【カタールW杯グループB第1節】イングランド対イラン【絶望的な強度の差の裏側で】

2022 FIFA World Cup

「さて」

「今日はイングランド対イランを追いかけていきたい」

「追いかけていくのか」

「どこまでも追いかけていく」

「イランはタレミがチャンピオンズ・リーグで奮闘し、アズムンも欧州で活躍しているイメージがある」

「ショジャエイのころからするとパワーアップしているんだな」

「懐かしいな、ショジャエイ」

「この試合ではアズムンはベンチにいるけどな」

「ちなみに541でブロック形成で試合に臨んだ。本来は4バックだけれど、ワールドカップ仕様らしい」

「対するはイングランド」

「プレミアリーグ選抜」

「ワールドカップでもEUROでも結果を残しているので前評判は高いが試合内容がエンタメでないためか、結果のわりに評価が低い」

「スタメンを眺めてみると、非常に豪華なメンバーになっている」

「怪しいのはディフェンスラインくらいだろうか」

「トーナメント戦でディフェンスラインが怪しいとろくなことにならなそうだけどな」

我慢のできない撤退守備の末路

「で、序盤から撤退するイランに対して、ベリンガムを起点とする形でイングランドがゴールに迫っていく」

「工夫されたセットプレーからイングランドはハリー・ケインがクロスを上げるが、キーパーが味方に衝突してしまう」

「治療の時間は早すぎる休憩タイムとなった」

「一度は再開するものの、やっぱり無理だなというわけで18分にホセイニが登場する」

「で、イングランドがボールを保持しているんだけど、イランに不穏な空気が漂い始める」

「例えば、タレミがライス番をしているんだけど、特に受け渡しもなく持ち場を離れる」

「両ウイングも気がつけば前からのプレッシング行ったり、そのまま前線にいたりと徐々にハチャメチャになっていった」

「なんでなんやろうな」

「本来のチームは強度マシマシのチームなのかもしれんな」

「撤退守備で大切なことはゴール前に集結して動かないことなはずなのだが、ガンガン動いて周りに迷惑をかけていたからな」

「ただし、迷惑をかけていたのはウイングだけでなくて、セントラルハーフが前に出てくることもあった」

「恐らくやけど、イランは541で構えるのではなくて、前からプレッシングに行くための343だったのではないかと」

「序盤の撤退風味から時間がたてば奇襲というパターンか」

「で、ボールを運ばれてしまったら541に変更するわけか」

「そうでも考えないとやってられないやろ」

「でも、自陣に撤退してからも突然のプレッシング発動とかあったで」

「考えるだけ無駄かもしれんな」

「なにか罠があるかなと眺めていたが、その気配はないままにスコアが動いてしまった」

「イングランドのビルドアップもストーンズとライスに蓋をして、ベリンガムにマンマークでかなり険悪な雰囲気になりそうなんだけどな」

「センターバックが運ばないのか、運べないのかは謎だな」

「運べるのに運ばせないチームも実際にあるからな」

「ライスやベリンガムが降りてきてバシッとボールを通す場面はちょっとかっこよかったな」

「スターリング、サカはちょっと前過ぎて孤立気味なことは気になったな」

「トリッピアーが内側にたってサカにパスラインを作る場面もあったけれど、アーセナルのときとはやりにくさがエグそうに見えた」

「イングランドの先制点もなんでお前がプレッシングに来るねんからのズレを使われてベリンガムに決められる」

「2点目は得意のコーナーキックからやられる」

「3点目はイランの連携・連動しないプレッシングからロングボールを蹴られてベリンガムとハリー・ケインを止められずに最後にスターリングに決められる」

「まさに踏んだり蹴ったりだな」

「イングランドのボール循環で動かされたというよりは勝手に動いて隙きを与えたような展開だったもんな」

「自滅か」

「自滅やろ」

「ちなみにアズムンは怪我をしているらしい」

死なばもろともスタイル

「後半は死なばもろともだべーと叫びながらプレッシングをかけていくイランが目撃されている」

「センターバックとアンカーにマンマークで同数プレッシングは最近の流行だからな」

「こうなると、イングランドは同数の前線に蹴ればいいのだけど、そんなことは知ったことではないイラン」

「死なばもろともだからな」

「で、サカにとどめをさされたわけだけど」

「死なばもろともな姿勢がイランにゴールをもたらす」

「442という雑誌もあるくらいのイングランドだが、この代表は4バックに慣れていない疑惑があったな」

「ときどきイランにえぐいやられたかたしていたな」

「で、イングランドは一気に4枚替えと同時に追加点を取る」

「相手が同数プレッシングに来るならハリー・ケインに放り込むは今後のイングランドの鉄板芸になりそうだな」

「ただし、相手のビルドアップを阻害するための同数プレッシングが自分たちのセンターバックと相手のセンターフォワードのデュエルを導くことになる因果はちょっとおもろいな」

「どこが面白いんだ?」

「ボール中心のプレッシングによるビルドアップの阻害が不可能だから同数プレッシングを仕掛ける。ある意味で個人の勝負に持ち込むことを選んでの同数プレッシングやろ。個人の勝負に持ち込んでいるにもかかわらず、ハリー・ケインという個人との勝負に局面は導かれそこでは勝ち目がないというのもなんだか切ないなと」

「わかりにくいな」

「まあいいだろ」

「で、最後にはグリーリッシュが決めて、最後の最後でPKで殴り返すイランであった」

「スコアだけ見ると、後半は3-2なので、死なばもろともは成功したように見えるけれど」

「なんともいえんな」

「最後に両チームについてまとめていこうか」

「イランは後半のメンツのほうが良いと思う。恐らく、今後の試合は撤退守備で我慢ができないことを考えると、死なばもろともスタイルで行くしかないと思う。ハリー・ケインは全チームにはいない」

「アメリカとウェールズにハリー・ケインの代役がいるかはたしかに謎だな」

「試合を見てみないとわからない」

「キーパーの負傷もアンラッキーだったけれど、力関係を考慮すれば納得の撤退大作戦だったけれど、そもそもその戦い方に慣れていないのではないか?ってところだろうか」

「最終予選が同じ組なら事前情報もたっぷりなんだけどな」

「ところでボール保持型のサウジアラビアとオーストラリアも撤退守備を仕掛けたらちょっとおもろいな」

「その2チームの試合を見ることもちょっと怖いな」

ブロック内とブロックの外を旅する選手を募集

「ではイングランドについてみていく」

「4231と433の間の子のような配置関係になっていた」

「サイドバックも片方は残る、となっていそうだが、基本的には4バックシステムでサッカーをしていたと考えたほうがいいやろうな」

「イングランドのセンターバックがフリーであることはしょうがない。でも他のポジションは全員捕まえてやるイラン作戦に苦労している様子も印象に残っている」

「で、今回のイングランドの良さそうなところは落ち着いているところだろうな」

「ボールを保持することを怖がっていないし、ピックフォードを利用したビルドアップもチャレンジしていた」

「ボールを安全に持てているのだから、ボールを前進させられなくてもいいやと考えていたかもしれない」

「相手が出てくるまで待っていればいいと考えていたかもしれない」

「そういう意味ではマグワイアもストーンズも我慢ができていた」

「これは非常に良かったな」

「で、悪かったところはフォーデンとグリーリッシュが示してくれていた」

「相手のブロックの中でプレーする選手と外でプレーする選手の行き来が少ない」

「シティコンビは相手のブロックの外でボールを受けて、レーンを横断しながらボールを運ぶことができる」

「フォーデンは降りる動きと横の動きを組み合わせることで、結果として相手のブロック内でフリーになる場面が多かった」

「前半組でこのプレーが可能な選手はマウントくらいだった」

「ベリンガムもできなくないが、配置の間の子のキーマンゆえに行っている印象がある」

「自発的ではないというか、配置の妙というか」

「で、問題はマウントやベリンガムが相手のブロックの外でボールを受けて、リズムとテンポを変化させるときのウイングのサポートとなる」

「2得点を決めたサカだが、得点場面以外では満足なサポートを受けられなかったことで、評価の難しい試合となった」

「2得点は流石だったし、2点目は華麗すぎたけどな」

「スターリングも様々な移動を繰り返していたが、ルーク・ショーの攻撃参加を促していただけと言えなくもない」

「サカはできれば大外、スターリングは内側という役割はありそうだったな」

「話を戻すと、ベリンガムやマウントがウイングのサポートをできる位置にいられるかどうかが鍵で」

「ブロックの外への移動で本来の持ち場にいられないなら誰かが代わりに側にいないとちょっときつそうだったな」

「そのぶんの時間とスペースの創出はシティ組がさすがだったというわけか」

「後ろで受けても自分たちでボールを運びながら時間を作れるからな」

「でも、後半の死なばもろともを受けて、ベリンガムがライスのそばでプレーするようになったのは流石だったな」

「ベリンガムとライスにすべてがかかっていそうなイングランドだが、気が利く選手もいるし、ベンチにはマディソンすべてを託したが可能な選手もいる」

「相手が強くなってきたときの4バックがどうなるか、ビルドアップがどうなるか、ウイングは孤立しないか、それらを解決するためにはどうするかなどなど」

「ここから成長したら面白くなりそうだな」

「イングランドを相手にする場合はベリンガムが攻撃参加したときにライスさえかわせればあとは大チャンスって感じだな」

「ではこんなところで」

絶望的な強度の差

イランの曖昧なプランが試合の流れを決定づけた一方で、イングランドのプレッシング、ネガトラでもベリンガムを中心にイングランドは最強だった。イランはほとんど何もできずに終わったし、守備面でもファウルを繰り返すばかりだった。エクアドルを相手にカタールが苦しんだように、そもそもボールを奪えないのだからやるせない話である。JFA的には日常の差という言葉になるんだけど、この強度の差、そもそものデュエルでここまでの差がついてしまうと、どのように作戦を練ったところで絵に描いた餅となってしまう。それでも死なばもろともスタイルでイングランドのゴールに迫れたことは事実なわけで、そこに世界をやっつけるヒントはなりそうな気はする。

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