボ・ラ・コルーニャのBチームから昇格してきたカルドソは、3センターにもかかわらず、右サイドから積極的に仕掛ける。デポルティーボ・ラ・コルーニャの攻撃の形と流れが徐々に変化していくなかで、バルセロナもカウンターで仕留めたいが、シジネイとアリーバスの守備は堅く、追加点は奪えない。

そして、マテューが出てきたとこで、デポルティーボ・ラ・コルーニャに得点が生まれる。ロングボールのこぼれ球からはじまった攻防は最後にルカス・ペレスの元に流れる。のりにのっている選手はこのチャンスを見逃すわけはなかった。シュート前にボールタッチでキーパーに正対するようにしてシュート角度を確保したのは匠。

このゴール後のデポルティーボ・ラ・コルーニャは4-1-4-1に変更。急にシステムを変更するが、先ほどの役割もまだ活きているような入り混じった守備を見せた。この形の変化にバルセロナが対応できなかった。というよりは、それまで試合に絡めなかったセンターバックとブスケツが試合に急に絡まなければいけない状況になり、それに対応できなかったと言うべきか。

セルジ・ロベルトのボールを受けたブスケツがバックパス。これを奪われて、最後はアレックス・ベルガンティーニョスに決められて、まさかの同点ゴールを決められるバルセロナであった。ブスケツの珍しいミス、そしてそれを演出してしまったセルジ・ロベルトも途中出場と張り巡らされたわずかな可能性の罠をちょっとだけ感じる。むろん、たまたまだろうけども。

同点になってから猛攻を仕掛けるものの、さすがにゴールは決まらず。まさかの2点差からの同点劇はちょっと信じられなかったけれど、これが現実。こうして3引き分けで来日することになったバルセロナであった。なお、リーグ戦はアトレチコ・マドリードに同じポイントで並ばれることとなったとさ。

■ひとりごと

バルセロナは相手の骨格を殴り倒すというよりも、自分たちの形をフルに発揮できるように自分たちの形を変容させることを得意としていることを思い出した試合だった。相手の形がこうだからこうの一つ手前が勝負みたいな。つまりは、相手の陣地でボール保持者をいかにオープンにするか、ということなんだけも。

ネイマールは怪我だけれども、他の選手は元気に見えます。なので、横浜国際総合競技場でバルセロナの試合を見る人はかなり楽しめると思います。ただ、ときおり見せるもろさみたいなものもあるので、その正体は掴んで行きてください。ぼくは行きませんので(・∀・)

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