【躍動するナスリ】セビージャ対ラス・パルマス【奇跡の結末】

マッチレポ1617×リーガエスパニョーラ

セビージャのスタメンは、リコ、パレハ、ラミ、エスクデロ、マリアーノ、エンゾンジ、ガンソ、ナスリ、コレア、フランコ・バスケス、ベン・イェデル。代表戦明け&ミッドウィークに、トリノでユベントス戦を控えているセビージャ。今季こそヨーロッパリーグに参加しないためにも、万全の準備をしたい。つまり、チャンピオンズリーグに向けたコンディション調整。お馴染みのスタメンだったヴィトロ、サラビアはベンチ。ビエット、清武はベンチ外。そして、新戦力のナスリ、ガンソがいきなりのスタメンとなった。ターンオーバー兼新戦力の見極めという考えだろうか。

ラス・パルマスのスタメンは、ハビ・バラス、ダビド・ガルシア、ミシェウ、ペドロ・ビガス、ダニ・カステラーノ 、ロケ・メサ、ヴィセンテ・ゴメス、マテオ・エゼキエル、ナビル・エル・ザル、リヴァヤ、タナス・ドミニゲス。2連勝で首位のラス・パルマス。リーガのレスターになれるか!という声もあるとかないとか。ラス・パルマスは島。アフリカのほうが近い。バレロン、シルバと、良い選手を輩出することでも有名だ。

結果は2-1でセビージャの勝利。ラス・パルマスが先制し、89分にPKでセビージャの同点ゴールがきまる。ロスタイムにコーナーキックを押し込んでんの逆転劇だった。つまり、ぎりぎりの試合だった。ターンオーバーをして結果が出ないとめんどくさい世界なので、この結果をうけてチャンピオンズリーグを気分よく迎えられるセビージャだった。

理想と現実の差

ラス・パルマスのボールを保持していないときのシステムは4-4-2。ビジャレアルを彷彿とさせる戦術を採用していた。恐らく、前節のビジャレアルの戦い方を参考にしていたのだろう。また、ボールを保持することを得意としているらしく、クリアーを極力行わずに、ショートパスをまじえて攻撃を加速させていく様子は見事だった。セビージャの攻撃の精度が低かったこともあって、ファーストプレスさえかわせれば、一気にオープンスペースを手に入れることができたラス・パルマス。肝心なのは、ファーストプレス、つまり、最初の守備者をどのように外すだ。ラス・パルマスは、ロケ・メサが抜群の落ち着きと技術によって、カウンターの起点となっていた。

前節で清武を狙い撃ちにされたセビージャ。当面の課題は、ビルドアップとなりそうな雰囲気だ。

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しかし、リコの繋ぐ能力はエスパニョール戦でも露呈したように怪しい。

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ビジャレアル戦ではこのエリアに清武を配置した。しかし、ビジャレアルのマンマークか!という守り方に四苦八苦することになる。よって、ラス・パルマス戦でも、このエリアをどのように使うかが注目された。なお、エンゾンジが左サイドにいるのは、ストーンズとフェルナンジーニョの関係性と似ている。エンゾンジにマークをつけ、どこまでもついていけ!という指示に対して、列を降りたり、サイドバックの位置に移動したりするのは、非常に効果的といえる。

この試合でビルドアップの出口となる役割を託されたのは、フランコ・バスケスとガンソ。主にガンソの役割だったが、ガンソはときどきしか降りてこなかった。ときどきしか降りてこなかったからこそ、ガンソの降りたときの動きは機能していたといえる。ただし、あくまでときどきしかビルドアップの出口が明確にできないというのは非常に問題であった。

ラス・パルマスの1列目が執拗に守備をしたこともあって、3バックのビルドアップから前線に時間と空間を与えた状態でボールを繋ぐことはできなかった。よって、前線の選手に頑張ってこいという状況のセビージャ。新加入のナスリが、自身の存在の証明をするかのように溌剌とプレーしているのは印象に残っている。セビージャはトップ下適正の選手を多々配置していることもあって、ライン間や狭いエリアでのプレーを得意としている選手が多い。だからこそ、ラス・パルマスは中央圧縮の4-4-2で対抗する。そんな中央圧縮の守備に対して、左サイドからの外外ビルドアップ(サイドバックからサイドハーフ)への展開が目立った。左サイドのコレアはサイドラインをふみ、右サイドのナスリは自由に振る舞うという分担になっていた。

エスパニョール戦で見せたセビージャの攻撃が、インサイドハーフのサイドバックの裏へのランニング、相手をサイドに寄せてからのサイドチェンジだったとすると、この試合ではビルドアップが機能しなかったために、それらの場面を前半はほとんど見られなかった。ガンソの中央を切り裂いたスルーパスなどは一番の見所だったが、元セビージャのハビ・バラスのファインセーブにことごとく防がれてしまっていた。チャンスがないわけではないが、攻撃に再現性はなく、ラス・パルマスの守備とカウンターに苦しめられた前半が終わった。サイドバックとセンターバックの間をインサイドハーフが突撃できないとみるや、サイドバックに大外を守らせて外外攻撃への対応をするラス・パルマスは、なかなかにくい。

ヴィトロ、ナスリ、フランコ・バスケス、サラビア

ホームで負けるわけにはいかないセビージャは、ガンソ→ヴィトロを投入する。ガンソのポジションにナスリを配置する。自由人のナスリは、ビルドアップのときに積極的にボールを引き出す動きをすることで、セビージャの攻撃を円滑にすることに成功した。ナスリがポジションを下げたときに空けたナスリのエリアを、ヴィトロが使えることも非常に大きかった。

ラス・パルマスからすれば、想定された事態になったはずだ。彼らの出した答えは2列目の縦へのスライドよりも、全体を撤退させて守備をするだった。リードしているので、わからないでもない。ただし、撤退して相手のボール保持を受け止めれば、問題だったセビージャのビルドアップ問題が解決されることとなってしまう。

65分には2枚替えのセビージャ。サラビアを左サイドハーフへ、カルロス・フェルナンデスをトップにいれて、さらに攻勢を強める。相手を押し込めれば、サイドにいる必要のないサイドハーフコンビ。横幅役割はサイドバックに任せることができる。よって、ヴィトロ、サラビアも中央に絞ってポジショニングすることで、セビージャの誰がどこにいるのかよくわからない攻撃が破壊力を増していった。また、ターゲットマンがいないと思っていたセビージャだが、カルロス・フェルナンデスは高さで勝負できる選手のようだった。

相手を押し込んで、サイドバックが高い位置を取れると、あとはセビージャの時間帯となる。サイドチェンジ、サイドバックの裏への突撃が何度も繰り返される。センターバックとサイドバックの裏を走り抜ける以外の手はないのか?というくらいにその攻撃を繰り返していった。ラス・パルマスもカウンター、ボール保持で殴り返したいのだけれど、わずかな時間しか反撃は許されなかった。前半よりもボールを効果的に保持できたセビージャのボールを奪われたときの切り替えスピードは前半よりも改善されていたのがラス・パルマスからすれば、きっつい状況を招くものとなった。

延々と攻め続ければ何かが起こるかもしれない。相手のゴールに攻めなければ何も起きない。というわけで、ヴィトロのクロスからのゴールは無情にもノーゴール判定。しかし、狙い続けたサイドバックとセンターバックの間のエリアで倒されるヴィトロ。PKを決めるのはサラビア。同点に追いつくと、最後に終了間際のコーナーキックからカルロス・フェルナンデスが押し込んで、セビージャが奇跡の逆転劇を成功させた。まさか勝つとは思わなかったので、とっても驚きの結末となった。

ひとりごと

ユベントス

チャンピオンズリーグの初戦は、トリノでのユベントス戦。まったく勝てる気がしない。レアル・マドリー、バルセロナと試合をしたときのセビージャを見ていないのが残念。相手のほうが明らかに強いときに、サンパオリがどのような手を打つのかは興味深い。

ナスリ

前半はサイド、後半はセンターで、プレーをしていた。前後半ともに非常に目立っていた。サイドから中央へのポジショニング、中盤から下ってビルドアップの出口となるポジショニングとチームを牽引していたと言ってもいいと思う。清武とのポジション争いになるかもしれない。ただし、どちらの役割も清武はできると思うので、ローテーションが採用されそうな予感。さすがに、トップ下適正の選手が多すぎる。一歩抜けているのがフランコ・バスケスか。

セビージャ

開幕戦の4-4-2の菱型が見たいのだけど、この試合も4-1-4-1気味だった。どこかで2トップにするかなと期待していたけど、最後まで1トップだった。相手を押し込めれば、両者のシステムに差異はなくなるのだけど、ビルドアップの出口に誰がなるの?を曖昧にするためには、エンゾンジの前の列を増やしたほうが良さそう。トップ下にインサイドハーフという形だと、相手のプレッシングの設定もかなりめんどくさくなるので。それを流れでやれや!という話なのかもしれないけれども。

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